医大・医学部受験プロ家庭教師 近畿大学 生物の入試対策と勉強法
医大・医学部受験専門プロ家庭教師が語る

近畿大学 生物
入試対策と勉強法

特徴と時間配分

出題範囲(分野)

免疫、諸器官の構造と仕組み、DNAの複製や遺伝子発現の仕組みといった医学的な分野に偏っています。しかしながら、非医学的な分野も2020年第4問に見られるように、植物の応答について大問で出されていることから、まったく無勉強で臨むことは危険です。

出題量と時間配分

理科2科目120分、つまり1科目60分で大問4つです。大問ごとの小問数や出題形式に統一性はありませんが、ある程度スムーズに解答できれば、ちょうどぐらいの分量です。逆に言えば、知識問題を反射的に埋められなかったり、論述に不慣れだったりすると終わらない作りになっています。

出題形式

各大問はテーマに沿った出題がなされ、まずは文章が提示され、その空所補充(10〜15箇所)、下線部や関連事項の設問が続きます。論述問題は1〜4問ずつ含まれ、論述では知識だけでなく考察を要する問題が出されます。グラフや模式図を描く問題が出されるのも特徴です。計算、記号選択の比率は低いです。化学式も出されるので有名な代謝については覚えておきましょう。

解答形式

記述式解答です。論述問題は字数が指定されるものがほとんどで、20字程度で教科書的な知識を問うものから、100字程度の考察を要求するものまで幅広く存在します。また、1つの小問で2つの事柄を説明させる場合もあります。作図問題は下地が与えられていないものもあります。

攻略のポイント

2科目で120分という制限時間は長めの部類に入りますが、指定字数の多い論述問題が少なくない一方で、大問ごとに10〜15箇所の空所補充および一問一答や作図の小問をこなさなければならないことを考えると、知識問題は手早く片付けていく必要があります。訊かれるのは教科書的な知識ですが、文脈的判断に基づき詳細な用語を当て嵌めていくことが求められるため、一問一答形式の練習のみでは対策として心許ないです。最低限、教科書傍用ワークの空所は全て答えられるようにする気構えで臨むべきでしょう。また、空所補充では数値に関する知識も問われるため、対策として、問題集で数値に関わる問題が出題される度、解説にまとめられている値を頭に入れるようにしておくと良いでしょう。

論述問題は難易度が比較的高いものも出題されています。特に、考察を求められる問題は教科書や図説で紹介されている発見の焼き直しの場合もありますが、論理的に結論を推定することが求められる問題も存在します。この場合、正確な知識が物を言うのは当然として、リード文などを手がかりに可能性のある結論を仮説立てていく力が必要になるため、論述対策に力点を置いた問題集を用いた練習は必須です。

分野で見れば、遺伝子の発現や免疫に関する問題には連年力点が置かれているのを感じます。DNAの複製や転写の仕組みとその調節機構、獲得免疫の成立過程といった内容については、関与する物質や細胞の名称と働きを諳んじられるようになるまで理解を深めておくと良いでしょう。また、遺伝子組換えや再生医療など、先端のバイオテクノロジーに関してもある程度説明できるように知識を蓄えておきましょう。

学習の進め方としては、用語問題対策と必修レベルの問題集を仕上げた後、生態系と進化を除く分野の論述を含む発展演習まで触れておきましょう。そのうえで、遺伝や免疫といった重点分野、作図やグラフ作成といった問題形式に特化した演習を必要に応じて補足していくのが良いでしょう。

推奨テキスト

(1)『生物用語の完全制覇』(河合出版)
対象:初学者、基礎知識を定着させたい方
本学の空所補充問題対策として好適です。多くの用語問題集が一問一答形式であるのに対し、本書は入試の文章を用いた空所補充問題の体裁で作られています。実践的であるのに加え、ワークノートと同様に文脈の中で用語の意味を確認しつつ学習することが出来るので、初学者にもお薦めです。

(2)『生物の良問問題集 [生物基礎・生物]』(旺文社)
対象:必修レベルの演習を行いたい方、論述練習を行いたい方
「確認」「必須」「レベルアップ」の3ステージにおいて頻出の良問が紹介されており、全単元の要点を掴むのに便利です。出題形式や用語からも問題を検索できるので、1周目には教科書や参考書の学習単元をフォローアップする形で使用し、以後は重点的に強化したい形式やテーマに従って問題を復習すると良いでしょう。論述問題も豊富で、必須レベルまでは主要な用語や現象の説明、レベルアップ問題になると思考力を要求される論述の練習ができます。

(3)『大森茂の生物論述問題の解き方』(あすとろ出版)
対象:論述練習を行いたい方
論述問題を「事項説明型」「理由追求型」「思考推理型」に分類し、解答作成の要点を解説するユニークな問題集です。事項説明の章では同じ設問に50字で答えた場合、100字で答えた場合の解答例が併記されており、指定字数に応じて必要となる説明のレベルが比較できる点も参考になります。入試対策としては、特に「理由追求型」の問題を練習しておくと役に立つはずです。

(4)『大森徹の生物 記述・論述問題の解法』(旺文社)
対象:論述の日本語力に自信が無い方、考察問題への対応力を強化したい方
論述の作法や構文といった視点から論述問題が解説されており、「解答の内容はある程度推測がつくものの、記述の仕方が分からない」という学習者には助けになるでしょう。考察問題が類型化され、それぞれのポイントが紹介されている点も勉強になります。

 

テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。

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