指導実例インタビュー
谷澤先生
指導実例インタビュー
谷澤先生
合格実績(五十音順)
愛知医科大・岩手医科大・京都府立医科大・杏林大・埼玉医科大・順天堂大・昭和大・聖マリアンナ大・帝京大・東京医科歯科大・東京女子医大・獨協医大・日本医科大・防衛医科大・山形大
1分間に読める単語数を伸ばし、見事日本大学医学部に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 1浪目の4月
■指導科目: 英語
■指導回数: 週1回(1回2時間)
Mくんは文法の理論について考えるのがとにかく大好きといった反面、シャドーイングなどの同じ作業の繰り返しには抵抗がある典型的な理系学生でした。
お父様が開業医という影響もあり、小さい頃から医学部に入るために勉強を重ねてきたそうです。自習中にも文法に関して参考書の解説では解決できない疑問がたくさん出てくるため、毎回疑問を解決できる個別指導での再挑戦を決意しました。
好奇心が旺盛で細かいところにも気がつき、医学部合格のポテンシャルは高いものの、復習をおろそかにしているところや木を見て森を見ずになっているところがネックでした。
指導内容
■文法、構文面に関して
「なぜここで過去形ではなく現在形を使っているのでしょうか?」など、Mくんは文法に関してはかなり細かいところの質問が出てくるものの、語法に関してはあまり注意できておらず、文型を意識した読み方もできていませんでした。文法知識が断片的に入っているだけで、その知識を長文読解という実践に生かしきれていなかったのです。
そこで共通テストレベルの長文を使って品詞・文型を考えながら英文を読み進める演習により、前から読み下す能力を鍛えることにしました。
次の例のように英文内のそれぞれの単語でどのように考えれば戻り読みをせず、前から読み下すことができるのか解説していきました。
Conservation
*次にVが来るor何の保護かをofで具体化するかも
Conservation of nature was perceived
*perceiveの語法的にasとセットで具体的な認識の説明が続きそう
Conservation of nature was perceived as a way
*どんな方法という説明がofやto不定詞で続きそう
Conservation of nature was perceived as a way to save pretty landscapes.
画面共有ができるオンライン授業であったため、順に単語をタイピングで追加しながら説明することができ、チャンクリーディングの考え方を効率よく実演することができました。対面では筆記に要する時間などを省略し、短時間で多くの例文を解説することができるのもオンライン授業の利点だと感じます。
■スピードに関して
Mくんの最大の弱点は復習の再読を怠っているということでした。
文法について考えるのが得意な彼はチャンクリーディングの考え方もすぐに理解することができましたが、毎回頭で考えてしまうので読み下せていても非常に時間がかかってしまっていました。復習不足により感覚的に読み下す力が磨かれていなかったのです。
そこで再読・シャドーイングの目的を詳しく説明し、wpm(words per minute=1分間当たりに読める単語数)というスピードを測る指標を授けました。
具体的にはネイティブの話すスピードは約180wpm、ネイティブの読むスピードは約300wpm、医学部の英語を制限時間内に解き終えるにはwpm200、最低でもwpm150は欲しいという話をしました。
そしてまずは自分のスピードを測り、現状を認識してもらうところから始めました。
学習状況の変化と合格までの成績推移
■成績推移 : スタート時偏差値57(模試名:全統記述模試) → 最高偏差値71
5月時点でのスピードはwpm70前後で、目標値の約3分の1でした。
これまで復習再読に乗り気ではなかったMくんも、医学部合格に必要なスピードと現状とのギャップを数字で認識したことで、ようやく重い腰を上げて同じ英文を繰り返し読む訓練を始めてくれました。
毎回wpmを記録していましたが、その記録が伸びていくのがモチベーションとなり、各英文につき最低でも5回、時には10回以上再読するまでになりました。授業では文法・語法・構文に関する質問があれば画面共有で辞書を映しながら解説し、有益な例文は板書データに追加して授業後の復習に活用してもらっていましたが、これにより自習中は例文を検索する手間が減ったことも再読に時間を割いてくれるようになった要因だと思います。
理系脳と相性の良い文型•品詞を使った読み方は着実に上達し、夏の全統記述模試では偏差値63に到達しました。
指導開始時よりは伸びたものの、この時点でもまだスピードが足りず、大問1つか2つを適当に読まなければ間に合わない状態でした。wpm100前後くらいだったと思います。
ここからさらにスピードアップを測るため文章構造の知識を活用して段落要旨を素早く捉える「パラグラフリーディング」も導入しました。Mくんはパラグラフリーディングも活用しながら再読を重ね、精読力・スピードの両方を伸ばし、11月時点では新規の長文でもwpm150で読める実力がついていました。
wpm200超えとはなりませんでしたが、第3回全統記述模試では偏差値71と前回から大きく飛躍しました。医学部の過去問でも実力を発揮した上で見直しの時間も確保できるようになり、見事日本大学医学部合格を勝ち取ることができました。
結果
■結果(進学先) : 日本大学医学部
■結果(他の合格校): 聖マリアンナ医科大学、帝京大学
生徒とのエピソード
Mくんは本当に好奇心旺盛な学生でした。
特に文法に関する鋭い質問が次々に出てくるため、私自身も文法について深く話し合うのが楽しかったです。毎回文法談義に花を咲かせすぎて他の演習・解説の時間がなくなってしまわないよう、必死にペース配分に気をつけていました。笑
細かいところまで深く考えるために時間がかかるところもありますが、医学部ではその思考力・粘り強さが強みとなり、きっと良いお医者さんになれると信じています。
日本大学医学部を目指す受験生へのアドバイス
医学部の英語試験は分量が多く、内容一致問題などでも細かいところまで理解できていなければ間違えてしまう選択肢も多いです。本文を正確に理解することはもちろん、選択肢の文も一言一句理解する癖をつけておきましょう。普段から英英辞典で英単語のニュアンスをより正確に理解し、英和辞典で語法を確認しておくと良いでしょう。
分量の多さに太刀打ちするには一度語彙・構文を分析した復習済みの英文を使い、何度も再読することでスピードを上げていく必要があります。理想的には初見の英文でwpm200、最低でもwpm150は欲しいです。復習時はwpm250に到達するまで5回でも10回でも繰り返し読んでください。
そして医学部で出される長文の内容は当然医療系の記事が多くなりますので、医療関連の事前知識は有利に働きます。化学や生物で出てくるような用語を英語で検索し、解説記事を読む時間を作ることをお勧めします。
例えば「Mitochondria function(ミトコンドリア 機能)」のように検索すると、ミトコンドリアの定義や機能をわかりやすく解説した英文記事がヒットします。
この習慣を毎日続けていれば医療関連の英単語の定義を明確に理解できるのはもちろん、英語で仕入れた医療関連の事前知識により医療系の長文が読みやすくなっていきます。記事の見つけ方がわからないという場合でもオンライン授業では実際に検索して英文記事を見つける過程や、記事を読みながら関連用語を芋づる式に調べる過程を画面共有で実演することができます。
医学部に入れば英語で論文を読んだりリサーチしたりする必要がありますから、英語で専門用語を調べる習慣が身についていれば合格後もスタートダッシュを切れるのではないでしょうか。