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慶應義塾大学 法学部 論述力
入試対策と勉強法

出題傾向・攻略のための勉強法・推奨テキスト

慶應義塾大学 法学部 論述力

ここでは、慶應義塾大学の法学部を目指す方に対して、論述力の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。

※2024年度までの入試科目「論述力」は25年度には「小論文」という名称に変更となります。以下の入試傾向は、原則的に2024年の「一般入試問題」の「論述力」に準拠しています(ただし、必要に応じてそれ以前の入試問題に言及している場合もあります)。

慶応義塾大学法学部 論述力試験の出題傾向とは

出題範囲(分野)

法学部の試験科目としての「小論文」は、「国家や社会の基本原理を中心とした諸問題について,高校卒業程度の知識を前提に、理解力、分析力、思考力、表現力を問い、論述形式で解答させる。資料やキーワードを与える場合がある」と「入学案内」に明記されています。
本学部の学部系統は「法律学科」と「政治学科」です。それらに関する多様な分野からの出題が頻出しています。特に「『近代の社会原理』を問い直し、『民主主義のあり方』を問う」というところに本学部の問題意識があると考えられます。そうした認識に基づいた課題文(近代の法哲学、政治哲学が頻出で、時事的要素が含まれる場合もあります)からの出題となっています。そして、そこでの評価基準は問題用紙1ページ目に明確に示されています。曰く「読解資料をどの程度理解しているかという『理解力』、理解に基づく自己の所見をどのように論理的に構成するかという『構成力』、論述の中にどのように個性的・独創的発想が盛り込まれているかという『発想力』、表現がどの程度正確かつ豊かであるかという『表現力』」です。

出題量と時間配分

課題文の文章量は4000~6000字程度で、他の上位校の現代文並みの字数です。ただし、本学部の課題文はかなり強引な抜粋が多く、論旨が不明確な場合も多いので注意する必要があります。
試験時間は90分です。
課題文を5分強で読了し、要約・説明問題の構想を15分程度でまとめ、論述問題の構成メモは30分程度をかけてしっかりと作成し、残りの40分ほどで、細部に注意しながら丁寧に論述していきましょう。

出題形式

課題文が示され、それに関しての設問2題が定着しています。その中で、着眼点や条件が提示され内容理解が問われる説明・要約問題(おおよそ300~400字程度の指定字数。字数指定がない年度もあります)と、「論点」を提起した上で、受験生自身の「見解」を問う論述問題が課されます。ただし、「説明・要約問題」が出題されない年度もあります(直近では2017、14年度)。
尚、2024年度は出題内容が大きく変更されて、2題ともに課題文となっている架空の鼎談の中での「見解論述」になっています。来年度以降もさまざまな変更の可能性があるので留意して下さい。いずれにしても、記述総字数は両問を合わせて1000字以内が定着しています。

 

慶応義塾大学法学部 論述力試験を攻略するための勉強法

知識

小論文だから「知識」は無用、とは無論なりません。学際的に様々な分野を横断する硬質な課題文を理解し咀嚼する為には、難解な語句や頻出テーマに関する「キーワード」を読み解く「知識」が当然、必要になります。
また、「見解論述」での誤字・脱字は確実に「減点要素」になるので、漢字ひとつたりとも疎かにはできず、高度な語彙力を養成する必要があります。その為には、先ずは「己が実力」を把握することが重要です。
そこで、「センター試験」の漢字問題(要は同音・同訓異字判別)がひとつの目安となります。最低10年分以上の過去問をこなしてみましょう。その結果次第で、具体的な
学習を進めていくのです。
尚、以下のサイトは「漢字問題」だけがまとめられていて便利です。
http://www.kanjijiten.net/center/index.html
また、読解に際しては「法律」「政治」に関する概念や理論の「知識習得」は必須事項です。

読解

小論文といっても課題文が示され、それに就いての設問として「説明記述問題」・「見解論述問題」があるのだから、その点では「現代文」の問題と捉えなくてはいけません。課題文の内容をいかに正確に読み取るかが最優先となります。
課題文は原則的に論説文(評論文)であって、そこで重要になるのが最重要解法である「Nの法則」の習得です。本文を「序論」「本論」「結論」に分け、論旨が述べられている「序論部」「結論部」の対応関係及び、「本論部」での段落相互関係に着目して読解するという手法です。これを完璧に理解、定着させ、応用できるようになるまで問題練習を重ねることが重要になります。

視点

課題文があり、大まかな論点が提示されているとはいえ、それをなぞっただけでは単なる感想文になってしまいます。受験生各位の「見解」を論述するのですから、当然、独自の「視点」が必要になります。幅広い議論の可能性を有している中で、如何に説得力のある「視点」を提起できるかが成否を分けるのです。
そこで、常日頃から現代社会が抱えるさまざまな法的、政治的課題や社会現象に対して、研ぎ澄まされた問題意識を持ち続けていることが重要になります。特に、法学部では「近代の問い直し」という視点が肝要なので、近代社会の基本的原理(近代的市民・個人、自由・平等・人権、社会契約、民主主義、立憲主義、公共等)に就いての見識を深めておくことが絶対に必要となります。

論述

「論述問題」は小論文としては短いものなので、その中で「自らの見解」を的確に論じるには、構成メモの作成が欠かせません。頭の中のイメージを視覚化し、客観的に捉えるという作業になります。
最重要となる「論旨」、それを説明する為の様々な「論点」「視点」(設問条件も含め)をアトランダムに記し、それらを整理し、チャート化します。その上で、「頭括型」の「論述」としてまとめるべく各要素を取捨選択するのです。その際には、「批判的スタンス」の要素を特に意識したいです。
「序論」「本論」「結論」のバランスは「1:3:1」が原則です。こうした構成メモの作成練習を繰り返すことが重要です。
尚、実際の「論述練習」では無論、添削指導を受けることが必須となります。

 

推奨テキスト

ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。

知識対策

(1)『漢字 一問一答【完全版】』(東進ブックス)
(2)『現代文最重要語句らくらく練習帳』(学研プラス)
(3)『新版完全征服 頻出現代文重要語700 [三訂版]』(桐原書店)
(4)『現代文キーワード読解[改訂版]』(Z会出版)

前項の「大学入学共通テスト(漢字問題)」チェックで、5割未満の場合は(1)から、6割は(2)から、7割は(3)から、8割は(4)から始めるのがひとつの目安です。反復練習して完全定着させましょう。特に(4)では、「キーワード編」のみならず「頻出テーマ編」も熟読し、完全に理解することが重要です。

現代文読解

(1)『システム現代文 バイブル編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。
「解法」って何? といった諸君にお薦めの入門書です。根本を徹底的に解説しており、マスターすれば「解法」は一通り理解できます。

(2)『現代文読解力の開発講座(新装版)』(駿台文庫)
中級レベルです。
文章を客観的に捉える術が丁寧に説明されており、GMARCHから慶應へのステップアップ段階の1冊です。

(3)『現代文と格闘する(三訂版)』(河合出版)
上級レベルです。
「文章を読み繋ぐ」ことを主眼として、その為のシンプルな「視点」を提案しています。経済学部の「課題文」を確実に読解する1冊です。

※尚、(2)(3)には「要約問題」があるので必ずこなしておきましょう。

説明・要約問題対策

(1)『システム現代文 論述・記述編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。
「記述問題」から「要約問題」までを明快に解説し、「記述」習熟の為に何を学習すればいいかが分かる1冊です。

(2)『得点奪取 現代文 記述・論述対策(三訂版)』(河合出版)
中級レベルです。
「実例答案」をもとに、答案作成のコツを具体的に提示しています。自己採点ができて、「要約問題」に自信がつく1冊です。

(3)『[記述篇]現代文のトレーニング(改訂版)』(Z会出版)
上級レベルです。
頻出テーマに沿った問題構成で、「完成度」も自ら把握できます。「要約問題」の総仕上げへ向かっては不可欠の1冊になります。

(4)『上級現代文Ⅱ』(桐原書店)
最上級レベルです。
これまでに演習してきた「論述問題」の考え方、解き方が定着しているかどうかをチェックできます。法学部の「要約問題」攻略へ最終段階の1冊です。

見解論述問題対策

(1)『吉岡のなるほど小論文講義10(改訂版)』(桐原書店)
初級レベルです。
「小論文とは何か?」「どのように文章を組み立てたらよいのか?」という基礎・基本を体系的に解説しています。入門から基礎力養成の1冊です。

(2)『合格できる小論文』(河合出版)
中級レベルです。
「系統別実践演習問題」を収録、「自己評価グラフ」で「到達度確認」もできます。文学部「見解論述問題」への完成度を高める1冊です。

(3)『小論文を学ぶ――知の構築のために』(山川出版社)
上級レベルです。
「読みと書きの技術論」「小論文に必要な知の構築」「実践演習を通じての知の習得」の3部構成で、法学部で8割以上の得点ゲットをターゲットに据える1冊です。

(4)『小論文 テーマ別課題文集 21世紀を生きる〈改訂版〉』(駿台文庫)
最終レベルです。
「主要頻出テーマ」ごとの「論点整理」「キーワード解説」が充実しています。万全を期すための1冊になります。

(5)『○○✕✕年の論点100』(文藝春秋/毎年11月発売)
実践レベルです。
毎年の日本のさまざまな「争点」が多角的に提起されており、「論点」「視点」の捉え方を習得できます。「時事対策」にもなる1冊です。

過去問編

『慶応大学法学部(過去問)』
実践レベルです。
数多く解き、法学部合格への最終的な仕上げとしていきます。

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