出題範囲（分野）

数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ からの出題です。出題数が非常に多いので、ほとんどの分野から出題されるでしょう。したがって、出題されやすい分野などヤマを張るような学習や避けた方が良さそうです。

出題量と時間配分

試験時間は80分で、問題数は25題です。1つの問題にかけられる時間は短いので、手際よく、素早く解いていくことが求められます。問題によって、解答に至るまでの時間が異なるので、単純に1問につき3分程度とは限りません。

出題形式

例年、問題数は25題で、それぞれが独立した問題となっています。
基本～標準レベルの問題が中心ですが、やや解きにくい問題や手間のかかる問題も一部出題されています。問題は難易度順に並んでいるわけではないので、解きやすい問題を見極めることも必要です。

解答形式

すべてマーク式の問題です。また、すべての問題において、選択肢が0～9の10種類しかないので、1桁の整数にするための労力がかかります。問題によっては、正攻法ではなく、選択肢の数字を利用して求められる場合もあります。すべてが10択問題なので、マークミスが起こりやすいです。マークミスなどがないか注意しながら解くようにしましょう。

自治医科大の入試問題は、非常に独特です。難問を解く力よりも、典型的かつ標準的な問題を素早く正確に解く力が要求されます。問題数が非常に多く、多くの分野から出題されるため、弱点があると合格点を取るのは厳しいでしょう。
したがって、易しい～標準的な問題を中心に数多くの問題に触れていくのが、基本的な学習法となるでしょう。基本から標準的な問題ならば見た瞬間に解き方が浮かぶという状態まで演習を積む必要があります。さらに、標準問題を単に演習するだけでなく、常に解くスピードも意識しましょう。ただし、各分野を学び始めたばかりの段階では、スピードを追い求めるのではなく、慌てず丁寧に取り組む方がよいでしょう。初期段階で速さを追い求めると、少々変化された問題になると詰まってしまい、却って時間がかかってしまいます。まずは、基本事項を確認しながら基礎を定着させていき、慣れてきたら、スラスラ解けるようにしていけばよいでしょう。土台を固めたうえで、練習をくりかえしていけば、自然と速く解けるようになります。

標準レベルの問題までスラスラ解けるようになったら、過去問演習に入るわけですが、独特な形式の入試問題には、過去問を利用して慣れていくことが重要です。解きやすい問題と手間のかかる問題があるので、どの程度のスピードで解けば丁度良いのか、感覚的に分かるようにしておくとよいでしょう。また、難易度もすぐに予想がつくようにしておくことも大切です。自治医科大の場合、解答形式が独特な上に問題数が多いこともあり、似たような問題が出題されやすいです。過去問演習に取り組んでいくことで、自治医科大学の傾向をつかんでおくことは対策に非常に有効となるでしょう。

はじめに

自治医科大の試験問題は、入試難易度の割に問題が易しいです。しかし、どの大学の入試対策にも言えますが、過去問レベル＋αの学習をしておくことが大切です。傾向が変わることがあるという理由もありますが、要領よく問題を解くためには少々高いレベルの問題に取り組む必要があるからです。そのことを踏まえて以下の問題集を推奨します。

（１）『青チャート』（数研出版）
いわゆる網羅系参考書です。問題量が非常に多いので、すべての問題を解く必要性はありません。例題などを中心に、問題を選んでいけばよいでしょう。前述の通り、自治医科大の入試問題に対応するためには、難しい問題まで解かなくてもよいですが、他の医学部も受験する場合は、比較的難しい問題にも取り組む必要があります。

（２）『Z会数学基礎問題集　チェック＆リピート』（Z会出版）
学んだ内容の定着度を確認するのによいでしょう。また、苦手分野の確認・復習にもよいでしょう。この問題集は、じっくり考えて解くのではなく、スラスラ解けるかどうか確認することを主な目的としたテキストです。

（３）『チョイス新標準問題集』（河合出版）
基本事項がある程度身に着いた段階で取り組んでみるとよいでしょう。このレベルの問題をくりかえし解くことで、自治医科大の問題に対応できるようになります。ただし、併願校によっては、この問題集は早期に終わらせておかなければならないので、取り組み方に注意する必要があります。

（４）『合格る計算　数学Ⅲ』（文英堂）
「合格る」と書いて「うかる」と読みます。このテキストは、数学Ⅲの計算力強化にとても役に立ちます。解き方のコツが丁寧に説明されており、計算の上手・下手にまで触れている希少なテキストです。計算力強化を目的としたテキストなので、なるべく早い時期から取り組むことが大切です。

テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。