中央大学附属高等学校 入試対策
2020年度「中央大学附属高等学校の国語」
攻略のための学習方法
解法
特有の「説明文問題」だけではなく、「選択肢」「抜き出し」「空所補充」、その他の問題も含め、「中附の国語」で勝利を手中に収めるための基本は、何度も指摘している通り、いかに「解法」をうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。
それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
大学入試にも匹敵、否、それ以上の問題文を読まなくてはならない。全体で15000字程度。解答時間は60分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。中附に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速750字以上(できれば800字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「文法」なども含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「中附の国語」(直接出題だけではなく、「説明文問題」等でも不可欠)。いかなる「攻略法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ、かも知れない。が、そこで諦めてしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。
先ずは、「己が実力」を悟ることだ(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「問題文理解」にも不可欠だ。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
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2020年度「中央大学附属高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「論説文」、出典は阿部公彦「詩的思考のめざめ――心と言葉にほんとうは起きていること」(文字数約5000字)。小問は全10問(解答数20。「説明文」ありが2問)。「選択肢」(「空所補充」「複数解答」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」、「語句記述」、「漢字の読み書き」(5問)。問題文は6分半程度で読み切り、設問を23~24分で解きたい。
大問二は「小説」、出典は岡本かの子「越年」(文字数約8300字)。小問は全12問(解答数17。「説明文」ありが2問)。「選択肢」(「空所補充」「複数完全解答」、「総合的知識問題」あり)。問題文は11分ほどで読み切り、設問を20分弱で解きたい。
【大問一】
- 時間配分:30分
「名前をつける」「数え上げる」「恥じる」などの言葉を切り口として、日常に「詩のタネ」を探し、詩的な声に耳を澄ませことによって、私たちと世界の関係は違って見えてくるので、「言葉の感性」を磨くべきだと論じている。本文では、私たちは「名づけ」の欲望を持っており、「詩」とは「名づけられるべきだがいまだ名づけられていないものとの出会いの場」だと指摘し、「檸檬」の語り手は、強烈な名づけの衝動である「詩」を純粋な形で演じてみせていると論じている。「文学論」であるが難解な語句は少なく、内容は理解できるはずだ。本校特有の「小問での説明文」や「長い説明の選択肢」、「漢字の書きとり」、「総合的知識問題」などが並び、まるで本校のショーケースのような大問だ。以下、いくつか検討してみたい。尚、問題文には、梶井基次郎の小説「檸檬」からの引用が5カ所挿入されている。
[問1] 「漢字の読み書き」(「読み」1問、「書きとり」4問)。難易度は例年よりやや高い。だが、失点は極力避けたい。確認する。(a)「頻繁」=「ひんぱん」⇒「読み」の定番、何の問題もない、(b)「言葉のコカツにあえぎ」=「枯渇」⇒「文脈」を正確に捉えること、また、「渇」の部首に注意、(c)「キョウギの『詩』ではありません」=「狭義」⇒やや難解か、「同じ言葉が指す意味の範囲に広さの違いがあるとき、狭い方の意味」ということも知っておきたい、(d)「私の心をシジュウ圧(おさ)えつけていた」=「始終」⇒これは大丈夫のはず、(e)「ショウソウといおうか嫌悪といおうか」=「焦燥」⇒これは難問、「嫌悪」と並立なので「あせっていらだつこと」に結びつけたい。本校では基礎から応用まで、あらゆる「語彙力」が求められていると心得よ。
<時間配分目安:全問で1分半>
[問2] 「説明文中の空所補充抜き出し」(全3問/各「字数指定」あり)。傍線部①「私たちの日常生活では、いろいろな『名づけ』が行われています」について、「筆者が想定している『名づけ』の場面と私たちの気づき」に関する「説明文」の中の空所 a ~ c に入る「適当な語句」をそれぞれの「指定字数」で抜き出して答える。「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則だ。「内容」を「説明文」から読み取っていく。ここは短いので「全文」から捉えていきたい。「生まれた子供に名前をつけたり、チームに名前をつけたりする a (6字) だけでなく、 b (7字) 場面にめぐり会うことで、私たちは c (9字) に気づくことができる」⇒ a は「子供やチームに名前をつけること」、 b は「私たちがめぐり合うことで何かに気づくことができる場面」、 c は「その気づくこと」が、それぞれの「抜き出し内容」だと判断できる。「範囲」は「同一意味段落」(「論説文」では「同一意味段落」に「根拠」「手がかり」がある)。ここでは、傍線部の段落からの3段落だ。丁寧に探していきたい。すると、最初の段落から次段落にかけて、「(バレーボールチームに名前をつけるような)順調な名づけ以外にも、さまざまな派生的な出来事が起きていて、……とりわけ詩と縁が深いのが、名づけようとしても名づけられないという状況……そういう状況に置かれることで私たちは自分の名づけの欲望を自覚する……」と述べられている。この部分にそれぞれの「答え」があり、ほかの部分には相応しい候補はないと判断できるはず。したがって、 a =「順調な名づけ」、 b =「名づけられない」、 c =「自分の名づけの欲望」が「答え」だ。尚、「抜き出し」では候補がひとつとは限らないので、「抜き出し範囲」を隈なく探すことが必須。
<時間配分目安:全問で2分半>
[問3] 「対義語の記述」(全2問/各「漢字2字」指定)。「総合的知識問題」。「対義語」。傍線部②「散文」・③「未知」の「対義語」をそれぞれ「漢字2字」で答える。さあ、どうか? 即答できるかどうかで、本校の求める「知識レベル」の試金石となる。それぞれの「答え」を確認する。②=「韻文」、「韻律や定型にとらわれない通常の文章」=「散文」⇔「一定の韻律を持ち、形式の整った文章」=「韻文」という関係。③=「既知」、こちらは説明不要だが、「既」の字形には要注意。本校志望者にとって、「基本的語彙」の未定着は致命的だと心得よ。
<時間配分目安:全問で1分以内>
[問4] 「内容説明選択肢」(5択)。傍線部④「ある普遍的な状況」について、「この『普遍』とはどういうものと考えられるか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」を最優先に考えること)。無論、ここでは「普遍」そのものの「原意」と結びつかない選択肢を、「文末」で「消去」したい(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。照合する。(イ)「公正な立場」、(ロ)「一般の法則」、(ハ)「共通の事柄」、(ニ)「真理の実相」、(ホ)「日常の風景」。当然ながら、「普遍」=「広く行き渡ること。全てのものに共通に存すること」という「原意」は誰でもが知っているはず。よって、「共通の事柄」以外は問題なく「消去」できる。「同一意味段落」を確認して他の部分の説明も特に誤っていないと分かるので、「答え」は(ハ)だ。「一発消去」だ。畏るべし「原意消去」、しっかりと使えるようにして大いに活用すべし。
<時間配分目安:1分以内>
[問10] 「本文内容合致選択肢」(複数解答/6択)。「本文における筆者の意見や考え」を「2つ」答える。典型的な「本文内容合致」だ。本文は「論説文」なので「論旨合致」ということになる。「論旨」が簡潔にまとめられているのはどこか? 「論説文」の類型によって、「頭括型」は「序論部分」、「尾括型」は「結論部分」、「双括型」は「序論部分」+「結論部分」となる。本文は明らかに「双括型」なので、「序論部分」と「結論部分」の要点を各選択肢の説明と照合すればいい。本文の「序論部分」は最初の2段落で、「結論部分」は最後の2段落だということはすぐに分かるはず。確認したい。すると、「要点」の「キーワード」が、「名づけ」と「梶井基次郎の『檸檬』」だということに気づく。先ずはこの段階で、各選択肢と照合する。「名づけ」については(イ)のみ、「檸檬」は(ハ)(ホ)(ヘ)で言及されている。であれば、「答え」のひとつは(イ)になる。残りは「3択」。「檸檬」に関しては主に「結論部分」で論じられているので、読み解いていく。「『檸檬』の語り手は、詩というものをきわめて純粋な形で行為として演じている」と指摘している。ここで改めて選択肢と照合。「詩」には触れていない(ホ)は即「消去」で、「『私』は、図らずも詩というものの本質に限りなく近づいている」とある(ヘ)も「不適切」だと判別できるはずだ(特に「図らずも」は不適切)。(ハ)は他の部分の説明も、「同一意味段落」から特に誤っていないと分かるので、もうひとつの「答え」となる。尚、「論説文」の三類型のどれなのか判然としない場合は、念のために「序論部分」と「結論部分」の両方と照合すればいいいと心得よ。
<時間配分目安:2分半>
【大問二】
- 時間配分:30分
年末のボーナスが出た日の帰り、「加奈江」は同僚の男性「堂島」から突然平手打ちを食わされる。そして、「堂島」はそのまま退職して行方知れずになってしまった。「加奈江」は悔しさのあまり、連日、堂島を探して師走の銀座を歩き回るのだったが――男女の複雑な心理を繊細に描いた短編小説。本文はその全文(「省略部分」はあるが)。1939年に発表された作品で、馴染みのない言葉が多々あるが、「*注」を活用して内容を理解したい。本校の特徴である「長文説明文」や、微妙な判別が求められる「選択肢設問」などの小問が並ぶ。以下、いくつか考えてみよう。
[問3] 「心情説明選択肢」(5択)。傍線部②「磯子は焦(じ)れったそうに口を尖(とが)らして加奈江に言った」について、「この時の『磯子』はどんな気持ちだったと考えられるか」を答える。無論、先ずは「原意消去」だ。ここは「心情説明」なので、「焦れったそうに」と「口を尖らして」の「原意」と結びつかない「心情」の選択肢は「消去」していく。各選択肢の「心情」を確認し、判別する。(イ)「……と考えている」⇒「考えている」というのは「心情」ではない。(ロ)「振り上げた拳……、はぐらかされたような気がしている」⇒「振り上げた拳」と「口を尖らして」は繋がるが、「はぐらかされたような気」と「焦れったそうに」とは結びつかない。(ハ)「不満を覚え……、馬鹿にされたような気がしている」⇒「不満」はいいが、「馬鹿にされたような気」は「焦れったそうに」とは繋がらない。(ニ)「怒りを表して……、不満に思っている」⇒「焦れったそうに」と繋がる「心情」がない。(ホ)「不満を覚え……、いらだたしく感じている」⇒「不満」=「口を尖らして」、「いらだたしく」=「焦れったそうに」と結びつく。よって、「答え」は(ホ)だ。尚、「小説」での定番である「心情把握」は、「セリフ⇔ト書き⇔動作⇔情景」の連関で捉えるのが定石だ。
<時間配分目安:2分>
[問8] 「換言説明選択肢」(5択)。傍線部⑦「こつんとした感じが加わった」について、どういうことだと考えられるか」を答える。「原意消去」から。「こつん」と「感じ」という表現の「原意」と結びつかない「状況」の選択肢を「消去」する。各選択肢の「文末」を確認していく。「見える、ということ」、「放ってさえいる、ということ」、「立ちこめている、ということ」は、「感じ」ではないので「消去」でいい。これで、ともに「感じられる」となっている(イ)と(ホ)の「2択」になった。次に、「こつん」なのだから、「敵意のようなもの」となっている(ホ)は「消去」で、「張り詰めたような空気」と説明されている(イ)が残ると判別できるはずだ。「同一場面」を確認して(「小説」では「同一場面の直前直後に手がかり・ヒントあり」が「解法」の大原則)、他の部分の説明も特に誤ってはいない。したがって、「答え」は(イ)だ。本問では、「原意消去」での「2段階消去」だった。こうした「選択肢設問」もあると心得よ。
<時間配分目安:2分>
[問10] 「心情説明選択肢」(5択)。傍線部⑨「堂島は不思議と神妙に立っているきりだった」について、「この時の『堂島』はどんな気持ちだったと考えられるか」を答える。当然、「神妙」という表現での「原意消去」が最優先だ。各選択肢の「文末」は、(イ)「あたふたしている」、 (ロ)「後悔している」、(ハ)「呆然(ぼうぜん)としている」、(ニ)「謝罪の気持ちを伝えたいと思っている」、(ホ)「不安に感じている」。「神妙」=「おとなしくかしこまった様子」なので、「謝罪の気持ち」以外は「消去」だと瞬時に判別できる。しかし、「神妙」という言葉の「原意」をしっかりと押さえている諸君はさほどいないかも知れぬ(確かに難しい)。その場合は、「同一場面」から読み解いていくことになる。直前直後を確認する。「銀座で『加奈江』が『堂島』を撲(なぐ)った」直後という状況で、「加奈江」たちの様子は説明されているが、「堂島」のことは一切分からない。困った。そこで、さらに読み進めていくと、「堂島」が「加奈江」に送った「手紙」の中に「先日、銀座で貴女に撲り返されたとき、これで貴女の気が晴れるだろうから、そこでやっと自分の言い訳やら詫びをしようと、もじもじしていた」とある。したがって、「加奈江の怒りや興奮が少しでもおさまったら、加奈江に対して謝罪の気持ちを伝えたいと思っている」となっている(ニ)が「答え」だと判断できるはずだ。「同一場面」の「文脈」からの判別、可能ではあるが、とても手間暇がかかることもあるのだ。やはり、「語彙力」を磨いておくことが、「正解」へのショートカットになると心得よ。
<時間配分目安:1分未満(場合によっては2分半)>
[問11] 「空所補充の語句選択肢」(全3問/5択)。空所 D ~ F に「当てはまる語」をそれぞれ答える。本問での選択肢は全て「副詞」だが、「接続詞」も含めてこうした問題は本校に限らず定番。特に、「接続詞」では「逆接」以外には十分に注意しなくてはいけない。「逆接」以外だと、どれもあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「文脈」を確認する必要がある。また、段落冒頭の「接続詞」は前段落全ての内容を受けているので注意すること。各空所の「答え」を確認する。 D は「願望」の選択肢(ニ)「どうか」(直後に「同情して貰いたい」とある)。 E は「選択・決意」の(ロ)「いっそ」(直後に「喧嘩でもしたらどうか」とある)。 F は「常時」の(ハ)「いつも」(直後が「苦い悪汁となって胸に浸み渡る」とあり、他の選択肢である「まさか」と「たとえ」は明らかに不適切という「消去法」)。「接続詞」「副詞」などの「空所補充」は必出だ。失点は許されないと心得よ。
<時間配分目安:全問で1分半>
[問12] 「説明文中の空所補充選択肢」(全6問/10択)。傍線部⑩の「しかし堂島は遂に姿を見せないで、路上には漸(ようや)く一月の本性の寒風が吹き募って来た」に関する「説明文」の中の空所 a ~ f に「当てはまる語句」を答える。勿論(もちろん)、傍線部の内容を「本文」から読み取り、空所を特定していってもいいのだが、それでは手間暇がかかり過ぎる。ここは合理的に「説明文」自体の「文脈」から、「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)を用いて「答え」を特定していきたい。各選択肢は、(イ)「熱情」、(ロ)「思慕」、(ハ)「連帯」、(ニ)「決着」、(ホ)「悲劇」、(ヘ)「憎悪」、(ト)「尊敬」、(チ)「暴力」、(リ)「因縁」、(ヌ)「騒動」。意味不明な語句はないはずだ。それぞれの空所前後を確認する。「堂島は以前から加奈江に対して a の念を抱いていたが、……、悶々(もんもん)とした日々を送っていた」⇒「○○の念」で「思慕」か「尊敬」だが、「悶々と」していたのだから、「答え」は(ロ)だと容易に判断できる。「加奈江に対する気持ちを b というかたちで表現してしまった」「自分(=加奈江)に対する b 行為」⇒2か所あるが、「○○行為」となるのは「暴力」だけで、「答え」は(チ)。「明子と磯子は加奈江と c し、ともに戦おう」⇒「ともに戦おう」であれば、「答え」は(ハ)の「連帯」以外にはあり得ない。「刺激的な事件であり、彼らの俗な好奇心を満たす d だった」⇒「事件」であり「○○」なのだから、「答え」は(ヌ)の「騒動」で即決。「真相(堂島の加奈江に対する思い)を知った加奈江は、堂島の行為を『 e 』によるものと受け止めてしまう」⇒「堂島の『思慕の念』」を知ったのだから、(イ)の「熱情」が「答え」だと判別できるはず。「加奈江に殴られたことと手紙で釈明したこととで、堂島は加奈江に対する気持ちに自分なりの d をつけた」⇒悩む間もなく、「答え」は(ニ)の「決着」だと分からなくてはいけない。本校特有の「小問での長い説明文」(本問は約800字)に関する問題は、その「説明文」そのものを「ひとつの問題文」と捉え、的確な「解法」を適用して解いていくことが肝要。
<時間配分目安:全問で4分半>
攻略のポイント
- ●圧倒的な「物量」との闘いとなる。どう「攻略」するか? 要は「戦術」だ。中でも「解答順」が最重要。「得点できる問題」を「時間切れ」で逃すのは最悪だからだ。先ずは、「論説文」と「小説」のどちらの「大問」を先に解くかを、自分自身の特性に応じて事前に決めておくこと。次に、「小問」は「知識問題」からこなすことが原則。合計で1万数千字以上の「文章」を「読解」することになり、「解答数」はここ数年40前後(本年度は37。しかし、以前は60ほどもあったので油断することなかれ)。全てを丹念に答えることは難しい。「取れる問題を確実に押さえる」ことが最重要で、「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。「合格者平均得点率」は77.5%(過去8年間の男女合計平均。本年度は昨年度同様に高く81.5%。要注意)。「失点」をいかに防ぐかが、勝負の分かれ目になる。
- ●本校おなじみの「『小問での説明文』設問」や、「選択肢」「抜き出し」「空所補充」などその他の設問にはどう対処するか? いかに「解法」を的確に用いるかがポイント。「設問内容」に応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが必要だ。そのためにも、基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくこと。
- ●「総合的知識問題」では、「あらゆる国語的知識」が求められてくる。しかも、「語彙」「文法」などは、「説明文問題」にも不可欠だ。独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが必要。学校や塾での学習だけでは全く不十分なので、「独習」は欠かせない。
- ●試験時間は60分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文だけでも15000字ほどになる年度もある(本年度は約13300字)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速800字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。