青山学院大学 教育人間科学部 教育学科の小論文
入試対策と勉強法
青山学院大学 教育人間科学部 教育学科の小論文
ここでは、青山学院大学の教育人間科学部教育学科を目指す方に対して、小論文の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。
本大学の「一般選抜」は、「全学部日程」と「個別学部日程」とがあり、さらに学部・学科によって実施される教科・科目に応じたいくつかの「方式」に分かれ、多種多様な入試パターンが用意されています。受験生にとっては有難い限りですが、複雑でもあるので、しっかりと情報を確認しましょう。
尚、本稿では、教育人間科学部「教育学科」の2024年度の「小論文」に準拠しています(ただし、必要に応じてそれ以外・以前の入試問題に言及している場合もあります)。
青山学院大学の教育人間科学部教育学科 小論文試験の出題傾向とは
出題範囲(分野)
出題科目(範囲)としては「文章・図表などに基づいて読解・論述する問題を課す」となっています(本大学の選抜要項)。
「教育学科」の小論文は大問(設問)2題で、「アドミッションポリシー」には「人間と社会について、論理的に思考・判断し、自らの考えを適切に表現できる力を問う」と記されています。
設問Ⅰは図や表を分析したうえで論述する出題で、2つの小問の問1は提示された図や表から読み取れる内容についての200字以内の論述、問2では提示された図や表を比較分析した結果から考察される内容についての300字以内の論述となっています。
設問Ⅱは文章を読解したうえで論述する出題で、提示された文章を読み、内容的に簡潔に要約した上で(200字以内)、記述・主張されていることに対して、その意義に触れつつ、複数の具体例を挙げながら自分の考えを600字以内の論述するものです。
ちなみに、24年度は設問Ⅰの問1では「教員の1日当たりの業務時間の内訳」を表した図、問2は「設置者別の学生生活費」(表1)とそれに関連する「居住形態別学生数の割合」(表2)が題材となっており、設問Ⅱは「近代科学」をテーマとした論説文(村上陽一郎「近代科学を超えて」)が課題文として示されています。
出題量と時間配分
24年度の設問Ⅱの課題文の文章量は約6500字で、他の私大上位校と比較して多めです。それに関しての「要約記述」(200字以内)と「見解論述」(600字以内)が求められています。
設問Ⅰでは3点の「表」の読み取りが必要となります。その上で「読み取り説明論述」(200字以内)と「見解論述」(300字以内)が課されています。
試験時間は90分です。トータルで1300字以内という「論述・要約」をこなさなくてはならなりません。無論、全く時間に余裕はありません。設問Ⅰを40分程度でこなし、残りの時間を設問Ⅱに当て、丁寧にまとめ上げていきましょう。
出題形式
24年度の設問Ⅰの問1は「教員の1日当たりの業務時間の内訳」の表から、教員がどのような業務にどのくらいの時間を費やしているかを200字以内で論述します。同問2は「設置者別の学生生活費」(表1)とそれに関連する「居住形態別学生数の割合」(表2)から、国立、公立、私立、それぞれの学費・生活費の支出額の異同に就いて述べた上で、なぜその違いが生じるのかを300字以内で論述します。
設問Ⅱの問1は課題文(村上陽一郎「近代科学を超えて」)の要約記述(200字以内)。問2は課題文中の下線部に就いて、その背景や意義に触れつつ、複数の具体例を挙げながら自分の考えを600字以内で論述します。課題文の論旨を的確に把握した上で、下線部の論点を整理して自らの見解を適切に論じていきましょう。その際、課されている2つの「条件」にしっかりと応ずることが肝要です。
今後も、教育人間科学部教育学科の小論文では設問Ⅰで「図表」から読み取れる「内容説明論述」と比較分析結果から考察される「見解論述」、設問Ⅱでは課題文の「要約記述」と、「論点」が示された上での「条件付き見解論述」が求められることが予想されます。
青山学院大学の教育人間科学部教育学科 小論文試験を攻略するための勉強法
知識
小論文や「図表分析」と「知識」は無関係、とは無論なりません。24年度の近代科学に限らず今後も多種多様な分野からの課題文の出題が考えられます。そうした硬質な論説文(評論文)を理解し咀嚼する為には、難解な語句や頻出テーマに関する「キーワード」を読み解く語彙力が当然、必要になります。さらに、「見解論述」での誤字・脱字は確実に減点要素になりますので、漢字ひとつたりとも疎かにはできず、高度な語彙力を養成する必要があります。その為には、先ずは「己が実力」を把握することが重要で、「共通テスト(センター試験)」の漢字問題(要は同音異字、同訓異字の判別)が基礎的語彙力のひとつの目安となります。最低10年分以上の過去問をこなしてみましょう。その結果次第で、具体的な学習を進めていきます。
尚、以下のサイトは漢字問題だけがまとめられていて便利です。
http://www.kanjijiten.net/center/index.html
読解
小論文といっても設問Ⅱでは課題文が示され、それに就いての設問として「要約記述」と「見解論述」があるのですから、その点では「現代文」の問題と捉えなくてはいけません。当然、課題文の内容をいかに正確に読み取るかが最優先となります。基本は論説文(評論文)で、そこで肝要になるのが最重要解法である「Nの法則」の習得です。本文を「序論」「本論」「結論」に分け、「論旨」が述べられている「序論部」「結論部」の「対応関係」および「本論部」での「段落相互関係」に着目して読解するという手法を完璧に理解、定着させ、応用できるようになるまで問題練習を重ねることが重要です。
尚、読解に際しては「出題の意図・狙い」で指摘されている「人間と社会について論理的に思考・判断」するという視点を意識することが肝要です。
視点・論点
課題文があり、いくつかの論点が提示されているとはいえ、それをなぞっただけでは単なる感想文になってしまいます。受験生各位の「見解」を論述するのですから、当然、独自の「視点」が必要になります。幅広い議論の可能性を有している中で、如何に説得力のある「視点」を提起できるかが成否を分けるので、常日頃から芸術全般に対して関心を向け、研ぎ澄まされた問題意識を持ち続けていることが重要になります。さまざまなメディアを通じて、日本や世界の文化的事象をキャッチすべくアンテナを張り巡らせておくことが肝要です。その際、未知の事象に関してはメモとしてまとめておきましょう。必ず求められる具体例のストックとなるはずです。
要約
設問Ⅱで課される「要約」の基本は形式段落の中心文をつないでいくことです。しかし、24年度のように長い課題文(約6500字)では字数的に困難なので、「論旨」中心にまとめることを旨として、意味段落の「序論部」+「結論部」+α(「本論部」からの補足)という形でまとめていきましょう。
尚、今後は単なる「主旨(論旨)要約」ではなく限定的な「論点」「視点」が提示される場合があるかも知もれません。そうしたときは、そこに焦点を絞って「主旨(論旨)」をまとめる必要があります。先ずは、参考書などを活用して、あらゆる「論点」「視点」を即座に把握できるようになるまで、「現代文」の解法に習熟しましょう。その上で、多くの問題集に記されている「要約」や「問題文の要旨」等を活用して記述練習を重ねましょう。その際、「文法」「文脈」などの文章の基本や、内容が正確に伝わっているかどうか等に就いて添削指導を受けることが望ましいです。
論述
300字や600字という制約の中で「自らの見解」を的確に論じるには、構成メモの作成が不可欠です。脳内イメージを可視化、客観的に捉える作業になります。最重要な「論旨」、説明に必要な「論点」(提示されているものも含め)や「視点」をアトランダムに記し、整理してチャート化します。その上で、「見解」を「頭括型」の論述としてまとめるべく各要素を取捨選択するのです。その際には、「批判的スタンス」の「視点」を特に意識し、「カウンター」としての「論点」も用意することが肝要です。前述のように、「出題の意図・狙い」で「無批判に受容するだけではなくそれに対する疑問や反論」が求められているのです。
尚、「序論」「本論」「結論」は「1:3:1」が原則です。こうした構成メモの作成練習を繰り返すことが重要です。実際の「論述練習」では、添削指導を受けることが必須です。
推奨テキスト
ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。
ここではテキストを知識対策篇、読解力対策篇、要約記述対策篇、見解論述対策篇、過去問対策篇に分けてご紹介します。
知識対策篇
(1)『漢字 一問一答【完全版】』(東進ブックス)
(2)『現代文最重要語句らくらく練習帳』(学研プラス)
(3)『新版完全征服 頻出現代文重要語700 [三訂版]』(桐原書店)
(4)『現代文キーワード読解[改訂版]』(Z会出版)
前項の「大学入学共通テスト(漢字問題)」チェックで、5割未満の場合は(1)から、6割は(2)から、7割は(3)から、8割は(4)から始めるのがひとつの目安です。反復練習して完全定着させましょう。特に(4)では、「キーワード編」のみならず「頻出テーマ編」も熟読し、完全に理解することが重要です。
読解力対策篇
(1)『システム現代文 バイブル編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。
「解法」って何? といった皆さんにお薦めの入門書です。根本を徹底的に解説しており、マスターすれば「解法」は一通り理解できます。
(2)『現代文読解力の開発講座(新装版)』(駿台文庫)
中級レベルです。
文章を客観的に捉える術が丁寧に説明されており、中堅から難関私大へのステップアップ段階の一冊です。
(3)『現代文と格闘する(三訂版)』(河合出版)
上級レベルです。
「文章を読み繋ぐ」ことを主眼として、その為のシンプルな「視点」を提案しています。教育人間科学部教育学科の小論文の課題文を確実に読解する一冊です。
※尚、(2)(3)には「要約問題」があるので必ずこなすこと(「要約問題」の対策になります)。
要約記述対策篇
(1)『得点奪取 現代文[三訂版]』(河合出版)
中級レベルです。
「記述問題」から「説明・要約問題」までを明快に解説し、「要約記述」のポイントを確実に学ぶ為の一冊です。
(2)『[記述篇]現代文のトレーニング(改訂版)』(Z会出版)
上級レベルです。
頻出テーマに沿った問題構成で、「完成度」も自ら把握できます。「要約問題」の総仕上げへ向かっては不可欠の一冊です。
(3)『上級現代文Ⅱ』(ピアソン桐原)
最上級レベルです。
これまでに演習してきた「論述問題」の考え方、解き方が定着しているかどうかをチェックできます。「教育人間科学部教育学科」の「小論文」の「要約記述」攻略へ最終段階の一冊です。
見解論述対策篇
(1)『吉岡のなるほど小論文講義10[改訂版]』(桐原書店)
初級レベルです。
「小論文とは何か?」「どのように文章を組み立てたらよいのか?」という基礎・基本を体系的に解説しています。入門から基礎力養成の一冊です。
(2)『資料と課題文を攻略して合格答案を書くための 小論文のオキテPRO』(KADOKAWA)
中級レベルです。
入試で戦える「解き方」が身につきます。「小論文のオキテ」を習得でき、「コミュニティ人間科学部」の「論述」で必要となる可能性がある「図表読み取り」のポイントもつかめる一冊です。
(3)『小論文を学ぶ――知の構築のために』(山川出版社)
上級レベルです。
「読みと書きの技術論」「小論文に必要な知の構築」「実践演習を通じての知の習得」の3部構成で、「論述」で8割以上の得点ゲットをターゲットに据える一冊です。
(4)『小論文 テーマ別課題文集 21世紀を生きる[改訂版]』(駿台文庫)
最終レベルです。
「主要頻出テーマ」ごとの「論点整理」「キーワード解説」が充実。万全を期すための一冊です。
(5)『文藝春秋オピニオン○○✕✕年の論点100』(文藝春秋/毎年11月発売)
毎年の日本の様々な「争点」が多角的に提起されており、「論点」「視点」の捉え方を習得できます。「時事対策」にも活用でき、「条件」として言及すべき「具体例」のストックにもなる一冊です。
過去問対策篇
『青山学院大学教育人間科学部「教育学科」独自問題(小論文)』
実践レベルです。
10年分以上をしっかりと解いて、「解法」をトレースすることが重要です。
大学受験を成功に導く過ごし方とは
インタビュー=大学受験、「最後の一年」の賢い過ごし方とは?
リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。
高校生活最後の一年の過ごし方は、合否を分ける重要なポイント。志望校合格を勝ち取るためには、どのように一年を過ごせばいいのか…ぜひ参考にしてください。
青山学院大学への受験を控えている保護者様へ
青山学院大学の受験には学校別の対策が必須になります。プロ教師界でトップの実力を持つリーダーズブレインの家庭教師は、様々な大学受験の合格実績と受験ノウハウを有しています。その中でも、お子様に最適な東京大学に強い家庭教師をご紹介します。