藤田医科大学 物理
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
最新の出題範囲は大問4問のうち、力学分野から2問、波動(熱)分野から1問、電磁気分野から1問という構成になっています。やや力学分野が多いような印象もありますが、高校物理においては何と言っても力学分野が中心であることから大問4問中、2問が力学分野という構成は今後も続いていくところです。まずは力学分野を完成させることが重要です。より詳しい内容は後述していますが、単純で平易な問題はほとんど出題されていません。これは本校だけではありませんが、2つ以上の物が連動している問題、いわゆる「連動型」の問題が中心です。これは難関校のここ数年の大きな傾向に沿ったものともいえます。勉強するときには、特にこの「連動型」問題に対して意識的に臨んでもらいたいと思います。
出題量と時間配分
最新の時間配分は2科目で120分となっています。したがって、物理のみに対しては、約60分ということになります。そして、大問は4問構成ですので大問一問当たり15分あたりということになります。この時間配分は平均的といえるでしょう。勿論、大問ごとにボリュームが異なりますから、個々の大問に対する時間配分は別に行う必要があります。結局のところ、試験とは難易度やボリュームの異なる各大問の特長を素早く把握し、比較的解きやすいと判断した問題から解いていき、解くたびに残りの問題に対して残りの時間を再配分しながら解き進めていくものです。そういう意味で大問一問当たり15分という時間配分は平均的なものであると同時に、試験開始時の時間配分でもあります。あくまで目安に過ぎませんが、逆に言えば平均的にみて、そういう時間配分でも解けるレベルの問題を大学側は出題しているということでもあります。
出題形式
最新の出題形式は、まず本校の問題は大問4問構成です。そして、第1問が小問7問構成、第2問が小問8問構成、第3問が小問3問構成、第4問が小問7問構成です。どの大問も共通するテーマに沿った小問から構成されており、別々の内容の小問集合のような大問はありません。4つの大問のうち第1問は、【A】と【B】のように、大きく2つの問題設定に分けられており、それぞれに小問が配置されているという点に本校の出題形式の特長があるといえます。
解答形式
最新の回答形式は記述式です。マーク式ではありません。どの問題も多くの物理量が文字で設定され、その文字を用いて答えよという回答形式がほとんどです。驚くべきことに、最新の問題によると具体的な数値を用いて計算させて、具体的な数値の回答を求めさせる問題が一問もありません。このような形式の問題は珍しい部類に入るといえます。こうした形式は計算時間がかからないというメリットの他に、何より計算ミスによる減点を心配しなくてもよいという大きなメリットがあります。受験生にとってはメリットといえますが、こうした形式が今後も続くかは不明というしかありません。他校の問題等で計算問題にも触れておくべきですが、本校のこうした特長を知っておくことも重要といえるでしょう。
攻略のポイント
まずは基礎を固めることである
そのためには、まずは定義や公式を理解した上でしっかりと覚えることです。これがなかなか難しいです。理解するというのは「自分の言葉で説明する」、「図で表す」、「他の公式同士のつながりを考える」など、様々な方法で公式を「考える」ということです。公式を覚えて、問題をただただ解きまくるといった学習ではなかなか物理の点数を上げることは難しいでしょう。一見、面倒だと思う作業を地道にやっておくことが、物理攻略の重要な出発点となります。
次に問題演習
物理で登場する公式や概念はそれほど膨大ではありません。それらを完全に理解したら、次は問題演習に入ります。問題をやることで、基礎が理解できているかどうかが確認できるからです。基礎の新たな面の発見につながることもあります。そういった意味で、問題演習も重要な作業となります。問題演習はただただ多くの問題を解くのではなく1冊の問題に絞り、1つの問題を解いたら他の方法で解いてみる、問題の現れる現象を深く調べてみるなど、多角的に検討します。その作業が新たな問題を解くためのカギとなっていきます。問題を見たときにどのようなプロセスで解いていくか、いわゆる問題解決能力を身につけないと、いつまでたっても新たな問題が解けるようにはなりません。何度も強調しますが、ともかく1冊の問題集に絞ることです。それを徹底的にやりこむことが物理の得点力を伸ばすのに非常に重要となります。
計算力がないと時間制限内に自分で正解にたどり着けない
立式だけを行い、解き方がわかったら細かな計算を最後までしないといった受験生を多く見かけます。必ず最後まで答えを出しましょう。そうしないと、あっという間に計算力が落ち、試験になったとき、一向に点数がとれなくなります。どのように工夫すれば、より効率よく計算できるかを自分なりに研究することも大切です。しかし、自分ではなかなか効率よい計算にたどりつかないこともあるでしょう。その際は、いつも習っている先生に、自分の解き方を客観的に見てもらいアドバイスをもらうのが一番の方法です。
過去問演習
ある程度標準的な問題が解けるようになってきたら、次は過去問演習に進みましょう。
確かに、同じ問題は出題されないのですが、この大学がどのようなレベルを要求しているのかを知ることは有効な対策となります。計算量や、求められる知識などは、大学によって変わります。特に第一志望の過去問は、念入りに研究することが大切です。
本学では説明問題や、グラフの作図問題などが目立ちます。そういった問題の対策として、やはり上記のように普段教わっている先生に答案を見てもらうことが非常に重要となります。
推奨テキスト
まず、良い問題集とは、少なくとも次の2点を満たしているものであると考えます。すなわち、①解説が詳しいことです。解説がある程度詳しくなければ、自習ができません。これは、問題演習の効率を著しく低下させます。次に、②ほぼ全ての分野の内容を網羅していることです。網羅性の低い問題集は、完全に解き終えたとしても穴が多く残っているものです。以上の2点に注意して問題集を選べばよいですが、勿論、完璧な問題集というものは存在しません。上記2点に注意しながら、後は、自分の好み・相性も大事にして、決めることになるでしょう。
(1)『漆原晃の物理基礎・物理(力学・熱力学編、電磁気編、波動・原子編)が面白いほどわかる本』(KADOKAWA・中経出版)
問題を解くためには、まず、基礎的な内容を頭にしっかりと入れておく必要があります。このシリーズは、できる限り簡単な表現で物理の内容を説明してくれています。このシリーズは、全部で3冊からなり、やや多いようにも思えますが、それだけ丁寧に説明してくれているとも言えます。まずは、本シリーズのような、いわゆる「理解本」を使って、穴を作らないように、物理全体の内容を頭に入れるところから始めてみるのも、一つの方法です。
(2)『セミナー物理』(第一学習社)
セミナー物理は、言わずと知れた学校用問題集の代表格です。学校用問題集を軽視する人もいるようですが、一般論として、その風潮は正しいとは言えません。やはり、よく出来た問題集です。特に優れていると思える点は、基礎チェックレベルや、基本例題、基本問題、発展例題、そして、発展問題などという、レベル分けの細かさです。このレベル分けを大いに活用して勉強するのも、本問題集の活用ポイントです。もっとも、学校用問題集にはあまりいい思い出がないという人もいるかもしれません。そんな人のために、下記に少し紹介します。
(3)『良問の風』(河合出版)
本問題集は、標準的なレベルの問題集です。解説はある程度詳しいので、自習できると思われます。網羅性は問題数とも大いに関連しますが、最初の問題集としては適切な問題数だと思います。本校の場合は、特に「連動型」問題の出題が多いです。本問題集で勉強するときも、この「連動型」問題については、特に注意して、完全に理解するようにしましょう。
(4)『名問の森(力学・熱・波動1編、波動2・電磁気・原子編)』(河合出版)
本問題集は、上記『良問の風』の上位版として知られる問題集です。本シリーズは、2冊からなっています。どの問題も有名な問題ばかりです。したがって、知らない問題があれば、それだけで、差を付けられるといっても過言ではありません。医学部受験生であれば、当然知っておくべき内容である、というくらいのつもりで、取り組んでいい問題です。また、前述したように、本校の場合は、特に、「連動型」問題の出題が多いです。本問題集で勉強するときも、この「連動型」問題については、特に注意して、完全に理解するようにしましょう。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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