東京女子医科大学 物理
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
本学の物理は例年、大問3題で「力学」、「電磁気」が1題ずつ、残りの1題は「波動」か「熱力学」という構成です。「原子」からの出題は2016年にありましたが、2024年までは出題されませんでした。波動と熱力学では、2016年から2024年の間に毎年、交互に出題さました。2024年度は「力学」、「波動」「原子」、「電磁気」でした。基本を中心に、標準レベルとやや難のレベルの問題が混在しています。
出題量と時間配分
理科2科目で120分です。2題の大問に3~5問前後の小問があり、文章による空欄穴埋め問題でその中に記述問題やグラフを書かせる問題があります。どの大問も、基本的なものから思考力を要求される小問や穴埋めまであるので、穴埋め問題を完答し、記述で差がつきそうなので慎重に解答していきましょう。
出題形式
注意事項で「問題文中にない物理量を用いるときは、定義してから用いること」と記載されています。このことから道筋を立てて論述する力が試されています。文字の定義や理由をつけながら記述するほか、問題文を前後でしっかり読み込む読解力、思考力も必要と言えます。描図問題との対策も怠ることのないように念入りに対策する必要があるでしょう。
解答形式
2024年では穴埋め形式の大問はなく、すべて記述式でした。また、「なぜそうなるのか理由を説明しなさい」といった設問もあります。グラフを書く問題でも電場、電位のグラフを書きなさいといった記述力も試されている点が本学の大きな特徴といえます。グラフなど描図の問題は毎年のように出されます。文章力、基礎力をみる部分が多いので、しっかりやれば最後まで完答できるでしょう。
攻略のポイント
1、まずは教科書の内容の定着が基本で重要
教科書にある公式は、単位・次元を含めてスラスラと出てくることが必要です。学校によってはほとんど教科書を使用しないケースもあり、既卒生は手元に無い場合も考えられますが、教科書(物理基礎・物理)は入手しましょう。入試の出題の基本枠・原点の確認のために、フォトサイエンスなどの図表や写真に至るまで目を通せば、力のある受験生も思わぬ発見や収穫があるでしょう。
教科書の例題を見た瞬間、解法が浮かび、すらすらと書けるのがこの基準です。しかし、不安があれば、教科書傍用の問題集として『セミナー物理基礎・物理』(第一学習社)などの基本例題とその類題を解けるようにしてください。
2、その次は入試物理の「標準」レベルの問題集を一冊マスターすること
『セミナー物理基礎・物理』(第一学習社)、『物理重要問題集』(研数出版)の発展問題がこのレベルに相当します。最低でも一冊を2周以上しましょう。そうすれば、標準レベルくらいまでは対応する力がつけられます。同時に、1のレベルにあげた公式も、下記のようなものは何度も反復して自力で導出出来るようにしましょう。例えば、単振動、力積と運動量保存則・エネルギー保存則、ドップラー効果、光波の干渉、状態方程式とポアソンの公式、熱運動とボルツマン定数、コンデンサーなどの近似計算があるものは何度も繰り返しましょう。
3、最後に過去演習が大切
理科2科目で120分という限られた時間の中で、上記のように本格的な標準またはやや難の問題に取り組むので、全問解こうとするのは無理があります。物理に何分使って解こうという目標が設定できるように過去問演習を繰り返しましょう。本学の大問は一つのテーマを誘導形式で求めていきますが、「過去問演習の何回目かでは、小問ごとではなく、数学の長い証明問題のように一気に結論へ向けて論証してみる」と良い訓練となるでしょう。本学の志望者は問題集や他校の過去問演習の際も、常に答えだけを求めるのではなく、上記の点を意識して記述の答案を書くようしましょう。
推奨テキスト
(1)『教科書』(各出版社)
教科書は入試の出典の原点であります。本学の場合は理由を答えさせたり、グラフを答えさせたりしているので教科書は必ず学習してください。教科書は公式・法則の導出過程やさまざまなカラーの図式・写真などだけでも相当の価値があります。おすすめは数研出版です。
(2)『セミナー物理基礎・物理』(第一学習社)
(3)『リードα物理基礎・物理』(数研出版)
(4)『実戦 物理重要問題集2024-物理基礎・物理』(数研出版)
『セミナー物理』は、定番の教科書傍用の問題集。教科書の例題とともにこの基本問題をマスターするのが一つの段階です。とても良い問題集ですが、市販されていないのが難点です。インターネットなどで高い値段で売られている場合には『リードα』でも十分です。
『重要問題集』も大定番の市販問題集です。セミナーやリードの基本問題が大丈夫なら、こちらを始めてもよいでしょう。少しずつ入試問題も更新されていて、しっかりとした内容です。
(5)『物理のエッセンス(力学・波動および熱・電磁気・原子)』(河合出版)
(6)『良問の風』(河合出版)
(7)『漆原の物理(物理基礎・物理)明快開放講座』(旺文社)
教科書と上記の二つの問題集を理解するために必要な「物理の思考回路」を磨くための参考書兼問題集が物理のエッセンスです。文字通り、一言一句、エッセンスというべき内容が凝縮しています。名著と言えますが、エッセンスだけに行間を埋めてくれるチューターがいた方が良いかもしれません。医学部の物理を攻略するために必要な、物理的なものの見方、思考回路を開いてくれるでしょう。『物理のエッセンス』と並行しながら、『良問の風』を解くとよいでしょう。『漆原の物理』は原則的に本質に迫るというよりは、解法をわかりやすくパターン化してくれるタイプです。『物理のエッセンス』と『漆原の物理』は受験物理への異なるアプローチです。どちらが向いているか、実際に手に取って確かめましょう。
(8)『スタディサプリ』(リクルート) 動画視聴
動画は物理における図示の重要性、図示のやり方・描き方、物体の運動イメージ・電流や電化の動き方などが紙面からではわかりにくい部分が理解できます。基本的な全体の流れを確認するときにはよいでしょう。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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