指導実例インタビュー
谷澤先生
指導実例インタビュー
谷澤先生
合格実績(五十音順)
青山学院大(文・経済)・大阪大(外国語・工)・学習院大(経済)・関西学院大(商)・京都大(文・法・経済・工・農)・神戸大(経営)・慶應大(経済・商・薬)・中央大(経済)・東京大(文科三類)・法政大(文・経営)・明治大(政経・経営・法)・横浜国立大(経済・経営)・立教大(異文化・経営)・早稲田大(教育・政経・創造理工) 他多数
英文の要約力を着実に身に着け、慶應の薬学部へ見事合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 二浪の5月
■指導科目: 英語
■指導回数: 週1回2時間
Yさんはいわゆる仮面浪人で、一浪後に某私立大学に入学後、すぐに休学して再度慶應薬学部を目指した生徒です。現役時・一浪と不合格だったものの、小さい頃から慶應への憧れが強く、どうしても慶應薬学部に入りたいという強い意志で2浪目に突入しました。
一浪目に集団予備校に通い、語彙・文法・構文の学習を頑張ったものの偏差値が60前後で頭打ちになってしまい、これ以上何をすれば伸びるのかがわからなくなったとのことで、2浪目の5月に個別指導を開始しました。
Yさんの性格はマイペースで、良い意味で浪人の焦りが感じられず、むしろ浪人生活を楽しんでいるようでした。勉強を楽しめるという強みがある反面、合格のための勉強法を考えるという点では無頓着でした。現役時になんとなく始めた「単語を覚える」「文法・構文知識をつける」「とにかく読む」といった勉強を1浪目でも続けた結果、思考力・要約力が要求される慶應の英語に太刀打ちできなかったのだと思います。
指導内容
一浪目で集団予備校に通っていたおかげで文法・構文はある程度学習済みだったので、主語・述語がわからないというようなことは殆どありません。しかし、上述の通り要約力が皆無でした。
一文一文は訳せるものの、結局文章全体では何を言っているのかわからないという状態でした。もちろんそのような状態では設問の選択肢を見る度に当てもなく全文を見返す必要があり、慶応の長文に対応する精読力・スピード、共に足りない状態でした。
そこで文章の構造を意識してもらうことで改善を図りました。文章、特に英文には段落1つにつき1つのメッセージがあり、その各段落のメッセージが互いに支え合い、文章全体の大きなメッセージを作り上げているという原則があります。
「PREP法」「抽象のはしご」などの文章構成のテンプレートを使った演習を通して、英文の構造を捉える訓練を重ねました。例えば引用符「””」で囲まれた専門家のセリフは筆者のどの主張に根拠を与えるために引用されているのかなど、段落全体で一文一文が持つ役割を徹底的に考えてもらいました。
オンライン指導という特性を活かし、段落の要旨(重要なポイント)をまとめていく過程を画面共有しながら解説することで、文章構造を意識した英文の読み方を自分でも再現しやすいように気を配りました。毎回完成した板書データを本人に送信していたため、自宅でも授業で演習・解説した読み方が蘇り、復習が捗ったとのことでした。
学習状況の変化と成績の推移
■成績推移: 開始時偏差値61 (河合全統記述模試)→ 最高時偏差値 73
一浪目に偏差値60前後で頭打ちになっていたYさんにとって「段落全体で一文一文が持つ役割を考える」という訓練は、苦手だった長文読解で高得点を取る突破口となり、第2回全統記述模試では偏差値66に到達しました。
残りの課題はスピード。
各文が持つ役割を深く考え、段落要旨を捉えられるようになったものの、限られた制限時間内ではまだ読み方が荒くなってしまう状態でした。しかし夏の時点で少しスピードが足りないのはそれほど大きな問題ではありません。
すでに文章構造の分析が終わった英文を使い、「段落全体の要旨を捉えながら各英文につき再読10回」という訓練を重ね、着実にスピードアップしていきました。同じ英文を繰り返し読むことにより、無意識に近いレベルで文章構造を使った読み方ができるようになったのです。
その際も漫然とした流し読みになってしまわないよう、再読時に気を付けるべきポイントを毎回チェックリスト形式で板書データにして送り、復習時に活用してもらっていました。
第三回全統模試では偏差値73に到達し、11〜12月頃には慶應の過去問で7割、調子が良ければ8割近く取れるようになっていました。
結果
■結果(進学先): 慶應義塾大学 薬学部
■結果(他の合格校): なし
生徒とのエピソード
「長文を読んでいると途中で『トンチンカンぷん』になるんです(訳:ちんぷんかん)」など、いつも独特な語彙で楽しませてくれました。天然なところもある反面自分に厳しいところもあり、なんとなくの理解でわかった気になることはありませんでした。
構文・段落構造などに少しでも曖昧な部分があれば必ずメモをして授業の際に質問してくれていました。曖昧な理解で良しとせず一つ一つ疑問を解消していく姿勢が慶應合格につながったのだと思います。
慶應義塾大学 薬学部を目指す受験生へのアドバイス
約1000語にも及ぶ慶應の英語に対応するには語彙・構文・文法知識は最低条件に過ぎず、一文一文をただ和訳できるだけの表面的な理解では太刀打ちできません。
長文復習の際は構文・単語を理解するだけで止まらず、「各段落の要旨は何か」「段落内の各文はどういう役割か」など、文章自体の内容についても深く考えることで、問題形式によって左右されない読解力を身につけることができます。パラグラフリーディングのストラテジーやTOEFLライティングの参考書などで文章の構造を一度学んでみるのも効果的です。もちろん自分では段落要旨の捉え方や各文の役割がわからないという生徒さんに対しては文章を要約する際の考え方を実演します。
英文だけでは難しい場合も同じような文章構造を持つ日本語の文章を作成し、徹底的に理解してもらいます。オンライン授業では文章作成の過程も画面共有で見られますし、タイピングでの作成なので手書きと比べて文章作成の時間が大幅に削減できるので、演習・解説により多くの時間を割くことができます。
そして分析済みの長文は最低でも10回再読し、構文知識・段落構造の知識を使った読み方を無意識レベルに落とし込むことが大切です。その際wpm200(1分間あたり200単語を読むペース)を目標に読解速度を上げていくと、慶應の英語も時間内に解き終わる力がつくでしょう。
最後に「わかった気にならない」これが一番大切だと思います。
英検®定期テストの英語平均点以下から、見事英検®2級に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 高1の7月頃
■指導内容: 英語(英検対策)
■塾・予備校名: 家庭教師のみ
■指導回数: 週1~2回
■指導形態: オンライン
巣鴨高校に通うYくんは理系男子。
理数系は得意で学校の試験でも高得点を取れていましたが、英語は常に平均点を下回り、赤点を取ることもしばしば。このままでは受験の際に英語が足を引っ張ってしまうため、手遅れになる前にとお母様から家庭教師のご依頼をいただきました。
まずは赤点を脱却し、平均点を取るために勉強法や毎週の課題も含めて普段の学習の改善点を細かく指導してほしいとのことでした。また、テスト対策以外にも受験を見据えて英検®2級合格のための指導もご希望されていました。
Yくんはテストの点数とは裏腹に聡明な印象でした。とても落ち着いた話し方で大学生と話しているような感覚を持ちました。小説をよく読むそうなのでそれも関係あるかもしれません。
勉強面に関して当時は自主的な学習は特にしておらず、学校の予復習のみでした。それも宿題の文法問題を解いて丸つけし、解説をざっと読むだけです。間違えたところのやり直しはしておらず、当然テストでも同じようなところで間違えていました。
指導内容
上述の通り学校課題の問題集は一応取り組んでいるものの、きちんとした復習はゼロ。せっかく課題をこなした分野の文法も自分のものにできません。
単語学習に関しても教科書に出てくる新出英単語とその日本語の意味を確認する程度で、なかなか語彙が定着しない状態でした。
復習不足が問題点なのは明白だったので、きちんとしたやり方での復習習慣の徹底が先決でした。
文法問題集の間違った問題に印をつけ、2周目、3周目と正解できるまで繰り返す課題を設定し、授業では2周目で間違えた問題を重点的に解説しました。
4択問題ではなんとなくで正解してしまうこともあるので、重要な文法項目についてはホワイトボード機能の板書を画面共有し、複数の和文英訳に取り組んでもらいました。間違えた際はなぜそのように考えたのかも解説してもらっていました。
例えば「私も同じことをしただろう」という英文を”I would do the same thing.” と訳した場合に、なぜwouldにしたのかと聞くと「willの過去形だから過去のことだと思った」とYくんが答えてくれます。
そこで「仮定法で過去形のwouldを使っているのは非現実的な仮定の話だからで、非現実な過去の場合はさらにhave+過去分詞をつける」というルールを確認します。理解できたらその後同様の英作を続け、知識の定着を促しました。
合わせて長文・短文問わず単語を覚える際は常に例文を使うよう提案しました。
上記が最初に取り組んだ主な内容ですが、他にも長文、リスニング等の予復習方法についても具体的に指示し、授業では間違ったところや苦手な分野を重点的に扱える状態を整えていきました。
学習状況の変化
きちんとした復習習慣の定着にはそれほど時間がかからず、1ヶ月もすれば自宅での学習量が2倍、3倍と増えていきました。
指導前は予習、復習といっても何をすれば良いのかピンと来ず、成績も上がらないためにあまりやる気が出てこなかったそうです。Yくんに限らず、具体的な勉強方法がわかると効率が上がるだけでなく、学習時間自体が増えるというのは珍しくありません。
繰り返し間違えていた文法問題も着実に一つずつ穴を埋めていくことができ、指導開始2ヶ月後の定期テストで赤点を脱却するばかりか、平均点を15点ほど上回る80点台を取ることができました。
その後も復習習慣が崩れることはなく、文法や語彙学習をほとんど自分で進められるようになったおかげで、授業では長文やリスニング、過去問演習などのより発展的な内容に集中することができました。
もちろん長文やリスニング、過去問の復習の取り組み方も徹底的に指示していました。学校の定期テスト対策から英検®2級対策に本格的に移行してからは、毎週シャドーイングの課題を出し、全て発音できるようになるまで繰り返しチェックしました。
自習力を身につけたYくんは高一の冬に見事英検®2級に合格しました。元々親御さんに促される形で始めた英検®ですが、2級に合格してモチベーションが上がったのか、現在は自分の意志で英検®準1級を目指して勉強中です。
結果
■結果:英検2級合格
生徒とのエピソード
終始落ち着いた話しぶりで、英検®2級合格の報告をしてくれた際も少し嬉しそうでしたが相変わらずクールさを保っていました。
そんなYくんも好きなアニメの話をする時はとても嬉しそうで、少年のような一面を見せてくれました。その時教えてもらったアニメの曲がとてもテンションの上がるメロディでいまだに仕事前に聴いています。
同じ英検®2級取得を目指す受験生へのアドバイス
英検®2級合格の鍵は語彙力です。
高校卒業レベルの英検®2級に合格するには、学校にもよりますが高1や高2で受ける場合、基本的に普段の授業の予復習だけでは単語をカバーすることはできません。単語帳や長文問題集を使って自主的に語彙学習を進める必要があります。
この際ショートカットをしてsignificant=相当な、というように英日の一対一で覚えるだけで済ませてはいけません。
文脈の中で覚えた方が圧倒的に記憶に残りますし、そもそも単語単体の意味だけを覚えていても長文を正確に理解することはできないからです。
英検®2級大問1のような語彙問題も文の中での使い方を覚えておけばスラスラと解くことができます。
急がば回れ。
単語は常に例文の中で使い方と一緒に覚えることをおすすめします。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
※このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
英検®英文の精読演習により、雰囲気読みから脱却!英検®2級に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 高2の1月頃(5-6月実施の英検®第1回テストに向けて)
■指導内容: 英検®2級対策
■塾・予備校名: 家庭教師のみ
■指導回数: 週2回
■指導形態: 対面
サッカー部所属で運動が大好きなKくん。
周りに英検®2級を取っている生徒が多く、大学受験で利用するかもしれないからと英検®2級対策のご依頼がありました。英検®2級対策を通して大学受験につながる英語力が身につけられればという思いもあったようです。
家庭教師を始める前は自己流で過去問対策をしており、とりあえず問題を解いて解説を読む学習をしていました。量をこなせば伸びるはずだと思っていたそうです。
国語力はあるため長文は大体の流れから予想して6〜7割程度取れることもありましたが、馴染みのない話だと半分以上間違えることもありました。
リスニングも得意ではなく、聞こえてきた単語を繋げ合わせて感覚で物語を作り上げ、それっぽい選択肢を選ぶという解き方でした。
量をこなしているのになかなか実力が伸びないことに焦り、具体的な学習方法の提案を期待して家庭教師に踏み切りました。
指導内容
上述の通り品詞や文法を無視して感覚で英文を読んでおり、時制も気にしていないため過去の話か未来の話かも曖昧な状態で読み進めていました。
また長文も解きっぱなしで語彙や構文の復習が疎かになっており、せっかくの学習が無駄になってしまっていました。
そこで品詞・文型を考えながら英文を読み進める精読演習により、雰囲気読みからの脱却を図りました。長文復習の際はなんとなく雰囲気で全体の内容が掴めていても、細かい構文や文法・語法を含めて復習するように具体的なやり方と合わせて指導しました。一つの長文から多くのことが学べることを実感してもらう狙いです。
リスニングに関しては聞こえてきた音声を文字に変換するディクテーションという練習を取り入れ、まずはどこが聞き取れていないのか自覚してもらうことから始めました。
闇雲に問題だけを解いてもたまたま当たったり当たらなかったり一喜一憂するだけで、肝心の聞き取り能力がなかなか育たないためです。
学習状況の変化
精読演習によりKくんはきちんと品詞を一つ一つ分解する癖がつき、「誰が何をするのか」という主語・述語を意識し始めました。
もちろんすぐ完璧とはいかず感覚読みに戻ることもありましたが、その度に「この文の主語と動詞はどれ?」「じゃあこのフレーズは何を説明している?」と構文に関して質問し、答えてもらうことで軌道修正していきました。
しつこい精読演習の甲斐もあり、1ヶ月もすると品詞分解はすぐできるようになりました。時制も意識するようになり、やろうとしていたことなのか実際にやったことなのか、はたまた提案なのか、これまで推測で誤魔化していた部分も文法を手がかりに正確に読み取れるようになっていきました。
対策という対策をしてこなかったリスニングに関してはディクテーションで弱点の把握から始めました。
“I was going to ask him about getting a pay raise.” という文など、単語自体はそれほど難しくなくても、”ask him”が繋がって聞き取りづらかったり、”about”のaが弱まってbautという存在しない単語に聞こえたり、最初の方は音声の通りに書き取れない部分がちょこちょこありました。
一緒に発音練習を繰り返し、日本語発音との違いやリエゾン(音の繋がり)、英語のリズムに慣れていくと2-3ヶ月後には音声を2回流せば9割以上書き取れるようになっていました。
合わせてシャドーイングも取り入れ、英文を前から処理する力や音声のスピードについていく力を鍛えてもらいました。
精読演習の効果も相まって、高3春の本番ではリスニングセクションで9割近い得点をマークし、見事英検®2級合格を手にしました。
真面目に毎日シャドーイングに取り組んだ努力の賜物だと思います。
結果
■結果:英検2級合格
生徒とのエピソード
Kくんは今時のおしゃれ高校生という印象でした。
部屋のインテリアも凝っていて、そのこだわりや500円で買った古着の話など、毎回日々の出来事を楽しそうに報告してくれました。とにかく喋るのが好きで、こちらが止めなければ授業時間全て雑談で終わるのではないかというくらいの勢いでした。
そんな饒舌なKくんですが、ずっとスポーツをやっていたこともあり、一度やることが決まると着々と量をこなして実力をつけていきました。
量をこなせる人が効果的な学習方法を身につければ鬼に金棒。
Kくんは結局英検®2級利用は使わず、英語を得点源にして志望校の明治大学商学部に合格しました。将来は起業を考えているそうで、持ち前の明るさと粘り強さで夢を実現するだろうと思っています。
同じ英検®2級取得を目指す受験生へのアドバイス
英検®2級に限らず、過去問や問題集を解きっぱなしにしている生徒さんは多いです。
英検®準2級くらいまではなんとなく過去問を解くだけでも合格できるかもしれませんが、英検®2級からはきちんとした復習なしでは合格は厳しいです。
本文で出てきた文法・構文や選択肢の単語もわからないものがあれば辞書で例文をチェックして覚える。不正解の設問はなぜ間違えたのか(設問の意味を読み違えたのか、本文を読み違えたのかetc.)や正解の選択肢になる根拠を考える。
リスニングは正解不正解に関わらず、音声を何度もリピートして聞き取りの精度を上げる。
こうした復習が合否を分ける鍵となります。
やってる感があるので次々と新しい問題を解きたくなる気持ちはわかりますが、復習の質を高めることにも目を向けてみてはいかがでしょうか。
英検®2級は共通テストと似たようなレベルで、本格的な受験勉強の第一歩。盤石な復習習慣は英検®2級合格はもちろん、夢の志望校合格のためにも強力な武器となるはずです。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
※このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
英検®感覚で問題をとくのではなく、根拠をもって解答できるように英検®準1級に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 高1の11月頃(翌年9-10月実施の英検第1回テストに向けて)
■指導内容: 英検®準1級対策
■塾・予備校名: メディックTOMAS
■指導回数: 週1回
■指導形態: オンライン
溌剌な印象のNさんは小さい頃に英会話をやっており、高1で英検®2級に合格するほど英語は得意科目でした。
医学部を目指しているものの志望校は決まっておらず、受験までだれてしまわないように英検®準1級合格を高2の目標に設定されていました。
自分なりに過去問で対策していて、自分が書いた英作文が合っているのか心配でチェックの仕方もわからないということでした。
長文も読めているはずなのにポロポロ落としてしまう。英作文の添削と合わせて長文での失点原因と対策、学習方法の改善点を指摘してほしいとのことで家庭教師のご依頼がありました。
体験授業でわかった問題点は2つ。
•長文の一文一文は訳せているが、ところどころ文章の内容自体は理解できていない。
•作文は感覚で書けてしまうが、細かい文法や語法ミスが目立つ。
小さい頃から英会話で基礎を作ってきた分優れた感覚を持っていましたが、一方で文法や段落構造をもとに理詰めで考えるということはあまりやってこなかったようです。
指導内容
上述の通りNさんの課題は作文に使える文法・語法力を鍛えることと、表面的な訳に止まらず各段落の内容を正確に理解するための読解力を身につけることでした。
作文については毎回自由英作文や和文英訳の課題に取り組んでもらい、添削した上で使い方を間違えた文法や語法に焦点を当てて解説→類題の作文に取り組むという流れで進めました。普段感覚で書いている英作文を、文法的観点から見直してもらう狙いです。
例えばある英作で「言論の自由」を”a freedom of speech”と訳したNさんによると、なんとなくaがつきそうと思ったとのこと。そこでaはa restaurantのように「何個かあるうちの1つ」を示すというルールを理解し、a freedom of speechだと「いくつもある言論の自由のうちの1つ」という意味になってしまうためaはいらないことを確認します。
次に理解を定着するためa(an)/the/無冠詞を区別する和文英訳の問題を画面共有し、口頭で取り組んでもらいます。口頭の回答も全てタイピングして復習用に記録を残します。正解不正解に関わらず、なぜそのように書いたのかを説明してもらいます。
このような演習を他の文法事項でも繰り返し行いました。
長文については「抽象のはしご」「ピラミッド原理」などの文章構造を学習し、段落ごとの要約をしたり段落内における各文の役割を考えたりしながら、より国語力の部分に焦点を当てて精読に取り組みました。
学習状況の変化
しつこく文法・語法に焦点を当てた英作文演習を繰り返した結果、感覚でなんとなく冠詞をつけたりしていたのが、「ここは文脈的に特定されると思ったのでtheをつけた」など自分の回答を説明できるようになっていきました。
さらに授業内で同じ内容を別の言い方で表現する練習も取り入れていたので、語法が曖昧なものは避けて自分の言いたい内容を表す力がついていました。
例えば「言論の自由が保障されるべき」と言いたいけど直訳できない時は、「人々は自分の考えを自由に表現することが許されるべき(People should be allowed to express their thoughts freely.)」というように簡単な表現を使って言い換えられるようになっていたのです。
長文読解に関しては文章構造について学んだことで、自分の回答の根拠を説明できるようになっていました。
以前は感覚で解いていたのが「選択肢2は前の文の具体例になっている。選択肢3は段落に直接関係のない話をしている」というように、なぜその解答が正解なのかあるいは不正解なのかを深く考える力が身についたのです。
また長文の復習時は新出単語だけ調べていましたが、英作で気になった部分(theの使い方やofの使い方、that節の使い方や節内の時制等)を気にしながら再読するように指示していました。
その結果長文は読めればOKという姿勢を改め、「英作文のために使える表現を身につける」という目的意識を持った復習をするようになりました。
英作文・長文読解ともに感覚だけに頼っていた状態から脱却したNさんは、効果的な自学習ができるようになり、みるみる実力をつけていきました。
もともとは高2の10月実施の第2回テストを受験する予定でしたが、予定を繰り上げて6月実施の第1回テストを受験し、見事英検®準1級合格を勝ち取りました。
結果
■結果:英検®準1級合格
生徒とのエピソード
Nさんはとても話し上手で、おすすめのドラマを紹介してくれる時はまるで予告編を観ているかのように引き込まれました。
学習面ではかなりの努力家で、同じ英作文でも別解を書いてきたり、「こういう風に書きたかったけど自信なくてやめたんですがどうですか」など、複数の可能性を探る姿勢を持っていました。
短期間で英作文・長文読解ともに大きく実力を伸ばせたのは、授業で学んだことを覚えるだけでなく、その知識を応用して常に前進しようとする探究心があったからだと思います。
Nさんは現在美容皮膚科医になるべく、医学部を目指して受験勉強に励んでいます。
同じ英検®準1級取得を目指す受験生へのアドバイス
英検®準1級になるとなんとなく和訳はできるけど設問は間違えてしまうということが起こります。
一文一文をただ和訳するだけでなく、「各段落ごとの内容を要約できるか」「各文の役割を説明できるか」など、国語力的な部分にも注目して長文読解に取り組んでみましょう。
また長文読解に使われる文章は本場の文章のプロが書いた実践的な表現の宝庫です。自分の英作文に使える表現がないか目を光らせて長文を復習する時間も設けてください。
そして英検®準1級は身近な内容が主に扱われる英検®2級とは異なり、アカデミックな語彙、内容も頻出します。CNNなどの英文記事を積極的に読んだり、TEDなどのプレゼンテーション動画を見る時間を作り、高度な英語にもどんどん触れていきましょう。
語彙を増やしながらリスニング力やリーディング力も鍛えられて一石二鳥ですよ。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
※このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
英検®例文と一緒に覚える単語学習と効果的なシャドーイング演習で英検®準1級に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 高2の4月頃(翌年5-6月実施の英検第1回テストに向けて)
■指導内容: 英検®準1級対策
■塾・予備校名: 家庭教師のみ
■指導回数: 週1回
■指導形態: 対面
Sくんの第一印象は非常に人当たりの良い好青年という感じでした。
単語はたくさん覚えているが長文とリスニングの対策がわからないとの悩み。受験予定日までは時間がありますが、学習方法やリスニングのコツを教わりたいとのご希望で家庭教師をご依頼されました。
授業開始前の自宅学習では英検®準1級の単語帳を半分ほど終えていて、文法参考書も2周目に入っており、基礎知識は悪くない状態でした。
ただ実践面で問題がありました。
単語はある程度覚えているものの例文を活用していないため、長文で出てきた時に文中での意味がうまく捉えられないことが多々ありました。
例えばsignificant=重要な、と覚えていてもa significant increaseと出てくると「重要な増加??」と戸惑ってしまいます。さらに構文や基礎単語の語法にも不安があり、分詞構文や「of+名詞」で形容詞の役割をする使い方などがわからず、長文の正確な理解に支障をきたしていました。
リスニングとライティングは英検®2級の受験前に過去問を解いた程度で、ほとんど対策はゼロでした。発音はカタカナ発音に近く、単語の聞き取り自体苦労している状態。ライティングは単語をそのまま置き換えて書く癖がありました。
指導内容
上記の通りSくんの課題は単純な暗記になってしまっている知識を長文読解やライティングで活用できる実践的なものに変えることでした。リスニングに関しては基本的な発音から改善する必要がありました。
そこで取り入れた学習内容は以下のとおりです。
■単語学習は必ず例文と一緒に覚える
単語力とは「distinguishの日本語は?」のような一問一答のクイズに答える力ではありません。「distinguish fake diamonds from genuine ones.(偽物のダイヤと本物を区別する)」「He’s distinguished as a scientist.(彼は科学者として有名だ)」などのように一緒に使う目的語や前置詞、どういう文脈で使うのかといった有機的な知識を蓄えていく必要があります。
授業では例文の重要性を繰り返し伝え、復習チェックの際には該当の単語を使って例文を作ることができればクリアとしていました。覚えにくい単語はSくんオリジナルの例文を作ってもらい、記憶への定着を測りました
■細かい文法も意識しながら長文を読む精読演習
文法知識の基礎ができているSくんでしたが、長文を読む際にはなんとなくの流れで読んでいて意味を誤解するところがいくつかありました。
過去完了なら何を基準にさらに過去の話をしているのか、ここでのwouldやasは何を意味しているのかといった細かい意味や文法機能まで確認することで、正確に意味を理解する力を養いました。
■音声知覚自動化のためのシャドーイング演習
リスニングのスクリプトを見ながら音声と同時にSくんに発音してもらい、発音できていない箇所はフレーズごとに練習しました。
例えば「turn it in」という発音は自然に発音すればnとi, tとiがくっついたりtの音が変化したりします。口の動きや舌の位置の説明も取り入れながら、音声と同じように発音できるように毎回シャドーイングの練習時間を設けていました。
単語の発音自体が怪しい場合は発音記号を見ながら日本語の母音との違いなどに注目し適宜基礎発音練習を行いました。
発音が正確にできるようになると英語の音声を認知するストレスが減り、より内容に集中ができます。頑張って文脈から推測しなくても各単語を正確かつ楽に聞き取る力をつける狙いで発音練習を積極的に取り入れました
■直訳からの脱却を目指すライティング演習
和文英訳のテキストでまず単語を単純に置き換える癖を取り除くことを目指しました。合わせて直訳だと不自然になりそうな場合にどのように言い換えることができるかを考えるパラフレーズ演習を行いました。
学習状況の変化
単語帳の学習範囲からランダムで作文チェックするようにしたことで、単語の意味だけをひたすら詰め込んでいた状態から脱却し、必ず例文と一緒に覚える語彙学習の習慣が定着しました。
それで英語の語感を養う重要性に気付いたのか、Sくんから英語を英語のまま理解できるようになりたいという意識の高い発言が飛び出しました。その希望に応えるべく、授業内で英英辞典を使ったり、長文演習中に出てきた新出単語も講師の私が英語で意味を説明したり例文を口頭で伝え、Sくんが推測するアクティビティも取り入れました。
しつこく取り組んでいたシャドーイングの成果も2-3ヶ月経った頃から徐々に現れていました。最初はテキストを読みながらでも音声の発音についていくのに苦労していましたが、回を追うごとに発音に余裕が出てきて、同じテキストを繰り返し練習すればスクリプトの助けなしでシャドーイングができるようになっていました。
ディクテーションをやってみても1回で書き取れる単語が増え、例え知らない単語であっても発音からおおよそのスペルを推測できるまでになっていました。「発音がわかるようになり、内容に集中しやすくなった」とSくん本人も手応えを感じている様子でした。
さらにシャドーイングの効果は長文読解にも及び、半年で1.5〜2倍ほどのスピードで読めるようになりました。
ライティングに関しては「言論の自由を損なう」→「自由に自分の考えを表現できなくなる」など、簡単な日本語に言い換える練習を繰り返し行っていました。
徐々にパラフレーズに慣れ、「英語で学習を深めることができる」→「英語を使って他の教科についてもっと学ぶことができる」のように具体的に言い換える力が身につき、シンプルな英語で合格点を取れる解答を作ってくるようになりました。
単語帳一辺倒だった学習を改善し、4技能をバランスよく鍛えられる学習習慣を身につけたSくんは、仕上げに過去問演習で着実に弱点をつぶしていき、高3の春に「英検®準1級受かりました!」と素敵な笑顔で伝えてくれました。
結果
■結果:英検®準1級合格
生徒とのエピソード
Sくんは非常に話し好きで「もし1億円当たったら何したいですか?」などの突拍子もない雑談を仕掛けてくる生徒でした。くだらない冗談でも爆笑してくれるので毎回賑やかな授業になっていました。ちなみにSくんは肉が好きで、1億円当たったら世界中の肉を食べながら旅行したいそうです。
学習面ではやり方にこだわりがあり、学習習慣を変えるまでは少し時間がかかりました。それでも一度なぜその学習をやる必要があるのか腑に落ちると地道に努力し続ける強さがありました。
素直であることも強みになりますが、一つ一つの学習の目的を理解しようとすることはそれ以上に大切なのかもしれません。
同じ英検®準1級取得を目指す受験生へのアドバイス
英検®準1級は馴染みのない単語が一気に増えるため、効率よく大量の単語を覚えようと英単語とその和訳だけを一対一で暗記する生徒さんは多いです。
一見効率が良さそうですが、丸暗記になってしまうため忘れやすかったり、同じページの他の単語と混同しがちです。仮に覚えられていても用法が身に付いていないため、長文で出てきた時に正確な意味がわからずに誤読してしまう可能性が高いです。
単語は必ず例文の中で覚え、できれば英英辞典も活用して用法と一緒に身につけることをお勧めします。単語帳の英単語だけでなく、当然長文で出てきた新出単語は繰り返し復習して覚えましょう。
最後にシャドーイングはリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの全てを鍛える最強の学習法です。面倒くさがらずにぜひ取り入れてください。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
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