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青山学院高等部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2016年度「青山学院高等部の国語」
攻略のための学習方法

長文読解

文章量の多さが、やはり本校の特徴といえるだろう
大問1(論説文)と大問2(随筆文)で合わせて8500字(2016年度)。これに古文の1000字が加わり、およそ9500字の文章に目を通す必要がある。

設問は書き抜き・穴埋め・選択肢と一般的な国語の試験で見慣れた形式であるが、これだけの長文だと正解や手がかりを探すのに手間がかかる。読むスピードとともに要点を整理する手際の良さが求められる。

 まずは長文読解の基本に忠実に。
説明的文章であれば、形式段落→意味段落の整理。段落の最初と最後に注意しながら要点のチェック。それらをまとめて要約し、要旨・結論を把握。本文を読み進めながら印や下線を用いて上記のようなポイントを目立つようにしておく。

文学的文章であれば場面・段落の変わり目をマーク。登場人物・筆者の気持ちや意見とその変化に最大の注意を払いながら、重要な発言や行動をチェック。そこからテーマとそれに対する人物や筆者の考えを読み取る。印・下線を使ってすぐ探せるようにしておくことはもちろん有効である。

長文の問題では、部分的に戻って確認する程度はできても、全体を読み返す時間はおそらく無い。1回の読みで上記のプロセスを終えなければならないので集中力と慣れが必要である。同程度の文量の問題でしつこく練習しておくこと。

と、理想を言えばそうなのだが、現実にはなかなかそうはいかない。本校のような長文の試験で全ての設問に時間をかけるのはやはり無理がある。全問に正解しようと気張らないことである。設問を見てピンと来ないものは後回し。できる問題をまずは拾って最後まで目を通すこと。
合格最低点は6割5分ほどである。

古文

他の中高一貫の高校にも言えることだが、試験を受けるのはまだ中学生なのに、出された問題はすでに高校レベルであるという点がなんとも厄介である。しかも本校の問題はなかなかに難しく、低レベルの大学ならこれくらいの問題は出してもおかしくない難易度である。

当然、中学で軽くなぞった程度の古文学習では足りないので、本校の古文に本格的に対策する場合は、いっそ高校古文の基本レベルの教材を使ってしまおう。
難しいとは言っても、難解な助詞・助動詞の区別や複雑な文法まで問われるわけではない。
おおよそは文章の内容理解が主で、あらすじが理解できれば答えられる問題が多い。最重要単語100~200や、基本的な文法だけ覚えて、なるべく多く文章にあたって古文に慣れておくことである。

また、問題構成を見ると現代文の読解24問・漢字10問・古文読解10問という割合で、現代文読解に比重がある点を考え、前半で点を稼げる自信があるなら古文は3~5割の正解でよしとするのもひとつの考えではある。

漢字・その他

漢字の読み・書きは毎年出題されている。手を抜かなければ得点できる分野なので、全問正解を望みたい。言葉の意味など、言語事項も数問出される。

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2016年度「青山学院高等部の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は3つ。論説文4500字・随筆文4000字・古文1000字で計9500字ほどと文量は多い。
やはり比重の大きい現代文2問をなるべく急いで、答えられる問題をしっかりこなし、残りを古文に当てるのが適当だろう。
漢字は10問出題され、できれば失点無しですませたいが、中学で習う漢字の中でもやや難しいものが見られるのでしっかり覚えておきたい。

【大問1】論説文の読解

  • 時間配分:21分

ケインズ経済学に端を発する、現実関係から「切断」された建築を見直し、「接合」としての建築を考えるという筆者の提言を読み取る。

問一 設問自体が手がかりになる場合は多い。設問中の「手順」という言葉に注目。訊かれているのは「手順」を述べた箇所なのである。ケインズ政策では「魔法のように負を正に一気にひっくりかえし」てしまうのだから、それと対照的な「手順」が書かれている部分を探す。

問四 ここはわかり易かったのではないだろうか。ハコモノというキーワードが良いヒントになっている。

問六 選択肢(2)か(3)で迷った人が多かったかもしれない。金銭の授受といった政治の「腐敗」は現実にしばしば見られるところで選びたくなってしまうが、この文中では言及がないので適切ではない。

問八 空欄前後の「始まりもなく、終わりもない」や「建築は……時間の流れそのものである」からイメージして選ぶ。

問十 「物質的な接合」について述べられている部分に選択肢と合致する内容があるので、それを選ぶ。

【大問2】随筆文の読解

  • 時間配分:15分

筆者はなぜ快適とは言えない環境で執筆を続けるのか。

問二 上記のテーマとも言える設問で、ここは難しい。直後にあれば探しやすいのだが、直後にはその創作に適さない環境が詳しく述べられ、《 》部分の直前で創作の最低条件がないとダメ押しで書いている.。
ここからしばらく「快適」というキーワードから「芸術とは何か」に話が発展し、芸術創作に対する筆者の原則(社会と伽藍に対する否定と反抗の振り子運動)にかなり字数が割かれる。そしてその後にようやく、この「原則」と同じくらい大事なものとして、劣悪な環境で執筆を続ける筆者の心意気といったものが述べられ、それをまとめた部分が指定された21字で出現するのである。
まとめ・言い換えの接続詞が目印。

問八 社会に伴走するのも軽蔑するのも「一面的」だと言っているので、まさに「面」が不足しているのである。

問十 「否定と反抗の振り子運動」という原則から、選択肢(1)は選べない。「行き来」では認めている意味になってしまう。正解の選択肢の内容は文中にあるものの、筆者の置かれている現実とは異なるので選び難いかもしれない。だが筆者が真実だと認めて書いているので、選んで良いのである。

【大問3】古文の読解

  • 時間配分:14分

ものぐさ太郎の話なので、多少はイメージしやすいだろう。
「あらうたて」「なのめならず」「あらさまの」など知らない単語が出てきても、話の流れがわかれば類推はできる。

問一 古文は主語が省かれることが多いので誰の行動・発言なのかを常に注意する。ここは領主が所領を「しる」のだから、そこから選ぶ。

問五 現代とは字が違うが、「ふべん」ではなく「ふびん」である。

問六・問九 「命助かる支度」の提案である。

問八 「なんとも~なことだ」という領民の嘆きの表現になっている。

攻略ポイント

現代文の読解には十分な対策をしておくこと。テストの形式はクセのない一般的なものなので、過去問を含めて他の学校の問題も良い練習になるはずである。長文読解の場数を踏んでおく。

また、問題量の多さを考えると全ての問題に全力を注ぐのは時間的に厳しい。手に負えないと感じた問題は諦めて、とにかく最後まで手を付けることである。
その上で残った余裕を古文に回す。

全体として、読解のスピードが要となるので、意識して訓練しておかれたい。

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