指導実例インタビュー
宇野先生
指導実例インタビュー
宇野先生
合格実績(五十音順)
大阪大・大阪医科大・大阪市立大・金沢医科大・北里大・京都大・京都府立医科大・杏林大・近畿大・慶應大・国際医療福祉大・埼玉医科大・札幌医科大・産業医科大・自治医科大・順天堂大・信州医科大・聖マリアンナ大・千葉大・帝京大・東京大(理Ⅲ)・東京医科大・東京医科歯科大・東京慈恵会医大・東京女子医大・東北大・獨協医大・日本大・日本医科大・浜松医科大・防衛医科大・和歌山医科大 他多数
語彙力増強で読解の精度が向上!見事順天堂大学医学部に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 高3の5月
■指導科目: 英語
■指導回数: 週1回 2時間
ご家庭が開業医をされている生徒で、医学部への進学希望は当初から決まっていました。
通っている高校は地元ではトップ高で、毎日各教科であまりにも大量の宿題が出されていたため、学習内容を理解し定着を図る余裕はなく、機械的な作業として答えを出すだけの毎日が続いていました。
理系の科目は得意科目だったので問題はありませんでした。
しかし、英語については高校の英語科教諭の古典的な指導方針に従って与えられた課題に律儀に取り組んでいたのですが、成績向上にはつながっていなかったことから個人指導を依頼することになりました。
生徒はご両親の後継ぎとして医師になりたいという志を持っており学習意欲は高かっただけに、英語科の成績不振は相当大きなストレスになっていたようです。
公立高校では文科省の指導要綱に従ってコミュニケーション力(英会話力)の向上を重視した英語教育が行われています。その結果、大学入試英語のように精度の高い読解力を求める問題に対する準備はほとんどが家庭での自習に委ねられています。この生徒の場合も進学校に特徴的な難度の高い教材を大量に与えられ、それらに対する解答解説もなく自学自習でこなすことが求められている状態でした。
指導内容
入試までの残り期間が1年を切っていることから、生徒の性格や生活リズムも考慮し、学習計画を短期と長期に分けて策定しました。
また、限られた勉強時間や労力を無駄にしないために、勉強方法についても様々な記憶法やノートの取り方、付箋の活用法、反復学習方法などを学んでもらいました。
順天堂大学医学部の英語入試問題では、次の分野の知識や力が求められています。
1.広範囲に及ぶ語彙知識
2.英語の構文分析力
3.翻訳力
4.英語の発想に基づく文法・語法の知識、
5.英作文力
6.日本語による文章作成力
7.広く浅い医療関連の知識
そこで、語彙強化のために適切な単語集と熟語集を決めて、それらに準拠したドリルに取り組んでもらうことにしました。それぞれを4周繰り返すことを目標にしました。
また、授業中に遭遇した未知の単語については、語形成と語源の話をして、未知の単語に対して意味を推理する力を高めてもらいました。
構文分析力と翻訳力の養成にはオリジナルの基本文の教材及び過去問から抽出した長文読解問題を使用して、各英文の構文分析の方法と訳出方法を指導しました。
文法や語法の学習は、生徒の理解や知識が不十分な単元を生徒と話し合いながら選択し、英語の発想に基づいた仕組みを詳説し演習も行いました。
英作文力と文章作成力の養成は、過去問を使用して日本文で原稿を書いてもらい、英文と日本文の発想の違いを解説しながら英文を作成してもらいました。採点基準を解説しながら答案の添削を行い、不適切な個所の理由の解説と訂正を終えた後に、全文の音読練習を行いました。
医療関係の知識については、過去問に加えて医学部受験用英語長文問題集と単語集を使用して増強を図りました。
また二次の面接対策としてマニュアルを紹介し、事前に読んでもらいました。
学習状況の変化と成績の推移
■成績推移: 開始時偏差値48(河合塾全統記述模試) → 最高時偏差値74
8月第2回河合塾全統記述模試 英語60.4
語彙強化の分野において単語ドリルは基本編123枚を3周した後に発展編1周目に入り、熟語ドリルは2周目に入っていました。
模試では長文を読んだ時に意味のわからない単語が減ってきたとのことでした。
短文を使った構文分析の練習を積んだ後に、過去問の長文を使用して一文一文を丁寧に構文分析した上で翻訳する練習を継続中でした。語彙の知識が増えたことに加えて構文読解力の精度も向上してきたことから、原文の意味を正確に理解することができるようになり、文章全体の内容理解に関わる問題の正答率が向上してきました
一方で、依然として同意表現を問う問題では未知の表現があり、読解の速度も十分ではなかったので、試験時間内に全問題を熟慮して解答するゆとりはまだありませんでした。ただ、語彙力増強のドリル演習や構文読解演習は継続中なので、以後読解の速度も向上することが確実であったことから、心配する必要は全くないと伝えました。
また、この頃から週に1話ずつ過去問を使って自分の意見をまとめて英語で表現する英作文問題対策も開始しました。
10月第3回河合塾全統記述模試 英語74.6
最後の仕上げとして英作文対策の特訓を積んだことによって、英作文の問題に対する解答時間が大幅に短縮され、最も簡単だと感じるようになったそうです。
順天堂大学の過去問を所定の時間内に解答する練習を5年分行いました。各大問に対する適切な時間配分及び解答の順番も決まりました。
この時期に迎えた全統模試で、英語の偏差値が70を超えました。これ以降は、単語ドリルと熟語ドリルの反復学習の継続、過去問5年分を所定時間内に解答する練習を再度行うこと、これまで書きためてきた数百枚に及ぶ授業ノートの総復習を指示しました。
これらは全て2度以上見たものばかりなので心理的負担はほとんどなく、並行して理系科目の勉強を充実させることもできたようです。
結果
■結果(進学先): 順天堂大学医学部
■結果(他の合格校): 帝京大学医学部
生徒とのエピソード
直感よりも論理的な思考をよりどころとする理系タイプの生徒でした。ですから情緒的な日本人とは対照的に論理性を重視する英語圏の人たちが操る英語に対しては、語形成から段落構成に至るまで、誰にでもわかる論理が内在している点を常に指摘し続けたことによって、英語という教科も理系科目と同じような心構えで取り組むことができることがわかり、英語の勉強が楽しくなったようです。
医療にはもともと強い興味を持っていたことに加えて、私自身も医療の分野に興味を持っていることから、外科医や薬剤師が主人公の医療系のドラマやアニメなどについて語り合うこともありました。その話の中で関連する医学英語表現などについて触れると、受験の範疇を超えた表現にもかかわらず付箋に書き留めることもあり、その興味関心は素晴らしかったです。
順天堂大学医学部を目指す受験生へのアドバイス
全5問中読解問題4問で、得点の優劣は読解力の精度と速度で決まります。正しい文法と語法の知識に裏付けられた構文分析力を養うことによって精度は向上し、速度は構文分析作業の習熟、語彙の増強、翻訳力、段落構成の知識によって向上します。
英作文力の養成は添削による以外に方法はありません。英語による論文執筆経験のある指導者に10本以上添削してもらうのが理想です。
また医療に対する強い興味は持っていたいものです。過去に出題された長文問題の話題も医療や人体に関係する話題がほとんどです。教養として医療や人体に関する知識があると問題文の内容が理解しやすくなります。
最後に、二次の面接対策も指南書などを利用して準備しておきましょう。