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慶應義塾大学 経済学部 小論文
入試対策と勉強法

出題傾向・攻略のための勉強法・推奨テキスト

慶應義塾大学 経済学部 小論文

ここでは、慶應義塾大学の経済学部を目指す方に対して、小論文の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。

※2021年度より実施された「大学入学共通テスト」導入に伴う大幅な「大学入試制度改革」は本大学では実施されておらず、本学部も21・22年度に関しては従前どおりの出題内容および形式でした。尚、以下の「入試傾向」は、基本的に2021年度までの「入学試験」に準拠しています(但し、22年度の出題に言及している部分もあります)。

慶應義塾大学経済学部 小論文試験の出題傾向とは

出題範囲(分野)

日本最初の経済学部である本学部の「試験科目」としての「小論文」は、「高校生にふさわしい知識、理解力、分析力、構想力、表現力を問います。高等学校の特定の教科とは直接には関わらない」と「一般選抜要項」に明記されています。
本学部の学部系統は経済学科のみですが、「経済学のみに特化するのではなく幅広い領域の学識を身につけた人材を育てることが不可欠である」(「慶應経済の概要」より)という理念に基づき、経済分野に限定されずに多種多様な分野(「時事的要素」があるものも頻出)に関する課題文が提示されます。そして、「知識・理解・分析」の力を問う「説明・要約問題」と、「構想力・表現力」を問う「見解論述問題」とで総合的に評価されます。
尚、本学部では、批判的で対話能力を備えた人材や、知識の創造的な応用ができる人材の育成の重要性にこだわった出題傾向があります。近年では、「市立動物園の新設」(2008年度)、「大学教育のあり方」(2011年度)、「原発再稼動」(2013年度)、「イノベーション」(2014年度)、「知識の創造」(2015年度)、「多数決の問題点」(2022年度)などについて、批判的視点での論述が求められています。

出題量と時間配分

「課題文」の文章量は、以前は2000~3000字程度でしたが、近年は4000~5000字ほどで他の難関私大上位校の「現代文」と同程度です(近年の増加傾向には要注意です)。
試験時間は60分です。「課題文」を5分ほどで読了し、「説明・要約問題」を15分程度で仕上げ、「見解論述問題」の構成メモは20分程度をかけてしっかりと作成し、残りの20分強で、丁寧に論述していきましょう。

出題形式

「課題文」が示され(複数の文章で構成される年度もあります。最近では2020・22年度です。頻度が高まっているので留意しましょう)、それに関しての設問2題が完全に定着しています(但し、2012年度は例外的に小問が設けられ、計3問の「記述」「論述」の出題でした)。
例年、設問Aは課題文の内容理解を問う「説明・要約問題」(「着眼点」が提示される)で指定字数は基本的に200字以内(例外的に、2010年度は400字以内、18年度は300字以内でした)、設問Bは課題文に就いての受験生自身の見解を問う「見解論述問題」(「視点」や「条件」の提示あり)で指定字数はほとんどが400字以内(たまに300字以内や200字以内の年度もあり)となっています。設問条件が多岐に亘るので、的確且つ完璧に応じることが求められており、要注意です。

 

慶應義塾大学経済学部 小論文試験を攻略するための勉強法

知識

小論文だから知識は無用、とは無論なりません。学際的に様々な分野を横断する硬質な課題文を理解し咀嚼する為には、難解な語句や頻出テーマに関する「キーワード」を読み解く「知識」が当然、必要になります。
また、見解論述での誤字・脱字は確実に「減点要素」になります。したがって、漢字ひとつたりとも疎かにはできず、高度な語彙力を養成する必要があります。
その為には、先ずは己が実力を把握することが重要です。そこで、「共通テスト(センター試験)」の漢字問題(要は「同音異字」「同訓異字」の判別)がひとつの目安となります。最低10年分以上の過去問をこなしましょう。その結果次第で、具体的な学習を進めていきましょう。尚、以下のサイトは漢字問題だけがまとめられていて便利です。
http://www.kanjijiten.net/center/index.html

読解

小論文といっても課題文が示され、それに就いての設問として説明・要約問題と見解論述問題があるのですから、その点では現代文の問題と捉えなくてはいけません。課題文の内容をいかに正確に読み取るかが最優先となります。基本は「論説文(評論文)」であって、そこで重要になるのが、最重要解法である「Nの法則」の習得です。本文を「序論」「本論」「結論」に分け、「論旨」が述べられている「序論部」「結論部」の対応関係および「本論部」での段落相互関係に着目して読解するという手法です。これを完璧に理解、定着させ、応用できるようになるまで問題練習を重ねることが重要です。

記述

設問Aの説明・要約問題は純粋な現代文長文記述問題として、上記解法等を用いて先ずは読み解きましょう。そして、記述です。正否の分かれ目となる最重要な要素を文末として他の必要な要素を積み上げていく(積上げ方式)という手法を完璧にマスターすることが肝要です。内容から必要度の優先順位を特定し、優先度の高いものから積み上げていきましょう。各要素を20~30字程度でまとめられるように徹底的に練習することが必要です。200字以内(稀に300字以内など)という「字数指定」が基本なので、10~15程度の要素でまとめることができるようになるまで、繰り返し練習することが重要です。

論述

設問Bの見解論述問題は小論文としては指定字数が少ないです。その中で自らの見解を的確に論じるには、構成メモの作成が欠かせないでしょう。頭の中のイメージを視覚化し、客観的に捉えるという作業です。最重要となる「論旨」、それを説明する為の様々な「論点」「視点」(「設問条件」も含め)をアトランダムに記し、それらを整理し、チャート化しましょう。その上で、頭括型の論述としてまとめるべく各要素を取捨選択します。その際には、批判的スタンスの視点を特に意識し、カウンターとしての「論点」も用意しましょう。「序論」「本論」「結論」のバランスは「1:3:1」が原則です。こうした構成メモの作成練習を繰り返しましょう。実際の論述練習では、無論、添削指導を受けることが必須です。

 

推奨テキスト

ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。
ここではテキストを知識編、読解力編、要約・説明問題編、見解論述問題編に分けてご紹介します。

知識

(1)『漢字 一問一答【完全版】』(東進ブックス)
(2)『現代文最重要語句(暗記いらずの)らくらく練習帳―熟語・慣用句・評論語句・外来語』(学研プラス)
(3)『新版完全征服 頻出現代文重要語700 三訂版』(ピアソン桐原)
(4)『現代文キーワード読解[改訂版]』(Z会出版)。

前項の「共通テスト(センター試験)の漢字問題」チェックで、5割未満の場合は(1)から、6割は(2)から、7割は(3)から、8割は(4)から始めるのが目安です。反復練習して完全習得させましょう。特に(4)では、「キーワード編」のみならず「頻出テーマ編」も熟読し、完全に理解しましょう。

読解力

(1)『システム現代文 バイブル編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。「解法」って何? といった皆さんにお薦めの入門書です。根本を徹底的に解説しており、マスターすれば「解法」は一通り理解できるでしょう。

(2)『現代文読解力の開発講座(新装版)』(駿台文庫)
中級レベルです。文章を客観的に捉える術が丁寧に説明されており、GMARCHから慶應へのステップアップ段階の一冊です。

(3)『現代文と格闘する(三訂版)』(河合出版)
上級レベルです。「文章を読み繋ぐ」ことを主眼として、その為のシンプルな視点を提案しています。経済学部の課題文を確実に読解する一冊です。

※尚、(2)(3)には要約問題があるので必ずこなしておきましょう(設問Aの対策になります)。

 

要約・説明問題

(1)『システム現代文 論述・記述編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。「説明記述問題」から「要約問題」までを明快に解説し、要約習熟の為に何を学習すればいいかが分かる一冊です。

(2)『得点奪取 現代文[三訂版]』(河合出版)
中級レベルです。「記述問題」から「説明・要約問題」までを明快に解説し、記述習熟の為に何を学習すればいいかが分かる一冊です。

(3)『[記述篇]現代文のトレーニング(改訂版)』(Z会出版)
上級レベルです。頻出テーマに沿った問題構成で、完成度も自ら把握できます。「説明・要約問題」の総仕上げへ向かっては不可欠の一冊です。

(4)『上級現代文Ⅱ』(桐原書店)
最上級レベルです。これまでに演習してきた「論述問題」の考え方、解き方が定着しているかどうかをチェックできます。経済学部の「説明・要約問題」攻略へ最終段階の一冊です。
 

見解論述問題

(1)『吉岡のなるほど小論文講義10(改訂版)』(桐原書店)
初級レベルです。「小論文とは何か?」「どのように文章を組み立てたらよいのか?」という基礎・基本を体系的に解説しています。入門から基礎力養成の一冊です。

(2)『資料と課題文を攻略して合格答案を書くための 小論文のオキテPRO』(KADOKAWA)
中級レベルです。入試で戦える解き方が身につきます。「小論文のオキテ」を習得でき、経済学部「見解論述問題」への完成度を高める一冊です。

(3)『小論文を学ぶ――知の構築のために』(山川出版社)
上級レベルです。「読みと書きの技術論」「小論文に必要な知の構築」「実践演習を通じての知の習得」の3部構成で、本学部で8割以上の得点ゲットをターゲットに据える一冊です。

(4)『小論文 テーマ別課題文集 21世紀を生きる〈改訂版〉』(駿台文庫)
最終レベルです。主要頻出テーマごとの「論点整理」「キーワード解説」が充実しています。万全を期すための一冊です。

(5)『文藝春秋オピニオン○○✕✕年の論点100』(文藝春秋/毎年11月発売)
毎年の日本の様々な「争点」が多角的に提起されており、「論点」「視点」の捉え方を習得できます。時事対策にもなる一冊です。

(6)『慶応大学経済学部(過去問)』
実践レベルです。数多く解き、経済学部合格への最終的な仕上げをしましょう。

 

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