出題範囲（分野）

読解問題4題の問題構成が例年の傾向です。1題は対話文の読み取りです。内容把握を中心とし、内容一致問題・適文挿入・空所補充に加え、一部に記述形式として英文和訳と短い自由英作文が問われています。また、大問3・4では例年、グラフ・図表の読み取りがあわせて出題されています。英文の素材としては、人文・社会系が出題されることもありますが、医療系・自然科学系のトピックが扱われることが多いです。

出題量と時間配分

試験時間は60分です。大問1の500語程度の読解問題には英文和訳と自由英作文が含まれているため25分程度は時間を確保しましょう。残りの3題は基本的には時間を均等に分けていけばよいですが、大問1を含め英文の長さにばらつきがあるので、現場で時間配分の調整が必要でしょう。

出題形式

読解力を問う設問が多くを占めますが、大問ごとに問い方が異なり、特に大問2の適文挿入は、効率的な解き方を確立していないと時間がかかりすぎてしまう形式です。もっとも、英文レベル自体は標準的なもので読みやすく、英文を読める地力を高められれば高得点が期待できる出題です。

解答形式

大問1に含まれた和文英訳1題と自由英作文1題を除けば全てマークシート形式となっています。自由英作文は例年、25語以内の記述が要求されるにとどまり、書くべきテーマもイメージが湧きやすいものが多いため、基本的な単語・文法・構文を出力できるようにしておけば十分得点できます。

[読解問題]

読解力重視の問題形式であることから、特に読解力向上に向けた取り組みが必要です。試験時が60分であることを併せて考えれば、速読能力の向上も必須です。意味のかたまりごとに前から意味をとっていく事ができなければ時間内に設問処理まで含めて解答を終わらせることは出来ないでしょう。句・節ごとに意味をとらえ、ニュアンスの分かるものは日本語に訳さず読み進める力を身につけましょう。

一定レベル以上の英文解釈能力を身につけたら、句・節ごとにスラッシュを入れながら前から訳読み下すトレーニングをしましょう（スラッシュ・リーディング）。最初のうちはやや多めにスラッシュを入れることになるでしょうが、慣れてくればそれほど入れずに前から読み下していくことができるようになります。併せて行いたいのが音読です。一度解き、しっかり復習した英文を用いて、必ず英文音読の時間を設けるようにしましょう。音読することで、強制的に前から読み下す習慣を身に付けることが出来ますし、日本語を介在させなくとも内容が頭に入ってくるようになる英文が増えてくることになります。その際には必ず意味のかたまりごとに内容を把握する意識を持つようにしましょう。漫然と読んでいては効果が半減してしまいます。音源付きの長文問題集であれば、それを利用することでさらに効果を高めることが出来るでしょう。

パラグラフ・文整序やグラフの読み取りなどにも慣れるため、同様の設問形式を扱った問題集や類似過去問も学習に取り入れましょう。

[自由英作文]

25語程度の自由英作文であり、書くべき内容も思いやつきやすいものが多いことから、英文エッセイを書くためのスキルを身につける必要はありません。もっとも、基本的な語彙・イディオムを正確に書けるようにし、基本文法・構文を即座に出力できるようにしておかないと全体のタイムマネジメントを害することになります。各文法項目の主要事項については、それぞれの基本例文をしっかり書けるところまで仕上げておきましょう。

[単語・イディオム・会話表現]
単語レベルは標準的で、英文の素材に医療系のものもありますが、医歯薬系の単語を覚えなくてはならないほどの出題はありません。オーソドックな受験用単語帳を1冊完成させれば十分です。会話表現については、対話文読解が毎年出題されるものの、口語表現の知識を聞くというよりは内容把握を問う問題であるのであまり神経質になる必要はありません。もっとも、会話特殊性があるので、苦手意識があるのであれば後述の問題集をやっておくと良いでしょう。

英文解釈

（１）『入門英文解釈の技術70』（桐原書店）
英文構造の把握を身につけるための良書です。この1冊を７～8割程度消化したら、あとは速読のトレーニングをすることに注力しましょう。

（２）『ポレポレ英文読解プロセス50』（代々木ライブラリー）
講義仕立てで読みやすく、量も絞ってある分、時間をかけずに終えることが出来るでしょう。（１）をこなす時間がない人はこちらでも良いでしょう。

長文読解

（１）『パラグラフリーディングのストラテジー1・2』（河合出版）
ある程度の英文解釈力が身についたら取りくむべきシリーズで、速読するためのエッセンスが詰まっています。パラグラフリーディングの基本を1で身につけ、2でトレーニングする形です。

（２）『全レベル問題集：英語長文5』（旺文社）
（３）『イチから鍛える英語長文500』（Gakken）
（４）『英語長文PREMIUM問題集：Advanced』（東進ブックス）
いずれも音源付きであり、出版も新しいため最新のトピックを知る上でも役に立ちます。ある程度の長さと難易度に慣れるために夏には取り組み始めたい一冊です。

（５）『私立医大の英語（長文読解編）』（教学社）
医療系のテーマに絞った長文問題集です。最新医療の時事問題、医学・生物学など医学部で出題されること多いテーマをバランスよく扱っています。また、イラストを用いて背景知識を説明してくれているページは読み物としても面白いです。長文のレベルにややムラがありますが、医学部受験生はぜひ取り組んで欲しい一冊です。

（６）『過去問』
当然ながら、最高の実践的トレーニングとして最も重要なものです。近年の１年分については、レベル・形式を把握するために早い時期に解いておきましょう。

単語・イディオム

（１）『速読英単語［必修編］』（Z会出版）
学校使用の単語帳を用いるのが効率的ではありますが、使いづらかったり相性が悪かったりするのであれば、CD音源付きで速読の練習も兼ねられるこちらを利用すると良いでしょう。上級まで回せれば単語力に不足はありません。

（２）『解体英熟語』（Z会）
ボリュームはありますが、テキストの後ろにある前置詞・副詞の整理ノートがよくまとまっており、効率的に覚えられるだけではなく、未知のイディオムもニュアンスを類推することができるようになります。

（３）『システム英単語Premium（語源編）』(駿台文庫)
語源ごとに編集された単語帳です。単語としてはやや難易度の高いものが多いですが、語源については分かりやくまとまっているため、自分の使っている単語帳では覚えにくい単語があるときに参考程度に利用するとよいでしょう。

会話問題

（１）『英会話問題のトレーニング』（Z会出版）
会話問題に苦手意識がある場合に取り組むべき一冊です。ボリュームが多いため、時間がない場合には第3章の会話形式の長文読解25題をやるとよいでしょう。

テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。