東京慈恵会医科大学 化学
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
理論分野は化学平衡に関する問題が頻出しています。ただし他の分野との融合的な問題も多いです。無機分野単独での出題は隔年で出るか出ないかといったところでヤマを張るのは危険でしょう。有機は毎年出題されますが脂肪族から高分子まで満遍なく出題されます。
出題量と時間配分
2科目で2時間なので化学に1時間使えることを考えると問題量と難易度とのバランスから言って、まっとうな受験勉強を継続してきた受験生にとって全問解ききることはほとんど不可能でしょう。ただし合格者の正答率も決して高くないことから比較的易しい問題の見極めが必要です。
出題形式
国立大学の試験を彷彿とさせる問題内容でもちろん記述式です。各大問はリード文が長くそれを読んで状況を理解するだけでも練習を積んでいなければ困難を伴うでしょう。既視感のある問題をいかに素早く処理して難しい問題で後半部分まで得点を拾っていけるかが鍵となるでしょう。
解答形式
計算問題は昨今では珍しくアボガドロ定数が6.0ではなく6.02となっています。問題文には有効数字の指定がなく、自分で判断しなければなりませんが3桁で出さなければならない問題が多く、有効数字の判断も含め、時間がかかる一因となっています。
攻略のポイント
本学の化学の入試問題は先述した通り必ずしもすべての問題を理解して解ききれる必要はありませんので、過去問の解答を読んだ際に理解不能と判断した場合にはある程度頑張って考えてみる必要はあるものの、あまり1つの問題に固執しすぎて全体の学習進度の妨げにならないように気をつけねばならないでしょう。実際、新傾向の問題に関してはお手上げだった受験生も合格を勝ち取っているという現実を理解しましょう。もちろん他教科との兼ね合いもあるので、化学が得意な場合はある程度の深いところまで覗いてみるのは良い勉強になるとは思いますが、そうでない場合は出来ない問題は保留にする勇気ももってよいでしょう。
具体的には、問題演習を多めに積んでいきたいという観点から、受験の年の7月ごろ、ちょうど河合塾の全糖模試の2回目が実施されるころを目安にして理論分野・無機分野・有機の芳香族化合物までを一通り終わらせておきましょう。そうすればそこまで学習した内容がどの程度まで身についているかを模試という客観的な判断によって確認することが出来るでしょう。
この時期の模試では判定がどうだとかはそこまで気にする必要はなく、模試が終わった時点の自己採点でどの分野を強化するべきかの指針に利用しましょう。
夏には強化ポイントを意識しながら過去問にも目を通していく、本学の受験生は他の御三家または国立の医学部も目指しているケースもあるでしょうからその場合、他校の過去問にも目を通しておきましょう。
そして完答が難しいと思われる問題であっても1問でも多く取れないか、を意識して過去問と向き合っていきましょう。
推奨テキスト
(1)『セミナー化学』(第一学習社)
教科書傍用問題集のため、学校で使用していない場合は入手することがやや面倒な問題集ですが長年多くの受験生に親しまれてきた網羅性は卓越したものがあります。多くの受験生は「基本問題」からスタートすると思いますが意外に各章の「プロセス」に答えられない問題があったりするのでその部分もしっかり読み込みましょう。
(2)『化学の新標準演習』(三省堂)
セミナー化学が入手できない場合にはこちらを代替させても良いでしょう。問題のレベルは非常に素直な問題が多くそれほど考え込まずに進めていける問題が多いと思うので使いやすい問題集といえるでしょう。
(3)各社から出版されている写真がふんだんに掲載されている『資料集』
問題集は時期によって使用するものが変わったり、過去問演習になったりしますが、資料集は全ての期間で使用します。常に手の届くところに置いて、わからない用語などが出てきたらすぐに索引を使って調べ、一度調べた内容にはマーカーや付箋でしるしを付けていきましょう。するとやがてどのあたりにどんな内容が書かれているかがわかってきて、調べるときにも索引に頼らずに調べられるようになるでしょう。
(4)『化学の新研究』(三省堂)
過去問演習で未知なる操作や物質に出会った時などで資料集には載っていないような、反応の経路の解説など、化学をしっかり理解するために非常に役立ちます。通読する必要はありませんが気になる項目があった場合は気軽に読んでみるのもよいでしょう。
(5)『化学重用問題集』(数研出版)
年度ごとに毎年数問が入れ替わり常に最新の入試傾向を反映させようとしている稀有な問題集です。どの問題集にも言えることだとは思いますが、すべての問題をカバーでき、かつ分量が多すぎない問題集は無いことを考えれば現状での第一の選択肢として推奨したい問題集です。ただし問題の難易度が比較的高い問題に対する解説があっさりしていることがあるので、そういった時にアドバイスをもらえる指導者の下で学習すれば効果は保証できます。
(6)『東京慈恵会医科大学医学部』(教学社)
いわゆる赤本、医学部入試は共通テストごすぐに始まるので直前期まで「とっておく」と時間的な余裕のなさからほとんど過去問を解かないまま本番を迎えてしまうこともあるのでなるべく早い時期に目を通しておきましょう。場合によっては大問1問ごとなど細かく分けても良いので、既習分野における自分の理解が慈恵の問題でどの程度通用するのかの距離感の確認にも利用しましょう。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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