開智高等学校 入試対策
2017年度「開智高等学校の国語」
攻略のための学習方法
【長文読解】
説明的文章・文学的文章が各1問ずつ出題される。2017年度では論説的随筆文4000字・小説7000字の計11000字ほどの文量であった。
文章自体は高校受験の試験としては適した内容で、難し過ぎるということはない。小説の主人公も中学生の設定になっていたりする点、中学三年生向けの難易度で配慮されている。
形式は選択肢問題がやや多めで、書き抜き・記述・文中の内容を自分で考えて言葉にする問題なども見られる。記述は字数指定のない、50~60字ほどのものも出題されている。
・記述問題 配点も大きく、字数指定の無いものもあり、やはり差がつくところであろう。 「簡潔に説明しなさい」という形で訊かれるものが多いので、何をどのようにどのくらい記述するのかは自分で判断することになる。
論説文であれば、要約の能力が必要である。設問で求められた点を過不足無くまとめなければならない。
小説の場合は、文中にはっきり表現されていない場合も多いので、文中の出来事・人物の言動や表情・情景などから、(おそらくは)人物の心情を感じ取って、説明しなければならない。
字数指定が無い問題は、解答欄の大きさからだいたいの行数を考え、1行につき20字くらいの見当で書ける文量を決める……など。類似問題で十分な練習を積んでおかないと対応できないことである。
20~30字・70~80字などの字数で要旨・要約をまとめたり、人物の行動理由や気持ちを自分なりに表してみたり、一定の字数で記述を整える感覚を体得しておいていただきたい。
・読解 記述問題に慣れておくことは当然のこととして、つまるところは文章の要約であり登場人物の心情理解が求められているわけである。長文読解の力が無ければ記述問題など手もつけられない。長文読解のテクニックを磨くこと。
形式段落と意味段落・段落のつながり・要点と細部・要旨のまとめ……論理の流れをしっかりたどる。場面の転換・登場人物の関係・言動や表情や情景などから心情を理解する……テーマを読み取る。同じような文量の問題でスピードをつけておくことももちろん必要となる。
【古文】
大学受験と同様の素材文が出されているが、難しい箇所には現代語訳がついていて難易度の配慮はされている。このレベルの試験だと助詞の接続による意味の変化を見分ける必要があったりするが、全体の筋が読めれば答えられるような問題にはなっている。
ともあれ、難易度としてはやはり高校で詳しく習うことなので、重要語句や基本文法・古典の知識を一通り覚えて古文を読みなれておかないと、十分な得点に結びつかないだろう。高校初級~標準レベルの教材で学習しておくことをお薦めする。
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2017年度「開智高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
論説的説明文4000字・小説7000字で計11000字ほどの文量である。
総解答数は35問。記述問題が4問、その他は記号選択が多くなっている。記述問題以外はあまり時間を取るような問題はないので、素材文を読むスピードが十分にあれば、時間は足りるだろう。
記述問題も30~50字ほどでまとめるもので、さほど重いものではない。
【大問1】論説的随筆文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:20分
- ★必答問題
脳科学の観点から、直感が生まれる仕組みを考察している。直感は、経験を積み訓練することで養われると説いている。
問二 空欄Bは「つまり」でも良さそうだが、「つまり」はCにもっとも良く当てはまるので、別の選択肢を選ぶ。
問三 次の段落で「ひとつの重要な結論」と言っているあたりに使える箇所がありそうである。
問六 ここで言う「よいこと」とは、直感を司る脳の部位は年と共に強化され、直感もまた精度があがっていくことを指している。特に、孔子の「七十にして……」の言葉で直感だけで行動できる境地を強調しているので、ここも解答に含めると良い。
問七 前段落からの流れで、年を取ることは悪いことだという前提がある。そこでのこの言葉なので、「確かに悪いことも多いが、全て悪いわけではない」といったニュアンスを汲み取る。
<時間配分目安:20分>
【大問2】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:20分
- ★必答問題
新任教師椛島の生徒に寄り添う姿勢に触れて、教師全てに反感を抱いていたいたずらっ子達の心に変化が生じる。
問二 空欄Aはこの場面の最後まで読んで判断する。オサムが先生に説明したこととセイゾウたちに言ったことが食い違っている。そのことを受けてのセイゾウのAの心の言葉になる。空欄Cも「先生は悲しい」と言っていることを受けているのでそこから考える。
問四 トメコの言葉に口では異論を表明しているが、内心はそうではないので自信無さげな動きになるのである。
問六 一人一人と握手するという行動は、言葉で話し合うよりも近い距離で、スキンシップによってもう少し深いつながりを持ちたいという先生の気持ちの表れであろう。
問七 「しのぎを削る」は激しく戦うさま。しのぎは刀の厚みの膨らんだ部分。
問九 ことばの不自由なアカンタレの必死の訴えに、セイゾウたちの行動は理由があってのことだと察したのである。
問十 これまでセイゾウたちは理由も聞かずに自分たちを叱るばかりの先生たちを敵だと思って心を開かなかったが、椛島先生は他の先生とは違っていた。セイゾウやオタやんの言葉に現れている。
<時間配分目安:20分>
【大問3】古文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
枕草子の「~なもの」シリーズの一つ。
問一 現代語「そ知らぬ」と思わないような選択肢にしてくれている点は親切である。これで「謗る(そしる)」(相手を悪く言う)という言葉に気づきやすくなる。「ぬ」は打ち消しの助動詞。
問二 「つゆも」と使われるときもある。否定の語を伴って、「少しも~でない」の意になる。
問三 「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」などは古文でよく使われる代表的な係助詞。この5つくらいは覚えておこう。文の最後が連体形や已然形で終わる決まりで、強意を表している。
問五 文学史の問題が毎年出されている。基本的なことでよいので、頭に入れておこう。
<時間配分目安:10分>
攻略ポイント
長文読解の対策として読むスピードをつけて、読解の技術を磨いておくこと。記述問題に対しては同程度の字数で要約や心情の説明をまとめる練習を積み重ねる。今年度も古文の配点は2割と大きいので、苦手な人も諦めずに勉強に取り組むこと。古文の教材でやや高いレベルの古文演習をこなしておきたい。
全体としてはオーソドックスな内容で得点しやすい問題も多いので、難しい問題にとらわれすぎない冷静さも必要である。できる問題から確実にこなすこと。