｢熟語の漢字の同音異字判別(＋｢四字熟語｣)｣(全５問/各４択)。

｢書きとり｣ではなく｢選択肢｣なので、恐れるに足らず、などと甘く見てはいけない。より厳密に判別しないと間違う恐れがある。しかも、｢各４択｣ということは、合計で｢25の熟語｣を正確に知らなくてはいけないわけだ。

さらに、本年度は各選択肢全てが｢四字熟語｣というオマケ付き。｢四字熟語｣そのものも知っている必要がある。
例年と比較して、格段に難易度が高まった。それぞれの｢答え｣を確認したい。

(１)｢創立四十シュウネン｣(＝周年)⇒各選択肢は、(ア)｢一日千シュウ｣(＝一日千秋)､(イ)｢用意シュウ到｣(＝用意周到)､(ウ)｢離合シュウ散｣(＝離合集散)､(エ)｢無味無シュウ｣(＝無味無臭)⇒｢答え｣は(イ)｡

(２)｢シュショウ官邸｣(＝首相)⇒各選択肢は、(ア)｢シュ尾一貫｣(＝首尾一貫)､(イ)｢シュ客転倒｣(＝主客転倒)､(ウ)｢シュ捨選択｣(＝取捨選択)､(エ)｢多シュ多様｣(＝多種多様)⇒｢答え｣は(ア)｡

(３)｢事業に失敗しトウサン｣(＝倒産)⇒各選択肢は、(ア)｢馬耳トウ風｣(＝馬耳東風)､(イ)｢徹トウ徹尾｣(＝徹頭徹尾)､(ウ)｢荒トウ無稽｣(＝荒唐無稽)､(エ)｢抱腹絶トウ｣(＝抱腹絶倒)⇒｢答え｣は(エ)｡

(４)｢選手がインタイ｣(＝引退)⇒各選択肢は、(ア)｢一進イッタイ｣(＝一進一退)､(イ)｢ゼッタイ絶命｣(＝絶体絶命)､(ウ)｢タイゼン自若｣(＝泰然自若)､(エ)｢タイキ晩成｣(＝大器晩成)⇒｢答え｣は(ア)｡

(５)｢コウカンを持たれる人物｣(＝好感)⇒各選択肢は、(ア)｢コウメイ正大｣(＝公明正大)､(イ)｢ヒンコウ方正｣(＝品行方正)､(ウ)｢コウキ到来｣(＝好機到来)､(エ)｢デンコウ石火｣(＝電光石火)⇒｢答え｣は(ウ)｡

やはり､本校では｢漢字｣の正確かつ完璧な定着が不可欠だ。 さらに加えて、｢漢字問題｣にこうした多様な｢総合的知識問題｣が加味されるとなると、これまで以上に幅広い｢知識習得｣が求められると覚悟せよ。

＜時間配分目安：２分＞

家族の間に生じるさまざまな出来事を集めた短編集の一篇。日常の中でもがき苦しんだり、思い悩んだりしながらも､最後には何か光にたどり着く結末――家族の思いやり、笑顔ほど救いになることはなく､安堵感や優しさに触れられる物語。

本文では、実家の母が施設に入ることになった｢私(正文)｣は、娘の｢万由子｣と妻の｢恵美子｣とともに帰省し、兄に代わって母を施設まで送ろうと決める姿が描かれている。決して難しい内容ではないが、文中に｢啄木の歌｣の一部が引用されており、それについての｢説明記述｣というユニークな設問がある。以下、いくつかを確認してみたい。

[問一]　｢語句の意味の選択肢｣(全２問/各４択)。｢総合的知識問題｣｡

｢慣用表現｣だ。傍線部(ａ)｢後ろ指を指される｣､(ｂ)｢足繁(しげ)く｣の｢本文における意味｣を答える。これらの｢原意｣(本来の意味)に忠実に判別すれば何の問題もないはずなのだが、｢本文における意味｣を意識し過ぎると､間違ってしまう可能性がある。要注意。

｢答え｣は､｢後ろ指を指される｣＝｢当人の知らないところで悪口を言われること｣なので、(ａ)の｢答え｣＝選択肢(イ)｢陰で悪く言われる｣､｢足繁く｣＝｢たびたび行くさま｣なので、(ｂ)の｢答え｣＝(ア)｢たびたび｣だ。

こうした｢語句の意味｣では、｢設問｣に惑わされずに｢原意絶対優位の原則｣(｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)を徹底させること。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問二]　｢理由説明選択肢｣(４択)。

傍線部(１)｢私は、それ以上、同じ質問はするまいと思った｣について、｢その理由｣を答える。｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意絶対優位の原則｣に基づき｢原意消去｣をしたい｡

ここは｢理由説明｣なので、｢同じ質問はするまい｣の｢直接的理由｣として結びつかないものを｢消去｣したい。各選択肢の｢文末｣で照合する(｢選択肢｣の｢説明｣では｢文末｣が最重要ポイントだ)｡

(ア)｢変えられないから｣⇒｢同じ質問はするまい｣､(イ)｢発言はすべきではないから｣⇒｢同じ質問はするまい｣､(ウ)｢変えられないと思ったから｣⇒｢同じ質問はするまい｣､(エ)｢心配しているから｣⇒｢同じ質問はするまい｣｡

さあ、どうか？　｢質問はするまい｣⇒｢質問｣は｢発言｣であり、｢するまい｣は｢しないつもりだ｣という｢打消し意志｣なのだから当然、(イ)以外は｢消去｣できるはずだ。他の部分の説明も特に誤ってはいない。

したがって、｢答え｣は(イ)だ。何と｢一発消去｣！　畏るべし｢原意消去｣､十二分に活用すべきだ。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問三]　｢心情説明選択肢｣(４択)。

傍線部(２)｢その風は同時に私へも届く｣について、｢この時の『私』の心情｣を答える。｢指示語｣があるのでまっさきに開きたい(｢指示語｣が出たらすぐに開くことが鉄則)｡｢その風｣＝｢母がうちわで(私の)娘に送っている風｣だと分かる。で、｢原意消去｣だ。

｢母が送っている風｣が｢私へも届く｣の｢原意｣と結びつかない｢心情｣を｢消去｣する。各選択肢の｢文末｣を確認する｡

(ア)｢施設に入ってもらうしかないと改めて思っている｣､(イ)｢施設で暮らすことが母の幸せだと考えている｣､(ウ)｢母も孫を喜ぶような年齢になったのだと思っている｣､(エ)｢母の老いも感じている｣｡｢考えている｣というのは｢心情｣ではないので、(イ)は即｢消去｣でいい。

また、｢私へも届く｣ということは､｢私｣の｢母｣に対する｢心情｣､よって、｢母｣の｢孫への心情｣を｢思っている｣ことになる(ウ)も｢消去｣だ。残りは２択。

次に、｢同一場面の直前直後｣で｢心情｣を読み解いていく(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢根拠･手がかり｣がある)｡

直後に｢うちわを握る血管の浮き出た母の手の甲に気づくとやるせない｣とある。｢やるせない｣のだから無論、(ア)ではなく｢老いも感じている｣という(エ)がふさわしい。

他の部分の説明も特に誤ってはいないので、｢答え｣は(エ)となる。先ずは｢原意消去｣を試みた上で、｢解法｣を的確に用いて｢段階的｣に｢消去｣していくことが求められることもある。

＜時間配分目安：２分＞

[問五]　｢空所補充の条件付き内容説明記述｣(全２問。ともに｢字数指定｣なし、｢15字ほど｣と｢30字ほど｣の解答欄)。

傍線部(４)｢啄木の歌｣について、｢啄木｣とは｢石川啄木｣のことで、本文で一部が取り上げられている｢歌｣は､｢高齢の母｣を｢軽い気持ちでなにげなくおんぶした｣時のことを詠んだ｢戯れに母を背負いて　そのあまり軽きに泣いて　三歩歩めず｣というものだが、｢この歌を詠んだ『啄木』と本文における『私』との歩けなくなった理由を説明した文の               を補って｣完成させる。

｢条件｣は｢『啄木』と『私』､それぞれの心情にふれながら｣説明すること。説明文は｢啄木は 　　 (15字ほど) 　　を実感したために歩けなくなったが、私は 　　     (30字ほど)　　　　 を感じたために歩けなくなっている｣だ。

問題文から、｢啄木｣は｢高齢の母の体重があまりにも軽く｣て｢泣いて　三歩歩めず｣なのだから、その｢心情｣は｢母の老いに対する悲しさ｣だと分かるはずだ。

したがって、前者はたとえば、｢(啄木は)母の体重の軽さに老いを感じ悲しさ(を実感したために歩けなくなった)｣いとった｢答え｣になる。

次に、｢私｣は｢何を感じたのか｣を読み取るために、｢同一場面｣から｢状況｣を捉えていく。｢母｣を施設に送っていった場面で、中に入る時に｢私｣が｢母｣を｢おんぶ｣している。傍線部直前に｢母の体重を背中に受け止める｣とあり、直後は｢しばらくの間一歩も歩むことができなかった｣となっている。

さらにその後には｢おふくろは､お荷物なはずがない。おふくろはおふくろだ……｣という｢私｣の言葉がある。そうしたことから、｢私｣は｢母｣を｢受け止め｣ていて、｢お荷物なはずがない｣と思っているにもかかわらず、施設に入れなくてはならない｢状況｣だと分かる。

ということは、｢私｣が｢感じた｣のは、｢うしろめたさ｣であり｢せつなさ｣であると捉えられる。よって、後者はたとえば、｢(私は)母を施設に入れなくてはならないことに、せつなさやうしろめたさ(を感じたために歩けなくなっている)｣といった｢答え｣だ。なかなか異色な問題だったが、問題文を的確に理解し、｢解法｣に則して解き進めていけばいいというわけだ。

＜時間配分目安：両方で５分半＞

｢農業革命｣｢都市革命｣｢科学革命｣｢産業革命｣､そして､｢生命革命｣の時代へ――38億年前の生きものの誕生から現代までの歴史を一望し、｢生命論的世界観｣への構造転換を提起し、論じている。

本文では、｢人間は生きものであり、自然の一部｣なので、日常をより｢自然｣に近づけ、一人一人の｢生きる力｣を生かす社会へ移行すべきだと論じている。

｢生命科学｣に関する論文で、やや難解な語句はあるが、｢※注｣を活用すれば内容は理解できるはず。本校らしいオーソドックスな｢選択肢設問｣が並んでいる。以下、いくつかを検討する。

[問一]　｢語句の空所補充選択肢｣(全３問/５択)。

｢総合的知識問題｣｡本校のお約束、｢接続詞｣と｢副詞｣だ。本文中の　Ⅰ　～　Ⅲ　の空所に｢入る言葉｣を答える。本校に限らず定番の問題。特に、｢接続詞｣では｢逆接｣はともかく、それ以外には十分に注意すること。｢逆接｣以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの｢接続詞｣の｢意味･用法｣を的確に押さえた上で、｢内容｣を確認する必要がある。

順に空所の｢答え｣をチェックしていく。

　Ⅰ　には｢選択｣を表す｢副詞｣である選択肢(イ)｢むしろ｣､　Ⅱ　には｢例示｣の｢接続詞｣である(ア)｢たとえば｣､　Ⅲ　には｢言うまでもなく｣を表す｢副詞｣である(ウ)｢もちろん｣が入る｡

｢候補｣はいくつかあるので、しっかりと｢代入確認｣してから確定することが重要だ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問四]　｢換言説明選択肢｣(４択)。

傍線部(３)｢『グローバル』という言葉をおまじないのように口にしながら｣について、｢おまじないのように口に｣するとは｢どのようなことか｣を答える。

先ずは、｢原意消去｣だ。｢おまじないのように口にする｣の｢原意｣と結びつかないものを｢消去｣する。

各選択肢の｢文末｣を確認すると､(ア)(エ)が｢くり返し唱えること｣､(イ)(ウ)は｢ひたすら祈ること｣になっているとすぐに気づくはず。｢口にする｣のだから当然、(イ)(ウ)は｢消去｣｡残りの(ア)は｢科学技術の進歩を正当化するために(くり返し唱える)｣､(エ)は｢現代文明の拡大をよいものと思って(くり返し唱える)｣だ。

そこで、｢手がかり｣を｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)｣が｢一文の一部分｣の場合｢傍線部以外が重要｣という基本的解法)に求める。直後に｢成長を求めて競争をし｣とある。

であれば、｢答え｣は(エ)だと判別できなくてはいけない。本問のように、初見の時点で、選択肢どうしを括(くく)れる場合がある。時間短縮のために、絶対に見逃さないこと。

＜時間配分目安：１分半＞

[問五]　｢内容合致の不適切選択肢｣(複数解答/６択)。

傍線部(４)｢『ひたすら生きる』『巧みに生きる』『わきまえて生きる』『よく生きる』｣について、｢このいずれにも当てはまらないもの｣を｢二つ｣答える。もちろん､それぞれの｢原意消去｣からだ。傍線部には｢４つ｣の｢生きる｣がある。｢当てはまらないもの｣が｢２つ｣ということは、｢６択｣の残りがそれそれの｢生きる｣に対応しているはず。

各選択肢の｢文末｣は、(ア)｢他の存在を理解して生きる｣､(イ)｢競争をくり返して生き抜く｣､(ウ)｢自分の『分』を理解して生きる｣､(エ)｢とにかく生き抜く｣､(オ)｢人間らしく生きる｣､(カ)｢持って生まれた能力を生かす｣｡｢ひたすら生きる｣＝(エ)､｢わきまえて生きる｣＝(ウ)､｢巧みに生きる｣＝(カ)までは難なく判別できるはず。

｢よく生きる｣については、(イ)ではないことはすぐに分かる。残りはやや悩ましいので、｢同一意味段落｣に｢根拠｣を求める(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠｣｢手がかり｣がある)｡傍線部から10行目に、｢よく生きる｣の項目にあたるものとして、｢分配の公平性、教育の普及による人口増加の抑制などに答えを求めること｣とある。

であれば、｢よく生きる｣＝(ア)なので、｢答え｣は(イ)と(オ)となる。傍線部の内容と各選択肢との｢対応関係｣に着目することも肝要だ。

＜時間配分目安：２分＞

[問七]　｢空所補充の脱文内容選択肢｣(４択)。

本文中の空所        Ｘ        に｢入る文｣を答える。空所は｢最終段落冒頭｣の｢一文｣だ。当然ながら｢次文｣が大きな｢手がかり｣になる。直後の｢人間が生きものであり、自然の一部である｣に着目すると、空所は｢人間｣のことについて述べているはずだ。

各選択肢をチェックする。

(ア)は｢言葉の持つ本来の意味｣について､(イ)は｢生きる力に充ちた人々｣について､(ウ)は｢地球に対する想像力｣について､(エ)は｢生きもの｣について､それぞれ述べている。

(イ)と(エ)が残りそうだが、｢次文｣は明らかに｢人間｣が主語なので、(エ)も｢消去｣だ。(イ)は他の部分の説明も特に誤っていない。よって、｢答え｣としていい。｢主語｣や｢目的語｣は何かという観点での｢消去｣も可能だと心得よ。

＜時間配分目安：１分半＞