指導実例インタビュー
宮本先生
指導実例インタビュー
宮本先生
合格実績(五十音順)
岩手医科大・金沢医科大・北里大・杏林大・群馬大・慶應大・国際医療福祉大・埼玉医科大・順天堂大・昭和大・聖マリアンナ大・筑波大・帝京大・東海大・東京医科大・東京慈恵会医大・東京女子医大・東邦大・獨協医大・日本大・日本医科大 他多数
問題集で数物化の基礎~入試対策。 偏差値18UPで日本医科大合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期: 高2の7月
■指導科目: 数学、物理、化学
■指導回数: 週1回 2時間
ほぼ何も勉強していない状態でした。学校の中でも成績は下位で、家庭教師を始めてからも、医学部志望であるとは恥ずかしくて言えなかったそうです。
わたしが医学部志望であるという話を聞いたのは高3の一学期の終わり頃でした。もしも成績が上がれば医学部を目指そうと思っていたそうです。
ご家庭はお医者さまとは関係のないご家庭でしたが、医学部に行くなら私立であっても慈恵医大、順天堂、日本医大であれば学費を出すと、おじいさまがおっしゃってくださったそうです。
指導内容
まずは基礎を作ることを目指しました。
数学は高2の夏休みに「10日あればいい数学」のエクスプレスと青色バージョンをⅠA→ⅡB→Ⅲと仕上げ、「4STEP」という教科書傍用問題集も数Ⅰから数Ⅲまで*マークの問題のみ全問解き直しました。物理と化学は「セミナー」を三分の一ずつほど解きました。
2学期から高2の終わりにかけて4STEPは数Ⅲまで全問自力で解けるようになりましたし、物理と化学もセミナーを2周くらいやりました。
高3に入ってから青チャートの例題を全問解いていきました。この頃になると、学校の成績や実力試験の成績が上位になってきたこともあり、非常にやる気を出してくれ、たぶん無理だろうと思って出した宿題も毎週ほぼすべてやってくれていました。そのため、かなりの分量がある青チャートも、例題だけですが一学期のうちに数Ⅲまで全問自力で解けるようになっていました。
物理と化学も、一学期のうちにセミナーは全問自力で解けるようになりました。
夏休みに大学への数学の別冊「新数学スタンダード演習」のⅠAⅡBとⅢの2冊を始めました。この問題集はてこずる問題もありましたが、二学期の半ばくらいまでには全問自力で解けるようにしました。
物理と化学は夏休みに「重要問題集」を1冊ずつやりました。こちらも二学期の初め頃には全問自力で解けるようになり、続いて物理は「名問の森」、化学は「新演習」を始めました。「名問の森」は二学期半ばくらいまでに全問自力で解けるようにし、「新演習」は量がかなり多いので、わたしが選んだ問題だけを自力で解けるようにしました。
この時点で、模試でも国立大学では旧六医大、私立では日本医大などでB判定以上の結果が出ていました。それでも謙虚にパワフルな勉強を続けてくれました。
二学期後半では、受ける可能性のある大学の赤本を多く揃えて、それを片っ端から解いていきました。
医学部入試は、国立旧六医大など、偏差値のわりに難問が出ることがあまりなく、私立の慈恵や日本医大の方がひねった問題が出題されますが、ほとんど問題なく過去問を解くことができました。
センター試験は9割ちょうどくらいでしたので、旧6医大の一つ金沢大学医学部に出願しました。私立は順天堂と日本医大を受験しました。私立が両方受かった時点で家族会議をお開きになり、地方の国立に行くより東京の私立に行った方が良いという結論になり、金沢の2次試験は受験せず、日本医大に進学することになりました。
学習状況の変化と成績の推移
■成績推移: 開始時偏差値50くらい(河合塾全統高2模試) → 最高時偏差値72(河合塾全統記述模試)
基礎が半年ほどで完成したあとは早かったです。入試問題集もどんどんこなして、あっというまに成績は上がっていきました。
高2の河合塾全統模試では、偏差値が50ほどしかありませんでしたが、高3はじめのマーク模試では偏差値60を超え、夏休みの河合全統記述模試では68になっていました。
最終的には河合塾の模試で総合の偏差値は72くらいまでになりました。
結果
■結果(進学先): 日本医科大学
■結果(他の合格校): 順天堂大(医)
生徒とのエピソード
「化学の新演習」を始めると言うのでこの問題集は難しいからあまり進まないかもしれないよと言いましたが、このレベルの問題をずっとやりたかったんですよ、と言いながらどんどん問題集を解いていきました。そのことが非常に印象に残っています。常にこちらの予想を上回るパワーで勉強に取り組んでくれました。
日本医科大学を目指す受験生へのアドバイス
数学 とにかく数Ⅲの微分積分と極限がよく出題されます。また、数Bの数列もよく出題されます。レベルは私立医学部の中ではかなり高いです。スタ演レベルの問題には慣れておく必要があります。
化学 他の医学部同様有機が頻出です。新演習も有機だけはしっかり解いておく方が良いでしょう。あと問題文が込み入っていますので、問題文の読解能力も必要です。赤本を解く時間をしっかり取って過去問に慣れておくことで対応できるでしょう。
物理 ポアソン、フェルマーなど、少し典型から逸れる問題も意識的に出題されている印象があるので、問題集に出ている問題は隅から隅まで解けるようにしておく几帳面さが求められています。レベルも高いです。化学同様問題文の意味を摑むのに時間がかかるかもしれませんので、過去問に慣れておくと良いでしょう。
ムラのない基礎力をつくる地道な勉強法。東京医科大学合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期:高2の1月
■指導科目: 数学
■指導回数: 週1回 2時間
中間や期末のための勉強をその時々でしてきていましたが、受験のための勉強はあまり進んでいませんでした。ご両親のご職業は医療とは関係ありませんでしたが、本人の意志で医学部に行きたいとのことでした。
受験勉強はインターネットの情報などを頼りにいろいろ試していたようでしたが、うまくいかず、先生にお任せしますので引っ張っていっていください、といったスタンスでした。
授業を開始してみると宿題を言った通りのやり方できちんとこなしてくれていました。素直なだけでなく、レールを敷いてあげればきちんとこなす頑張り屋さんでもありましたので、短期間で非常に伸びるだろうと確信しました。
指導内容
学校では4プロセスという教科書傍用問題集を使っていました。
それまでに「良問プラチカ」や「やさしい理系数学」に挑戦していたようでしたが、それらの問題集は難易度が高すぎて、短時間に高得点する必要のある医学部受験には向いていないことを説明し、教科書傍用問題集でムラのない基礎力を作ることの必要性と、志望校の東京医大では、教科書傍用問題集のレベルの問題が主に出題されることも説明しました。
それを踏まえ、まずは同問題集に取り組むことにしました。授業では、生徒さんがかなり頑張らなければ終わらないかなという量の宿題を出し、翌週に宿題ができているかをチェック。単にやっているだけではなく、間違えた問題を全問自力で解けるようにしているかどうかのチェックを行い、やれていなさそうな問題は翌週までに解けるようにしてもらいました。宿題チェックが終わったら、次の分野の生徒さんが自力では解けなさそうな問題を一緒に解き、解けなければ解説をし、その類題を宿題として出すといったことを繰り返しました。
学習状況の変化と成績の推移
■60弱くらい(模試名:河合塾全統高2模試)→最高偏差値 68(模試名:河合塾全統記述模試)
結果
■結果(進学先): 東京医科大学
■結果(他の合格校): 帝京大(医)
生徒とのエピソード
夏休みくらいから「先生に習って勉強の仕方が初めてわかりました」とよく言ってくれるようになりました。わたしもそれをこそ教えたかったので、そのように言われると本当に嬉しかったです。
わたしが教えた勉強の仕方は2つです。まず、間違えた問題を解けるようにした時に学力は上がるのだから、どの問題を間違えたのかをはっきりさせ、その問題を、解答を読んでわかった気になるだけでなく、本当に自分で解けるか、解答を読んだ直後に必ず自分で解き直すということ。そして、模試や本番では絶対に解けると思って問題に望むこと。弱気になって「この問題は自分が知らない解法が必要なのでは」などと思ってしまうと、解ける問題も解けなくなってしまうので、自分の学力を信じて、自分のやり方で少しずつ切り崩していくということです。
この生徒さんは教科書傍用問題集という、それまではあまり見向きもしなかった地味な問題集をとことんやり込むことで、短期間で成果を出すことができたために、わたしのアドバイスを素直に聞いてくれるようになりました。家庭教師にとって難しいのは、生徒さんとの信頼関係をいかに早く築くことができるかという点です。この生徒さんとは短期間で信頼関係を築くことができたので、結果を出すことができたのだと思います。
東京医科大学を目指す受験生へのアドバイス
東京医大の数学は、高い偏差値からすると驚くくらい問題が簡単です。その代わり、かなり高得点しなければならないのではと想像されます。
この生徒さんの場合も、東京医大の過去問だけは満点が取れるまで繰り返し演習しました。ざっくり言うと、教科書傍用問題集の難しめの問題ばかりが出る、と思っていただいて結構です。
なかなか信じられないかもしれませんが、教科書を一通りやった生徒さんであれば、過去問に挑戦することが可能ですので解いてみてください。まさにそのレベルであることがわかります。
ただ、これを60分という短い時間で、計算ミスをひとつもせず(計算ミスをひとつでもしてしまったら合格することは難しいでしょう)8割ほど得点するというのは簡単なことではありません。基本問題、典型問題については、たとえ体調が悪く元気がないような時でも、スラスラ解けるくらいの基礎学力が必要であると言えるでしょう。
そのためにも、教科書傍用問題集(Z会のチェックアンドリピートなどでも構いません)は完璧に仕上げておく必要があります。
目標に合わせた計画を提案!見事目標の慶應義塾大学医学部に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期:1浪の9月
■指導科目: 数学
■指導回数: 週1回(1回3時間)
鉄緑会に高2から通っていましたが、当時は部活もあり十分に消化ができなかったそうです。現役受験時はセンター試験で理系科目が9割、全科目だと8割弱でした。国立は諦め私立は慶應医学部だけを受験し不合格でした。浪人は宅浪で、鉄緑会の高1と高2テキストをやることに決め一人でがんばっていましたが捗らず、9月の時点で数学、理科、英語で家庭教師をそれぞれつけることにし、私は数学を担当させていただきました。
体験授業の時に本人は「東大理Ⅲか慶應医学部のどちらかしか行きたくないです。」とはっきりおっしゃっていました。麻布の生徒さんらしく、目標高く明るい反面、楽観的なところもあると言える生徒さんでした。私が用意した問題を解いてもらうと、わかる問題はさっさと解いてしまい計算ミスもしません。難しい問題も惜しいところまでは辿り着くため、基礎学力はかなり完成しているようでした。駿台全国総合レベルの難問では、まだ高得点を出すことはできませんでしたが、もう少しで解けそうな問題をきちんと完答することができるようになれば、30点や40点分はすぐ上がりそうで、目標校に合格する可能性も十分にあり、私も「一緒にがんばっていきましょう」と期待感を持って指導を開始しました。
指導内容
開始当初は軌道に乗せることに苦労しました。原因は鉄緑会のテキストに拘り過ぎたためでした。とにかく鉄緑会のテキストを仕上げたいとのことでしたので、まず高1のテキストを全問自力で解けるようにしました。ここまではよかったのですが、次の高2のテキストがあまりにも難しすぎるように思えました。私と勉強を始める前からかなり自分でやっていましたが、それでも相当てこずっていました。そこで私は、思い切って鉄緑会のテキストの使用は止めようと提案しました。東大数学で4問完答するには必要ないだろうと思えるテクニックを使った問題が、高2テキストでも多数出題されており、もちろんこなせれば問題はありませんが、現にこなせていませんでしたので、時間のロスと感じました。ご家庭は東大理Ⅲにおける鉄緑会出身者の占める割合が非常に高いことから、やはりどうしても鉄緑会のテキストをやりたいとのことでした。高3のテキストは必ずしも必要ではないことは塾内でも言われているので、高2のテキストだけは仕上げてほしいとのご依頼でした。
私は東大と慶應の過去問内容も、もちろんよく知っていたので、生徒さんの成績向上を第一に考えるなら、すぐにでも鉄緑会のテキストを止めるべきと考えましたが、ご家庭のご希望に沿うことも家庭教師としての大切な仕事ですので、矛盾したことを同時に行う難しさがありました。折衷案として、テキストの中から東大と慶應の問題を解くにあたり必要が少ないと判断した問題は、どんどん飛ばして解いてもらうことにしました。かなり問題数をしぼりましたが、それでも全問解けるようになった頃にはセンター直前でした。そこからはセンター過去問や慶應と東大の過去問も解きましたが、センター試験は全科目で85パーセントほど、東大理Ⅲと慶應医学部を受験しましたが、他科目の進捗も間に合っておらず、どちらも不合格でした。
数学の指導自体はご信頼をいただいており、受験後に2浪目も指導をお願いしますとご依頼をいただきましたので、3月から4月いっぱいにかけては、東大と慶應の過去問を解くことに集中しました。その間、鉄緑会の高2テキストの飛ばした問題も解いていましたが、過去問を1問ずつ解説しているうちに、その飛ばした問題で使うようなテクニックを用いる問題は1問も出てこないことを、一緒に確認していきました。そこまできてようやく、ご家族内でも鉄緑会のテキストは使わないという結論に達したようで、ご理解をいただけました。
学習状況の変化と合格までの成績推移
■成績推移 : 63 (模試名:駿台全国総合)→最高偏差値 72
5月から最終的な基礎学力固めとして、大学への数学の「1対1対応の数学」を6冊使いました。基礎は十分にあるおかげで、これは2ケ月程で全問解けるようになりました。その後は問題集を使わずに、東大数学の過去問を20年分、全問自力で解けるようにすることを目標にしました。1浪の時には6問中1問しか完答できませんでしたので、まずは2~3問の完答を目指し、大学への数学レベルでいうと、AとBレベルの問題に絞って20年分の過去問を解きました。間違えた問題はすべて解法をノートにまとめ、解答を読んでも理解できない問題は解説し、記述が正しいかどうかもチェックをしていきました。2ヶ月弱で一通り解き、初見では3分の1解けるかなといった状態でした。ノートに解法をまとめ終え、今度は間違えた問題のみを最初から解き直していきました。東大のA、Bレベルの問題は、特殊な発想は必要ありませんが、計算が大変であり、また空間を正確にイメージする力が求められ、粘り強さが必要という意味の難問は多く、2周目に解いた時も、細かいミスの多発で完答できた問題はあまり増えませんでした。しかしこの時「3周目には絶対解けるようになっていたい!」と本人が強く思ったようで、しっかり復習し自力で答えを出せるようになってから次の問題に進むクセをつけてくれたおかげで、完答できた問題はかなり増えました。それをしつこく繰り返し、10月頃、6周目を終えたくらいで、AとBの問題は全問自力で解けるようになりました。夏の東大実戦模試では理ⅠでようやくC判定でしたが、秋の東大実戦模試では理ⅢでB判定が出ました。
10月以降はいよいよ東大過去問のC、Dレベルの問題を解いていきました。このレベルの問題には特殊な発想が必要な問題も多くありますが、A、Bレベルの発想を複雑にしただけのものも多く、5~10年分解く中で、同じような発想が繰り返し出てくることも認識してもらいました。その感覚からコツがわかってくると、15年分くらい解いた辺りからC、Dレベルの問題でも初見で完答できるものが急に増えました。20年分を一通り解き終えたのは12月のはじめ頃でした。そこから計6周ほど解き、東大2次試験前には全て自力で完答できるようになりました。
同じく志望校の慶應医学部については、問題はもちろん難しいですが、東大の数学を解いていれば簡単に思えるので、東大の過去問中心の学習をそのまま対策につなげました。これは、手を広げるよりすべきことを絞り完璧にする方が、自信もつくと考えたためです。数学の難問を解くにあたって最も大切なことのひとつが、自信を持っていることです。多くの生徒さんが、「この問題は自分の知らない解法でないと解けないに違いない」という考えにはまることで手が動かなくなり、自分を信じてやっていれば解けたはずの問題も取りこぼしています。東大の理系数学を過去20年分、1問たりとも残さず自力で解けるようにすることは、かなりの自信を与えるに違いないと考えました。そのため慶應の過去問は直前期まで解きませんでしたが、いざ解いてみるとほとんどの年度で合格ラインを突破する得点を取ることができていました。更に全ての問題を完答できるようにして試験に臨み、本番もよくできたと本人は語っていました。
センターでは全教科で93パーセント。東大理Ⅲは総合であと一歩及ばず不合格でしたが、念願の慶應医学部に合格することができました。
結果
■結果(進学先): 慶應義塾大学大学医学部
■結果(他の合格校):日本医科大学医学部
生徒とのエピソード
やると決めたら徹底的にやり抜く、強い意志を持った生徒さんでした。東大過去問を1日に2題以上も解いていれば、段々意気がなくなってくるものですが、この生徒さんは問題をおもしろがってどんどん解いていくパワフルさがありました。また、麻布のスクールカラーをいい意味で強く持った生徒さんでもありました。麻布には勉強ばかりしていて成績がいい生徒より、部活や遊びにも力を入れている生徒がより尊敬されるという校風があるとよく聞きます。この生徒さんも部活に力を入れていましたが、そこで体得したであろう集中力や思考力、想像力は突出していました。また、アニメ好きでグッズや本を集めていましたが、授業前の軽い雑談では、そんなグッズやアニメの話をずっと聞かされました。アニメのことは何も知らない私に、それらのことを教えたり説明したりすることは、言語能力の訓練にもなり、つまりは論理展開の訓練にもなったはずですから、少なからず受験勉強にも役立ったと想像します。
慶應義塾大学医学部を目指す受験生へのアドバイス
こういう勉強をしたら慶應の医学部に合格できます、という誰にでもあてはまるレールのようなものは残念ながら見つかりません。東大理Ⅲとほぼ変わらないレベルの学力を身につけるには、単にドリル的な反復やパターン練習だけでは足りず、しっかり考える力が必要です。その到達すべき学力を示し、それに向けた具体的な計画を家庭教師は提案します。ただし、それに加え、大げさに言えば西洋的な意味での近代的な自己のようなもの、つまりは主体的な個人として考えることのできる自己。そのようなものがどうしても必要になってきます。人間としてのそのような成長が必要ですが、それは勉強を通して獲得することができます。つまり、これらは両輪であると考えられます。人間的に成長することで勉強ができるようになり、勉強することで人間としても成長する。受験勉強とはそういうものです。あとは夢見る力だと思います。本気で合格したいと思えば、想像力、意志力、粘り強さ、確実さなどが強化されます。その結果、夢は現実になるのだと思います。
過去問だけに絞った徹底指導で、見事京都大学医学部医学科に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期:1浪の3月
■指導科目: 数学
■指導回数: 週1回(1回2時間)
N君は、現役時に慈恵医大、日本医大には合格していましたが、京大医学部の免疫学の教授でどうしても習いたい先生がいるとのことで、浪人してもう一度京大を目指したいとのご希望でした。免疫の本などをよく読んでいて、受験勉強だけでなくバランスよく教養を身につけたいという欲求の強い生徒さんでした。本を読むことを優先していたので浪人してしまったようなところがありました。浪人しても本を読むことはやめたくないので、要領よく勉強していきたいとのことでした。
また、対面授業だと家庭教師が家に来るときに部屋を片付けるなど、それなりの準備が必要で時間や労力が惜しいと感じ、オンラインでお願いしたいとのご希望でした。
現役時は鉄緑会に通っていましたが、高3の夏休みに多少の消化不良を起こしていて、教材の量が多すぎるので、その復習ではなくよりポイントを絞った勉強の仕方がないかと相談されました。
体験授業では京大の過去問を2問解いてもらいましたが、頭の回転が非常に速いという印象を持ちました。何となく解くのではなく、方針を立てて解き、論理展開も納得してから先に進むという基本的なことは十分できていました。
ただ勉強の方針が散漫で、やったことが無駄になっている印象も同時に受けました。N君に合った最も効率のよい勉強法を示してあげれば、非常に効率良く成績を上げることができると感じました。
指導内容
基礎学力は十分にありましたが、少し抜けもありましたので、最終的な基礎学力完成という意味で『一対一対応の数学』の例題だけを6冊分仕上げました。ほとんどの問題は解けていたので2ヶ月で完成し、次に京大の過去問を進めていきました。
過去問のみを取り扱っていくにあたり体験していただいたことですが、問題集は世の中にたくさん出ているものの、それよりもまずは、過去問を解いて《フロー》に乗ることを覚えてほしいと思いました。過去問を20年分も解いておけば、後はどの新しい問題を解いてもどこかで見たことのあるような印象を受けるようになり「これはあの時やったあの問題に似ているな」といった感覚を持てます。問題集をやることでこの感覚を掴むのは大変ですが、過去問をやれば短期間でこの感覚を掴むことができます。N君は、新しい知識はもう必要ありませんでしたので、そのような《流れ》や《フロー》に乗る感覚を身につければ、医学部であっても十分合格点に達することができると確信していました。
そのことを納得していただく必要がありましたので、当初宿題で過去問を1年分だけ解いてもらいました。その時は6問中2問完答できていました。残り4問については、それぞれの問題が他の年度や学校の過去問の、どの問題に似ているかを提示し、より詳細に1問ずつ解説していきました。京大過去問にはなくても東大過去問にあるものもありました。
最終的には、全問どこかでやったことのあるような問題になっていることを理解していただけました。そのうえで、5月から問題集はやらずに、過去問だけにしぼって勉強していくことになりました。
学習状況の変化と合格までの成績推移
■成績推移 : 駿台京大実戦模試 医学部E判定 → 駿台京大実践模試医学部がA判定
5月末から京大過去問を始めて1週間に1年半分(9問)のペースで解いていきました。2ヶ月ほどで10年分の過去問をひと通り終え、7月の京大オープン・京大実戦までに2回目も出来る限り進めました。この時に間違えた問題は必ず「模範解答ノート」に自分なりの模範解答を書いてまとめてもらうようにしました。解答を読んでもわからない問題や、授業中にわたしが選んで解いた問題は詳細に解説し、それを自分でも消化したうえで、自分の言葉でノートにまとめてもらいました。週1回の授業でしたが、解答を読んでもわからない問題でどうしても気になるものがある時は、深夜(23時前後)に1時間だけオンライン授業をやって解説しました。このようなフォローもオンライン指導ですと行いやすいと思います。
夏の京大実戦では、元々E判定だった医学部についてC判定、京大オープンでD判定が出ました。少し手応えを感じていただけましたので、そのままのやり方で続けていくことにしました。
京大の過去問10年分をさらに2度ほど繰り返し、全問自力で解けるようになった段階で、一度京大の過去問から離れて、東大の過去問を進めていきました。数学に関しては東大の方が京大より少し厄介で重い問題が多いです。そのため、東大の問題に慣れておくことで、京大の問題が解きやすくなります。わたしが作った東大の過去問の模範解答ノートを、手元のカメラで映しながら解説しました。それらのノートは全ページデータでも共有し、わからなくなったらそれを見て、間違えた問題は自分でノートに模範解答を作るようにしていただきました。書くと理解が深まりますし、実際に手を動かすことで計算ミスやケアレスミス対策にもなります。
12月半ばくらいまでかけて東大の過去問を20年分繰り返し解き、2問ほどを除いて全問自力で解けるようにしました。秋の模試では京大実践でA判定、京大オープンでB判定が出ました。共通テストは、過去問を解いても数学はほぼ満点が取れましたので、特に対策はしませんでした。共通テスト本番は現役時より20点ほど多く取れたようで、予定通り京大医学部に出願しました。
12月の終わり頃から京大過去問に戻りました。京大の過去問10年分、東大の過去問20年分をほぼ全問自力で解けるようにしていましたので、初見でも4問は完答できるようになっていました。これは1年前と比べたら格段の進歩でした。N君もかなり自信になっていたようです。2次試験までに京大過去問10年分をさらにクオリティ高く、全問自力で解けるようにして本番に臨み、見事合格することができました。
結果
■結果(進学先): 京都大学医学部医学科
■結果(他の合格校):慈恵医大、日本医大
生徒とのエピソード
現役時に慈恵と日本医大を合格したものの進学しなかったため、他の私立を調整のために受験しましたが、そちらはまさかの不合格でした。しかし、元々かなり強気の生徒さんでしたので、あまり引きずらずに京大を受験することができました。
予備校に行かずに浪人生活を送るというのは勇気のいる選択だったと思いますが、周りがどうかということを気にせず、自分の気持ちで考えることのできる生徒さんでしたので、そのような性格も良い結果をもたらした要因だと思います。本の話などをよくして、おもしろい本を紹介してくださいと言われたので、1カ月に1冊くらい本を紹介していました。ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』やユヴァル・ハラリの『サピエンス全史』も紹介しましたが、全てしっかり読んでいました。
そのような意味でも、高校生・浪人生としては知的好奇心の旺盛な生徒さんでした。特に物理化学の問題は、問題文の意味や意図を理解することが重要ですので、読書習慣があることも合格することができた要因のひとつだったと思います。
京都大学を目指す受験生へのアドバイス
京大の数学の入試問題は、市販のさまざまな問題集(『やさしい理系数学』『新スタンダード演習』『新数学演習』など)とは少し感じが違っています。従って、基礎が完成したうえで、過去問を中心に勉強していくことが効率よく実力と得点力を上げる勉強方法であると思います。
東大と比べると京大の数学の方が重くなくシンプルです。ただ、共通点が多々ありますので、東大の過去問に親しんでおくと、京大の問題が非常に解きやすくなると思います。2~3年分ずつ解いて比較してみるとわかると思いますので、ぜひ試してみてください。はじめは目標の2倍くらいは時間をかけていいので、じっくり考えてください。考え抜く力をテストされているので、普段から納得するまでとことん考えることの大切さを忘れないでください。