医大・医学部受験プロ家庭教師 東京慈恵会医科大学 物理の入試対策と勉強法
医大・医学部受験専門プロ家庭教師が語る

東京慈恵会医科大学 物理
入試対策と勉強法

特徴と時間配分

出題範囲(分野)

2007年以来大問3題の構成が定着していましたが、2023年と2024年は大問2題の構成となりました。大問2題の主題はそれぞれ力学と電磁気でしたので、力学と電磁気は非常に重要です。ただ、一つの大問の中に他の分野の内容が含まれることもあるので、物理全般についてしっかりと学習しておくことは必須です。
慈恵の物理は私大医学部の中では難易度の高いグループとなりますが、特徴的なものとしては、モデル化の問題と大学で学ぶ発展内容についての問題です。また、論述説明の問題も出題されるので、物理的な理解度の深さも求められている点は注意です。過去問演習が非常に重要です。

出題量と時間配分

理科2科目で120分の記述式です。以前は小問が20~30問でしたが、ここ2年は15問前後です。ただ、論述問題もあることを考えると、決して余裕があるわけではありません。やはり、得点できる問題で確実に得点することが重要です。

出題形式

大問2題で、大問1つがいくつかの設問に分けて出題されることもあります。各大問は5~10問程度の小問からなります。答えのみの記述以外にも、論述、描画など様々な形式で出題されます。問題の前の小問のみならず、後ろのほうの小問がヒントとなることもあることを覚えておきましょう。

解答形式

大半は結果のみ記述する問題ですが、描図や論述の問題も出されます。解答の形に合わせた式の一部を記述する問題などもあるため、しっかり問題を確認するようにしましょう。
常日頃から単に計算式だけでなく簡潔な説明や図解をそえた記述形式で問題演習することが大切です。

攻略のポイント

第1段階:教科書の内容の定着が基本かつ重要

近年の教科書は非常に充実しています。受験生たるもの、教科書は初めから最後まで熟読してすべての例題や問を解くことは当然のことと考えましょう。なにしろ「入試問題の出典」は原則教科書なのですから。教科書にある公式は、単位・次元を含めてスラスラと出てくることが必要です。入試の出題の基本枠・原点の確認のために、さらに、図表や口絵、写真に至るまで目を通せば、力のある受験生も思わぬ発見や収穫があるでしょう。教科書の例題を見た瞬間、解法が浮かび、すらすらと解けるのは大前提です。
物理は特に問題演習が重要な科目です。教科書傍用の問題集として定番の『セミナー物理基礎・物理(いわゆるセミナー物理)』などを繰り返し演習し、基本的な問題を確実に解けるようにすることが第1段階です。

第2段階:次は入試物理の「標準」レベルの問題集を一冊マスターすること

基礎を身につけた次の段階として、初見の難しい問題に対しても物理的に正しく考えることができるように、理解を深め、様々な問題の考え方やテクニックを身につけていく段階です。
この段階は、問題演習中心です。『セミナー物理』などの発展例題・発展問題~『名問の森』や『重要問題集』などに取り組みながら、ポイントとなる考え方や式の処理などを身につけていきます。最低でも2周、できれば受験期も含めて3周以上することを目指しましょう。
また、この段階においては、近似計算や公式の導出をしっかりと練習しておくことは大切です。物理の諸法則の関連性の理解を深めてくれることにもつながります。

第3段階:次は何と言っても過去演習

慈恵で特徴的な問題として挙げたモデル化の問題では、実際の現象を高校物理で扱えるような設定のもとに落とし込み、考えさせます。高校物理で学ぶ内容に単純化しているとはいえ、典型的な問題よりは複雑であることが多いため、このようなタイプの問題でどのように解き進めるかに慣れるための練習がとても重要です。
また、大学で学ぶ内容についての問題については、その知識を持っていることは要求されていませんが、導きにのって物理的に正しく解答していく力が試されます。論述の問題にも共通することですが、高校物理の深い理解や応用が課題となっています。
これらの問題に触れるためには、過去問演習が非常に効果的です。また、過去問演習で気になったことは発展レベルの参考書、問題集などでフォローしておきましょう。

推奨テキスト

(1)教科書(各出版社)
(2)『セミナー物理基礎・物理(セミナー物理)』(第一学習社)
(3)『エクセル物理・総合版(エクセル物理)』(実教出版)
(4)『リードα物理基礎・物理』(数研出版)
第1段階用です。
教科書はなければ合格できないというものでもなく、これさえマスターすれば合格というものでもありません。しかし、教科書が入試の出典の原点であることは強調し過ぎということはないでしょう。各種公式・法則の導出過程やさまざまなカラーの図式・写真などだけでも相当の価値があるでしょう。
セミナー物理、エクセル物理、リードαは、定番の教科書傍用の問題集です。教科書の例題とともにこの基本例題、基本問題をマスターするのが第1の段階です。

(5)『物理のエッセンス(力学・波動および熱・電磁気・原子) 五訂版』(河合出版)
(6)『漆原の物理・明快解法講座 五訂版 (大学受験Doシリーズ)』(旺文社)
第1段階用の補助教材としておすすめです。習得すべきポイントや、つまずきやすい点のわかりやすい解説がありますので、基本的な学習内容を理解するためのフォローに役立ちます。また、各分野のポイントを押さえた効率的な学習を進めることができます。

(7)『名問の森(力学・熱・波動Ⅰおよび波動Ⅱ・電磁気・原子)四訂版』(河合出版)
(8)『実戦 物理重要問題集2024 物理基礎・物理(重問)』(数研出版)
第2段階用です。
入試標準~やや難レベルの問題を整理された形で学ぶことができます。本学を志望するレベルの受験生には、第2段階でおすすめの問題集です。第1段階では基本的な考え方を身につけ、諸公式を覚え、易しい設定の問題の解き方を練習しました。次の段階として、問題演習を通して、複雑な設定の問題にどのようにアプローチしていくかを学んだり、諸公式をより深く理解したりしていきます。問題の中に第1段階では学ばなかったポイントが1つ以上ありますので、1つ1つ吸収していきましょう。

(9)『物理標準問題精講』(旺文社)
(10)『難問題の系統とその解き方(難系)』(ニュートンプレス)
第3段階のフォロー用です。
余裕のある受験生や、東大、京大、東京医科歯科大、横浜市大、千葉大、慶大などの超難関校の医学部と併願する生徒は、過去問演習をやりながらこれらの問題集に取り組みましょう。また、苦手な単元や問題にぶつかった時は、類題を5題探してやると効果的です。全部をこなすのは無理だとしても、類題演習のためにもあると良いでしょう。

テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。

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