慶應義塾大学 化学
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
高校化学の学習範囲から満遍なく出題されていますが近年は無機化学単独での出題は減ってきています。一方理論分野の中では原子やミクロの世界について、いわゆる化学の根本となる分野についての出題が多いです。有機では高分子分野で糖、アミノ酸タンパク質、その他のうちの1つが順番で出題されています。
出題量と時間配分
2科目で120分、化学に60分使えると考えると決して余裕のあるわけではありませんが、かといって全く時間的に足りないということでもなく、入学試験としては絶妙なバランスであるといえます。記述式で計算の導出過程も記す必要があるため、普段から他人が見て理解できるような答案を心がけましょう。
出題形式
記述式ではあるものの、番号を選択して答える問題もあり形式は多岐にわたります。また私立医学部では珍しく、計算問題の導出過程を答案に記す必要があるなど、普段の勉強の姿勢を改めさせてくれるような出題形式であるといえるでしょう。
解答形式
計算問題に関しては上記導出過程を記すところに加えて、計算結果の有効数字についての指示は問題文中にはないので自分で判断して、有効数字を決めなければなりません。また、理由説明問題もあるので日ごろから考えを文字におこす習慣をつけておきましょう。
攻略のポイント
慶應義塾という名前から入試問題も難しいという先入観を持っている受験生が多いと思いますが、まずはその心のバリアを取り払って立ち向かっていく覚悟を決めましょう。そして、まずは「推奨テキスト」にあげた問題集などを使って、基本事項の習得に全力を淡々とこなしていきましょう。ある程度基本問題が自力で解けるようになったら、さっそく過去問に目を通してみましょう。この時点では過去問を解ける必要はありません。解答を読んでどういった問題が出題されているかがわかれば充分です。また、1問や2問は正解できる問題もあるでしょう。そういった小さな成功体験を早い段階でクリアしていくことを経験しておきましょう。すると、基本問題の理解だけでは太刀打ちできない分野であったり、パターンなどがおぼろげながらわかってくるものです。
その状態で次のやや難しい問題を含んだ問題集へと進んでいく、すると、前段階で自分の補強ポイントがわかっているので、問題集に対しての取り組み方にメリハリがついてくるでしょう。苦手だった問題と対峙する際には気合も入るでしょうし、そういう問題は計算もしっかり最後まで解き切りましょう。一方、得意な分野であれば少しリラックスして問題を解くだけでなく、資料集で関連事項を調べたり、後述する参考書を用いて少し深い内容を覗いてみて知識に広がりと奥行きを持たせていきましょう。
慶應の化学の問題で求められているのはそういった知的好奇心に裏付けられた本物の実力です。他の御三家の入試問題との違いもそこにあると考えてよいでしょう。
やみくもに難問がそろった問題集に時間を費やす学習もひとつの方法ですが、標準問題の解答に補足事項として気づいたことをつけ足していくことも有効であるという認識をもちましょう。
推奨テキスト
(1)『セミナー化学』(第一学習社)
教科書傍用問題集のため、学校で使用していない場合は入手することがやや面倒な問題集ですが長年多くの受験生に親しまれてきた網羅性は卓越したものがあります。多くの受験生は「基本問題」からスタートすると思いますが意外に各章の「プロセス」に答えられない問題があったりするのでその部分もしっかり読み込みましょう。
(2)『化学の新標準演習』(三省堂)
セミナー化学が入手できない場合にはこちらを代替させても良いでしょう。問題のレベルは非常に素直な問題が多くそれほど考え込まずに進めていける問題が多いと思うので使いやすい問題集といえるでしょう。
(3)各社から出版されている写真がふんだんに掲載されている『資料集』
問題集は時期によって使用するものが変わったり、過去問演習になったりしますが、「資料集」は全ての期間で使用します。常に手の届くところに置いて、わからない用語などが出てきたらすぐに索引を使って調べ、一度調べた内容にはマーカーや付箋でしるしを付けていきましょう。するとやがてどのあたりにどんな内容が書かれているかがわかってきて、調べるときにも索引に頼らずに調べられるようになるでしょう。
(4)『化学の新研究』(三省堂)
過去問演習で未知なる操作や物質に出会った時などで『資料集』には載っていないような、反応の経路の解説など、化学をしっかり理解するために非常に役立ちます。通読する必要はありませんが気になる項目があった場合は気軽に読んでみるのもよいでしょう。
(5)『化学重用問題集』(数研出版)
年度ごとに毎年数問が入れ替わり常に最新の入試傾向を反映させようとしている稀有な問題集です。どの問題集にも言えることですが、すべての問題をカバーでき、かつ分量が多すぎない問題集は無いことを考えれば現状での第一の選択肢として推奨したい問題集です。ただし問題の難易度が比較的高い問題に対する解説があっさりしていることがあるので、そういった時にアドバイスをもらえる指導者の下で学習すれば効果は保証できます。
(6)『東京慈恵会医科大学医学部』(教学社)
いわゆる赤本、医学部入試は共通テスト後すぐに始まるので直前期まで「とっておく」と時間的な余裕のなさからほとんど過去問を解かないまま本番を迎えてしまうこともあるのでなるべく早い時期に目を通しておきましょう。場合によっては大問1問ごとなど細かく分けても良いので、既習分野における自分の理解が慶應の問題でどの程度通用するのかの距離感の確認にも利用しましょう。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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