國學院高等学校 入試対策
2017年度「國學院高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
説明的文章1問・文学的文章1問の計2問が毎年出題されている。それぞれ3000~3500字ほどで計6000~7000字程度の長文読解になる。同程度の文量の問題で必要なスピードを体感しておくこと。
問題形式はオーソードックスなもので、長文記述・自由記述のような手間のかかる設問は無く、抜き出しもほんの数問で長いものは見られない。選択式問題が大半を占めている。選択肢の文が長い点には慣れておく必要がある。長いけれども、本文を注意深く読んでいれば判別はつくので、言葉を正確に吟味し、慌てず正確に判断する練習を積んでおこう。難易度としてもそれほどの難問ではなく、選択肢も選択を迷わせるような意地悪なものではない。特殊な対策は要らないので、堅実に読解の実力を付ければ良い。
・説明的文章
まずは形式段落と意味段落の整理。意味段落の内容をまとめてタイトルをつけてしまうとわかりやすい。接続詞や指示語の指すところなどを確かめながら、段落のつながりを確認。各段落の最初と最後に特に注意しながら細部と要点の区分け。それらをまとめて結論・要旨へとたどり着く。読み進めながら印や下線で重要点を目立つようにしておくと時間の節約になる。
・文学的文章
登場人物・時間・場所などで場面の転換をマーク。人物・筆者の発言・行動・表情などから気持ちや考えを読み取る。それらをストーリーや話題と照らし合わせ、主題や筆者の意見を考える。重要点に下線を引いたり、関係する点を結んでおいたりすると設問にあたったときに考えやすい。
知識問題も読解と合わせて出されているが、難しい文法などは訊かれていない。語句の意味がよく出されているので、普段から本を多く読んで語彙を増やしておくと良いだろう。
古文
配点が大きいので、古文が苦手だからといって諦めてしまうわけにはいかない。使われる文章はなかなかに難しく、大学入試で出されてもおかしくないレベルである。ただし、全部ではないが現代語訳が付属しているので、難易度については配慮されている。
大筋の話はわかるようになってはいるが、それでもやはり古文を見慣れておかないと厳しい。高校古文の必修~標準レベルの教材で最重要単語や基本文法・敬語などを覚えておこう。
主語が省略されやすい古文では誰の発言・行動なのかを見分けることが内容理解には大事なので、敬語などで大まかにでも主語を推測できるようになっておくと役に立つ。古典に多く触れて宮廷や市井での人々の暮らしぶりを知っておくと、理解も一段と進むだろう。
漢字・その他
漢字は5~10問ほどで、同音・同訓異字がよく出されている。言葉というものは意味が分からなければ結局区別できないものなので、漢字は書けるだけでよしとせず、意味を説明できるくらいにはしておこう。言葉の意味や四字熟語など、その他の言語事項も数問ほど出されるが、標準レベルの教材に目を通しておけば良いだろう。
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2017年度「國學院高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
当然、知識問題から先に手を付ける。漢字は2~3分で終えて残りは長文読解と古文に当てる。2問の長文を合わせて7200字ほど。
文章はさほど難解なものではないので、それぞれ6~7分で目を通し、重要点をチェックできるくらいのスピードで臨みたい。長文記述の問題は無いが、設問の選択肢の文が長いのでその分時間はかかる。過去問で慣れておきたい。
【大問1】論説文の読解
- 時間配分:24分
「万葉集」から「新古今和歌集」へ、日本人の自然に対する意識の変化を論じている。
問一 あ.「影」は「月影」などと明るい部分を表す意味もあるので注意。
問二 A.「新古今」では自然ははじめから視覚化・空間化されており、「そうすると・そうなれば」自然は扱いやすいものになるわけである。
B.「万葉集」では神秘主義など必要ではなかった。「しかし・ところが」「新古今」では必要になった、という流れである。
問三 Y.ここはやや難しい。「新古今」では自然を空間化・視覚化したことによって自然が対象化され、人の意識と自然との間に距離が発生してしまった(ロゴスの働き)。しかし、歌というものはその距離をなくそうという意識から作り出されるものである(エロスの働き)。そこで、人の意識と自然の結びついた状態を取り戻そうとして、ロゴスの機能を主として用いつつも、そのへりや端にあいまいに意識が溶け込んでいるような状態を作り出してエロスの機能も取り戻そうとした。そこに「幽玄」の神秘主義が生まれたのである。
問五 Ⅰ.ここは本文の後半で詳しく述べられている。ロゴスの働きで人の意識と自然に距離が出来てしまったので、エロスの機能で取り戻そうとした、とある。
問六 問三・問五の解説を参照のこと。文中の最後部あたりでも詳しく説明されている。
問七 選択肢ウは「具体化」ではなく「抽象化」が正しい。うっかり選ばないように。
【大問2】小説の読解
- 時間配分:13分
写生の授業をさぼって自然と戯れることで生徒のなかに生じた新たな生命力を主人公は感じ取る。
問一 A.「いんぎん無礼」という熟語から勘違いしている人も多いかも知れない。「いんぎん(慇懃)」は礼儀正しい態度。表面上は丁寧なのに心の中で人を見下すのが「いんぎん無礼」。
C.「いわれ」は理由・来歴などの意。
問三 本文の冒頭で太郎が母親に従順である様子が描かれている。母親の命で写生に来ているのでその通りの行動を取っているのである。
問四 この発言の直後の太郎の様子に注目。「ませた表情で」とある。普段とは違う行動への期待が感じられる。
問五 いつも母親の言いなりだった太郎にとって、言いつけに背いて自由に川遊びするのはめったにない体験だったであろう。そこで遭遇した巨大な鯉がさらに興奮や衝撃を呼び起こしたのである。
問六 ここは直後の主人公の独白が大きなヒントになる。「この子は案外内臓が丈夫なのでは」と感じている。おそらく勉強や習い事ばかりで弱々しく見えていた太郎に、それまでは気付かなかったたくましさや力強さを感じたのだろう。
【大問3】古文の読解
- 時間配分:10分
家来の失敗をユーモアで許す秀吉の心の広さが描かれている。
問一 ①現代語訳でもわかるが、尊敬の助動詞「る」が使われていることから地位の高い人物の動きであることがわかる。古文では特に助詞に注意が必要である。
問二 ③ここも現代語訳がヒントになる。「~であっても」という仮定の意であることから、「たとえ・仮に」などの副詞が考えられる。
問三 ここは文字通り「後の難」ということであろう。非難するという意味で「難ずる」とも言う。失敗を隠したところで叱られるのである。
問四 「居申すべけれ」。「申す」は謙譲語でもあるが、ここは聞き手を敬う「丁寧語」であろう。現代仮名遣いでは「もうす」にする。
問五 「たとえ鶴が逃げても日本にいるならそれはわたしのものである」という天下を統一した者だけが言える豪胆な冗談である。
問六 家来の失敗を冗談で許す太閤の度量の大きさを示すエピソードである。
【大問4】漢字の読み書き
- 時間配分:3分
何問か難読文字や難しい用語なども交じるので、中級以上の漢字テキストまで練習しておきたい。
攻略ポイント
人それぞれに得意・不得意はあるものだが、本校の試験では説明的文章・文学的文章・古文が毎年出題されるので、このうち2分野は得意分野にしておきたい。古文はさほど時間を取られないだろうから、現代文読解のスピードをつけ、できれば全体を時間内に終えることができれば理想的である。
また、古文の配点の大きさはやはり捨てるには惜しいので、塾あるいは独習で一定の時間をかけて学ぶべきであろう。
漢字も配点の2割を占めるので、地道に取り組めば点になる範囲なのだから、しっかり覚えておきたい。