指導実例インタビュー
圓井先生
指導実例インタビュー
圓井先生
合格実績(五十音順)
青山学院大(経済・法・文化政策・理工)・大阪大(文・工)・学習院大(経済・法・理)・慶應大(文・経済・法・商・理工・薬・総合・環境)・上智大(文・理工)・中央大(経済・総合政策)・筑波大(理工)・東京大(文一・文二・理一・理二)・東京外語大(言語文化)・東京工業大(理・工・生命理工)・東北大(法・歯・工)・一橋大(法・経済)・北海道大(理)・明治大(政治経済・法)・立教大(経済・経営・法)・早稲田大(文・政治経済・法・商・スポーツ・基幹理工・先進理工) 他多数
単語力・語彙力の大切さを実感! 慶應大学に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 浪人1年目3月
■指導科目: 英語
■指導回数: 週2回(1回2時間)
Sさんは、ご本人の浪人1年目が決定した3月に初めて授業をした生徒さんでした。高校3年の時には河合塾に通っていて、家庭教師はつけておられなかったようです。当時の河合塾記述模試で1番良かった時で、英語の偏差値が53とのことでした。国語と社会はかなり得意で、すでに偏差値が60台後半から70位出る時もあったようですが、英語だけが中学時代からの苦手科目だったようです。浪人を始めるにあたり、まず他の科目とのギャップを埋めるべく、英語力を早期に上げていきたいと熱望されていました。
Sさんは小学校からずっとバスケットボール部だったこともあり、かなりハキハキとした性格で、また結構な読書家だったようで、お話しする際の日本語のボキャブラリーや話題も豊富でした。英語学習上の問題点としては、国語が得意な方に多いのですが、どうしても「少ない単語力でも英文を類推で読む」習慣が無意識についてしまっていたことでした。いわゆる「フィーリング読み」が否めないタイプです。その推測が当たると、長文全部を読まなくても、ほぼ趣旨が把握できることもありますが、外れた場合にはその想像力ゆえに、全く違う方向にそれてしまうリスクがあります。なまじ日本語思考力には自信があるがために引き起こされる悲劇です。
Sさんは将来弁護士か官僚になり、自分の能力を活かし社会貢献をしたいという強い思いから、高校2年の時に慶應大学法学部を第一志望にすると決心したそうです。
指導内容
まずご本人に前述の「フィーリング読み」から脱するにはどうするべきか、自分で考えてもらうよう促しました。そのために、最初の数回はやや難しめの長文をいくつか解いてきていただき、その後授業で精読して、なぜここを間違って読んだのか、なぜここをすんなり読めたのか、と吟味しました。すると、いかにご自分が単語力・熟語力がないのに、日本語の頭で読んでしまっていたのかを、具体的に実感されたようです。
また意外なことに中学レベルの文法でも、欠落した知識があることがわかりました。
こうした自己認識をしていただいた後で、やはり基礎力強化が合格への最短ルートだと納得していただき、単語・熟語・例文暗記テストは必ず毎回行うこと、文法でも中学レベルからやり直すこと、その上で長文や作文にも取り組むことという方針を提案しました。その後授業では素直に課題をこなし続けてもらい、コンスタントな実力養成を行うことができました。
学習状況の変化と成績の推移
■成績推移: 開始時偏差値59 → 最高時偏差値78(河合全統記述模試)
当初どうしても基礎に立ち返ることに対してプライドが許さないところがあったのか、Sさんは「まず長文をいっぱい読みたい」と強く要望していましたが、前述しましたようにそうした長文読解でも、いかに基礎力が抜けているかを自覚してもらった後は、非常に謙虚にインプット作業に取り組んでもらえたため、着実に勉強が進行していきました。
単語・熟語・例文暗記チェックを毎回必ずやり、文法、和訳、長文読解問題集を並行してノートチェックするスタイルを取りました。それを8月いっぱいまで続け、赤本には9月以降取り組み、慶應大学中心にMARCHに至るまで、まんべんなくこなしていきました。
12月終わりの段階で慶應大学法学部の問題でも80%以上の得点率を何回も出される状態にまでなりました。
英語の偏差値の推移としましては、3回受けた河合塾記述模試で、59→65 →78でした。また秋の河合塾慶應大学オープン模試で74でした。第2回駿台全国模試では73でした。
結果
■進学先: 慶應大(法)
■他の合格校: 慶応大(経済、文)、早稲田大(商)、上智大(法)、明治大(法)、中央大(法)、東北大(法)
生徒とのエピソード
Sさんは快活な体育会系女子で、おそらくは同性の友だちも多数いるリーダータイプの人でしたが、反面1人で考え込んだ時に気づけばネガティブモードになり、誰にも相談できず長々と「プチ鬱」状態を引きずることもあったようです。
授業を始めて3ヶ月後位の初夏、その日の終わり際の雑談で、徐にそのことを打ち明けてくれました。ああ、こんなに明るいタイプの子でも、やっぱり受験期の不安感は慢性的に拭えないのだなと実感しました。何も気の利いたことはアドバイスできませんでしたが、その後もそうしたお話をされる時に、「そうなんだ」と傾聴を続ける中で、ある日、「なんか気分がすっきりしてきました」と言ってもらえ、こちらは何もしていないのですが、ちょっとは役に立ったのかなと思い嬉しくなった記憶があります。
慶應大学法学部を目指す受験生へのアドバイス
英語の問題は質量ともに私立最高レベルだと思いますが、そうした中でも半分ぐらいは基礎力確認問題です。
それからやや難しいのが、多義語の知識を問う問題です。そのレベルまでの対策をしっかりし、それ以上に難しいあるいは深すぎる問題はほぼ皆さんできないので、「捨て問」として切り捨てる勇気も、大切な能力です。その姿勢を貫くだけでもSさんは、本番の法学部の問題で80%以上得点できていました。
基本が完璧なら、1を100にできます。今一度、本当の意味で基本に立ち返ることができた謙虚な人が、気づけば想定外の高みにも到達できるのだと思います。
基礎力を徹底的に仕上げる! 上智大学に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 浪人1年目3月
■指導科目: 英語
■指導回数: 週1回(1回2時間)
M君は難関私大文系の現役合格が叶わず、予備校には通わないで自宅浪人することに決め3月に授業を開始した生徒さんでした。高校3年生の時にも家庭教師だけがついていて、大手予備校には通っていなかったそうです。河合塾記述模試では第3回が1番よく英語の偏差値は55だったとのことでした。社会は日本史選択で相当得意だったようですが、国語と英語がそれに比べかなり見劣りする成績でした。実際に現役で様々な大学を受ける中で英語の重要性を痛感し、浪人決定後早々に、まず英語の授業から開始したいとのご要望でした。
M君は中学校・高校と水泳部で、部活動に明け暮れた青春時代だったとよく語ってくれました。自他共に認める「石橋を叩いても渡らない頑固さ」がかなり印象的な生徒さんでした。ですので、授業方針やテキスト決定にも授業3回目でやっとはっきりと決められた位で、なかなかご自分で納得しないと何事も進められないタイプでした。即断即決が異常なまでに重視される今の日本社会にあって、年齢からして稀有と言ってよいほどの懐疑主義者でした。一方でその頑固さをなんとか受験で活用できないかと、御本人も御父兄も切望しておられました。
そんなM君の将来の夢は弁護士になり、少しでも社会正義のために貢献できる人材となりたいという崇高なものでした。
指導内容
まず頑固なM君にこれまでの学習習慣を客観視してもらうことから始めました。その頑固さゆえに急に新しい提案をしてそれをトップダウン的に課したとしても、おそらく早々に嫌気がさしてしまうかもしれないと危惧したからです。実際にやってきたことを紙に書き出していただき、これまでご自分が好んで長文読解ばかりをやって点数を取ろうとしていたこと、その反面、基礎である単語・熟語・例文暗記などをほぼ習慣化してやってこなかったということを自覚してもらいました。あんなにたくさんの長文を読んできたのに、入試本番で歯が立たないことが多かったご自分にも目でわかる形で納得してもらうべく、具体的にアウトプットしてもらいました。
その上で、単語・熟語・例文暗記テストの毎回授業時のチェック、そして文法も高校初級レベルから見直すこと、その上でこれまでより若干ハイレベルな長文読解テキストにも取り組んでいくスタイルを提案しました。そして授業第4回目から受験終了時までほぼブレがなく課題もこなしてもらえたので、着実に力をつけていただけました。
学習状況の変化と成績の推移
■成績推移: 開始時偏差値55 → 最高時偏差値72(河合全統記述模試)
もともとに頑固な性格のM君は、逆に一旦納得するとその方針を絶対に曲げないとの信念に変えてもらえたようで、想定外に順調にことが進みました。とりわけ大手予備校等に通うわけでもなく純粋な宅浪をされる受験生は、梅雨時や秋口などに相応のスランプに陥りがちなのですが、それほど目立った上下もなくコンスタントに日々課題をこなしてもらえました。それ以前に習慣がなかった基礎情報のインプットも、8月下旬頃には単語帳・熟語帳・例文集それぞれ1冊ずつをほぼ完璧に仕上げることができていました。もちろんその後もご自身の強い要望で、基礎チェックを受験終了時まで油断なく毎回続けました。
そして夏以降の模試では努力量に比例するかのように上昇気流に乗り、河合塾全統記述模試・マーク模試などでも着実にステップアップしていきました。
M君の性格上、あえて赤本の取り組みをやや遅くしたほうが効率的だと判断し、10月下旬になって初めて上智大学やMARCHの過去問に取り組みました。今でも鮮明に覚えていますが、「1年前にはあれだけ歯がたたなかった上智の英文が、なんでこんなにはっきり速く読めるんだろう」と何度となく仰っていました。年内には志望校過去問のほとんどで75%以上、ときには90%台の得点力を身に付けられました。そして最終授業の時、「1年やって分りました、単語と熟語をずっとやってきたのがよかったです」と、しみじみ語ってくれました。
英語の偏差値の推移としましては、3回受けた河合塾記述模試で55 → 64 → 72でした。
結果
■進学先: 上智大学(法)
■他の合格校: 上智大学(法・経)、明治大学(法・政経)、立教大学(法・経)、中央大学(法・経)
生徒とのエピソード
最初の1・2ヶ月は宅浪ということもあり、学習ペースをいかに生活リズムとマッチさせるかに四苦八苦されていたようです。そんなある時、今も水泳はやっているの?と尋ねましたら、ほとんど家にいてたまに近くを買い物で散歩する位だと言うので、少なくとも週に1回位は気晴らしに水泳に行ったらどうかと勧めました。その後週末に区民プールに行くようになり、逆に勉強にもリズムが出て役立ったとのことでした。
また自宅に愛猫がおられ、いつも授業中に自室のベッドでごろごろ寝ていたりしていましたが、「こっちのテンションが低いとなぜかこの子が遊んでくれと言ってきたりして自然と癒されるんですよ。」と堅物頑固な彼が時に微笑んで打ち明けてくれました。こうしたギャップは嬉しいサプライズでした。
上智大学法学部を目指す受験生へのアドバイス
上智大学の入試英語は、言わずと知れた質量とも日本屈指のレベルの問題です。とは言え、M君のように最終的に理想の状態に至るためには、やはり単語力・熟語力・文法力といった「小さなことの積み重ね」でしか成し遂げられないと思います。たまたま学校のテストや模試等でそういう勉強をしていなくても出来たという経験があるかもしれませんが、その意識で受験勉強を進めていくと、再現性がかなりあやふやで、多大なリスクを抱えたまま本番を迎えることとなります。受験生としてあらかじめリスクを回避するには、何を持っても基礎力の徹底的な充実が不可欠です。焦る気持ちを、日々習慣化して基礎力アップに努めるエネルギーに転換し、年間計画を志望校合格レベルから逆算した上で、月割・週割・日割の目的を書き出し、コンスタントに進めていくことが最短ルートだと思います。
情報洪水のこの時代、受験情報もある意味無限にあるかのように思われます。そんな中で最も単純なことを、受験生誰しもが忘れやすくなってしまうという事実、そしてM君のように見事に第一志望校に合格していく生徒さんが、結局は基礎の大切さを実感して受験を終了していく様を見るにつけ、「知的謙虚さ」こそ、受験の至高の技術だと確信しています。当たり前なことを異常なまでに繰り返す中で体得した知識は、紛れもなく一生ものの無形財産になると思います。
文章の好き嫌いを見事克服。 早稲田大学に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 浪人1年目4月
■指導科目: 英語
■指導回数: 週1回(1回2時間)
Iさんは難関私大法学部の現役合格を目指し、高校二年生の時から大手予備校に通っていましたが結果が出ず、予備校と家庭教師を併用する形での浪人生活をスタートさせた生徒さんでした。高校3年生の時の前期は予備校カリキュラムに沿って全て出席していましたが、夏休み明けからは苦手だった英語だけ受講する形にしていたとのことです。駿台判定模試では英語の偏差値は最高値で57、全国模試では51だったとのことでした。
あいにく英語に関しては、秋口にいざ第一志望の早稲田大学法学部の赤本に取り組んでみたものの、「全く歯が立たなかった」とのことでした。御本人の言葉をそのまま引用しますと、「ずるずる惰性のままに受験が始まって、気づいたら全部終わっていた。」そうです。こうした経緯で、浪人生活で英語は家庭教師、他科目は予備校、という選択をされました。
Iさんは中高ダンス部で、小柄ながら快活な印象の生徒さんでした。「B型だから」集中するところとそうでないところが極端に出てしまうのが短所でもあり長所でもある、と自己分析されていました。確かに、英語学習歴をヒアリングした限りでは、単語帳は結構やりこんだけれど熟語はほとんどやっていなかった、とか、論文調の文章でも心理学系は大好きで読みたくなるけれど、社会系のものは最初から読む気がなくなる、といった具合でした。こうした好き嫌いは受験ではマイナスでしかないことも重々承知でしたが、どう直せばいいのか全くわからない、とのことでした。
そんなIさんの将来の夢は、できれば外資系企業に就職し、海外移住生活をしたい、というものでした。
指導内容
Iさんのように好き嫌いが激しい生徒さんの場合、最終的にどんな問題が来ても平気な状態にするには、理屈を越えて習慣の力を借りる以外に方法はないと考えました。具体的には、出来るだけ様々なジャンルの話題が豊富に取り挙げられている長文問題集を選び、毎日1題必ず取り組んでいくことをノルマとしました。
また、単語帳を毎日チェックするのはもちろんですが、熟語帳と例文暗記・文法問題集にもうまく分散して時間・エネルギーをかけて取り組んでもらえるようメニュー設定しました。そして半年・3ヶ月・1ヶ月・1週間の課題を逆算し紙に書き出して、まず1ヶ月この形で続けてみましょう、と提案しました。
結果、1ヶ月間しっかり取り組んでもらえました。ちょうど2ヶ月目が始まる授業の日に、開口一番「このシステムを続けないと不安になりそう」と、ご自分から自発的に言っていただける状態になりました。
学習状況の変化と成績の推移
■成績推移: 開始時偏差値51 → 最高時偏差値71(駿台全国模試)
自他共に認める「気分屋」だったIさんは、授業開始後1ヶ月目にして「自分は変われる」と確信したようでした。今振り返ってみましても、単語・熟語・例文暗記・文法といった基礎インプットを、その後受験日程終了時まで、むしろ模範生と言っていいくらいのパフォーマンスでこなしてくれました。夏休み明けの9月・10月で一度スランプが来るだろう、と勝手な予測をしていたのですが、見事に裏切られました。「習慣を止めるのが怖い」が口癖となって、非常に積極的な意味合いで自分を追い込み続けてくれたのです。当然の結果とも言えますが、模試の成績も着実に上がっていきました。
早稲田大学法学部の赤本に取り組んだのは10月に入ってからでした。最初の2年分は、あの圧倒的な文章量とユニーク極まりない出題傾向にパニックとなり、正答率は40%前後でした。ですが、型式は長年ほぼ変動のない出題でしたので、やった問題を一緒に最適化する工夫を微に入り細を穿って検討しました。すると3年目からは慣れてこられ、正答率も徐々に上がり、5年目を過ぎた頃からは合格最低ラインの60%を超え、10年分やった中での最高値は80%近くまで伸ばすことができました。当然のことですが、模試の自己記録更新も続けられ、モチベーションもさらに高まる、という好循環が生まれました。年末には「英語の勉強が楽しい」と言ってもらえ、ああ、この子にはこのやり方が正解だったんだ、と帰りの電車で感慨ひとしおになりました。
英語の偏差値の推移としましては、2回受けた河合塾記述模試で57→ 68、同じく2回受けました駿台全国模試では、51 →71でした。
結果
■進学先: 早稲田大(法)
■他の合格校: 早稲田大学(文化構想学部・商)、慶應大学(経済)、明治大学(法)、中央大学(法)
生徒とのエピソード
Iさんの唯一の趣味は漫画を描くこと、とのことでした。友人同士で小さな同人誌を半年に1回出していたらしく、見てみたいという私に、恥ずかしがりながら見せてくれました。私は普段漫画を読まないのですが、本気で「プロじゃないの?」と言ってしまったほどの腕前でした。ストーリーはどうやって思いつくのか聞いてみましたら、すきな歌の歌詞から自分で連想・イメージした世界をただ真似して絵にしているだけだけです、とのことでした。「真似る」って「学ぶ」の語源だよ、と伝えますと、素直に喜んでくれました。
また、そうした連想やイマジネーションの感覚を、長文読解のときにも気軽に意識して応用してみたらいいんじゃないかなと言いますと、早稲田にはエッセイや小説は出ないですから違う気がします、とキッパリ答えられました。逆に同じ長文でも論文調のものとエッセイ・小説とは全く違うとはっきり意識できていたことにも、感心しました。
早稲田大学法学部を目指す受験生へのアドバイス
早稲田大学法学部の問題は、全てマーク式なのにも関わらず、小手先の知識や技術ではほぼ太刀打ちできない工夫が随所になされています。たとえば、長文内容一致問題では、選択肢を単語レベルで追ってしまうと見事に引っ掛けられるようになっています。つまり、文字面を超えて「解釈」する必要があるのです。こうした問題に適切に対処するには、正確で豊富な基礎知識はもちろんのこと、「ここはつまり、〇〇ということだ」と、自分の言葉で言い換えられる思考回路を養成しておく必要があります。これには、現代国語の解釈力も連動してきますので、そちらも意識的に対策した方がいいでしょう。
ただ、全てが全て闇雲にひねられた問題ばかりではありません。例年合格最低ラインは60%前後ですので、英語が苦手だけれど足を引っ張りたくない方で60%、得意で出来るだけ稼ぎたい方で80%弱を目処に最終調整して臨まれるのが現実的かと思います。いわゆる「捨て問」を設定しておくことも非常に有効です。高得点勝負ではない分、逆に様々な工夫でボーダーをクリアできますので、ご自分の実力と性格を、受験勉強をしながら文字通り「自覚」し、身の丈にあった最適な受け方をされるのがいいと思います。
ただ、基礎反復は受験日程終了時まで必ず続けるべきです。最終的にはスポーツで言います「筋肉トレーニング」に当たる「基礎力養成」をしっかり継続できた人ほど合格確率は高まります。何かに我を忘れて集中するという体験は、全く違う文脈であっても、その後の人生にとってかけがえのない礎石となります。外野のノイズを遮断して、がむしゃらに取り組んでみてください。
単語・熟語のインプットを習慣化。上智大学に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 浪人1年目5月
■指導科目: 英語
■指導回数: 週1回(1回2時間)
Kさんは、ご本人いわく、現役時には世界史と現代国語が比較的得意だったものの、英語と古文の学習は後手に回ってしまっていたとのことでした。勉強時間自体も好き嫌いのため偏りがあり、模試の結果もそれにほぼ比例するものだったそうです。そのため、現役時にも第一志望だった上智大学経済学部の入試でも、試験を受けている最中に、詰まるところ英語の伸びが足りてなかったことを痛感させられたと語ってくれました。
Kさんが個人指導を希望した理由は、受験現場でこうしたリアルで苦い体験をしたからだったようです。どうしても頭では分かっているはずの習慣化に基づくステップアップが、英語の場合特に自分ではできなかったとも仰っていました。
性格は、温厚な雰囲気の中にも何か秘めた筋がある感じを醸し出しているタイプでした。柔軟な理解力もある中で、どちらかといえばミクロよりマクロな視点で物事を把握したいという傾向が見られました。
学習上の問題点としては、やはり単語・熟語のインプット習慣が定着しておらず、その力の決定的な不足が最大のポイントでした。
一方で、上智大学経済学部への合格に対する意欲はシンプルに強く、平日でも時間があれば、東京四谷の上智大学本校に散歩に行くなど、イメージトレーニングも欠かさないとのことでした。
指導内容
当初、単熟語のボキャブラリィが高校初級レベルでしたので、まずはそれを夏の終わりまでに、入試必須レベルにまで上げることを第一目標としました。そのために、毎回の授業では必ずチェックテストをし、90%以上の正答率維持を心がけるように提案しました。具体的には、1週間の宿題を毎日のノルマとして逆算し、スケジュール表に書き込んでクリアしていくようにしていただきました。授業では、単熟語チェックテストのほかに例文チェックテストも行いました。メインとしては、文法テキストの添削解説・長文読解の読み合わせと解説を行いました。
単熟語・例文チェックテストでは、私が読み上げたものに対する問いと答え両方を音読しながらノートに書きとっていただき、それを適宜オンライン画面上に映し出してもらって確認、あるいはホワイトボードでスペリングチェックをするなど、細かな吟味を重ねました。また、文法や長文では、事前に私の側でテキストを写真撮影しておき、それを共有状態にした上で、画面上で書き込みをしながら解説をする、というスタイルを取りました。この手法は、とりわけ過去問対策の時期には非常に有効です。同じ視点で同じ教材を同時に扱えることは、対面とは違った主観と客観の融合がなされ効果的です。また、長文読解のポイントを私が書き込んだ後にスクリーンショットで貯めていただくことで、管理や再出力がしやすく、効率的に各学校対策の入試直前復習ができたと、ご本人から受験終了後に仰っていただけました。オンラインならではの手法で解説と復習のスタイルを効率化出来た良い例だと思います。
学習状況の変化と成績の推移
■成績推移: 開始時偏差値57 → 最高時偏差値72(河合塾全統記述模試)
授業開始直後の第一回河合塾全統記述模試では、英語の偏差値は57でした。それが8月末の第二回同記述模試では64、10月の第3回同記述模試では72まで伸びました。
Kさんはオンライン受講をしたことがなかったとのことで、最初の数回は慣れない様子でしたが、授業のテキストと方針が固定されルーティーンを理解できた後は、毎回リズムよく対応してもらえました。画面越しにもその様子が分かり、私もそれに合わせてややスピードを上げていくなど、双方向の「協力的関係」で築き上げる創造的な場となっていきました。ある授業では、ご本人から「写真共有の時に書き込み以外にテキスト入力もできますよ。」と教えてもらい、「そうなんだ!」と感激する私のスキルアップ・ヘルプさえしてくれるほどにオンライン授業に馴染んでいただけました。
オンライン授業は上記のような相互作業が多くなるため、主体的に自分事として授業に取り組む意識も強くなります。
結果
■進学先: 上智大学(経済)
■他の合格校: 明治大学(政治経済)、立教大学(経済)、青山学院大学(経済)、中央大学(経済)
生徒とのエピソード
Kさんは幼少期からピアノを嗜み、軽音楽部に所属する音楽好きな生徒さんでした。私は聞く一方の人間ですが、坂本龍一さんのコアなファンですので、彼の作品やバッハ、ドビュッシーのピアノ曲の話などでよく盛り上がりました。いわゆる絶対音感を持っていたようで、オンライン授業中、おうちのインターホンが鳴ったときに、「あ、今のはソの音です。」などと言ってくれたりしたのがとても印象的でした。
そして、上智大学受験、1週間前の授業では、その朝方に見た夢の中で、「ずっと反復を続けていた基本例文集を、モーツァルトのピアノ曲に乗せて弾き語りしちゃってました」と笑いながら仰っていました。
上智大学経済学部を目指す受験生へのアドバイス
上智大学経済学部の英語は、質量ともに私立大学トップクラスのレベルです。ですが、何もすべての問題がハイレベルと言うわけではなく、むしろ半分以上は基本事項の確認レベルです。それと交えて「超難問」も出題されるため、一般的に「難関」と位置づけられています。そうしたテストに対応するためには、受験生として、どの問題ができるべきで、どの問題はできなくても良いとその場で判断できる「嗅覚」も養っておく必要があります。むしろその判断が的確にできるかどうかが、最も大学側が受験生に試したい「英語力」なのかもしれません。
そのためにはやはり、基礎力の徹底的な底上げが必須です。上智大学経済学部の出題は、おそらく数多く在籍されているネイティブスタッフの方も作成に関わっていると思われますが、一般に流通しています受験用市販テキストでも充分対応可能です。大切な事は「何をやるか」以上に、「どうやるか」です。定評のある良いテキストを何回も何回も反復して基礎を磨き続けることが、上智大学経済学部合格の一番の近道だと考え、虚心坦懐にご精進されることをお勧めします。