指導実例インタビュー
高橋先生
指導実例インタビュー
高橋先生
合格実績(五十音順)
青山学院大(経済)・北里大(薬)・上智大(外国語・理工)・成蹊大(経済)・中央大(理工)・東京大(理Ⅰ)・東京医科歯科大(医/保健衛生学科)・東京電機大(工)・東京農大(農・応用生物・生命科学)・東京薬科大(薬)・東京理科大(理工)・法政大(理工)・明治大(理工・商) 他多数
中学レベルの文章から始め、第一志望の上智大学へ見事合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 高1
■指導科目: 数学→現代文
■指導回数: 週1回2時間
Iさんは、中学受験の時に算数を教えていた生徒さんで、3年ぶりの再開でした。推薦入試も狙っていたため、高1~2では評価点狙いで数学を教えておりましたが、高3になり一般受験を視野に入れたため現代文オンリーの指導に切り替えました。
現代文の指導開始時は、基礎的な語彙が欠如している状態(「卒倒」が読めないなど)で、高校入試レベルの読解問題は、正答率3割程度という状況でした。
Iさんは素直で真面目でしたが、高2までは外部に対して「閉じている」印象があり、大人に説諭をされても「何を言われているのかわからない」といった具合でした。語彙が極端に少ない生徒さんの場合、大人同士の会話や友人同士の会話、すなわち「他者」に関心が向かないケースが散見されます。言語というのはコミュニケーションの中で学んでいく部分が非常に大きいので、「自分以外の世界」に関心がなければ、なかなか伸びません。現代文を始めた当初は、そこに苦慮いたしました。
上智はかなりのチャレンジ校でしたが、そんな中でも不思議と諦めることなく「なにがなんでも上智!」というお気持ちでした。
指導内容
1) 語彙の習得
最優先すべきは語彙の習得でしたが、当初はかなり難航しました。なぜならば、「語彙の習得」を「辞書に書いてある文章を覚えること」と勘違いしていたからです。語彙の習得とは「言葉の意味を『理解』すること」とわかってもらうのに時間を要しました。
そのため、親御さんの了解を得たうえで「今の状態のままでは長い人生の中でも困難に直面するであろう」ことをシビアに伝える局面もございました。いささかショック療法でしたが、これは有効でした。Iさんも、高3後半では「あの頃の自分はまったく周りを見ていなかった。あのまま大人になっていたらと考えると本当に怖い…。」と話していらっしゃいました。
2) 文章読解
中学レベルの文章に戻り、ひたすら「音読」「精読」「ディスカッション」「要約」を繰り返しました。
あくまで持論ですが、国語が苦手な生徒さんに「問題集」をひたすら解かせるだけというのは意味がないと考えております。なぜなら、国語が苦手で嫌いな子ほど、早く済ませようとして傍線部の周囲しか読まないからです。ですから、都度私が適正レベルの文章をチョイスし、精読&ディスカッションを繰り返しました。読解力が上がってきた後半では、Iさん自身に問題作成もさせました。
3) 哲学の素養
高校現代文は、読解力だけでは読めません。たとえば、「世俗化」という言葉が出てきたときに「大衆文化」と捉えると誤読のもと、正しくは「宗教からの脱却」と読まなければならない、など、哲学の歴史・教養がどうしても必要になります。哲学の歴史がわかりやすく書かれた教材をもとに教養を学びました。これも非常に効果的でした。
4) 古文
文法は他塾で教わっていたのですが、「文法はわかるけど、実際に読むと何が何だかわからない」と苦労していましたので、ご希望を受けて高3後半から古文のサポートも始めました。とはいえ、私は古文文法について担当外であやふやな有様でしたので、「現代語訳のついているシリーズ」で、伊勢物語や徒然草などをかたっぱしから一緒に読みました。当時の文化背景や、古文独特の話の展開(現代小説とは違い、「著者」が度々顔を出すスタイルなど)に慣れてもらうためです。
このやり方は予想外に効果がありました。本人も面白くなってきたのかどんどん読み進め、古典のテストも安定して高得点が出せるようになりました。
☆オンライン授業の効果
Iさんは、高2まで対面授業→コロナ禍で高3からオンライン授業となりました。現代文の授業も、最初は対面→後にオンラインへと変化しました。
国語が苦手な生徒さんにとって、懸命に読んでいる最中に「大人の目が横から見ている」ことは、かなりプレッシャーになるようです。(まじめな生徒ほど、大人にどう見られているか、間違えたらどうしよう…という余計な気を遣うようですね)オンラインに切り替えてからは「読解に集中できる」と本人にも好評でした。
見守る方の私としても、適度な距離感から、口出し(「ここに書いてあるよ」など)を控えることができたので、お互いにとって良かったと思っております。
またオンラインですと、生徒が疑問を感じた場合にも、生徒自身が「言語化」する必要が自然と出てまいります。(対面授業でもそれを要求することは出来ますが、距離が近い分どうしても『察知』出来てしまうため、教師側の我慢が必要になってきます。)はじめのうちは「わからない」としか言えなかったIさんも、徐々に「この文章の、ここまではわかるけれど〇〇という言葉が何を言いたいのかわからない」など、具体的に質問ができるようになりました。漠然とした「わからない」に講師がすべて答えてしまうと、それはただの解説になってしまいますが、本人が疑問を具体的に言語化できた段階での講師の解説は、読解力の成長を大いに促すと考えております。
学習状況の変化と成績の推移
■成績推移: 開始時偏差値38 (模試名:駿台模試)→ 最高時偏差値 63
得点力としては、高1段階では中学生用問題集でも3割程度だったのが、高3後半では安定してセンター現代文9割を叩き出せるようになりました。Iさんも、「どんな文章でも読めない気がしない」と言っておりました。(読解教材としては、最終的には河合塾の「現代文と格闘する」が読みこなせるほどになりました)
高3後半では、ほぼ仕上がってしまっていたために、國分功一郎先生や養老孟司先生など、現代の思想家・哲学家の著作を丸ごと一冊一緒に読む「大学のゼミ形式」の授業に切り替えました。上述のような素養も身に付け、本番に向けて万全の体制が作れたと思います。
結果
■結果(進学先): 上智大学 外国語学部 英語学科
■結果(他の合格校): 東洋大学国際学部
生徒とのエピソード
講師の言葉を疑わない素直さ、盲信と言ってよいほど講師を信じたことが、彼女の勝利につながったと考えております。具体的なエピソードとしては、私の読んでいる本は全部追いかけて読もうとするほどでしたし、文房具やノートの書き方も私の真似をしておりました。それだけの姿勢で臨めば吸収力も段違いで、指導する側としても教え甲斐のある生徒さんでした。
上智大学を目指す受験生へのアドバイス
現代文は、基本的に評論文のみで小説は出ません。評論文の内容は高度ではありますが、抽象的過ぎて哲学などの素養がないと手も足も出ないタイプの文章ではありません。丁寧に読んで骨子を理解し、頭の中で要約できる力を養えば十分に読めます。今現在、現代文が苦手ならば、問題集をたくさんこなすのではなく、「精読&要約」をお勧めします。コーチがいれば、コーチとディスカッションをするのも効果的です。
ある程度の読解力がついた後、過去問などにチャレンジしていくことになると思います。その際の難しさとしては、選択肢問題ゆえのものがあります。選択問題が記述問題より簡単というのは誤解です(記述の方が得点しやすいです)。「選択肢の文章を正しく理解し、罠にはまらない」鍛錬が大事です。選択肢を正しく読む訓練には、センター現代文が役に立ちます。「選択肢を要約する、言い換える」練習を多く行ってみましょう。