杏林大学 英語
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
2019年までは、大問1が文法語法等知識を問う短文空所補充、大問2が対話文完成問題、大問3が誤文訂正問題、大問4が2つに分かれており長文読解問題が2題という問題構成が続いていましたが、2020年より変更が生じ、大問2が語句整序問題、大問3が会話文の整序問題となっています。短文の空所補充については標準的な知識も多いですが、一部難易度の高い表現も問われています。誤文訂正はなくなったものの、対話文整序問題はこれまでの対話文完成と比べて格段に時間がかかるため、時間管理は厳しくなったといえます。落としてはいけない問題をしっかり取っていくという意識が必要な問題です。読解問題については医療系・自然科学系のテーマの出題が多いですが、人文系のテーマが出題される年もあります。内容把握を問うものが中心です。英文レベルはやや高く細部まで読み取ることが難しい英文が出題されることが多いため、細部にこだわらず文意の流れを見失わない読み方を身につけましょう。
出題量と時間配分
試験時間は60分です。大問1短文空所補充と大問2語句整序は知識を当てはめるだけの要素が強いのであわせて10分で解き終え、対話文整序を10分、長文1題あたりに20分ずつ確保しましょう。大問1・2は与えられている英文も短く、単純知識を問う問題であるため素早く処理出来るようにならないと、合否を左右することになる読解問題の出来に響いてしまいます。
出題形式
どの大問も細かい知識が一部含まれていたり、選択肢の正誤の判断が難しいものがあるため、全てで正しい答えを導こうとすると時間がかかりすぎてしまいます。試験時間が60分であることを考えて、確実に取れる問題を優先して解いていき、出来るだけ読解問題に時間を確保することで合格ラインを上回ることが出来ます。
解答形式
すべて選択式となっています。読解問題の英文に読みにくいものもありますが、内容一致問題の設問リード文に本文のついての具体的な情報があるため、前もって目を通しておくことで、本文を読みやすくすることが出来るでしょう。
攻略のポイント
[読解問題]
知識系の問題で、取りやすいものとそうでないものがはっきりしているため、読解問題の出来が合否を左右します。そのため読解力向上に向けた取り組みに時間をかけましょう。長文1題あたりに20分前後しかかけられないことを考えると、英文自体は素早く読みながらも内容を把握する速読能力の向上も必須です。意味のかたまりごとに前から意味をとっていく事ができなければ時間内に設問処理まで含めて解答を終わらせることは出来ません。句・節ごとに意味をとらえ、ニュアンスの分かるものは日本語に訳さず読み進める力を身につけましょう。
一定レベル以上の英文解釈能力を身につけたら、句・節ごとにスラッシュを入れながら前から訳読み下すトレーニングをしましょう(スラッシュ・リーディング)。最初のうちはやや多めにスラッシュを入れることになるでしょうが、慣れてくればそれほど入れずに前から読み下していくことができるようになります。併せて行いたいのが音読です。一度解き、しっかり復習した英文を用いて、必ず英文音読の時間を設けるようにしましょう。音読することで、強制的に前から読み下す習慣を身に付けることが出来ますし、日本語を介在させなくとも内容が頭に入ってくるようになる英文が増えてくることになります。その際には必ず意味のかたまりごとに内容を把握する意識を持つようにしましょう。漫然と読んでいては効果が半減してしまいます。音源付きの長文問題集であれば、それを利用することでさらに効果を高めることが出来ます。
医系テーマを扱った読解問題が出題されることも多いことから、普段の長文読解の素材として取り入れましょう。後述の問題集を是非利用しましょう。背景知識があると読みやすさの点で大きな差がでることがあります。
[単語]
長文で用いられる単語にやや難易度が高いものがふくまれていますが、設問を解く上ではおさえておく必要のないものです。もっとも類推する箇所をなるべく少なくして速読につなげるためにも、標準的な単語集掲載の単語はしっかり身に付けておきましょう。医系単語を別途必要する必要ありません。後述の『私立医大の英語』(教学社)のイラスト説明部分に記述されたものがある程度判断できるようになりさえすれば十分に対応できます。それでも未知の単語は出てきますが、単語集をしっかり終えていれば文意を参考にすることで正しい答えを絞れます。
[文法・誤文訂正]
空所補充については、一部細かい語法・イディオムが問われますが、殆どの問題が標準的な問題です。これらを取りこぼしの内容にしましょう。後述のような文法・語法系のインプット教材を一冊完璧にすれば十分得点できます。誤文訂正に関しては出題がなくなったものの、再度の出題の可能性もありうるため、後述の『英文法ファイナル問題集』(桐原書店)正誤問題程度はしっかりやっておきましょう。
[会話表現]
会話表現については、口語表現の知識を聞くというよりは内容把握と語法・文法の混合問題の要素が強いのであまり神経質になる必要はありません。もっとも、会話の特殊性があるので、苦手意識があるのであれば後述の問題集をやっておくと良いでしょう。
推奨テキスト
英文解釈
(1)『基礎英文解釈の技術100』(桐原書店)
英文構造の把握を身につけるための良書です。この1冊を7~8割程度消化したら、あとは速読のトレーニングをすることに注力しましょう。
(2)『ポレポレ英文読解プロセス50』(代々木ライブラリー)
講義仕立てで読みやすく、量も絞ってある分、時間をかけずに終えることが出来ます。(1)をやる時間がない人はこちらでも良いでしょう。
長文読解
(1)『パラグラフリーディングのストラテジー1・2』(河合出版)
ある程度の英文解釈力が身についたら取りくむべきシリーズで、速読するためのエッセンスが詰まっています。パラグラフリーディングの基本を1で身につけ、2でトレーニングする形です。3もありますが難関国公立向けであるため、こちらについては国公立と併願する生徒向けです。
(2)『全レベル問題集:英語長文6』(旺文社)
(3)『イチから鍛える英語長文700』(Gakken)
(4)『英語長文PREMIUM問題集:Advanced/Top』(東進ブックス)
いずれも音源付きであり、出版も新しいため最新のトピックを知る上でも役に立ちます。ある程度の長さと難易度に慣れるために夏には取り組み始めたい一冊です。
(5)『私立医大の英語(長文読解編)』(教学社)
医療系のテーマに絞った長文問題集です。CDは付いていませんが、最新医療の時事問題、医学・生物学など医学部で出題されること多いテーマをバランスよく扱っています。また、イラストを用いて背景知識を説明してくれているページは読み物としても面白いです。長文のレベルにややムラがありますが、杏林を受ける以上どのレベルの英文にも対応できるようになりましょう。
(6)『過去問』
当然ながら、最高の実践的トレーニングとして最も重要なものです。近年の1年分については、レベル・形式を把握するために早い時期に解いておきましょう。
文法・語法
(1)『頻出英文法・語法問題1000』(桐原書店)
文法・語法系のインプット教材としてはややボリュームがありますが、比較的説明が厚めなので自分で進めやすいでしょう。もっとも、学校などでNEXTSTAGEやVINTAGEなどを利用していれば、これらのテキストもよくまとまっているため、学校の進行に合わせてそれらを使った方が効率はよいでしょう。
(2)『英文法ファイナル問題集[標準編]』(桐原書店)
全10回のテスト形式です。範囲指定のない形で問題が作られているため、知識の定着度を図るのに良いでしょう。語句整序や正誤問題も各回に出題されているため、苦手な設問形式をピックアップして取り組むという使い方も可能です。
(3)『スーパー講義英文法・語法「正誤問題」』(河合出版)
出題がなくなってしまいましたが、正誤問題に苦手意識のある生徒は再度の出題に備えて取り組みたい一冊です。重要な文法・語法の知識や理解の精度をあげることが出来ます。
単語・イディオム
(1)『速読英単語[必修編・上級編]』(Z会出版)
学校使用の単語帳を用いるのが効率的ではありますが、使いづらかったり相性が悪かったりするのであれば、CD音源付きで速読の練習も兼ねられるこちらを利用すると良いでしょう。上級まで回せれば単語力に不足はありません。
(2)『解体英熟語』(Z会)
ボリュームはありますが、テキストの後ろにある前置詞・副詞の整理ノートがよくまとまっており、効率的に覚えられるだけではなく、未知のイディオムもニュアンスを類推することができるようになります。
(3)『システム英単語Premium(語源編)』(駿台文庫)
語源ごとに編集された単語帳です。単語としてはやや難易度の高いものが多いですが、語源については分かりやくまとまっているため、自分の使っている単語帳では覚えにくい単語があるときに参考程度に利用するとよいでしょう。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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