慶應義塾大学 理工学部 英語
入試対策と勉強法
慶應義塾大学 理工学部 英語
ここでは、慶応義塾大学の理工学部を目指す方に対して、英語の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。
慶応義塾大学理工学部 英語試験の出題傾向とは
出題範囲(分野)
大問数としては年度によって、4~5題となっています。
そのうち読解問題2題、対話文1題については安定的に出題されていますが、それ以外についてはやや変動的な部分が見られます。2020年までは対話文で基本的な条件付き英作文が出題されていましたが、2023年からは国立大学で問われるような本格的な和文英訳が出題されています。2023年はさらに英文を読んだうえで、日本語で要約するという出題がされましたが、2024年は出題されませんでした。読解問題は500~600語前後の長さではあるものの語彙レベルも高い上、内容もやや高度な論説文となっています。対話文は口語表現を問うというよりも内容の流れがつかめていれば解けるものが多いですが、その対話に関わる英文も同時に問われるため読むべき英文は多くなっています。語彙問題については、以前は記述まで要求されていたものが選択問題になったものの問われる語彙レベルは上がっています。
出題量と時間配分
試験時間は90分です。
前述のとおり、大問数や問題形式が安定していないため現場判断が大きくなりますが、形式が安定している読解問題についてはそれぞれ25分強、対話文については20分弱を想定しておき、残りの時間をそれ以外にあてるというのが良いでしょう。ただ、要約問題の出題の有無で難易度や時間配分の仕方に大きな差が生まれてしまうため、試験開始後にまず全体の形式確認を行いましょう。
出題形式
読解問題では内容把握の観点からの空所補充や内容一致が多いです。一部、空所補充で語彙や語法の知識も合わせて問われているものもあります。小問として発音アクセントが問われることがあります。
対話文では内容の流れがつかめていれば空所が埋まると言えますが、ある程度の語彙の知識があることが前提の問題となっています。2023年より出題の和文英訳については、2020年まで出題されていた条件英作文に比べてはるかにレベルの高い出題となっているため、本格的な和文英訳対策が必要となっています。
解答形式
読解問題はすべてマーク式の問題ですが、2021・2022年はすべて選択式となりましたが、2023年より記述式が本格的和文英訳問題として復活しています(2023年は日本語による要約問題も出題)。2022年より単語の記述が選択式となったため、語彙のレベルがかなり高くなっています。
攻略のための学習法
読解問題
英文量はそれほどではないものの、解答に必要な部分の精読に時間を確保するためにはそれ以外の部分を素早く把握していく必用があることから、速読能力を鍛える必要があります。
意味のかたまりごとに前から読み下していく事ができなければ時間内に設問処理まで含めて解答を終わらせることは出来ないでしょう。句・節ごとに意味をとらえ、ニュアンスの分かるものは日本語に訳さず読み進める力を身につけましょう。
一定レベル以上の英文解釈能力を身につけたら、句・節ごとにスラッシュを入れながら前から読み下すトレーニングをしましょう(スラッシュ・リーディング)。最初のうちはやや多めにスラッシュを入れることになるでしょうが、慣れてくればそれほど入れずに前から読み下していくことができるようになります。
併せて行いたいのが音読です。一度解き、しっかり復習した英文を用いて、必ず英文音読の時間を設けるようにしましょう。音読することで、強制的に前から読み下す習慣を身に付けることが出来ます。その際には必ず意味のかたまりごとに内容を把握する意識を持つようにしましょう。漫然と読んでいては効果が半減してしまいます。音源付きの長文問題集であれば、それを利用することでさらに効果を高めることが出来ます。
文法
2023年より大問としての文法問題の出題はなくなりましたが、英文解釈、読解問題中の語句整序や語彙の選択、読み取りの前提としての理解についてはかなり正確な知識が必要です。難易度の高いものを解くというより、英文解釈のトレーニングをしている際に確認に戻れるテキストを一冊やりこんでおきましょう。
単語・イディオム
単熟語のレベルが高いのが理工学部の特徴です。常に語彙のレベルをあげる勉強をしておかなくてはならなりません。
ただ、同時に、意味を知らなくても前後の流れや語源からおよその意味を類推する力を身につけておきましょう。
和文英訳
本格的な和文英訳問題については2023年よりの出題で過去問が少ないですが、雑誌記事や小説の一部を和訳させる形式は国立大学の問題頻出のパターンであるため、同様の対策が必要となっています。後述のテキストなどを用いてしっかり時間をかける必要があります。
推奨テキスト
ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。
ここではテキストを英文解釈編、長文読解編、単語・イディオム編、英作文編に分けてご紹介します。
英文解釈
(1)『英文解釈の技術100』(桐原書店)
英文構造の把握を身につけるための良書です。この1冊を7~8割程度消化したら、あとは速読のトレーニングをすることに注力しましょう。
(2)『ポレポレ英文読解プロセス50』(代々木ライブラリー)
やや勉強が進んでいる生徒向けとなっていますが、講義仕立てで読みやすく、量も絞ってある分、時間をかけずに終えることが出来ます。ポイントが絞られている分、説明の物足りなさを感じるところがありましたが、現在は筆者の西先生のYouTubeチャンネルでテキストの講義授業を受けられるため使い勝手がよくなっています。
長文読解
音源付きであり、出版も新しいため最新のトピックを知る上でも役に立つものをあげました。パラグラフリーディングの理解や設問形式ごとの解き方、英文エッセイの構成などまで説明されているテキストでもあります。要約問題対策ともなるため、いずれも問題を解くだけでなく解説までしっかり読み込みたい教材です。
(1)『The Rules英語長文問題集3・4』(旺文社)
(2)『英語長文ポラリス3』(KADOKAWA)
(3)『全レベル問題集:英語長文6』(旺文社)
(4)『イチから鍛える英語長文500・700』(Gakken)
(5)『英語長文PREMIUM問題集:Advanced/Top』(東進ブックス)
(6)『過去問』
当然ながら、最高の実践的トレーニングとして最も重要なものです。近年の1年分については、レベル・形式を把握するために早い時期に解いておきましょう。
単語・イディオム
(1)『速読英単語[必修編・上級編]』(Z会出版)
学校使用の単語帳を用いるのが効率的ではあるが、使いづらかったり相性が悪かったりするのであれば、CD音源付きで速読の練習も兼ねられるこちらを利用すると良いでしょう。『上級』まで回せれば単語力に不足はないでしょう。
(2)『解体英熟語』(Z会)
ボリュームはあるが、テキストの後ろにある前置詞・副詞の整理ノートがよくまとまっており、効率的に覚えられるだけではなく、未知のイディオムもニュアンスを類推することができるようになります。
(3)『システム英単語Premium(語源編)』(駿台文庫)
語源ごとに編集された単語帳です。単語としてはやや難易度の高いものが多いが、語源については分かりやくまとまっているため、自分の使っている単語帳では覚えにくい単語があるときに参考程度に利用するとよいでしょう。
英作文
(1)『英作文ハイパートレーニング和文英訳編』(桐原書店)
文法知識と英作文の橋渡しをしてくれる良書です。繰り返し何度も解くことで、どのような場面でどんな文法事項を利用すると英語として自然なのかが身につきます。
(2)『英作文のトレーニング[実践篇]』(Z会出版)
難関国立の過去問を用いて演習問題が設定されており、2023年より出題されている問題の対策としては効果が高いです。現場で書きやすい答案、模範的な答案など複数の解答が記載されているところが秀逸です。
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