岩手医科大学 化学
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
2017年入試から全科目マークシート方式となり、化学は2019年から理論、無機、有機の各1題の計3題という形が定着しています。2010年代は理論重視で理論からの出題が多く、その次が有機、そして無機という傾向でした。徐々に均等配分に近くなりましたが、難易度は標準的な問題が多く決して易しいとは言えません。理論は原子の結合・構造、気体の法則、稀薄溶液、酸化還元、中和反応、熱化学方程式、反応速度と平衡など幅広く全体を押さえる必要があります。無機は各族元素の性質に加えて工業的製法と実験問題が必出と言えます。実験問題は教科書や『図録』の写真やイラストで必ず視覚的に確認しておきましょう。有機は元素分析、構造決定・異性体は当然として、油脂や糖、たんぱく質などの天然高分子に強くなりましょう。また、医薬品関係の知識分野も出ると思わなければなりません。
出題量と時間配分
2021年入試より理科2科目120分です。ペア科目が物理の場合、時間をかければ解ける問題が化学のほうに多いと想定しておいたほうがよいでしょう。ペアが生物の場合はどちらとも言えず、過去問演習によって戦略を練るしかありません。化学は大問3題で小問数は合計で25~30問です。ほぼ共通テスト(あるいは旧センター試験)のような問題ですが、完璧主義ですべて解き切ろうとすると時間的に厳しいです。易しいときは60%、難しいときは50%確保を目標に捨てるべきは捨て、取れるものをしっかり取りましょう。
出題形式と解答形式
繰り返しになりますが、2017年入試から全科目マークシート方式となり、化学は2019年から理論、無機、有機の各1題の計3題という形が定着しています。それ以前は数値や文字式、化学反応式などを結果だけ記述する方式でした。ほぼ共通テスト(あるいは旧センター試験)をイメージして間違いはありません。適語補充、数値や文字式の計算問題、正しい化学式やイオン式を選ぶ問題、4択問題、3/3選択問題、3つの命題のそれぞれの正誤の組み合わせを答える正誤問題、選択肢が10個ほどもある「正しいものをすべて選べ」問題など、内容的にもほとんど同様のイメージです。
攻略のポイント
第1段階:まずは教科書レベルの定着が基本かつ重要
言うまでもないことですが、教科書の内容の定着が基本かつ重要です。医学部受験生たるもの、教科書は初めから最後まで、すみからすみまで熟読して、すべての例題や問を解くことは当然のことと考えましょう。「入試問題の出典」は原則教科書なのですから。教科書にある公式や法則などは単位を含めてスラスラと出てくることが必要です。既卒生は手元に無い場合も考えられますが、入試の出題の基本枠・原点の確認のために必ず教科書は入手しましょう。さらに、図表や口絵、写真に至るまで目を通せば、力のある受験生も思わぬ発見や収穫があるでしょう。教科書の例題を見た瞬間、解法が浮かび、すらすらと解けるのがこの基準です。また、ダブルチェックの意味で、教科書傍用の問題集として定番の『セミナー化学基礎+化学(いわゆるセミナー化学)』(第一学習社)または『エクセル化学・総合版』(実教出版)の基本例題・基本問題を演習しストレス無く解ける基準を固めましょう。(ここで言う教科書とは「化学基礎」「化学」の両方のこと)
第2段階:次は入試物理の「標準」レベルの問題集を一または二冊マスターすること
『セミナー化学』または『エクセル化学・総合版』の発展例題・発展問題がこのレベルに相当します。最低でも一冊を2周、できれば受験期も含めて3周以上して、大問の中盤くらいまではすらすら解けることを目指しましょう。
第3段階:次は何と言っても過去演習、特に共通テスト₍旧センター試験₎
「習うより慣れよ」です。できればマークシート方式になる以前の過去問も演習しましょう。本学が受験生に求めているものを知りましょう。満点を取る必要はありません。また全問解く時間もありません。50%以上、65%前後を想定目標にして、今の自分自身との距離感を把握しましょう。現在の共通テストそっくりの出題形式と内容が続くとすれば、共通テストと旧センター試験は過去問を活用しない手はありません。優良な対策問題集も豊富で中古も含めて際限なくあります。過去問演習によって、一部の面倒な問題をスキップしても時間内に合格想定ラインを確保できる感覚を磨くことが、本学合格のカギなるでしょう
推奨テキスト
(1)『教科書』(各出版社)
第1段階用です。
教科書はなければ合格できないというものでもなく、これさえマスターすれば合格というものでもありません。しかし、教科書が入試の出典の原点であることは強調し過ぎということはありません。各種公式・法則の導出やさまざまなカラーの図式・写真などだけでも相当の価値があるでしょう。
(2)『セミナー化学基礎・化学(セミナー化学)』(第一学習社)
(3)『エクセル化学・総合版(エクセル化学)』(実教出版)
第1段階用です。
セミナー化学、エクセル化学は、定番の教科書傍用の問題集です。教科書の例題とともにこの基本例題、基本問題をマスターするのが第1の段階です。セミナー化学はとても良い問題集ですが、市販されていないのが難点です。入手が困難なら、エクセル化学で十分です。重問も大定番の市販問題集です。セミナーやエクセルの発展例題、発展問題が大丈夫なら、重問にトライしましょう。少しずつ入試問題も更新されていて、しっかりとした内容です。
(4)『化学(化学基礎・化学)基礎問題精講(基礎精講)』(旺文社)
(5)『化学重要問題集−化学基礎・化学(重問)』(数研出版)
(6)『化学の新標準演習 改訂版』(三省堂)
(7)『鎌田の理論化学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)
(8)『鎌田の無機化学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)
(9)『鎌田の有機科学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)
第2段階用です。
『基礎問題精講』、『化学重要問題集』は長年受験生の愛用問題集として風雪に耐えた定番の良問題集です。ボリュームがかなり違うので、どちらにするか手に取って選びましょう。『化学重要問題集』はA、Bの問題ランクがありますが、本学の場合Aだけで十分です。『化学の新標準演習 改訂版』(三省堂)も優れた問題集です。書店で気に入ればこちらでもよいでしょう。また、理論、無機、有機の大学受験Doシリーズ三部作も必須といえます。仕組みや受験で出やすいポイントが整理されているので、教科書を読んで生じる、“なぜそうなのか”や“どこを覚えるのか”という疑問が解決できます。
<番外編>
(1)『化学図録』(数研出版)
無機化学のさまざまな「色」の暗記には誰しも苦労します。また、化学は本来なら実験によって学ぶべきものですが、受験科学に登場する有名実験といえども実際に経験した方は少ないでしょう。追体験的な意味でビジュアル的要素の本書は必須です。
(2)『化学の新研究 改訂版』(三省堂)
これは文字通り「大学入試化学のバイブル」と言えます。本学突破のためには必ずしも必要とはいえませんが、医学部受験生として辞書代わりに1冊買っておいても後悔はしないでしょう。
(3)『インターネット上のサイトの語呂合わせ』
下ネタも多いので、特にどこのサイトがおすすめというわけではありませんが、探せば語呂合わせも相当あります。化学は数学や物理に比べて暗記分野が多いです。はっきり言って覚えたもの勝ちです。逆に暗記を避けていると医学部合格は遠いといえます。受験もまた情報戦です。活用しない手はありません。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
岩手医科大学への受験を控えている保護者様へ
岩手医科大学の受験には学校別の対策が必須になります。プロ教師界でトップの実力を持つリーダーズブレインの家庭教師は、様々な医大・医学部受験の合格実績と受験ノウハウを有しています。その中でも、お子様に最適な東京医大・医学部に強い家庭教師をご紹介します。