学習院女子中等科 入試対策
2017年度「学習院女子中等科の社会」
攻略のための学習方法
学習院女子中等科の社会の入試問題は、例年大問3~4つに総解答数40前後で構成されている。 歴史・地理・政治経済がほぼ等分で出題されており、およそ各20点ずつバランスよく配点されているようである。
記号選択と用語記入、そして本校の特徴でもある1行記述が4~5問という解答形式で、全体の文章量は多くないので読むのに時間はかからないが、問題数は多いので30分で解くにはかなりのスピードが要る。
設問には大別して、
(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題
(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題
がある。
(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題
まず、(1)については確実に答えられるよう基本を押さえることである。
【地理】は、地勢と各地の産業といった分野がよく出されているので、基本事項に加えて、白地図・資料集で位置やデータの特徴も合わせて覚えてしまう。
【歴史】は、古代から現代まで広い範囲から出題されている。細かい年号までは訊かれないが、全体の流れをつかみ同時期に起こった出来事など関連づけておきたいので、年表などで整理しておく事。ここでも白地図で位置を確認しておきたい。また、歴史的に日本と関係のある地域・国についての質問もあるので、韓国・中国や南蛮とよばれた国々、アメリカやイギリスなどについて、世界地図も合わせて見ておくと良い。
【政治経済】は日本国憲法と政治のしくみを中心として習熟しておく。法律や選挙に関係した時事問題などの出題もあるので、普段から関心を持ってニュース等、見ておきたい。
いずれの分野もいわゆる難問奇問ではないので、基本をがっちり固めるという意識で日々の学習に取り組めばよいだろう。
(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題
(2)については、学習院女子の特長ともいえる問題で、得点に差が付く部分かも知れない。他校では見られないユニークな問いもあり、低カロリーのマヨネーズのほうが高価である理由〈H22年度〉や、博物館の照明が暗くなっている理由〈H23年度〉などの出題例がある。
このような問題に答えるためには、学校や塾で学ぶことだけでなく、普段から身の回りの出来事にも好奇心を持ち、「なぜそうなったのか」「そのことが他にどのような影響をおよぼすのか」というように考えを発展させられる思考力を養うことが大切である。
本校の短文記述には字数制限がないが、長文を書くスペースは無い(せいぜい20~30字程度)ので、解答欄に合わせて自分の考えをまとめられるよう練習しておこう。
そして、上記(1)(2)に対しての心構えとして、
「経済・国際・環境などの社会的な出来事に関心を持つ」ことが大事であることを付け加えておく。
学習院女子の問題は選択式にしろ記述式にしろ、上記のようなテーマに沿って出されることが多い。 教科書やテキストの「勉強」だけでなく、「社会そのもの」にどれだけ関心を持って接しているかをテストを通じて問われているようである。
前年の出来事についてのやや難しい質問が出されたりするため、普段からニュースや新聞に目を通し、家庭でもわからないことを話し合ったり先生に質問したり・・・・・・そういった環境があれば大きなアドバンテージとなる。
言い換えると、そのような環境で育った女子を学習院は望んでいる。それが、学習院という伝統校の考えなのであろう。
基礎的事項は教材を最大限に活用して確実なものにしておく。その知識をもとに、社会で話題になった出来事について自分なりに少し深く考え、理解を深める。その繰り返しが本校の試験に求められる「思考力」を培うことになるのである。
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2017年度「学習院女子中等科の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1・大問2と3・大問4がそれぞれ歴史・地理・現代社会の問題で、広い範囲から問題が作られている。解答数が50問と多く、短文とはいえ記述問題も6問ある。適語記入で書き込む問題も多く、時間に余裕はない。
記号選択・用語記入の問題はいわゆる難問ではないのでてきぱき解いてミスせずに得点源とし、記述問題は残りの時間でできるだけ答えるような心づもりで臨もう。
【大問1】 歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
- ★必答問題
四国を題材にして、幅広い時代の出来事や人物について訊かれている。
問一 B.真言宗が空海・高野山・金剛峯寺、天台宗が最澄・比叡山・延暦寺とまとめて覚えてしまおう。
G.ロッキード社という航空機メーカーからの収賄で総理大臣が罪を問われるという大事件であった。
問三 宗門改めは江戸幕府が行ったキリスト教を禁ずるための政策のひとつなので、秀吉とは関係がない。
問四 武家諸法度のことである。参勤交代のことを書いてもいいし、幕府の許可が必要な事柄が多くあるので、その中から選んでも良い。
問五 中心になった人物は、当然最後の将軍・15代徳川慶喜のことである。
問七 小説神髄は坪内逍遥・舞姫は森鴎外・一握の砂は石川啄木である。
問八 日ソ共同宣言(1956年)当時の首相は鳩山一郎。田中角栄が総理大臣だった時代はもっと後である。
<時間配分目安:9分>
【大問2】 地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:3分
各県の人口や産業について。
問一 静岡県では輸送用機械や楽器の生産が盛んな浜松市が、山口県では水産業や造船業が盛んで北九州市と合わせて関門海峡の観光地でもある下関市が、それぞれ県庁所在地より人口が多くなっている。
問二 アは畜産の多さから鹿児島県、ウは農業生産の少なさから東京都、エは米の多さから秋田県と考えられる。オは果実の多さでみかん・柿・梅の生産が盛んな和歌山県、イは米と果実(さくらんぼ)を考えて山形県が選べるだろう。
<時間配分目安:3分>
【大問3】 地理分野
- 難度:やや難
- 時間配分:7分
- ★必答問題
九州北部の地形・産業などの問題。
問一 (2)佐賀県・長崎県は大陸から焼き物が伝えられた地で現在でも一大産地である。有田焼(伊万里焼)は石を主原料とした磁器、唐津焼きは土を原料とする陶器である。
(6)~(8)八代平野は球磨川下流に広がるいぐさの生産で有名な地域。ひらがなでよいという指定があるので、自信がなければ素直にひらがなで書けば良い。
問二 有明海は潮の干満の差が大きい遠浅の海で、干潮時には干潟が出現する。海苔の殖養殖が盛んである。
問三 長崎市周辺。漁港として栄え、水産業や造船業が盛んである。原爆が投下されたという歴史もあり、観光客も多い。
<時間配分目安:7分>
【大問4】 現代社会分野
- 難度:標準
- 時間配分:11分
核廃絶の話題を中心に、直近の時事の問題も出題されている。
問一 オバマ大統領は核を抑止力とする「恐怖の論理」から逃れなければならないとして、核保有国としてのみずからを戒めた。2009年にはチェコの首都プラハで核なき世界を目指すことを宣言し、同年ノーベル平和賞を受賞している。
問三 アメリカでは民主党と共和党の二大政党による政治が行われてきた。任期の上限(2期)を務めた民主党の前オバマ大統領の後継としてクリントン氏が優勢と思われたが、予想を覆して共和党のトランプ氏が大統領となった。
問四 (1)正式にはソビエト社会主義共和国連邦であるが、ソ連でも正解になるようである。
問五 国際法についての判断をしていることから、国際司法裁判所であろうと推測できる。
問六 被爆国の国民として、核被害の悲惨さを世界に訴えることは有効であろう。資料を調べたり、広島や長崎で実際に被害に遭われた方の話を聞いたり、それをインターネットを通じて発表したりなど、方法はさまざまに考えられる。別に「独創的なアイデア」を求められているわけではないので、気負わずに思いついたことを書けば良い。
<時間配分目安:11分>
攻略のポイント
30分という時間に対して、書き込みが多い50問の問題数はやはり多い。幸い、問題の難易度自体は難問というほどではない。通常、漢字指定されるような問題もひらがなでもよいとされている。まずは記述以外の問題をてきぱき解き進めて点を稼ごう。
60点という配点から考えても記述問題の配点は低めである。とはいえ五分の一ほどは記述問題の配点であるし、知識だけで答えられる問題も多いので、記述問題もひととおり手をつけられるよう、スピードは十分につけておきたい。
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