｢総合的知識問題｣｡
｢漢字の書きとり｣は｢文脈｣から｢適切な語句｣を選ぶ必要がある(なじみのない表現も多く､なかなか厄介だ)｡
｢文法｣では｢文節分け｣に特に注意すること。
また、｢慣用句｣｢ことわざ｣｢四字熟語｣の｢意味･用法｣の判別も難解だ。

例年以上に｢高度な語彙力｣が問われているので覚悟すること。
いくつか確認してみたい。

＜時間配分目安：全問で３分＞

[問一]　｢語句の選択と漢字の書きとり｣(全10問/10択)。

示されている文中の空所( ① )～( ⑩ )に｢入る言葉｣を【語群】から選び｢漢字｣に直す。

｢慣用表現｣として厄介なものは、
(３)｢来日して間もないが( ③ )の日本語なら話せる｣(⇒｢カタコト｣＝｢片言｣)、
(５)｢新校舎( ⑤ )を記念｣(⇒｢ラクセイ｣＝｢落成｣)、
(７)｢( ⑦ )ながら｣(⇒｢マッピツ｣＝｢末筆｣)､
(８)｢( ⑧ )を講じる｣(⇒｢ゼンゴサク｣＝｢善後策｣)、
(９)｢首相の( ⑨ )表明演説｣(⇒｢ショシン｣＝｢所信｣)、
(10)｢( ⑩ )を打つ｣(⇒｢フセキ｣＝｢布石｣)。

あいまいなものがあった諸君は、徹底して復習しておくこと。

｢問二｣　｢文節数の数字記入｣(１問)｡｢文法｣。

示されている｢文｣の｢文節数｣を答える。

｢文節｣は単に｢～ネ｣を入れて分けるのではなく、｢自立語｣｢付属語｣の判別をして正確を期すこと。

｢友達を/私の/家に/招いて、/昨日/作って/おいた/カレーと/ケーキで/もてなした｡/｣という｢文節分け｣になる｡｢答え｣は｢10｣｡

｢文節分け｣は｢文法｣の基礎中の基礎、練習を繰り返すこと。

｢問四｣　｢言葉の意味･用法についての選択肢｣(５択)。

示されている(ア)～(オ)の文の傍線部の､｢言葉の使い方｣が｢正しいもの｣を答える。

知らないものがあっても不思議はない。難問だ。正誤判別をしたい。
(ア)｢あと一歩のところでライバルに渡りに船でじゃまをされた｣⇒｢渡りに船｣は｢好都合｣のこと＝｢不適切｣､
(イ)｢彼はいつでも泰然自若としてあわただしく動き回る｣⇒｢泰然自若｣は｢ゆったりと落ち着いている様子｣のこと＝｢不適切｣､
(ウ)｢先生にほめられ、青菜に塩をふったように元気になる｣⇒｢青菜に塩｣は｢元気なくしょげている様子｣のこと＝｢不適切｣､
(エ)｢あなたには、言いたいことが爪のあかほどもあります｣⇒｢爪のあか｣は｢ごくわずか｣のこと＝｢不適切｣､
(オ)｢急な転勤が決まり、家中が上を下へのおおさわぎになった｣⇒｢上を下へのおおさわぎ｣は｢あわてて混乱している様子｣のこと＝｢適切｣｡
よって、｢答え｣は(オ)だ。

｢泰然自若｣と｢青菜に塩｣は定着している必要がある。他は､知らなくてもそう気にする必要はない。ただ、｢文脈｣から類推するということは試みたい。

いずれにしても、本校志望者は｢語彙力｣を完璧にしておくことが必須だ。

なぜ私たちは、不合理な行動をしたり、意志の弱さや愚かさを見せたりしてしまうのか？それらの行為は｢理性｣に反したものなのか？――進化の歴史から日常的な問題まで､｢合理的である｣とは何かを解き明かす。

本文では、｢自然種｣としての｢ヒト｣という生き物が、養育や教育によって｢人間｣という別の｢生きもの｣になる存在であることを説明している。
｢哲学論｣なので難解な語句も多く、内容を理解することは容易くはない。本校特有の｢紛らわしい選択肢｣や｢総合的知識問題｣などで苦心するかも。
いくつかの｢設問｣を検討しよう。

[問一]　｢語句の空所補充選択肢｣(全４問/４択)｡

本文中の空所 　Ａ　 ～ 　Ｄ　  に｢あてはまる言葉｣を答える。

各選択肢は｢接続詞｣と｢副詞｣。
本校に限らず、｢接続詞｣や｢副詞｣などの｢空所補充問題｣は定番だ。特に｢接続詞｣では｢逆接｣以外に十分に注意すること。しっかりと確認しないと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。

｢答え｣は､ 　Ａ　 ＝｢例示｣の｢接続詞｣の(エ)｢たとえば｣､ 　B　 ＝｢選択｣の｢接続詞｣の(ウ)｢あるいは｣､ 　C 　 ＝｢逆接｣の｢接続詞｣の(イ)｢しかし｣､ 　D　 ＝｢言うまでもなく｣という意味の｢副詞｣の(ア)｢もちろん｣となる。

尚、こうした｢空所補充問題｣は｢候補｣はひとつとは限らないので、必ず全ての｢候補｣を｢代入確認｣すること。

＜時間配分目安：２分以内＞

[問二]　｢熟語の空所補充選択肢｣(５択)｡｢総合的知識問題｣｡｢熟語｣の｢意味･用法｣だ。

本文中の２か所の空所 　X　 に入る｢漢字二字の同じ語｣を答える。

各選択肢は、(ア)｢身体｣､(イ)｢具体｣､(ウ)｢強制｣､(エ)｢集中｣､(オ)｢後天｣。

これらの意味は知っているはずだが、いざあてはめようとすると意外と悩むに違いない。
２か所の空所を確認する。

｢そのような能力は、何らか 　X　 的に養育ないし教育される｣と｢言語能力は、自転車に乗るとか泳ぐといった能力が形成される場合と同じように、間違いなく､ 　X　 的に訓練を重ねて形成される｣となっている。

｢前者｣に｢そのような｣という｢指示語｣があるので開く(｢指示語｣が出たら即開くこと)｡
｢そのような能力｣＝｢言語能力｣だと分かる。
要は、両方とも｢言語能力｣がどのように発達するのかという｢文脈｣で用いられている。
さあ、ここで｢後者｣の｢自転車に乗る｣｢泳ぐ｣＋｢訓練｣⇒｢身体(的)｣と即決してはならない。確かに、あてはまる。が、｢前者｣はどうか？　｢身体(的)｣に｢養育ないし教育｣となってしまう。流石に無理がある。

よって、｢答え｣は(オ)の｢後天｣だ。

このように、何か所かの空所がある場合、必ず全てに｢代入確認｣し、入念に判別しなくてはいけない。

＜時間配分目安：１分半＞

[問四]　｢換言説明選択肢｣(５択)。

傍線部(３)の｢文化的構築物｣とは｢どういうものか｣を答える。

｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡

各選択肢の｢文末｣で(｢選択肢｣の説明で｢最重要要素｣は｢文末｣に記されている)、｢構築物｣に結びつかないものを｢消去｣する。
(ア)｢生み出されたもの｣、
(イ)｢作り上げられたもの｣、
(ウ)｢築き上げられたもの｣､
(エ)｢価値を認めるもの｣､
(オ)｢使用するもの｣｡

｢構築｣なのだから、(エ) (オ)は｢消去｣できるはずだ。
次に、｢傍線部一文一部の法則｣(｢傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という｢重要解法｣)で｢文脈｣を確認する。
直前に｢それ自体は｣とある｡｢文化的構築物｣＝｢それ自体｣⇒｢指示語｣を開く＝｢日本語とか英語というようなもの｣だと判断できる。
残りの選択肢の｢前半｣は、(ア)｢時代・地域固有の精神活動により｣、(イ)｢現代社会の技術を集めて｣、(ウ)｢歴史や伝統をふまえて｣となっている。

｢日本語｣｢英語｣なのだから無論、(イ)(ウ)は｢消去｣だ。したがって､｢答え｣は(ア)だ。

先ずは｢原意消去｣を試みて、その上で的確に｢解法｣を用いて｢段階的に消去｣していくことが肝要。

＜時間配分目安：２分以内＞

[問六(２)]　｢理由説明記述｣(｢20～30字以内｣指定)。

傍線部(５)｢人間の場合の特殊性というのは、私たち一人ひとりの問題｣について、｢私たち一人ひとりの問題｣と言えるのは｢どうしてか｣を説明する。

最初に｢人間の場合の特殊性｣とは何かを捉えておきたい。
｢同一意味段落｣を確認すると(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠･手がかり｣がある)､｢人間の場合の特殊性｣＝｢『ヒト』と『人間』の間にある『あり方の本質的な変化』｣だと読み取れる。
そして、その｢あり方の本質的な変化｣は｢現代社会に生きる私たち一人ひとりに生じるものであると考えるべきだ｣と、傍線部直前で説明されている。まさに、このことが説明すべき｢理由｣だと分かるはずだ。
あとは｢過不足なく｣まとめればいい。

たとえば、｢人間の特殊性は現代社会でも生じるものだと考えるべきだから。｣といった｢答え｣になる。

尚、｢理由説明記述｣では｢直接的理由｣を｢文末｣にすること。

＜時間配分目安：２分＞

人はどん底の気持ちを立て直し、自分ひとりで人生に決断を下す時、何を護り、どのような一歩を踏み出すのか――人生の岐路に立つ人々を見守るように描く12編の傑作短編集の１話。

本文では、サラリーマンの｢僕｣が商談のために訪れた町で､その地の｢方言｣がきっかけで、小学生の時に好きだった｢転校生｣の｢瑞穂｣のことを懐かしく思い出す姿が描かれている。
内容は分かりやすい。本校にしてはいつになくオーソドックスな問題が多い。ただ、３問連続で続く｢抜き出し｣がやや曲者だ。
以下、３問だけ検証したい。

[問三]　｢傍線部の換言説明抜き出し｣(｢２字｣指定)。

傍線部(１)｢懐かしい匂いをかいだ、気がした。違う、懐かしい音楽を聴いた感じだろうか｣について、｢匂い｣や｢音楽｣に｢あたるものは何か｣を｢二字｣で抜き出して答える。

｢抜き出し｣では、｢抜き出し内容｣を捉えた上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。
｢内容｣は､｢聴く｣ことで｢懐かしさ｣を感じた｢音楽のようなもの｣だ(｢音楽｣が｢比喩表現｣だということはすぐに分かる)｡
｢範囲｣は｢同一場面｣となる(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢手がかり･ヒント｣がある)｡確認する。

傍線部直後で､｢僕｣は｢思いつき｣(＝｢懐かしい音楽を聴いた感じ｣)を｢商談の相手｣に｢確かめ｣ている。その中で、｢商談の相手｣が口にした｢なまた｣という｢別れの挨拶(あいさつ)｣に対して、｢僕｣が｢それです､それはこの辺の方言のようなものでしょうか｣と確かめている。
そして、その後で｢なまた｣という言葉について｢久しく忘れていた旋律｣と説明されている。

｢久しく忘れていた旋律｣＝｢聴く｣ことで｢懐かしさ｣を感じた｢音楽のようなもの｣＝｢なまた｣＝｢方言｣ということだ。
よって、｢答え｣は｢方言｣｡

一般的に、｢抜き出し｣では｢範囲｣の絞り込みがポイントになると心得よ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問四]　｢条件付き傍線部の換言説明抜き出し｣(｢はじめの５字｣指定)。

傍線部(２)の｢懐かしい風の吹く場所｣とは｢どこか｣を｢30字以内｣で探し､｢はじめの五字｣を抜き出して答える。

｢条件｣は｢具体的に書かれた部分｣であること。｢抜き出し内容｣は､｢懐かしい｣｢具体的｣な｢場所｣､｢抜き出し範囲｣は無論､｢同一場面｣｡ここでは｢条件｣の｢具体的に書かれた部分｣に着目したい。

｢具体的｣ということは当然、｢昔の場所｣が記されているということだ。確認していく。
案の定、直後に｢回想シーン｣がはさまれている。そこだ。たどると、｢彼女｣(瑞穂)と｢ふたりで当番日誌を職員室へ出しに行った後の、児童会館の薄暗さがよみがえる｡｣という一文がある。
｢よみがえる｣⇒｢懐かしい｣｢具体的｣な｢場所｣＝｢ふたりで当番日誌を職員室へ出しに行った後の、児童会館｣(26字)､ＯＫだ。
したがって、｢答え｣は｢ふたりで当｣となる。

｢条件｣は｢大いなるヒント｣でもあるということだ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問七]　｢換言説明選択肢｣(５択)。

傍線部(５)｢なんともいえない空気｣について、｢具体的にどのようなことか｣を答える。

先ずは｢原意消去｣といきたいが、これだけではやはり無理だ。
｢傍線部一文一部の法則｣で｢文脈｣を確認すると､直前に｢彼女がそういってお辞儀をしたとき｣とある｡｢そういって｣＝｢……谷川瑞穂です。よろしくお願いします｣という言葉だ。
また、直後は｢(なんともいえない空気)が級友たちの間に広がった｣となっている。つまり、｢彼女の言葉｣が｢きっかけ｣で｢なんともいえない空気｣になったわけだ。なぜなのか？
　その後で｢どこかが変だった｣｢言葉を話すときの波の山がずれる｣｢僕らはそれにどう反応していいかわからなかった｣と説明されている。各選択肢の｢文末｣を確認する。

(ア)｢とまどい｣､(イ)｢冷やかし｣､(ウ)｢敵対心｣､(エ)｢あせり｣､(オ)｢決まり悪さ｣｡
｢消去｣はどれか？　

｢どう反応していいかわからなかった｣のであれば当然、｢とまどい｣以外は｢消去｣できなくてはいけない。
(ア)は他の部分の説明も特に誤っていないので、｢答え｣となる。｢一発消去｣できたわけだ。

尚、｢心情把握｣などでは｢きっかけ｣が重要なので、意識すること。

＜時間配分目安：２分以内＞