獨協医科大学 化学
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
本学の化学は2005年以来大問5問の構成です。大問1は小問10問ほどの小問集でこれは理論・有機、以下、理論、理論、理論・無機、有機・理論(または有機)と4つの大問が続きます。つまり理論が重視されていて無機の出題は少ないです。また私立医大としては有機からの出題は比較的少ないといえます。理論は化学平衡と反応速度、気体の法則、気体・固体の溶解度、中和滴定、電池・電気分解、結晶格子、熱化学方程式、酸化還元など広い範囲からまんべんなく出題されます。無機は金属イオン系統分析と工業的製法が多いです。オストワルト法、ソルベー法、ハーバー・ボッシュ法などはもちろん教科書に出てくるものはすべて押さえましょう。有機では構造決定・異性体は当然ながらよく出ます。加えてアルコールの誘導体、エステルと加水分解、芳香族の反応、糖やたんぱく質などの天然高分子はよく狙われます。小問集では医薬品や高分子分野の知識問題への対応も必要です。
出題量と時間配分
理科は物、化、生のうち2科目で120分です。化学だけならば、平均60分ということになります。問題数は大問5題の合計で小問およそ30問です。1問当たりの時間は2~3分となり、相当短いと言えます。難易度は、1分もかからない知識問題もありますが、中堅の私立医大の中では全体としてはやや難しいです。小問ごとの難易度の見極めとスピード感が要求される試験です。70%を目標として60%を確保したいところです。
出題形式
2005年以来大問5題の構成で、大問1は10問の小問集です。残り4題は4、5問の小問からなります。大問1以外は小問5問の形か、冒頭の空欄補充のあと問1、問2と小問が続きます。問題用紙の最初には、必要となる原子量や、気体定数、ファラデー定数、常用対数のlog2、log3、…、log7の値や√2、√3の値などが小数第2位までコラムで与えられています。はじめに、何の数値が与えられているか、必ずチェックするようにするべきです。でなければ、かなり時間を無駄にするおそれがあります。大問2~5は大問ごとのテーマに沿った内容の小問です。誘導になっていることも多いので、大問ごとにまず全体に目を通してから始めるべきでしょう。
解答形式
全問マークシート方式となっています。数値計算も文字式計算も、共通テストの数学のように形に合わせて数値を選ぶ形式ではなく、空欄に合う完成形を6~9個の選択肢から選ぶ形式です。マーク式は途中経過を問われないので、自己流の解き方でも正解できる可能性があります。問題によっては選択肢の中から、仮の答えを選択して検討する、という方法もありえます。この場合は、あり得ない選択肢から消していくという消去法のセオリーに従って、少しずつ絞っていくことになるでしょう。逆に部分点が期待できない点が要注意です。正攻法で攻めるかどうかの判断も経験と過去問による訓練が求められます。
攻略のポイント
第1段階:まずは教科書レベルの定着が基本かつ重要
言うまでもないことですが、教科書の内容の定着が基本かつ重要です。医学部受験生たるもの、教科書は初めから最後まで、すみからすみまで熟読して、すべての例題や問を解くことは当然のことと考えましょう。「入試問題の出典」は原則教科書なのですから。教科書にある公式や法則などは単位を含めてスラスラと出てくることが必要です。既卒生は手元に無い場合も考えられますが、入試の出題の基本枠・原点の確認のために必ず教科書は入手しましょう。さらに、図表や口絵、写真に至るまで目を通せば、力のある受験生も思わぬ発見や収穫があるでしょう。教科書の例題を見た瞬間、解法が浮かび、すらすらと解けるのがこの基準です。また、ダブルチェックの意味で、教科書傍用の問題集として定番の『セミナー化学基礎・化学(いわゆるセミナー化学)』(第一学習社)たは『エクセル化学・総合版』(実教出版)の基本例題、基本問題を演習しストレス無く解ける基準を固めましょう。(ここで言う教科書とは「化学基礎」「化学」の両方のこと)
第2段階:次は入試物理の「標準」レベルの問題集を一または二冊マスターすること
『セミナー化学』または『エクセル化学・総合版』の発展例題、発展問題がこのレベルに相当します。最低でも一冊を2周、できれば受験期も含めて3周以上して、大問の中盤くらいまではすらすら解けることを目指しましょう。
第3段階:次は何と言っても過去演習
「習うより慣れよ」です。本学が受験生に求めているものを研究しましょう。満点を取る必要はないのです。また、全問解く時間もありません。6割以上、7割前後を想定目標にして、今の自分自身との距離感を把握しましょう。繰り返しになりますが、本学の2科目で100分という制限時間は短く、他校に類例を見ません。だからこそ本学の過去問は可能な限り入手して時間演習で鍛えることが必要となります。医学部受験生は併願校も少なくないはずなので、他校の過去問から一部の問題をカットして時間演習に用いてもよいでしょう。また、旧センター試験は過去問も豊富で対策問題集も中古でよければ、いくらでもあります。これらの活用も一案です。入試は満点を目指すテストではありません。過去問演習によって、一部の面倒な問題をスキップしても時間内に合格想定ラインを確保できる感覚を磨くことが、本学合格のカギなるでしょう。
推奨テキスト
(1)『教科書』(各出版社)
第1段階用です。
教科書はなければ合格できないというものでもなく、これさえマスターすれば合格というものでもありません。しかし、教科書が入試の出典の原点であることは強調し過ぎということでもありません。各種公式・法則の導出過程やさまざまなカラーの図式・写真などだけでも相当の価値があるでしょう。
(2)『セミナー化学基礎・化学(セミナー化学)』(第一学習社)
(3)『エクセル化学・総合版(エクセル化学)』(実教出版)
第1段階用です。
セミナー化学、エクセル化学は、定番の教科書傍用の問題集です。教科書の例題とともにこの基本例題、基本問題をマスターするのが第1の段階です。セミナー化学はとても良い問題集ですが、市販されていないのが難点です。入手が困難なら、エクセル化学で十分です。重問も大定番の市販問題集です。セミナーやエクセルの発展例題、発展問題が大丈夫なら、重問にトライしましょう。少しずつ入試問題も更新されていて、しっかりとした内容です。
(4)『化学(化学基礎・化学)基礎問題精講(基礎精講)』(旺文社)
(5)『化学重要問題集−化学基礎・化学(重問)』(数研出版)
(6)『学の新標準演習 改訂版』(三省堂)
(7)『鎌田の理論化学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)
(8)『鎌田の無機化学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)
(9)『鎌田の有機科学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)
第2段階用です。
『基礎精講』、『重問』は長年受験生の愛用問題集として風雪に耐えた定番の良問題集です。ボリュームがかなり違うので、どちらにするか手に取って選びましょう。『重問』はA、Bの問題ランクがありますが、本学の場合Aだけで十分です。『化学の新標準演習 改訂版』も優れた問題集です。書店で気に入ればこちらでもよいでしょう。また、理論、無機、有機の『大学受験Doシリーズ』三部作も必須といえます。仕組みや受験で出やすいポイントが整理されているので、教科書を読んで生じる、“なぜそうなのか”や“どこを覚えるのか”という疑問が解決できます。
<番外編>
(1)『化学図録』(数研出版)
無機化学のさまざまな「色」の暗記には誰しも苦労します。また、化学は本来なら実験によって学ぶべきものですが、受験科学に登場する有名実験といえども実際に経験した者は少ないでしょう。追体験的な意味でビジュアル的要素の本書は必須です。
(2)『化学の新研究 改訂版』(三省堂)
これは文字通り「大学入試化学のバイブル」と言えます。本学突破のためには必ずしも必要とはいえませんが、医学部受験生として辞書代わりに1冊買っておいても後悔はしないでしょう。
(3)『インターネット上のサイトの語呂合わせ』
下ネタも多いので、特にどこのサイトがおすすめというわけではありませんが、探せば語呂合わせも相当あります。化学は数学や物理に比べて暗記分野が多いです。はっきり言って覚えたもの勝ちです。逆に暗記を避けていると医学部合格は遠いといえます。受験もまた情報戦です。活用しない手はありません。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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