中央大学高等学校 入試対策
2015年度「中央大学高等学校の国語」
攻略のための学習方法
[記述]
「中大高校の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「段落」ごとの「要点をまとめる練習」をするのがとてもいい方法だ。20~30字程度で書いてみる(中大高校の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。徹底して「20~30字程度」の「字数感覚」が身につくようにトレーニングを重ねたい。
[解法]
「記述」「選択肢」「抜き出し」「空所補充」、その他の問題も含め「中大高校の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
[速読]
大学入試にも匹敵、あるいはそれ以上の問題文を読まなくてはならない。「現代文」全体で6500字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。中大高校に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
[知識]
「直接出題」は勿論、「本文読解」等でも必然的に問われることになる「総合的知識」。いかなる「攻略法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「品詞分類」「文節の相互関係」といった「基礎的事項」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
[古典]
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必須のカリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。が、私立の「高校入試」ではそれらも含めて出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」するしかない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。「漢文」についても、「攻略ポイント」で触れたとおり押さえておかなくてはいけない。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。
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2015年度「中央大学高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「漢字問題」、「読み」「書き」各5問。2分以内で丁寧に終えたい。
大問二は「論説文」、出典は薬師院仁志「日本語の宿命 なぜ日本人は社会科学を理解できないのか」所収の「『法治主義』と『法の支配』」(文字数約3600字)。小問は全9問(解答数17)。「選択肢」「抜き出し」「空所補充」、「説明記述」(「50字以内」1問)、「総合的知識問題」。問題文は5分ほどで読み切り、設問を10数分で解きたい。
大問三は「小説」、出典は池澤夏樹「きみのためのバラ」所収の「都市生活」(前述のとおり文字数不明)。小問は全10問(解答数16)。「選択肢」「抜き出し」「空所補充」、「説明記述」(「40字以内」1問)、「総合的知識問題」。15分程度で解きたい。
大問四は「古文」、「Ⅰ」「Ⅱ」と2つの文章だが、出典は共に安楽庵策伝「醒睡笑」(文字数約310字)、小問は全6問(解答数8)。「選択肢」「抜き出し」「空所補充」、「語句記述」。10分弱で解きたい。
大問五は「漢文」、「Ⅰ」「Ⅱ」と2つの文だが、出典は共に司馬遷編纂「史記」(文字数21字)。小問は全4問(解答数4)。「選択肢」「抜き出し」、「記述」(書き下し文)、「返り点記入」。5分強で解きたい。
大問六は「総合的知識問題」、小問は全3問(解答数5)。高村光太郎の随筆「山の春」(文字数約170字)から出題の「文法」(2問)、「文学史」(2問)、「四字熟語の選択肢」(1問)。2分ほどで解きたい。
【大問一】
- 時間配分:2分
「漢字の読み書き」(全10問)。一見平易そうだが、実は相当に曲者ぞろいだ。
「文脈」も確認しながら熟語を特定していくこと。
特に戸惑いそうなものとしては、
(2)「贅沢を慎み、セイヒンを貫く」=「清貧」(「贅沢」の対になる)、
(3)「上空を何度もセンカイしながら」=「旋回」(「旋」の訓読み「めぐ(る)」にも要注意)、
(4)「広がりつつあるエキビョウを防ごう」=「疫病」(「文脈」から判断せよ)、
(5)「病気をワズラって」=「患(って)」(「患者」と結びつけよ)、
(6)「将来を嘱望されている」=「しょくぼう」(「難読熟語」のひとつ)、
(7)「老舗の味」=「しにせ」(「慣用読み」の定番)。
いきなり本校が求める「ハイレベルな語彙力」を彷彿とさせる大問だ。
【大問二】
- 時間配分:
日本語に多くの「外来語」や「翻訳語」が存在するのは、欧米諸国よりも遅れて近代化の道を歩み始めた日本の宿命だが、単にそれらを採り入れることは「正しく理解している」こととは決して同じではないと論じている。
本文では、ドイツ語を翻訳した「法治国家」と、そこから派生した「法治主義」を典型例として、「翻訳語」の字面だけを見て意味を捉えようとすると大きな誤解を招くと指摘している。「言語論」ではあるが、平易な表現でまとめられており、内容は理解しやすいはずだ。
「総合的知識問題」も含め、本校らしい多種多様な設問が並んでいる。
以下、いくつか検討してみたい。
[問三] 「語句の空所補充選択肢」(5問/5択)。
本文中の空所 Ⅰ ~ Ⅴ に当てはまる「接続詞」を答える。「逆接」はともかく、「順接」には十分に注意すること。同じ「順接」だと、どれも当てはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「文脈」を確認する必要がある。
また、段落冒頭の「接続詞」は前段落全ての内容を受けているので注意すること。
各空所を確認していく。
Ⅰ は直後に「日本語に限らず」とあるので、選択肢(ウ)「限定」の「もちろん」が「答え」だ。
以下、
Ⅱ は直後が「具体例」なので、(エ)「例示」の「たとえば」、
Ⅲ は直前では「難解でもない」としながらも直後で「知識はかなりあいまい」と述べているので、(オ)「逆接」の「しかしながら」、
Ⅳ は直後で話題が変わっているので、(ア)「転換」の「では」、
Ⅴ は前後が「イコール」なので、(イ)「換言」の「すなわち」がそれぞれ「答え」になる。
「接続詞」「副詞」などの「空所補充」は本校に限らず定番中の定番、くれぐれも失点することのないようにすること。
<時間配分目安:1分半>
[問四] 「換言説明記述」(「50字以内」指定)。
傍線部(2)「二重の意味」について、「どういうことか」を説明する。
無論、傍線部だけでは考えようがない。「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)で「手がかり」を探す。
傍線部の一文は「そう考えると」で始まり、直前は「翻訳語を抱える日本語が直面する事態は」、直後が「複雑なのだ」となっている。つまり、「そう考えると」「日本語が直面する事態は」「二重の意味」で「複雑」ということだ。
当然、「そう考えると」がポイントとなる。「指示語」なので開く(「指示語」が出たらすぐ開くこと)。「日本語と化した翻訳語も、原語である西洋語も、時代が下るにつれ、それぞれ別の歩みを経験する」とある。「別の歩みを経験する」は「比喩」なので、内容を確認する。「翻訳語自体が原語から独立して意味が変化し、日本語に翻訳された西洋語の方も後になって意味を変えてしまうこともある」ということだと分かるはずだ。
以上を、「二重の意味」が明確になるように「過不足なく」まとめていく。たとえば、「日本語と化した翻訳語も、原語である西洋語も、時代が下るにつれ、それぞれ意味が変化するということ。」といった「答え」になる。
尚、「説明記述」では、正否の分岐となる「最重要要素」を必ず「文末」にすること。
<時間配分目安:2分半>
[問五] 「内容説明選択肢」(4択)。
傍線部(3)「ここでは、『法の支配』と『法治主義』とを取り上げよう」について、「筆者は何のために『法の支配』と『法治主義』を例に挙げたのか」を答える。
「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。
だが、ここでは「設問趣旨」を考えると難しい。「傍線部(空所部)一文一部の法則」で確認する。直前は「この種の問題を体現する典型例として」となっている。要は、「この種の問題」を「説明するため」の「典型例」ということだ。
「この種の問題」とは何か? 「指示語」を開く。「多くの翻訳語を抱える日本語が直面する事態は二重の意味で複雑だ」(「二重の意味」の内容は「問四」で捉えた)という問題だと分かる。
そのことを踏まえて、各選択肢の「文末」(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)を確認し、結びつかないものを「消去」する。
選択肢は、
(ア)「翻訳語・派生語という成り立ちの違いを比較しなから論じるため」、
(イ)「翻訳語として原語の意味を追求するため」、
(ウ)「日本語の複雑さを説明するため」、
(エ) 「『法治主義』は『考え』なので時代の影響を受けやすいことを示すため」。
どうか? 無論、「翻訳語の意味が変化する」ことについてなので、(ア)以外は「消去」可能と分かるはずだ。他の部分の説明も特に誤ってはいない。従って、「答え」となる。「一発消去」だ!
「選択肢設問」では、「解法」を駆使し「消去」していくことが肝要。
<時間配分目安:1分半>
[問七] 「換言語句の抜き出し」。
傍線部(5)の「この語」に「あたる語」を、本文中から抜き出す。
「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則。
「内容」は単純に「指示語」を開けばいいはずなのだが、「指示する語」が見当たらない。厄介だ。そこで、「傍線部(空所部)一文一部の法則」で確認すると、直前に「元来の『Rechtsstaat(法治国家)』の意味がどうであれ」とある。つまり、「この語」は「法治国家」に対応している「語」だと分かる。
次に「抜き出し範囲」だが、「論説文」では「同一意味段落」だ。確認する。すると、「法治国家」に対応している「語」は「法治主義」だと判明する。よって、「答え」になる。
「抜き出し」では「解法」に則して段階的に解いていくこと。
<時間配分目安:1分半>
[問九] 「語句の意味用法の選択肢」(4択)。
「総合的知識問題」の「文法」。傍線部(7)の「さえ」と「同じ意味用法のもの」を答える。
「助詞」の「さえ」だ。傍線部は「日本語独自の解釈さえ登場しかねない」となっているので「添加」だ。
各選択肢を確認する。
(ア)「彼女さえいてくれれば」と(ウ)「最初の階段さえ乗り越えれば」は、「仮定条件」が伴っての「最低条件」で、(イ)「先輩に対してろくにあいさつさえしない」は「他類推」、(エ)「風が強くなり雨さえも降り出した」が「添加」、よって、「答え」になる。
本校では、徹底した「文法」の習得・定着が求められると心得よ。
<時間配分目安:1分>
【大問三】
- 時間配分:
微かな不安と苛立ちがとめどなく広がるこの世界で、未知への憧れと確かな絆を信じる人々だけに奇跡の瞬間はひっそり訪れる――。沖縄・バリ・ヘルシンキ、そして……。深々とした読後の余韻に心を解き放ちたくなる8つの場所の物語の一篇。都会のシステムの中ですれ違う言葉。深夜のレストランで出会う男と女。一瞬の幸福感。乾いた空気。都市というものを形作っているものは何かを考えさせる物語。
「副詞の用法」「四字熟語」「語句の意味」等、「総合的知識問題」が多い大問だ。
※「著作権上の問題」で公表されている「過去問」には問題文が未掲載なので、以下、「問題解説」ではなく、いくつかの「知識問題」を紹介する。御了承願いたい。
[問三] 「語句の意味の選択肢」(5択)。
「総合的知識問題」。
傍線部(2)「迂闊な」の「意味」を答える。
そもそも読めるだろうか? 「うかつ」=「うっかりとしていて心の行き届かないこと」「回り遠くて実情にそぐわないこと」だ。従って、「答え」は選択肢(イ)の「注意が足りない」となる。
意外と抜け落ちている語句かも知れない。しっかりと確認しておくこと。
[問四] 「四字熟語の空所補充選択肢」(5択)。
各選択肢の「四字熟語」はどれもなかなか曲者だ。確実に定着しているだろうか?
確認しておく。
(ア)「融通無碍(ゆうづうむげ)」=「考え方や行動にとらわれるところがなく自由であること」、
(イ)「有職故実(ゆうそくこじつ)」=「朝廷や公家の礼式・官職・法令・年中行事・軍陣などの先例・典故。また、それらを研究する学問のこと」、
(ウ)「杓子定規(しゃくしじょうぎ)」=「全てのことを一つの標準や規則に当てはめて処置しようとする融通のきかないやり方や態度のこと」、
(エ)「綱紀粛正(こうきしゅくせい)」=「国家の規律や秩序、また政治のあり方や政治家・役人の態度を正すこと」、
(オ)「才色兼備(さいしょくけんび)」=「すぐれた才能と美しい容姿の両方を持っていること」。
ひとつでも未定着のものがあれば、ヤバイ! と心得よ。
[問十] 「語句の空所補充選択肢」(5択)。
各選択肢の「語句」は基本的には平易だが、中には曖昧なものもありそうだ。
確認する。
(ア)「孤独感」と(オ)「疲労感」は問題ないはずだ。
(イ)「焦燥感」=「不安でいらいらしてあせる感覚のこと」、
(ウ)「寂寥感(せきりょうかん)」=「心が満ち足りず、ものさびしい感覚」、
(エ)「悲壮感」=「辛く悲しい中でも健気に立ち振る舞う感覚」はどうか? 微妙な意味合いまでも確実に押さえておきたい。
【大問四】
- 時間配分:
江戸初期の笑話集。全8巻で1039話を収録。「うつけ」「文字知顔」「堕落僧」「上戸」「うそつき」など、多様な庶民の登場人物による豊かな笑いの世界が展開する。後の落語、近世笑話集や小咄集に大きな影響を与えた。
「Ⅰ」は「読み書き」が得意ではない「武士」と「町人」とのやりとりで「身分制度」をからかい、「Ⅱ」では「金」にまつわる強欲さを皮肉っている。
「古文の基礎問題」がほとんどで平易だ。手際良く解き進めたい。
以下、いくつか検討しよう。
[「Ⅰ」問一] 「語の空所補充選択肢」(3問/4択)。
「文語文法(助詞)」。
本文中の空所 A ~ C に当てはまる「語」を答える。
「助詞」の「基本問題」だ。
各空所を確認する。「人Aもてはやす侍ありしが」、当然、「主格」が入るはずなので「答え」は選択肢(ア)「の」、「仮名書きの書Bさえ読むことなし」なので、「答え」は、「目的語」となる(イ)「を」、「例のいろはをかたはらB置き」とあるので、「答え」は、「補語」となる(ウ)「に」ということになる。
「文語文法」、特に「助動詞」「助詞」「敬語」は確実に定着させておきたい。
<時間配分目安:1分以内>
[「Ⅰ」問三] 「文字の空所補充記述」。
本文中の空所 に当てはまる「文字」を答える。
「内容解釈」だ。空所を確認すると「い兵衛、ろ兵衛、いや、は兵衛、 兵衛、ほ兵衛」となっている。「い・ろ・は・ ・ほ」なのだから、当然、「に」が「答え」になる。
「文脈」の読み取りは「古文」も「現代文」も同じだ。
<時間配分目安:30秒>
[「Ⅱ」問一] 「人物特定の選択肢」(4択)。
傍線部の「身」とは「誰のことか」を答える。
傍線部は「身が見る時ばかり」なので、要は「主語特定」だと分かるはずだ。ここは「会話」部分で、「身」は「会話主」=「ある人」と分かるのだが、選択肢にはない。
「文脈」を追っていくと、この「会話」を聞いていた「内の者」の「行動」の後に、それに対する「件(くだん)の亭主」の「反応」が説明されている。ということは、「ある人」=「件の亭主」で、「答え」は、(ウ)の「亭主」ということだ。
丁寧に「文脈」をたどっていきたい。
<時間配分目安:1分>
【大問五】
- 時間配分:
中国前漢の武帝の時代に編纂された全70巻から成る紀伝体の歴史書。「Ⅰ」は「項羽本紀」、「Ⅱ」は「淮陰侯」。「漢文の基本問題」ばかりなので、一気呵成に仕上げたい。
以下、2問だけ確認する。
[「Ⅰ」問一] 「書き下し文記述」(「平仮名」指定)。
傍線部「如二 衣レ 繍 夜 行一 耳」(*「二」「レ」「一」は「返り点」)を「すべて平仮名」で「書き下し文」にする。
「返り点」の付されていない文字から読み、「レ点」は下→上、「一二点」は「一」→「二」の順に読む。
従って、「繍(しゅう)ヲ衣(き)テ夜ニ行(ゆ)クガ如(ごと)キ耳(のみ)」=「しゅうをきてよるにゆくがごときのみ」が「答え」となる。
「返り点」「書き下し文」は「基本のキ」なので、しっかりと習得しておくことが肝要。
尚、ここでは全て「平仮名」だったが、通常の「書き下し文」では「付属語(助動詞・助詞)」を「平仮名」とすること。
<時間配分目安:1分以内>
[「Ⅱ」問一] 「返り点記入」。傍線部「不 可 以 言 勇」に、「書き下し文」の「以(も)って勇を言ふべからず」を参考にして「返り点」を記入する。
「以」→「勇」→「言」→「可(べカラ)」→「不(ず)」の順だ。よって、「答え」は「不レ 可二 以 言一レ 勇」(*「レ」「二」「一レ」が「返り点」)になる。
「返り点」、しっかりと練習しておくこと。
<時間配分目安:1分以内>
【大問六】
- 時間配分:
「総合的知識問題」。「口語文法」「文学史」「四字熟語」、本校らしい多彩な「知識問題」だ。ただ、平易なものが多いので、短時間に「全問正解」としたい。以下、いくつか検証する。
[問一(2)] 「文法用法の選択肢」(4択)。
傍線部(2)「の」の「文法的働き」を答える。
「助詞」の「の」だ。傍線部は「ツララは極寒の頃にはあまり出来ず、春先になって大きなのが下がる」、無論、「体言代用(準体言)」(=「もの」「こと」等)だ。
従って、「答え」は(ウ)の「体言に準じることを示す」となる。
尚、「の」にはいくつもの「意味・用法」がある。他の選択肢で示されている「主語」「連体修飾語」「並立」以外に、「同格」「軽い断定」「疑問」もあるので、押さえておくこと。
本校では、徹底した「付属語(助動詞・助詞)」の習得・定着が必須だと心得よ。
<時間配分目安:30秒>
[問二] 「文学史関連の選択肢」(2問/8択)。
①「白樺派」・②「『浮雲』」について、「関係の深い人物」をそれぞれ答える。
基本的な「文学史」だが、決して侮れない。①の「白樺派」といえば「武者小路実篤」だが、選択肢には見当たらない。
選択肢(イ)の「志賀直哉」(=「答え」)までしっかりと定着しているかどうかだ。②の「浮雲」も一瞬悩まないか? 「答え」は(エ)の「二葉亭四迷」だ。
この問題で戸惑った諸君は、「文学史」の再確認が必要だと心得よ。
尚、「答え」以外の、「与謝野晶子」「小林多喜二」「芥川龍之介」「谷崎潤一郎」「夏目漱石」「島崎藤村」についても、的確に定着させておく必要がある。
<時間配分目安:1分以内>
[問三] 「四字熟語に関する選択肢」(4択)。
選択肢(ア)~(エ)に示されている「四字熟語」の空所に入る「漢数字」の合計が、「最も大きな数」になるものを答える。
(ア)「 載 遇」(千載一遇)、
(イ)「 寒 温」(三寒四温)、
(ウ)「 変 化」(千変万化)、
(エ)「 朝 夕」(一朝一夕)
なので、「答え」は当然(ウ)となる。
「四字熟語」も頻出だ。確実に定着させておくこと。
<時間配分目安:1分以内>
攻略ポイント
●「ハイパーな時間勝負」となる。どう「攻略」するか?
「解答順」が最重要。「得点できる問題」を「時間切れ」で逃すのは最悪だ。「現代文」「古文」「漢文」「漢字」「総合的知識問題」、どの大問から解くか?
「漢字」「知識」を最初にこなすのは当然だが、他は自分自身の特性に応じて事前に決めておくこと。要は「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。逆にいえば「捨て問」という覚悟も求められる。
本校の「合格者平均」(4年間平均で70%)は3科合計の「合格者最低」(4年間平均で57%)を大幅に上回る。従って、「国語」での「失点」は致命的になる。
●「説明記述」の対策は? 実直に「記述」の「練習」を続ける他はない。
正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先度を特定し、高いものから積み上げていく。徹底的に練習することが必要だ。
●「多様な設問内容」にはどう対処するか?
いかに「解法」を的確に用いるかがポイントだ。「設問内容」に応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが肝要。そのためにも、基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておく。
●配点比率が高い「総合的知識問題」も無論、侮れない。
「高度な語彙力」は勿論、「文法」「文学史」等まで網羅した「あらゆる知識」が必要なので、独自に習得していくことが重要だ。
●「古文」の「攻略法」は?
重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容理解」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「漢文」でも「訓点」「書き下し文」などの基礎は必ず定着させておくこと。
●試験時間は50分。問題文は「現代文」だけでも6500字程度。
無論、速く正確に読み取ることが求められる。分速700字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。