岩手医科大学 物理
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
力学分野と電磁気分野が頻出です。波動や熱力学も出題されるが頻度は少ないです。原子物理はよく出題されます。教科書や問題集によくある普通の設定の問題ばかりであり、この大学のオリジナルな問題設定はないので対策は非常にしやすいでしょう。
出題量と時間配分
2科目120分であり、単純計算すると1科目当たり60分となりますが、難易度は高くなく、むしろ非常に易しいので、物理にはそこまで時間を割くことはできません。手際よく解き、他の理科1科目にどれだけ時間を割けるかが勝負となります。しかしながら、一度間違えた場合に、解き直すための時間はないでしょう。ミスが許されない時間配分となります。
出題形式
近年の問題は、大問3問構成です。第1問は、力学分野で小問6問構成です。第2問は、熱力学分野や原子分野などで小問6問構成です。第3問は、電磁気分野で小問6問構成です。前述の通り、大問の出題分野として、力学分野と電磁気分野は必ず出題されると言って良いでしょう。そしてすべての大問が、小問6問構成である点も要注意です。つまり小問誘導のない、いわゆる「崖」問題は少なく、多くの小問からなるいわゆる「階段」問題がメインであるといえましょう。「階段」問題であるがゆえに、いわゆる「変わった解法」は求められていません。基本に忠実に少しずつ階段を登って行くように、論理的に考えることができるか否かが問われています。
解答形式
近年の問題は、基本的に記述式です。「(注)解答には必要な式と答を書くこと。」との注意書きがあります。正確な式も書いていなければ減点されるおそれがあります。「式を書いていない」あるいは「式が不正確」であるような場合は、致命傷になりかねないので要注意です。また、なかには条件を変えれば結果がどうなるか、といった問い掛けもあります。式変形だけでなく、現象に対する理解にも留意したいところです。さらに「解答には単位を付けよ。」との指示がある問題もあります。これも単位を忘れれば、減点のおそれやもしくは無得点の恐れがあります。普段から単位を書く習慣を身に付けておくようにしましょう。また、図中の該当部に斜線を描かせる問題(P-V図)もあります。図の意味もしっかり覚えておきましょう。
攻略のポイント
近年の問題においては、前述の通り、力学分野と電磁気分野が必須です。
まず、力学分野です。出題内容としては、水平投射、斜方投射、力学的エネルギー保存則、衝突によるエネルギー損失、フックの法則、バネの単振動、2本直列バネの単振動などであるが、とても素直な内容でありかなり平易なレベルです。前述したようにひねったような問題はほぼ出題されません。したがって、こうした標準的なレベルの問題をいかに早く、正確に解くか、が問われています。攻略のためには、後述するような、標準的な問題集の基本例題レベル、基本問題レベルを完全に理解し、発展例題レベルまで解けるようになれば十分となります。
次に電磁気分野です。まず電気回路であるが、直流だけでなく、交流までしっかり理解しておく必要があります。例えばコイルとコンデンサーの並列回路が問われています。またローレンツ力、磁界内における円運動、なども問われています。もっとも、力学分野と同様で、電磁気分野の問題も医学部の問題としてはかなり平易なクラスに入るでしょう。したがって、攻略方法としては前述の力学分野と同様といえます。
他には、熱力学分野からの出題がみられます。気体の状態方程式、定積変化、定圧変化、正味の仕事量、サイクル、P-V図などを問うものですが、その内容のレベルはかなり平易であり標準的な問題集の例題レベルといってもおかしくはありません。医学部受験生であれば、おそらくほぼ全員が全問正答すべきレベルです。であるがゆえに、一問でもミスをすれば大きく後退するというべきでしょう。
他に、原子分野からの出題もみられます。内容としては、電子の運動エネルギーと仕事の関係、特性X線、ド・ブロイの物質波の公式、ブラッグ反射などが問われています。内容のレベルは同じく平易ではありますが、原子分野自体が手薄になりがちな分野であるため、少しでも忘れていたりミスをすれば大きく後退するでしょう。
全体としていえることは、再三述べているように医学部受験レベルとしては、極めて平易なレベルの出題内容であるということです。おそらく、満点取得者も多いと思われます。したがって、何度も申し上げますが、一問でもミスをすれば命取りです。大きく後退するでしょう。攻略としては標準的な問題集の全分野を仕上げ、穴を無くした上で普段からミスを防ぐための見直しをする習慣をつけることが重要です。最後に、改めて申し上げますが、この医学部はミスをしたら負けです。
推奨テキスト
(1)『漆原晃の物理基礎・物理(力学・熱力学編、電磁気編、波動・原子編)が面白いほどわかる本』(KADOKAWA・中経出版)
問題を解くためには、まず、基礎的な内容を、頭にしっかりと入れておく必要があります。このシリーズは、できる限り、簡単な表現で、物理全体の内容を説明してくれています。このシリーズは、全部で3冊からなり、やや多いようにも思えますが、それだけ丁寧に説明してくれているとも理解できます。まずは、本シリーズのような、いわゆる「理解本」を使って穴を作らないように、物理全体の内容を頭に入れるところから始めてみるのも一つの方法です。
(2)『セミナー物理』(第一学習社)
セミナー物理は、言わずと知れた学校用問題集の代表格です。学校用問題集を軽視する人がいるようですが、一般論としてその見方は正しいとはいえないでしょう。やはり大変よく出来た問題集です。特に優れていると思える点は、基礎チェックレベルや基本例題、基本問題、発展例題、そして発展問題などというレベル分けの細かさです。このレベル分けを大いに活用して勉強するのも本問題集の活用ポイントの一つです。もっとも、学校用問題集にはあまりいい思い出がない、やる気が出ない、という人もいるかもしれません。そんな人のために下記に少し紹介します。
(3)『良問の風』(河合出版)
良い問題集とは、少なくとも、次の2点を満たしているものです。
① 解説が詳しいこと。
解説がある程度詳しくなければ、自習ができません。解説が詳しくない問題集は、問題演習の効率を、著しく低下させます。
② ほぼ全ての分野の内容を網羅していること。
網羅性の低い問題集は、完全に解き終えたとしても、穴が多く残っているものです。
以上の2点に注意して問題集を選べばよいですが、勿論、完璧な問題集というものは、存在しません。上記2点に注意しながら、後は、自分の好み・相性も大事にして決めればよいでしょう。本問題集は標準的なレベルの問題集です。解説はそこそこ詳しいので自習できると思われます。網羅性は、問題数とも大いに関連しますが、最初の問題集としては、適切な問題数と思われます。
(4)『名問の森(力学・熱・波動1編、波動2・電磁気・原子編)』(河合出版)
本問題集は、上記『良問の風』の上位版として知られる問題集です。本シリーズは、2冊からなっています。どの問題も有名な問題ばかりです。したがって、知らない問題があれば、それだけで差を付けられるといっても過言ではありません。医学部受験生であれば、当然知っておくべき問題である、というくらいのつもりで取り組んでいい問題です。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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