東京大学 前期日程−文科(一~三類) 国語
入試対策と勉強法
東京大学 前期日程−文科(一~三類) 国語
ここでは、東京大学の前期日程-文科(一~三類)を目指す方に対して、国語の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。
※以下の「入試傾向」は、原則的に2024年度の「第2次学力試験/前期」に準拠しています(ただし、必要に応じてそれ以前の問題に言及している場合もあります)。
東京大学前期日程-文科(一~三類) 国語試験の出題傾向とは
出題範囲(分野)
出題科目は「現代の国語」、「言語文化」、「論理国語」、「文学国語」、「国語表現」、「古典探究」です。
現代文は2題で、論説文(評論文)と随筆という組み合わせが多く、ともにさまざまなジャンルの文章内容になっています。特に論説文は抽象語や専門用語が多用され硬質なものが中心となっていて、文章の論理構造を的確に把握する高度な読解力が必要になります。
古典は古文(中世~近世までの幅広い題材で、「和歌」が含まれることが多いです)と漢文(漢詩が頻出です)が各1題です。「現代語訳」や「内容解釈」「人物関係」、「漢文の基本句法」等、そして、多様な「古典常識」や「漢文」の背景なども問われます。
漢字の書きとりは近年3問が定着しています。国語表現は「記述力(論述力)」として問われます。
出題量と時間配分
本文の文章量は年度によってバラツキがありますが、現代文は2題合わせて5000~6000字程度と他校と比較しても少なめです(2024年度は約6000字)。
古文は900~1000字強(2024年度は約1100字)、漢文が200字程度(2024年度は約210字)です。
150分の試験時間なので、先に古典を50分以内で仕上げ、「長文説明記述」のある現代文に100分強の時間を割いてしっかりと解いていきましょう。
出題形式
大問4題が定着しています。
例年、大問一(小問5問、解答数は7)と大問四(小問・解答数ともに4)が現代文、大問二は古文(小問5問、解答数は7ほど)、大問三が漢文(小問・解答数ともに4~6)となっています。
解答形式
全ての設問が記述形式です。
現代文では漢字の書きとりの他は、ほとんどが「換言説明記述」か「理由説明記述」になっています。
古文、漢文では、「現代語訳」と「内容説明(解釈)」が半々です。
尚、毎年大問一の最後の小問で「100~120字」指定の「長文説明記述」が出題され、東大国語の最大の難関となっています。
東京大学前期日程-文科(一~三類) 国語試験を攻略するための勉強法
知識
直接的な出題である「漢字の書きとり」はそれほど難しくはありませんが(故に誤答は許されません)、東大現代文特有の硬質な「本文内容」を理解し咀嚼する為には、難解な語句や頻出テーマに関する「キーワード」を読み解く「知識」が当然必要となります。
そこで、先ずは「己が実力」を把握することが重要です。
「大学入学共通テスト」の漢字問題(要は「同音異字」「同訓異字」の判別)がひとつの目安となります。「センター試験」も含めて最低10年分以上の過去問をこなしてみます。
その結果次第で、具体的な学習を進めていくのです。
尚、以下のサイトは「漢字問題」だけがまとめられていて便利です。
http://www.kanjijiten.net/center/index.html
解法
論説文(評論文)や随筆に特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解し定着させて、応用するために肝要なのは「復習」の仕方です。
「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須で、特に「間違った問題」が重要になります。誤ってしまった「分岐点」をしっかりと確認しておくのです。
さらに、いくつもの練習問題や過去問を通じて、同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけてください。それが「解法」となります。
尚、「具体的解法」は本HPの別サイト「大学入試”王道現代文”」をご覧ください。
説明記述
「長文説明記述」(例年「100~120字」指定)以外は字数制限がなく、解答欄は縦13.5㎝、横8㎜が1行の枠で、これは約30~35字相当になります。
現代文では「2行指定」がほとんどなので、約60~70字以内ということです。
「説明記述」で必要なひとつの「要素」は20~30字程度です。正否の分かれ目となる「最重要な要素」を文末として、他に「必要な要素」を1~2つ積み上げていく(積上げ方式)という手法を完璧にマスターすることが肝要になります。内容から必要度の優先順位を特定し、優先度の高いものから積み上げていく必要があります。
「長文説明記述」では4~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れておきましょう。
尚、100字程度の「要約」を数多くこなすことがいい練習になります。
古典
古文は古文単語を完全に定着させた上で、文法を徹底的に習得することが肝要になります。
特に、助動詞、助詞の意味・用法・接続、そして敬語は完全に定着させることが必須です。その上で、多様な分野の文章に触れ、人物関係に注意して読み解く練習を重ねることです。
また、歴史的背景、和歌修辞等の古典常識習得も必須になります。
漢文は文の構造、句法などの基礎知識を習得した上で、漢文の背景となる思想や歴史についても理解しておきましょう。練習問題を通じて読解力を培うことが重要です。白文対策も忘れずに行ってください。また頻出の漢詩に対する備えも必要になります。
推奨テキスト
ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。
ここではテキストを知識編、現代文編、古文編、漢文編に分けてご紹介します。
知識編
(1)『漢字 一問一答【完全版】』(東進ブックス)
(2)『現代文最重要語句らくらく練習帳』(学研プラス)
(3)『新版完全征服 頻出現代文重要語700 [三訂版]』(桐原書店)
(4)『現代文キーワード読解[改訂版]』(Z会出版)
前項の「大学入学共通テスト(漢字問題)」チェックで、5割未満の場合は(1)から、6割は(2)から、7割は(3)から、8割は(4)から始めるのがひとつの目安です。反復練習して完全定着させましょう。特に(4)では、「キーワード編」のみならず「頻出テーマ編」も熟読し、完全に理解することが重要です。
現代文
(1)『現代文読解力の開発講座[新装版]』(駿台文庫)
中級レベルです。
文章を客観的に捉える術が説明されており、難関私大から国公立へのステップアップ段階の一冊です。
(2)『現代文と格闘する[三訂版]』(河合出版)
上級レベルです。
「文章を読み繋ぐ」ことを主眼として、そのためのシンプルな「視点」を提案しています。難関国公立合格を確実にする一冊です。
(3)『[記述編]現代文のトレーニング [改訂版]』(Z会出版)
上級レベルです。
頻出テーマに沿った問題構成で、「完成度」を自己採点で把握できます。東大の「記述」に習熟するための一冊になっています。
(4)『得点奪取 現代文《記述・論述対策》[三訂版]』(河合出版)
最上級レベルです。
「採点基準」が明確に示されています。採点の厳しさで知られる東大現代文で失点・減点を防ぎ合格を固める一冊です。
※尚、(1)(2)(3)には「要約問題」があるので必ずこなしてください(「長文説明記述」の練習になります)。
(5)『上級現代文Ⅰ・Ⅱ[改訂版]』(桐原書店)
最終レベルです。
自らの「解答の欠点」を「採点者の視点」でチェックできます。「段落要旨」や「全文要約」の他に「参考図書」も紹介されています。「東大合格」への安心感を高める二冊となります。
(6)『東京大学(過去問)』
実践レベルです。
しっかりと解いて、「解法」を繰り返しトレースしてください。
古文編
(1)『読んで見て聞いて覚える 重要古文単語315 [四訂版]』
(2)『標準古文単語650 [三訂版]』(ともに桐原書店)
前者を反復して完全定着させた上で、後者を数回丁寧に通読しておいてください。それで「語彙」はほぼ心配ありません。
(3)『ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル[四訂版]』(河合出版)
「文法」の基本が分かりやすくまとめられています。例文は品詞分解し現代語訳も行っておくことが大切です。
(4)『古文上達 読解と演習56』
(5)『最強の古文 読解と演習50』(ともにZ会出版)
前者は入試古文の全てを凝縮し、後者はその応用篇です。古文への自信がみなぎる二冊になっています。
(6)『得点奪取 古文《記述対策》[改訂版]』(河合出版)
「内容解釈」「内容説明」「要約」などといった、古文の説明記述の典型問題を網羅した対策ができます。東大古文を確実に攻略するための一冊です。
漢文編
(1)『基礎から解釈へ 漢文必携 [五訂版]』(桐原書店)
「漢語の構造」から「句法」まで、基礎力養成のための一冊です。
(2)『ステップアップノート10 漢文句形ドリルと演習』(河合出版)
基礎定着の確認用です。
(3)『入試精選問題集 漢文[四訂版]』(河合出版)
「読解力」アップへの道標になります。
(4)『得点奪取 漢文《記述対策》[改訂版]』(河合出版)
東大漢文の記述式設問に対応するための一冊です。
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