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青山学院大学 文学部 比較芸術学科の小論文
入試対策と勉強法

出題傾向・攻略のための勉強法・推奨テキスト

青山学院大学 文学部 比較芸術学科の小論文

ここでは、青山学院大学の文学部比較芸術学科を目指す方に対して、小論文の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。

※本大学では2021年度に大幅な大学入試制度改革が実施されました。それに伴い一般の選抜は、一般選抜(全学部日程)・一般選抜(個別学部日程)・大学入学共通テスト利用入学者選抜という3つの選抜方法となっています。受験生は学部・学科ごとに定められたさまざまな選抜の組み合わせ方式から選択することになります。
本稿では、大学入学共通テスト(「世界史B or 日本史B」・「外国語(英語)」・「国語」を選択)との組み合わせが課せられている「文学部比較芸術学科」の独自問題(論述)の説明となっています(22年度の科目名。21年度は「独自問題(小論文)」という名称)。
尚、準拠しているのは21年度の試験問題です(但し、一部22年度の情報も参照している)。

 

青山学院大学文学部比較芸術学科   小論文試験の出題傾向とは

出題範囲(分野)

2022年度の論述の出題科目(範囲)としては「芸術にかかわる評論を読み、そのテーマに沿って具体的な例をあげながら、考えるところを論述する」となっています(本大学の試験概要)。
20年度まで比較芸術学科の独自問題は「国語総合」を出題科目(範囲)とする国語でしたので、小論文にしても論述にしても、これまでになかった新たなカテゴリーとなります。以下は21年度、小論文の問題に就いての説明です。
「現代文」1題の出題で課題文は論説文(評論文)です。文章内容は、「一流の芸術作品の失われない新鮮さと斬新さ」をテーマにした美術論です(山口桂「美意識の値段」)。決して硬質な文章ではありませんが、専門用語が散見されやや理解しづらいかも知れません。この文章を題材として、比較芸術学科の出題の意図・狙いである「文章の意味内容を正確に把握できる読解力・的確に要約できる力・無批判に受容するだけではなくそれに対する疑問や反論や他分野への類推などを主体的に展開できる応用力や知力、自己の主張を適切に表現できる力、芸術史に関する基礎知識」が要約と見解論述とで問われています。
尚、21年度の本試験の前に本大学が公表したサンプル問題では、「日本美術と西洋美術の対立がもたらした様式創造の停滞」をテーマにした美術論である哲学者和辻哲郎の著作が課題文でした。

出題量と時間配分

2021年度の課題文の文章量は1200字ほどです。他の私大上位校と比較していたって少ないです(サンプル問題は約1000字)。
試験時間は90分です。決して余裕はないでしょう。要約問題を20分程度でこなし、残りの時間を見解論述に当て、確実にまとめ上げていきましょう。

出題形式

2021年度は課題文に就いての設問2題でした(サンプル問題も同じ)。
問一は150字以内指定の要約記述です(サンプル問題では200字以内指定)。
問二が600字以内指定の見解論述です(サンプル問題も同じ)。課題文中のひとつの論点である「一流品の『フレッシュネス』」に就いての見解論述が求められています。そして、「美術・音楽・演劇映像のいずれかの分野から具体的な作品をひとつあげること」という条件が課されています。
サンプル問題では課題文の主題を「あなた自身の関心分野(美術・音楽・演劇映像)に照らして論じる」ことが求められ、条件として「具体的な芸術作品に触れること」が課せられています。今後も、文学部比較芸術学科の論述では課題文の論点、視点や主題に関して、美術・音楽・演劇映像などの具体例を挙げながらの見解論述が求められることが予想できます。

 

青山学院大学文学部比較芸術学科   小論文試験を攻略するための勉強法

知識

論述力と知識は無関係、とはもちろんなりません。美術・音楽・演劇・映像などさまざまな分野に関する芸術論という硬質な課題文を理解し咀嚼する為には、難解な語句や頻出テーマに関するキーワードを読み解く語彙力が当然、必要になります。さらに、見解論述での誤字・脱字は確実に減点要素になります。したがって、漢字ひとつたりとも疎かにはできず、高度な語彙力を養成する必要があります。その為には、先ずは「己が実力」を把握することが重要です。そこで、共通テスト(センター試験)の漢字問題(要は「同音異字」「同訓異字」の判別)が基礎的語彙力のひとつの目安となります。最低10年分以上の過去問をこなしましょう。その結果次第で、具体的な学習を進めていきましょう。
尚、以下のサイトは漢字問題だけがまとめられていて便利です。
http://www.kanjijiten.net/center/index.html

読解

論述力といっても課題文が示され、それに就いての設問として要約記述と見解論述があるのですから、その点では現代文の問題と捉えなくてはいけません。課題文の内容をいかに正確に読み取るかが最優先となるでしょう。基本は論説文(評論文)であって、そこで肝要になるのが、最重要解法である「Nの法則」の習得です。本文を序論・本論・結論に分け、論旨が述べられている序論部、結論部の対応関係および本論部での段落相互関係に着目して読解するという手法です。これを完璧に理解、定着させ、応用できるようになるまで問題練習を重ねることが重要です。
尚、読解に際しては美術・音楽・演劇・映像などの芸術に関する概念や理論の知識習得は必須事項です。

視点

課題文があり、大まかな論点が提示されているとはいえ、それをなぞっただけでは単なる感想文になってしまいます。受験生各位の見解を論述するのですから、当然、独自の視点が必要になります。幅広い議論の可能性を有している中で、如何に説得力のある視点を提起できるかが成否を分けます。そこで、常日頃から芸術全般に対して関心を向け、研ぎ澄まされた問題意識を持ち続けていることが重要になるでしょう。さまざまなメディアを通じて、日本や世界の文化的事象をキャッチすべくアンテナを張り巡らせておくことが肝要です。その際、未知の事象に関してはメモとしてまとめておきましょう。必ず求められる具体例のストックとなるはずです。

要約

要約の基本は形式段落の中心文をつないでいくことです。2021年度のように短い課題文であればそれも可能ですが(サンプル問題も同じ)、長くなるとそうはいかないでしょう。その際は、論旨中心にまとめることを旨として、意味段落の序論部+結論部+α(本論部からの補足)という形でまとめていきましょう。尚、今後は単なる主旨(論旨)要約ではなく限定的な論点、視点が提示される場合があるやも知れません。そうしたときは、そこに焦点を絞って主旨(論旨)をまとめる必要があります。先ずは、参考書などを活用して、あらゆる論点、視点を即座に把握できるようになるまで、現代文の解法に習熟しましょう。その上で、多くの問題集に記されている要約や問題文の要旨等を活用して記述練習を重ねましょう。その際、文法、文脈などの文章の基本や、内容が正確に伝わっているかどうか等に就いて添削指導を受けることが望ましいでしょう。

論述

600字という制約の中で自らの見解を的確に論じるには、構成メモの作成が不可欠です。脳内イメージを可視化、客観的に捉える作業です。最重要な論旨、説明に必要な論点(提示されているものも含め)や視点をアトランダムに記し、整理してチャート化します。その上で、見解を頭括型の論述としてまとめるべく各要素を取捨選択します。その際には、批判的スタンスの視点を特に意識し、カウンターとしての論点も用意しましょう。前述のように、出題の意図・狙いで無批判に受容するだけではなくそれに対する疑問や反論が求められています。
尚、序論、本論、結論は「1:3:1」が原則です。こうした構成メモの作成練習を繰り返しましょう。実際の論述練習では、添削指導を受けることが必須です。

 

推奨テキスト

ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。
ここではテキストを知識対策篇、読解力対策篇、要約(若しくは説明)対策篇、見解論述対策篇、芸術対策篇に分けてご紹介します。

知識篇

(1)『漢字 一問一答【完全版】』(東進ブックス)
(2)『現代文最重要語句(暗記いらずの)らくらく練習帳―熟語・慣用句・評論語句・外来語』(学研プラス)
(3)『新版完全征服 頻出現代文重要語700 三訂版』(ピアソン桐原)
(4)『ことばはちからダ! 現代文キーワード―入試現代文最重要キーワード20 (河合塾シリーズ)』(河合出版)
(5)『現代文キーワード読解[改訂版]』(Z会出版)

前項の共通テスト(センター試験)の漢字問題チェックで、5割未満の場合は(1)から、6割は(2)から、7割は(3)から、8割は(4)から始め、9割は(5)のみが目安です。反復練習して完全習得させます。特に(5)では、「キーワード編」のみならず「頻出テーマ編」も熟読し、完全に理解しましょう。

読解力対策篇

(1)『システム現代文 バイブル編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。「解法」って何? といった皆さんにお薦めの入門書です。根本を徹底的に解説しており、マスターすれば解法は一通り理解できるでしょう。

(2)『現代文読解力の開発講座(新装版)』(駿台文庫)
中級レベルです。文章を客観的に捉える術が丁寧に説明されており、中堅から難関私大へのステップアップ段階の一冊です。

(3)『現代文と格闘する(三訂版)』(河合出版)
上級レベルです。文章を読み繋ぐことを主眼として、その為のシンプルな視点を提案しています。文学部比較芸術学科の論述の課題文を確実に読解する一冊です。

※尚、(2)(3)には要約問題があるので必ずこなしましょう(要約問題の対策になる)。

要約(若しくは説明)対策篇

(1)『システム現代文 論述・記述編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。説明記述問題から要約問題までを明快に解説し、要約習熟の為に何を学習すればいいかが分かる一冊です。

(2)『得点奪取 現代文[三訂版]』(河合出版)
中級レベルです。記述問題から説明・要約問題までを明快に解説し、要約記述のポイン
トを確実に学ぶ為の一冊です。

(3)『[記述篇]現代文のトレーニング(改訂版)』(Z会出版)
上級レベルです。頻出テーマに沿った問題構成で、完成度も自ら把握できます。要約問題の総仕上げへ向かっては不可欠の一冊です。

(4)『上級現代文Ⅱ』(桐原書店)
最上級レベルです。これまでに演習してきた論述問題の考え方、解き方が定着しているかどうかをチェックできます。文学部比較芸術学科の論述の要約記述攻略へ最終段階の一冊です。

見解論述対策篇

(1)『吉岡のなるほど小論文講義10(改訂版)』(桐原書店)
初級レベルです。「小論文とは何か?」「どのように文章を組み立てたらよいのか?」という基礎・基本を体系的に解説しています。入門から基礎力養成の一冊です。

(2)『資料と課題文を攻略して合格答案を書くための 小論文のオキテPRO』(KADOKAWA)
中級レベルです。入試で戦える解き方が身につきます。小論文のオキテを習得でき、比較芸術学科の論述への完成度を高める一冊です。

(3)『小論文を学ぶ――知の構築のために』(山川出版社)
上級レベルです。読みと書きの技術論、小論文に必要な知の構築、実践演習を通じての知の習得の3部構成で、本試験で8割以上の得点ゲットをターゲットに据える一冊です。

(4)『小論文 テーマ別課題文集 21世紀を生きる〈改訂版〉』(駿台文庫)
最終レベルです。主要頻出テーマごとの論点整理、キーワード解説が充実しています。万全を期すための一冊です。

(5)『文藝春秋オピニオン○○✕✕年の論点100』(文藝春秋/毎年11月発売)
毎年の日本の様々な争点が多角的に提起されており、論点・視点の捉え方を習得できます。時事対策にもなる一冊です。また、言及すべき具体例のストックにもなるでしょう。

(6)『青山学院大学文学部比較芸術学科「独自問題(論述)」(過去問)』
実践レベルです。2021年度以降の論述は確実にこなし、解法をトレースしましょう。

芸術対策篇

(1)『世界でいちばんやさしい 教養の教科書』(学研プラス)
本書の歴史・哲学・言語・心理・文化・経済・社会・日本・芸術、全9テーマの中で、特に文化・社会・芸術の基本的知識を習得しましょう。

(2)『1日1テーマ 解けば差がつく 大人の教養ドリル』(きずな出版)
本書中の美術、哲学・思想、文学に関する最先端の知識を身につけ、インプット&アウトプットで実践練習しておきましょう。

 

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