開成高等学校 入試対策
2017年度「開成高等学校の英語」
攻略のための学習方法
合格を絶対に勝ち取るための攻略的学習法について以下に項目別に述べることとする。
①単語力は大事である
具体的には最低でも3500単語は欲しいところ。最難関校用の単語帳(英検レベルでは準2級相当)をしっかり学習し単語力を定着させること。特に、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。
文法というものは、単にその知識を習得するだけではないことは言うまでもない。そのような知識習得は当然のこととして、開成高校合格を目指す受験は是非つぎのことを念頭に焼き付けて欲しい。
『文法事項とは情報伝達の基本ルールであり、話し手・書き手は聞き手・読み手に何を本当は伝えたいのかを認識・理解するための基準である』
それでは、具体的に最低限必要な文法事項について以下に概観しよう。
②関係代名詞・関係副詞についての理解を深める
英文が長くなる主たる原因の一つである。目的格(whom/which)の省略に慣れることや、先行詞を修飾する関係代名詞に導かれた形容詞節が何処までかを( )でくくり前にある先行詞にかけて(修飾させて)訳を考えること(いわゆる『返り読み』)は行わないように。これは、最後まで読んで前に戻るという手法で時間のロスが大きい。
その場合には、関係詞に関係なく左から英文に合わせて先行詞まで一気に読み、関係代名詞以下を「そして~である」と読めるように日頃から練習を積むべきである。いわゆる『返り読み』をしないことが大切である。
③分詞構文には十分慣れておくこと
文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と捉えること。
分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。しかも、次に述べる接続詞(as)との関係で、ⅰ)~ⅳ)をしっかり覚えること。なぜならば、asにはⅰ)~ⅳ)の全ての用法があり、さらに付帯又は時の経過(~するにつれ)という用法もあるからである。
また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)な受動態の場合であることも必須知識である。
④前置詞・接続詞に注意するように
どのような場合にどの前置詞を使用するかの識別をしっかり押さえておくこと。
toがあると無条件で原形動詞があとに続くと考えてはいけない。イディオムによっては、toが前置詞(その後には名詞が置かれる)である場合には、前置詞のルールに従い原形動詞ではなく名詞の役割を持つ動名詞(~ing)が続くということも必須知識として押さえたいところ。
⑤仮定法は願望である
少々乱暴な言い方に聞こえるかもしれない。どういうことか。一文を例示しよう。仮定法過去(現在の事実を否定しこうだったらいいのになぁという願望)の典型的な英文を一緒に考えてみよう。
If I were a bird, I could fiy the sky.
一度は目にした英文だろう。例文の動詞(助動詞)の時制は見た通り『過去』であるが、文頭にifがあるために、この英文は仮定法過去の文章となり現在の事実を否定して、現実とは逆のことを想定しているのである。
つまり、現実には「私」は現実には「鳥」ではないが、もし「鳥」ならば空を「飛ぶ」ことができる(空を飛びたい)のに、という「私」の願望が込められているのである。
⑥比較は時系列の中での比較を習得しよう
比較には2種類あることを理解して貰いたい。第1には『同時に異なる2事象以上を比較する』ということである。したがって、この場合には『比較の元』になる事象が必要なのでthan以下の表現を伴うのである。
つまり、AとBを同時に比較し『Aの方がBより背が高い(A>B)』という表現になる。第2には『時の経過の中で変化してゆく様を表す(比較する)』ということである。
つまり『Aは10年たって背が伸びた(10年前に比較するとAは背が伸びてA´になった)』ということである。この様な比較の用法があることもしっかり押さえておいて欲しい。
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2017年度「開成高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、長文読解(物語)の総合問題。手紙のやり取りをきっかけとして、随筆的に過去を振り返るエッセー<15分>。
大問2は、紅茶の入れ方に関する総合問題(エッセー)である。紅茶をおいしく飲むための様々な手法に関する文章である<16分>。
大問3は、正誤問題。正確な文法知識が必要<1分>。
大問4は、書き換え(適語補充問題)<4分>。
大問5は、適語補充問題(同音異義語)。語句の知識・基本的な文法知識を問われる<3分>。
大問6は、リスニング問題である<11分>。
【大問1】長文読解(物語)の総合問題
- 時間配分:
本問にかけられる解答時間は15分。内容的にも自身の体験にも通じる内容になっているので、実感しやすく比較的読みやすい文章である。使用されている単語も非抽象的なものであり、内容は把握しやすい。その認識の程度と正確さがが問8(内容正誤問題)と問9(適切タイトル選択)の正答率に影響する。
(問1)適語選択問題。単語、特に動詞の知識と基本的な文法知識および基本的な表現方法知識が必要。<2分>
(問2)適語選択問題。正確な単語・イディオムの知識がないと正答はできない。前後の文脈から矛盾しない単語を選択する。<2分>
(問3)単語問題。名詞・動詞・熟語を日本語で与えられ英語で表記する問題である。全て基本問題であるので完答が必須である。<1分>
(問4)適語句補充問題。文脈から類推すると「手紙をいまだに開けていない」となるだろう。it=手紙である。本文を読みながら速答したい。<1分>
(問5)文脈把握問題。母がなぜ青い飛行機の絵を封筒に描いたのであるかの理由は、次の文意to不定詞(目的を表わす副詞的用法)に明確に示されている。内容把握の問題は、前後をよく読み解くことが大事である。特に、指示語に注意すること。<2分>
(問6)下線部英文和訳問題。ifが「かどうか」を表わすことは必須事項である。仮定法や条件と取り違えないようにしなければならない。英文そのものは極めて基本的である。<1分>
(問7)適語補充問題。下線部の疑問文が反語表現であることに気付けば容易に正解が思いつくはずである。<2分>
(問8)内容一致選択問題。本文を正確に読み与えられた選択肢の中から適切に2つ選ぶこと。ポイントは、本文中の数字的表現、本文中で使用されている単語の言い換えなどに留意することである。<1分>
(問9)適正タイトル選択問題。本文の内容を十分に理解したうえで、適切なタイトルを選択する。問4がヒントになるだろう。<1分>
【大問2】エッセー
- 時間配分:
紅茶をいかにおいしくいれるかとういうことに関するエッセーである。使用されている英単語やイディオムなど中学レベルを超えている内容が散見される。初見の英単語でも、前後の文脈で類推できるように日頃から多くの英文に慣れておく必要がある。解答時間は16分を死守したい。
(問1)英文区切り選択問題。どこが文の主部になるのかを見つけること。<1分>
(問2)適語補充問題。関係詞に関する文法知識と基本的イディオム力(regard A as B=AをBとみなす )をあてはめる。<1分>
(問3)整序問題。この類の整序問題は、与えられた語句を部分的に結合させ全体的にまとめ上げてゆくという手法が有効である。また、直前にある「not only」が有効な手掛かりである。<2分>
(問4)適語補充問題。まずはstrayの意味をしっかり押さえること。そこから類推し補充するべき適語を考えること。<1分>
(問5)英文解釈問題。the other way round の意味(~とは逆に)をしっかり覚えておこう。<1分>
(問6)英文解釈問題。「私は少数派である」という趣旨の英文である。<1分>
(問7)補充問題。再び砂糖を入れることによって「甘くする」という趣旨である。<1分>
(問8)適文選択問題。本文を正確に把握したうえで、本文を読みながら手際よく適切な選択肢を選ぶこと。<2分>
(問9)対話文形式の適語補充問題。本文の内容を対話形式でたどる問題形式である。設問の空欄に入れるべき単語が本文のどのワードであるかをしっかり把握しておくこと。<4分>
【大問3】正誤判断問題
- 時間配分:
基本的な文法知識を用いて考えれば完答できる。分詞の形容詞的用法や基本的語法に関する知識に関する曖昧さをなくしておくこと。<1分>
【大問4】書き換え適語補充問題
- 時間配分:
出題形式としては頻出である。語句の用法や文法知識をしっかり覚えておくこと。話法は頻出事項ではないが、直接話法と間接話法との間の書き換え問題が出るので正確に関連事項を覚えておく必要がある。<4分>
【大問5】同音異義語適語補充問題
- 時間配分:
与えられた英文に使用される単語について、同音の単語を想像すること。wonとoneなどである。<3分>
攻略のポイント
例年通り、求められている英語力は高校初級レベル(英検準2級)である。解答時間を考慮すると見直しを行う余裕はない。“一発必答”の覚悟で集中力を高め、事前に学習した知識を総動員させて問題に取り組んでもらいたい。
また、解答時間を自分で計り、感覚的に時間の尺を自分の体に叩き込む必要がある。イディオム力と文法知識は正確に把握しておくこと。単語力は、最低でも3500単語は欲しい。イディオム力は約1000は押さえておきたい。
文法知識は、関係代名詞、関係副詞、分詞構文、前置詞・接続詞、仮定法、比較、準動詞の知識と例文はしっかり理解しておくことが大事である。書き換え問題では話法も押さえておきたい。難関校対策として様々なジャンルの英語長文読解総合問題(700ws)を2日に1題を目標に取り組んで欲しい。