兵庫医科大学 化学
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
2024年の問題は、第1問が小問集合であり、小問1が「周期表の第3周期の元素とその化合物」に関する問題で、問題文の内容に該当する「元素記号」や「化学反応式」、そして「分子式」を答えるという内容でした。基本的な内容が多いですが、なかには細かい内容もありますので、注意が必要です。小問2は「酸化還元反応」に関する計算問題でした。これは基本的な内容と思います。小問3は「固体の溶解度」に関する計算問題でした。こちらも基本的な内容と思います。第2問は、「混合気体の平衡状態」というテーマに関連した複数の小問から構成されています。平衡定数や平衡状態にある物質のモルを計算して求める問題に加えて、物質を新たに追加した場合の平衡の移動に関連して、追加した物質のモルに対する、容器内の同物質のモルの変化や、その過程で吸収あるいは発生する熱量の変化を、グラフに書く問題もありました。第3問は、有機化学分野からの出題でした。説明の記載はあるものの「インジカン」という高校化学では聞きなれない物質を扱っています。そのなかで、グルコースに関する構造分析、問題文の設定におけるインジカンからインジゴが得られた割合、インジゴを還元したロイコインジゴの構造式、この還元に必要な電子のモル、などが問われています。聞きなれない物質も登場しますので、その説明を含む問題文をよく読んで理解することがまず大事と思います。
出題量と時間配分
2024年の化学の試験時間は、「一般選抜A」の方が選択科目の2科目で120分でしたので実質60分であり、「一般選抜B」の方は1科目で60分でした。この試験時間に対して大問が3問ありました。したがって、基本的には大問1問あたり約20分ずつの時間配分となりますが、大問ごとの問題量が同等とは限らないので、テストが開始された時点で一回すべての問題を見通し、各大問の問題量を確認した上で、解き始める前に大問ごとのだいたいの時間配分を設定した方が良いと思います。
出題形式
出題形式について、まず注意すべきは大問3問構成という点です。そして、第1問は、異なるテーマの小問集合の形式であり、3つの小問から構成されています。その内の小問1の中は、さらに8個の小さな問題に分かれていて、幅広い知識が問われています。第2問と第3問は、ともに同じテーマに関する大問ですが、それぞれ、5つと4つの小問から構成されています。
解答形式
回答形式は記述式のようです。ほとんどの計算問題において有効数字が指定されていますし、「答えを求める過程も記せ」という指示があります。こうした指示は、必ず守らなければなりません。また、第3問の有機化学の問題では、構造式を書く問題も出題されています。さらに、第2問の「混合気体の平衡状態」に関する問題においては、追加した物質によって生じる平衡の移動に関するグラフを書く問題が、2題も出題されています。グラフも書けるように準備しておく必要があります。
攻略のポイント
医学部の化学の特徴は、一般に難易度が高いことに加えて、理論分野から無機分野、そして有機の高分子分野まで、幅広く出題される点にあります。そしてこの傾向は、本学を含む私立大学医学部において、より顕著といえます。そのため、最終的には難易度の高い問題を正解できるようになる必要はあるのですが、その前に、高校化学のほぼ全範囲に対して、標準的なレベルの問題を解けるようになることが極めて重要です。この段階にできるだけ早く達することが、医学部合格に向けての重要なポイントの一つになります。
この点、「標準的なレベルの問題」のイメージとして最も良い例は、高校で配布されることが多い化学の教科書準拠の問題集の問題になります。例えば『セミナー化学+化学基礎』(第一学習社)であるとか、『リードαの化学+化学基礎』(数研出版)のような問題集の問題になります。
これらの問題集の良い点としては、①概ね全範囲をカバーした内容になっている点、②別冊の解説本が付属されており、解説が詳しい点、③例えば、チェックテスト・基本例題・基本問題・発展例題・発展問題のようにレベル分けがなされており、レベルに応じた問題の選択をしやすい点、などを挙げることができます。
これらの問題集を使って、高校の定期テストの対策として、最初に「基本レベル」の問題をすべて解いておくことが理想的といえますが、受験生となった際にも、一通り解き直すことがよいと思います。その際に間違えた問題は必ずチェックしておき、できるようになるまで繰り返すことが重要です。そして、医学部受験対策としては、最終的に「発展レベルまでが必須」という点に注意してください。別の言い方をすれば、医学部受験ではこうした問題集の「発展レベルの問題こそが主戦場」であり、基本レベルまでの問題は発展レベルの問題を理解するための単なる準備にすぎない、ということを理解しておきましょう。
そして、「発展レベルの問題」を終えた後であれば、受験予定医学部の「過去問を読む」ことは可能になっていると思いますので、できるだけ早くその過去問演習に入るべき、と思います。「過去問を読む」とは「解ける」ことではなく、「問題と解説の意味を理解できる」ということを意味します。「解ける」ようになるまで過去問演習をしないという姿勢は、医学部対策において、あまり適当とはいえません。なぜなら、そのような姿勢では医学部過去問のレベルを知る時期が、どうしても遅くなり、結果として医学部対策が遅れることになる可能性が高いからです。医学部過去問の演習を通して、その内容の範囲・レベルを知った後で、これまで使ってきた問題集では足りないと判断した部分があれば、その時点で初めて追加の問題集を検討すればいいと思います。その方が、その「追加の問題集」を利用する動機付けが明確となるので、勉強の効果は高まると思います。
推奨テキスト
(1)『化学の新研究』 卜部吉庸著 (三省堂)
難関大学又は医学部を目指す受験生にとって、化学を受験科目として使用するのであれば、この参考書は必須と考えます。その理由は、とにかく内容が豊富であり、「大学受験化学における最大範囲」を思わせる内容量になっているからです。実際には、この本に直接載っていない内容でも出題されることはありますが、それでも、この本に載っていなければ当然、他の本にも載っていないと思わせる安心感もあります。また、この本に直接載っていない内容であれば、たとえ出題されても、正解できない人が多いであろうというように、むしろ前向きに判断でき、他の問題に注力できるということもあり得るでしょう。この本の内容をすべて読み切ることは難しいかもしれませんが、少なくとも辞書的な使い方をすることはできるでしょう。または、辞書的な使い方がメインであっても、特に苦手な項目についてだけは、すべての内容をよく読むという使い方もできるでしょう。「大学受験化学における最大範囲」を感じるべく、この本を手元に置いておく価値はあると思います。
(2)『学校の教科書準拠問題集』
(『セミナー化学の化学+化学基礎』(第一学習社)、『リードαの化学+化学基礎』(数研出版)など)
前述しましたように『セミナー化学』や『リードα』のような問題集は、とてもよく出来た構成・内容になっていますので、もし抵抗がなければ、最初の段階では、これらの問題集を使ってみることをお勧めします。ただし、注意点が2点あります。1点目は、一般に「化学」分野は「化学基礎」分野を完全に含んでいるような見方をされることがありますが、常にそうとは限りません。実際、こうした問題集の「化学基礎」版には書かれてあった内容が、「化学」版には書かれていないということがあります。そのため、医学部受験生であれば必ず、「化学基礎+化学」版を使うか、または「化学基礎」版と「化学」版の2冊を使う必要があります。2点目は、前述したように、医学部受験生であれば、これらの問題集の「発展レベル」まで理解する必要があるということです。以上の2点に注意してください。
(3)『大学過去問(赤本)』(教学社)
前述しましたように、できるだけ早く、受験予定校の過去問演習をやってみることが重要、と思います。「解ける」必要はありません。今後の勉強方針を決定するために、できるだけ早く「やってみる(≒問題と解説を読んでみる)」ことが重要になります。使用する過去問はいわゆる『赤本』がいいと思います。前年の本がまだ出版されていない場合は、その前年の本でいいと思います。受験勉強においては「相手を知る」、つまり「受験校を知る」ことがとても重要になります。できるだけ早めに「やってみる」ようにして下さい。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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