青山学院高等部 入試対策
2018年度「青山学院高等部の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
文章量の多さが、やはり本校の特徴といえるだろう
例年、現代文2題で合わせて9000字ほど、これに古文を加えておよそ10000字の文章に目を通す必要があったが、2018年度では論説文が約4200字・随筆文が約2200字・古文が約630字の計7000字とやや文量が少なくなっている。
設問は書き抜き・穴埋め・選択肢と一般的な国語の試験で見慣れた形式であるが、これだけの長文だと正解や手がかりを探すのに手間がかかる。読むスピードとともに要点を整理する手際の良さが求められる。
まずは長文読解の基本に忠実に。
説明的文章であれば、形式段落→意味段落の整理。段落の最初と最後に注意しながら要点のチェック。それらをまとめて要約し、要旨・結論を把握。本文を読み進めながら印や下線を用いて上記のようなポイントを目立つようにしておく。
文学的文章であれば場面・段落の変わり目をマーク。登場人物・筆者の気持ちや意見とその変化に最大の注意を払いながら、重要な発言や行動をチェック。そこからテーマとそれに対する人物や筆者の考えを読み取る。印・下線を使ってすぐ探せるようにしておくことはもちろん有効である。
長文の問題では、部分的に戻って確認する程度はできても、全体を読み返す時間はおそらく無い。1回の読みで上記のプロセスを終えなければならないので集中力と慣れが必要である。同程度の文量の問題でしつこく練習しておくこと。
と、理想を言えばそうなのだが、現実にはなかなかそうはいかない。本校のような長文の試験で全ての設問に時間をかけるのはやはり無理がある。全問に正解しようと気張らないことである。設問を見てピンと来ないものは後回し。できる問題をまずは拾って最後まで目を通すこと。
合格最低点は6割5分ほどである。
古文
他の中高一貫の高校にも言えることだが、試験を受けるのはまだ中学生なのに、出された問題はすでに高校レベルであるという点がなんとも厄介である。しかも本校の問題はなかなかに難しく、低レベルの大学ならこれくらいの問題は出してもおかしくない難易度である。
当然、中学で軽くなぞった程度の古文学習では足りないので、本校の古文に本格的に対策する場合は、いっそ高校古文の基本レベルの教材を使ってしまおう。
難しいとは言っても、難解な助詞・助動詞の区別や複雑な文法まで問われるわけではない。
おおよそは文章の内容理解が主で、あらすじが理解できれば答えられる問題が多い。最重要単語100~200や、基本的な文法だけ覚えて、なるべく多く文章にあたって古文に慣れておくことである。
また、問題構成を見ると現代文の長文読解21問・漢字10問・古文読解10問という割合(2018年度)で、現代文読解に比重がある点を考え、前半で点を稼げる自信があるなら古文は3~5割の正解でよしとするのもひとつの考えではある。
漢字・その他
漢字の読み・書きは毎年出題されている。手を抜かなければ得点できる分野なので、全問正解を望みたい。言葉の意味など、言語事項も数問出される。
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2018年度「青山学院高等部の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問は3つ。論説文4200字・随筆文2200字・古文620字で約7000字と、文量は前年度より少なくなった。
やはり比重の大きい現代文2問をなるべく急いで、答えられる問題をしっかりこなし、残りを古文に当てるのが順当だろう。
漢字は10問出題され、できれば失点無しですませたいが、中学で習う漢字の中でもやや難しいものが見られるのでしっかり覚えておきたい。
【大問1】論説文の読解
- 時間配分:22分
知識人とはどんな存在かを定義しつつ、インターネットが普及した現代において知識を持つことにどんな意味があるのかを考えている。
問一 『男はつらいよ』において、は知識人は「インテリ気取り」の鼻持ちならない野郎であり、寅さんが理屈抜きで「知識野郎」を罵るのが大衆からすると小気味よかったのである。
問二 「人よりも先に目が醒めてしまった」とある。一般人がまだ気づいていないことに一人気づいてしまった状態を例えているので、選択肢2が合う。
問三 本人が望んでもいないのに、「たまたま」「思いがけず」「(割り)当てられて」しまったのであるから、ある意味「不運」と言える。
問四 「象徴的に」なので、具体的な部分は選ばない。アンデルセン童話を例に出した部分の「王様は裸だと宣言する」が内容も条件も合う。
問五 a・bは「対立する二つの作業」であり、「モノを書くことと行動すること」に例えられる。
問六 いくつか適当な文はあるが、「わかりやすく述べている」のは「職業でもカーストでも公式的な資格でもない」の部分であろう。そんなものを自分で名乗ってしまうのは愚かなのである。
問七 本来知識を持つこと・相手に教えることは素晴らしいことなのに、それを伝えるだけの価値ある相手がいないとなると、「知識を持つこと」自体も悲しいことになってしまう。
問八 インターネットでひたすら多くの情報を集めるだけで満足してしまう「熟考する必要を感じない人」にとっては、どんな情報も「無価値なものとして蔑ろにされてしまう」のである。
問九 知識人とは、「専門の領域以外の知識を所有していて、それを社会のために行使する人間」であり、それを「現実に活用」し、「自分の信じえたある正義のために抗議をする」ものである。
問十 A.なまじ――中途半端に。大学教授は「なまじ」覚えた学問という枠組みにとらわれてしまう。
B.もっぱら――ひたすら・そればかり。専門的な知識は「もっぱら」抑圧するばかりである。
問十一 イ.全うする。 カ.端的――ここでは「手早く要点だけを言うと」の意味で使われている。
キ.匿名。匿は「秘匿」などと使う。
【大問2】随筆文の読解
- 時間配分:16分
散歩風の旅で山を歩くことによって思索が得られると綴っている。
問一 山支度で出かけたいが仕事なのでそうもいかず、下半身だけ山仕様で仕事に向かう筆者の気持ちである。
問三 講演を頼んだいわば「先生」が絵具箱をもって兵隊靴で現れたのであるから、「?」が浮かんだはずである。
問四 宿屋の主人には本当の職業を伏せて画家の振りをしている。「あざむくのがつらい」とも言っている。そんなことを知らない主人はニセ画家先生の適当に描いた絵を「心から光栄」に思ってありがたく受け取るのである。筆者は内心、申し訳なく思っているだろう。
問五 画家の振りをして、少し「大げさな」演技をすることになる。
問七 「雲の独り言」は雲を人に見立てているので、擬人法が使われている。
問八 それは「私自身を密かに飾る収穫」として、「生涯を美しく飾るもの」となり、「自分の芸術をもっと力のあるもの」にしてくれるのである。
問九 深山斑猫を持っているだけなので寂しかったが、霧ヶ峰を「下るときに」延齢草を「見つけて」安心したように眠った。「いつ――どうした」の関係である。倒置をもとにもどすとわかりやすい。
問十 「散歩風の旅」で「思索」を得たと、最後に語られている。
【大問3】古文の読解
- 時間配分:12分
問一 2月は旧暦では春。「余寒」は春なのにまだ残っている寒さ、である。「曙」は日が出る時分。
問三 直前の「うき心」は「憂し」の「嫌な・気に食わない」の意味だろう。せっかく優しい言葉をかけられても疑心暗鬼になっているので、信じられないのである。
問四 「な――そ」は禁止を意味する組み合わせ。
問五 直前の「はかばかし」はしっかりしている・はっきりしているの意。しっかりしている子はおなかの中にいるときから母親の言うことを聞くものだ、「まして」あなたは八歳なのだから……と泣く子をいさめているのである。
問六 「大人し」。文字通り、大人びている・思慮分別があるという意味。
問八 夫を亡くして取り乱しているところに、6歳の子どもが泣き止まないので敵に見つかりはしないかという「なげき」がさらに加わるのである。
問九 「かなし」は「愛し」でいとしいという意味がある。
問十 8歳・6歳・2歳の3人。
攻略ポイント
現代文の読解には十分な対策をしておくこと。テストの形式はクセのない一般的なものなので、過去問を含めて他の学校の問題も良い練習になるはずである。長文読解の場数を踏んでおこう。
記述問題がないのは時間的に助かるが、選択肢を考え分けるのに時間がかかる問題もあるので、それほどの余裕はない。手に負えないと感じた問題は諦めて、とにかく最後まで手を付けることである。
その上で残った余裕を古文に回す。
全体として、読解のスピードが必要となるので、意識して訓練しておかれたい。