東京女子医科大学 数学
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
小問集合となっている第1問に対しては、様々な分野の出題に対して準備をしておく必要があります。2021年の問題では、第1問の(1)で「無理数の整数部分と小数部分」、(2)で「極限値」、(3)で「三角関数の値」、の各分野からの出題がありました。ただ、難易度は基本的なものと考えられます。第2問では「平面図形関係」、第3問では「確率」、第4問では「対数方程式関係」が出題されています。出題範囲は多岐にわたっているという印象です。
出題量と時間配分
2021年の数学の試験時間は60分でした。この試験時間に対して、大問が4問ありました。したがって、基本的には大問1問あたり約15分ずつの配分となります。前述したように第1問は小問集合形式で小問が3問あるので、小問1問あたり5分程度で解く必要があるでしょう。次に第2~4問は同一テーマですが、すべて記述式のようですのでマークシート式よりも時間がかかります。受験生の得意・不得意もありますから、現場で細かい時間調整をしながら解きやすい問題から解いていくということになるでしょう。
出題形式
出題形式についてまず注意すべきは、大問4問構成という点です。そして第1問だけは、様々な内容の小問集合構成となっています。この小問集合は3問から構成されていますが、非常に基本的な問題になっていますので落としたくないところです。第2~4問はそれぞれ同じテーマに関する大問であり、複数の小問部分がある大問もあります。
回答形式
第1問から第4問まですべて記述式のようです。記述式には答えだけを記述させる形式と途中経過も記述させる形式がありますが、特に後者では妥当な記述方法というものを学校の定期テストの段階から覚えてできるようにしておきましょう。
攻略のポイント
問題の難易度として高いものも含まれていますが、他の医学部に比べると基本的な問題が多い印象です。したがって基本的な問題から幅広く準備しておく必要があります。そのため、下記で紹介している網羅系の問題集をまずはできるだけ早く終わらせるべきです。
網羅系の問題集を終えた後は、その復習つまり2周目、3周目を行いながら他の問題集には手を出さずに、すぐに受験予定大学の過去問演習にとりかかるべきだと思います。なぜなら、基本的な部分は網羅系の問題集を複数回復習することで十分ですし、応用的な部分は実際に受験予定の大学の過去問で練習する方がより実践的、かつ効果的と考えるからです。他の問題集に手を出すのは、受験予定大学の過去問をこなしてそのレベルや傾向などを知ってからでいいと思います。この順番を逆にすると、その他の問題集の演習効果は半減するのではないかと思います。通常、受験予定大学として数校はあると思いますが、各大学の数年分の過去問をすべて合わせるとかなりの数になりますので、その演習時間もかなりの時間になります。他の問題集にかける時間はそれほどとれないといえます。また、それらの過去問の演習はとても重要なプロセスになります。なぜなら、そのプロセスを通して自分と合う大学・合わない大学の判断もできるようになるからです。
受験勉強の最終目標は、受験校に合格するということを除けば受験校の過去問と同等レベルの問題を解けるようになることにあります。そのために、中心に考えるべきはやはり受験予定校の過去問演習です。前述の網羅系の問題集の演習はあくまで、受験予定校の過去問演習においてその解説を理解できるようになるための準備にすぎません。そのような意味においてまず、網羅系の問題集をこなして、その後に受験予定校の過去問演習をこなすこと、そしてその上で自分に足りず、かつ網羅系の問題集でも足りないと判断した部分についてその部分をカバーするその他の問題集をこなしてみるという順番が正解ではないかと思います。さらにその上で、大手予備校の模擬試験で実戦経験を積んでいくべきだと考えます。
推奨テキスト
(1)『フォーカスゴールド・数学ⅠA・ⅡB・Ⅲ』(啓林館)
数学の「網羅系の問題集」として近年非常に利用者が増えていると思われるのが、この『フォーカスゴールド』のシリーズです。これまで王道とされていた『青チャート』などのチャート系をかなり意識した作りになっていると思いますが、「網羅系の問題集」として利用できると思います。
「網羅系の問題集」として利用できるための要件は、3点あると考えています。1つ目は当然ですが、「内容が網羅的であること」です。そうでなければ、十分な準備はできません。2つ目は、「解説が詳しいこと」です。これは、解説が詳しくなければ自習ができないためです。そして3つ目は、「掲載されている問題の難易度が、易しい問題から難しい問題までできるだけ揃っていること」です。例えば、「★マークの数」などによって難易度表示されているものがいいと思います。その方が勉強しやすいからです。
この『フォーカスゴールド』は、上記の3要件を満たしていると思いますので、推奨できると思います。またフォーカスゴールドは、「マスター編」、「チャレンジ編」、「実践編」に分かれていますが、まずは、「マスター編」だけでいいと思いますので何周も繰り返してしっかり理解するようにしてください。
(2)『青チャート・数学ⅠA・ⅡB・Ⅲ』(数研出版)
上記の『フォーカスゴールド』が出てくるまでは、多くの受験生がこの『青チャート』に代表されるようなチャート系の問題集を「網羅系の問題集」として使っていました。現在においてこのチャート系の問題集も上記の「網羅系の問題集」であるための3要件を満たしていると思いますので、推奨できると思います。また例えば、『青チャート』でいえば問題は「基本例題」と「重要例題」などの区別がありますが、「基本例題」だけではなく「重要例題」までしっかり理解するようにしてください。そうすることで難関大学にも対応しやすくなると思います。1周だけでなく、解けるようになるまで何周も繰り返すことが大切です。
(3)『大学過去問題集(赤本)』(教学社)
前述しましたように、できるだけ早く受験予定校の過去問演習をやってみることが大事だと思います。「解ける」必要はありません。今後の勉強方針を決定するために「やってみる(≒問題と解説を読んでみる)」ことが大事になります。過去問としてはいわゆる『赤本』がいいと思います。前年の本がまだ出版されていない場合は、その前年の本でいいと思います。受験勉強においては「敵を知る」、つまり、「受験校を知る」ことがとても大事になります。できるだけ早めに「やってみる」ようにして下さい。
※テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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