渋谷教育学園幕張高校 入試対策
2017年度「渋谷教育学園幕張高校の数学」
攻略のための学習方法
基本問題から標準・ハイレベルまで非常にバランスのとれた出題範囲となっている。図形編はいうまでもなく、数量編の問題についても数学的発想が求められる問題がある。
さらに大事なことは、『数学的発想』言い換えれば『正解へ至るアプローチの見通し』である。この『見通し』には様々あり、どのような方針(見通し)を立てるかで正解へ辿り着く道のりが平坦なものになるのか、それとも茨の道になるのかが左右される。それはあたかも、山の頂上が一つであるがその頂上に至る方法は幾通りもあるかのようなものである。
特に、渋谷教育学園幕張高校のようなレベルの高校においては、合格点を取れるかどうかはこの『見通し』を的確に立てられるかどうかにかかってくる。
では、どうすればそのような『見通し』を自分のものにできるのか。
結論から言えば、
①最後まで自分頭で考え抜く、
②必ずエンピツを持ち紙に解法を書き出す、
ということである。
①は非常に重要である。よくあるパターンとして、解答を出す最後のところで中々上手くいかず、いいアイディアも浮かばない状態で『解答』を思わず見てしまうことを経験した受験生も少なくないであろう。そこは我慢をして、最後まで自分の頭で考え抜くのである。
スタートの考え方は正しかったのであろうか、どこかで単純な計算ミスはしていないだろうか、問題が求めている内容は自分が認識している内容と相違していないのか、ということを突き詰めて吟味しなければならない。この作業を疎かにすると、いつまでたっても正解へ向けた『見通し』を身に付けることはできなくなる。思わず正解を見たいという『誘惑』に負けることなくそれを打ち破り、時間が掛かってもいいので『自分の解答』を出さなければならない。
②については、要領の良い受験生は数学の問題が分からなくなると『正解』を見て、考え方のプロセスを目で追って『理解したつもり』になってしまう『落とし穴』にはまってしまう。
ある意味で『数学はスポーツ』である。必死に紙に向かって鉛筆を走らせ、汗をかき、這いずり回ってでも正解(ゴール)に辿り着く。その姿は、あたかも過酷な道のりを走り切るマラソンランナーのようである。したがって、必ず『鉛筆を持って』、問題に向かい『自分の頭』で考え抜くということである。
そのような学習姿勢で数学の学習に臨み、渋谷教育学園幕張高校の合格を勝ち取るために、必ず次の分野についてはしっかり事前準備を行って欲しい。
数式の計算(文字式、方程式、因数分解、基本対象式、有理数と無理数)、平面図形(相似、三平方の定理、相似比に基づく求積)、立体図形(切り口、体積などの求積、回転体、表面積)、場合の数と確率が大事である。特に、立体を回転させイメージの中で問題の意図を把握できる理解力の訓練が重要である。
ハイレベルの問題にどんどん挑戦して貰いたい。
受験生の健闘を祈る。
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2017年度「渋谷教育学園幕張高校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、独立小問群である<8分>。どの設問も、一度は問題集で解いた経験のある既知の問題である。手際よく解答したい。大問2は、数の性質を用いた数と式に関する問題である<9分>。a3-aから因数分解して考えを膨らませる。大問3は、平面図形(長方形・円)に関する応用問題である<15分>。平面図形における三平方の定理、相似、合同の原理を駆使すること。大問4は、格子点を絡めた関数と図形の問題である<16分>。大問5は、空間図形に関する問題である<12分>。三平方の定理などをあてはめる。
【大問1】
- 時間配分:12分
小問題群である。正確で迅速な計算力が求められる。
(1)式の値の問題である<2分>。①例えば、5.982…のとき、その小数部分はb=5.982…-5である。②a-b、b-2について初めに式の値を求めること<2分>。
(2)2次関数の放物線上における三角形の面積比を求める問題である<3分>。等積変形などの考え方をしっかり理解しておこう。
(3)正四面体に関する辺の長さや体積比の問題である<3分>。本問は何度も解いた受験生も多いであろう。手際よく完答を目指したい。
【大問2】
- 時間配分:10分
整数の性質を利用した数と式に関する問題である。初見の受験生は少ないと思うが、ポイントはa3-a=a(a+1)(a-1)と因数分解し、 (a-1)a(a+1)と考え連続する3つの整数の積に結び付けること。
(1)100=22×52と素因数分解して問題の本質を理解すること<4分>。
(2)91=7×13と素因数分解を行い、解答への糸口を見つけること<5分>。
【大問3】
- 時間配分:10分
平面図形(長方形・円)に関する問題である。
(1)平面図形における辺の長さを求める問題である<4分>。相似、三平方の定理の定理を用いて求められている辺の長さを計算する。
(2)相似の考え方を用いて辺の長さを求める<5分>。AC:APの比を求めたうえで、相似の三角形を見つけ出して正解を求める。
(3)相似の考え方を用いた辺の長さを求める問題である<6分>。PBを結び、かつPからBCへ垂線を下ろして相似の三角形を見つけ出す。
【大問4】
- 時間配分:6分
格子点と関数に関する問題である。格子点(交点のx座標、y座標がともに整数である点のこと)については、出題される場合があるので事前にその考え方や、関連する問題を何題か解いておく必要がある。
(1)格子点の個数に関する問題である<4分>。本問における格子点の規則性を把握して問題解法に取り組むこと。闇雲に平面座標で具体的に数え上げても(2)、(3)で行き詰まってしまう。的確に規則性を発見すること。
(2)格子点の個数に関する問題である<5分>。前問で考えた格子点の規則性について本問でもその考えをしっかり当てはめて解答すること。
(3)格子点に関する最小のkの値を求める問題である<7分>。格子点に関する規則性を考えて本問の本質をしっかり捉えて解答すること。
【大問5】
- 時間配分:12分
空間図形(立方体)に関する辺の長さを求める問題である。立方体の3点を通る円に関する問題に、戸惑う受験生もいるかもしれないが、円を垂直方向から眺めた絵をイメージすると、意外に簡単に問題の本質を把握することができる。
(1)立方体に接する円の半径を求める問題である<5分>。接している円を真正面(垂直方向)から眺めた図をイメージし、正三角形を見つけること。
(2)前問で扱ったような円をもう一つ考えて互いの中心間の長さを求める問題である<7分>。立体空間における図形の状況を平面図形に落とし込み図を描いて、問題の本質的内容を理解すること。三平方の定理をつかえるように。
攻略ポイント
ポイントはズバリ、関数と空間図形である。関数については、2次関数(放物線)と1次関数(直線)との関係に関する問題、つまり、2点で交わったときの座標、座標平面にできた平面図形を回転させたときの体積・表面積はよく練習をしておくべきである。また、放物線と直線との交点はxに関する2次方程式を解くことになるので、2次方程式で使う事柄(解と係数の関係、平方完成など)をしっかり理解し、関数の世界でも自在に操れるようにして欲しい。また、空間図形に関しては、切り口やある一部を切り取った残りの立体に関する問題(体積や表面積)も入念に練習を積み重ねて欲しい。その際には必ず、紙を用意しエンピツをもって、実際に答案を仕上げるようにすること。なぜなら、実際にエンピツを使って手を動かさず、頭の中だけで手順をいくら繰り返しても全く自分の力にはなっていない、ということである。ですから、上位校を受験する場合には、必ず手にエンピツをもって紙に解法を書いてみる作業の手間を惜しんではいけない。