日本医科大学 英語
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
長文総合問題・語彙・発音・アクセント・自由英作文が出題され英語の総合力を問う出題となっています。読解問題では医療系の英文が出題されることも多いですが、人文・社会系のテーマも出題されます。英文のレベルは標準的と言えますが、英文をかなり正確に読めていないと解けない設問も多く、レベルの高い出題となっています。記述問題も単なる和訳問題だけではなく、解答を選んだ理由を説明することが求められるなど、高い論理的な思考力が求められます。
出題量と時間配分
試験時間は90分です。大問数が年度によって3~5題と幅があるため、現場での時間調整が必要です。大問数が少ない場合、読解問題の英文は長くなっているため、解き始める前におよそのタイムマネジメントをする必要があります。知識系の大問や語句挿入だけの英文は素早く解き、説明問題、文章全体からの内容一致問題など負荷の多い設問に時間を長めに確保出来るようにしましょう。
出題形式
英文自体のレベルは標準的であるものの、設問レベルがやや高いです。内容把握の選択問題で、答えを選ぶとともにその理由を記述することが求められるのは本学の典型的な問題です。和訳問題が出題される場合も、英文構造の把握だけではなく前後の内容の流れが正確に取れていないと訳出しきれないものも多いです。語彙問題は英語の定義を読んでそれに該当する語を選ぶ形の出題となっています。
解答形式
自由英作文は2019年より、出題されている読解問題の英文内容を踏まえて記述することが求められているため書き方の訓練が必要です。現場判断としても読解問題を解く前に自由英作文の設問を読み、何を書くべきかを考えながら読解問題に取り組んだほうが効率は良いでしょう。
攻略のポイント
[読解問題]
長文問題のみの出題となっている以上、読解力向上に向けた取り組みに時間をかけましょう。試験時間は90分ですが、設問処理に時間がかかることを考えると、英文自体は素早く読みながらも内容を把握する速読能力の向上も必須です。意味のかたまりごとに前から意味をとっていく事ができなければ時間内に設問処理まで含めて解答を終わらせることは出来ないでしょう。句・節ごとに意味をとらえ、ニュアンスの分かるものは日本語に訳さず読み進める力を身につけましょう。
一定レベル以上の英文解釈能力を身につけたら、句・節ごとにスラッシュを入れながら前から訳読み下すトレーニングをしましょう(スラッシュ・リーディング)。最初のうちはやや多めにスラッシュを入れることになるでしょうが、慣れてくればそれほど入れずに前から読み下していくことができるようになります。併せて行いたいのが音読です。一度解き、しっかり復習した英文を用いて、必ず英文音読の時間を設けるようにしましょう。音読することで、強制的に前から読み下す習慣を身に付けることが出来ますし、日本語を介在させなくとも内容が頭に入ってくるようになる英文が増えてくることになります。その際には必ず意味のかたまりごとに内容を把握する意識を持つようにしましょう。漫然と読んでいては効果が半減してしまいます。音源付きの長文問題集であれば、それを利用することでさらに効果を高めることが出来ます。
医系テーマを扱った読解問題が出題されることも多いことから、普段の長文読解の素材として取り入れましょう。後述の問題集を是非利用しましょう。背景知識があると読みやすさの点で大きな差がでることがあります。
[単語]
長文で用いられる単語にそれほど難易度が高いものがあるわけではありませんが、類推する箇所をなるべく少なくして速読につなげるためにも単語力はしっかり付けておきましょう。医系単語を別途必要する必要はありません。後述の『私立医大の英語』のイラスト説明部分に記述されたものがある程度判断できるようになりさえすれば十分に対応できます。それでも未知の単語は出てきますが、単語集をしっかり終えていれば文意を参考にすることで正しい答えを絞れるでしょう。
[文法・語句整序]
大問として出題されるわけではありませんが、動詞の語形変化など小問レベルでは文法・語法知識が問われます。素早く処理し終えるためにも標準的な知識は正確に入れておきましょう。むしろ文法・語法学習の際には、読解のツールとしての意識を強く持つことが得点力アップに繋がります。英文和訳も出題されるため、各文法・語法知識の確認の際には、ある程度の長さの英文の中で判断できるか常に意識できるような学習が必要です。
[発音・アクセント]
問われる単語は基本的なものであるため、あらためて発音アクセントの問題集までこなす必要はありませんが、両者とも基本的なルールは身につけておくことで得点率を揚げることが出来ます。単語学習の際に発音アクセントまでしっかりカバーする意識を持つのが大事です。前述のCD音源を用いた長文学習も発音・アクセントの知識の充実につながります。
推奨テキスト
[英文解釈]
(1)『入門英文解釈の技術70』(桐原書店)
英文構造の把握を身につけるための良書です。この1冊を7~8割程度消化したら、あとは速読のトレーニングをすることに注力しましょう。
(2)『ポレポレ英文読解プロセス50』(代々木ライブラリー)
講義仕立てで読みやすく、量も絞ってある分、時間をかけずに終えることが出来ます。(1)こなす時間がない人はこちらでも良いでしょう。
[長文読解]
(1)『パラグラフリーディングのストラテジー1・2』(河合出版)
ある程度の英文解釈力が身についたら取りくむべきシリーズで、速読するためのエッセンスが詰まっています。パラグラフリーディングの基本を1で身につけ、2でトレーニングする形です。
(2)『全レベル問題集:英語長文5・6』(旺文社)
(3)『イチから鍛える英語長文500・700』(Gakken)
(4)『英語長文PREMIUM問題集:Advanced/Top』(東進ブックス)
いずれも音源付きであり、出版も新しいため最新のトピックを知る上でも役に立ちます。ある程度の長さと難易度に慣れるために夏には取り組み始めたい一冊です。
(5)『私立医大の英語(長文読解編)』(数学社)
医療系のテーマに絞った長文問題集です。CDは付いていませんが、最新医療の時事問題、医学・生物学など医学部で出題されること多いテーマをバランスよく扱っています。また、イラストを用いて背景知識を説明してくれているページは読み物としても面白いでしょう。長文のレベルにややムラがありますが、日本医科を受験する以上、どのレベルの英文にも対応できるようになりましょう。
(6)『過去問』
当然ながら、最高の実践的トレーニングとして最も重要なものです。近年の1年分については、レベル・形式を把握するために早い時期に解いておきましょう。
[文法・語法]
(1)『頻出英文法・語法問題1000』(桐原書店)
文法・語法系のインプット教材としてはややボリュームがありますが、比較的説明が厚めなので自分で進めやすいでしょう。もっとも、学校などでNEXTSTAGEやVINTAGEなどを利用していれば、これらのテキストもよくまとまっているため、学校の進行に合わせてそれらを使った方が効率はよいでしょう。
[英作文]
(1)『英作文ハイパートレーニング自由英作文編』(桐原書店)
自由英作文の構成の仕方、基本フレーズを修得することが出来ます。本校を受験する方であるならぜひ取り組んで欲しい一冊です。
(2)『英作文のトレーニング[自由英作文篇]』(Z会出版)
やや(2)と説明の仕方が異なるところがあるものの、学習した手順をさらにこちらで深めることが出来るでしょう。
[単語・イディオム]
(1)『速読英単語[必修編・上級編]』(Z会出版)
学校使用の単語帳を用いるのが効率的ではありますが、使いづらかったり相性が悪かったりするのであれば、CD音源付きで速読の練習も兼ねられるこちらを利用すると良いでしょう。上級まで回せれば単語力に不足はないでしょう。
(2)『解体英熟語』(Z会)
ボリュームはありますが、テキストの後ろにある前置詞・副詞の整理ノートがよくまとまっており、効率的に覚えられるだけではなく、未知のイディオムもニュアンスを類推することができるようになるでしょう。
(3)『システム英単語Premium(語源編)』(駿台文庫)
語源ごとに編集された単語帳です。単語としてはやや難易度の高いものが多いですが、語源については分かりやくまとまっているため、自分の使っている単語帳では覚えにくい単語があるときに参考程度に利用するとよいでしょう。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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