中央大学高等学校 入試対策
2022年度「中央大学高等学校の国語」
攻略のための学習方法
解法
特有の「説明文問題」だけではなく、「選択肢」「抜き出し」「空所補充」、その他の問題も含め、「中附の国語」で勝利を手中に収めるための基本は、何度も指摘している通り、いかに「解法」をうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。
それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
大学入試にも匹敵、否、それ以上の問題文を読まなくてはならない。全体で15000字程度。解答時間は60分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。中附に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速750字以上(できれば800字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「文法」なども含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「中附の国語」(直接出題だけではなく、「説明文問題」等でも不可欠)。いかなる「攻略法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ、かも知れない。が、そこで諦めてしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。
先ずは、「己が実力」を悟ることだ(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「問題文理解」にも不可欠だ。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
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2022年度「中央大学高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「漢字問題」、小問なし(「書きとり」と「読み」の各5問)。2分以内で丁寧に終えたい。
大問二は「論説文」、出典はバトラー後藤裕子「デジタルで変わる子どもたち――学習・言語能力の現在と未来」(文字数約3500字)。小問は全9問(解答数15)。「選択肢」(「空所補充」、「本文内容合致」あり)、「抜き出し」(3問)、「説明記述」(「35字以内指定」1問)、問題文は4分半程度で読み切り、設問を14分ほどで解きたい。
大問三は「小説」、出典は遠藤周作「夫婦の一日」(文字数約3900字)。小問は全11問(解答数14)。「選択肢」(「空所補充」、「本文内容合致」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」(1問)、「漢字記述」(2問。総合的知識問題)、「説明記述」(「30字以内指定」1問)、問題文は5分ほどで読み切り、設問を12~13分で解きたい。
大問四は「古文」、出典は作者不詳「華えくぼ」(文字数約360字)、小問は全3問(解答数5)。「選択肢」(「空所補充」、「文法」)、「仮名遣い」、「説明記述」(1問。「字数指定」なしで、「30字ほど」の解答欄)。7分程度で解きたい。
大問五は「漢文」、出典は「Ⅰ」が「淮南子」(文字数9字)、「Ⅱ」が「菜根譚」(文字数11字)。小問は全3問(解答数3)。「記述」(書き下し文)、「返り点記入」、「総合的知識問題」(四字熟語)。3分弱で解きたい。
大問六は「総合的知識問題」、小問全3問(解答数6)。「文学史」「口語文法」「ことわざ」。2分強で解きたい。
【大問一】
- 時間配分:2分以内
「漢字の読み書き」(全10問)。例年並みの難易度で本校としての標準レベル。「全問正解」といきたい。注意すべきものだけを挙げておく。
(2)「厳しい目標を達成するために、ハイスイの陣をしいて……」=「背水」⇒「背水の陣」(=河川や湖などを背にした決死の陣立て。転じて、一歩も退けない絶体絶命の立場で事にあたること)という「故事成語」で定着しているはず。
(3)「堪忍袋のオが切れた」=「緒」⇒「怒りを抑えてがまんを重ねてきたが、もうこれ以上がまんできなくなる」という慣用表現で覚えておきたい。
(4)「自らの弱点をロテイしてしまった」=「露呈」⇒これはやや難解か? だが、高校入試「書きとり」の定番だ⇒「隠れていた事柄が表面に現れ出ること」だ。
(7)「時宜に適ったアドバイス」=「じぎ」⇒難易度が高い⇒「時がちょうどよいこと。適当な時期・状況」という意味も押さえたい。
(8)「進捗状況を確認」=「しんちょく」⇒これはいけるはず。
(10)「綻びを繕って」=「ほころ(び)」⇒「読み」では定着必須。本校が求める「語彙力」に対応せよ。
<時間配分目安:2分以内>
【大問二】
- 時間配分:14分ほど
小さい頃から動画をたくさん見るとどんな影響があるのか? SNSを長時間使う子は読解力が低い? 紙とデジタル媒体では、どちらで読むほうが正確に読めるか? ICT教育のメリット・デメリットは何か?――日本のみならず、海外の最新の研究をもとに「デジタル」と「学び」の関係を丁寧に分析している。本文では、「読解」とは文字をすばやく解読化し単語を認知する能力と、テクストから意味を構築する能力という一連の認知行為を総合したものだと指摘し、「デジタル」の可能性に論及している。ややこしい説明もあるが、しっかりと読み解いていけば内容は理解できるはずだ。いかにも本校らしい多種多様な小問が並んでいる。中には、本文に付されている「図」に関するものもある(新機軸か? 要注意だ)。以下、いくつか検討してみる。
[問一] 「空所補充の語句選択肢」(全4問/5択)。本文中の空所( Ⅰ )~( Ⅳ )に「あてはまる適切な語」を答える。選択肢は「接続詞」と「副詞」、本校に限らず定番の問題だ。「接続詞」では「逆接」以外には十分に注意しなくてはいけない。「逆接」以外だと、どれもあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「文脈」を確認する必要がある。また、段落冒頭の「接続詞」は前段落全ての内容を受けているので注意すること。各空所の「答え」を確認してく。( Ⅰ )には「はじめに」を表す「副詞」の(オ)「まず」、( Ⅱ )には「例示」の「副詞」である(エ)「たとえば」、( Ⅲ )には「転換」の「接続詞」である(イ)「一方」、( Ⅳ )には「順接」の「接続詞」である(ウ)「したがって」がそれぞれあてはまる。「接続詞」「副詞」などの「空所補充」は必出だ。失点は致命傷になると心得よ。
<時間配分目安:2分>
[問二] 「内容説明の抜き出し」(「一文」の「始めの3字」指定)。傍線部(1)の「『読解』」とは何かの「説明を含む一文」を抜き出し、「始めの三字」を答える。「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則。「内容」はもちろん、「『読解』」とは何かの説明」だ。「範囲」は「同一意味段落」になる(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。ここでは傍線部の形式段落だけだと判断できる。「一文」ということを意識して丁寧に探していくと、同段落の冒頭に「読むという力を大きく2つの能力からとらえてきた」とあり、続けて「一つは、文字をすばやく解読化(decoding)し、単語を認知する能力、もう一つはテクストから意味を構築する能力である。」という「一文」がある。「読むという力」⇒「読解」と結びつくし、内容的にもふさわしいと判断できるはずだ。同じ「範囲」に他に候補はない。よって、「答え」は「一つは」(3字)になる。「抜き出し」では「内容」と「範囲」の絞り込みがポイントだ。尚、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、必ず「範囲」の全て隈なく、そして漏れなく探すこと。
<時間配分目安:1分強>
[問四] 「図中の空所補充語句選択肢」(全3問/6択)。傍線部(3)「図3-1」の中にある空所 A ~ C には「あてはまる語」をそれぞれ答える。図は△ABCの形態で、 A に対して B ・ C から「→」があり、底辺部は B → C となっており、「 A へのアクセス・ルート」というキャプションが付されている。「図3-1」は何を表しているのかを本文から読み解いていく。「心的語彙(意味)」にアクセスする「二重経路説」を単純化したものだと分かるはずだ。ということは、 B からと C からという「二重経路」でアクセスしている A にあてはまる「答え」は、選択肢(ア)の「意味」だと特定できる。改めて「図3-1」をチェックすると、 B → A に「視覚符号化ルート」、 C → A には「音韻符号化ルート」と記されていると分かる。残りの選択肢は、(イ)「音韻」・(ウ)「言語」・(エ)「会話」・(オ)「黙読」・(カ)「文字」。であれば、 B =(カ)、 C =(イ)がそれぞれ「答え」だと判別できなくてはいけない。本校としては新機軸と思われる設問内容、「図」と「文章」を関連づけて読み解くというもので、明らかに2021年度から導入された「大学入学共通テスト」を意識している。戸惑うかも知れないが決して難解ではない。「与えられている情報」を組み合わせて、冷静に読み解いていくことが肝要だと心得よ。
<時間配分目安:全問で2分半>
[問六] 「理由説明記述」(「35字以内」指定)。傍線部(4)「音素と呼ばれる単位への認識が重要である」とあるが、「なぜ重要なのか」を「三十五字以内」で説明する。何にとって重要なのか? 「同一意味段落」で「手がかり」を確認する。直前から、「(音と表記の関係は言語によって違っており)アルファベットを使う言語にとって」は「音素」が重要だと読み取れる。続いて、「理由」を読み解いていきたい。次の形式段落の最後で「音素」についてまとめていることが分かる。そこには「その言語で意味の違いをもたらすような最小の音の単位を音素という」とある。つまり、「アルファベットを使う言語」では「音素によって意味の違いを区別する」からこそ「重要」だということだ。あとは、「指定字数」に応じて「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「アルファベットを使う言語では、音素によって意味の違いを区別するから。」(34字)といった「答え」になる。尚、「説明記述」では必ず「最重要要素」(「理由説明」では「直接的理由」)を「文末」にすること。
<時間配分目安:3分強>
【大問三】
- 時間配分:12~13分
不幸に襲われたとき、心のよりどころになるものは何か? 老いて死を間近に感じたとき、不安から救ってくれるものは何か?――心の光と闇の間で逡巡する人間の姿を描いた短編集の一篇。生身の人間だけが持ちうる愛と赦しの感情を描いている。本文では、「私」の家のお手伝いさんが突然発病した日々の様子が描かれている。やや分かりづらい語句があるが、「*注」を活用すれば内容は理解できるはず。「選択肢設問」、「抜き出し」、「空所補充」、「説明記述」、そして、「総合的知識問題」などと多種多様な小問からなる大問だ。以下、いくつか確認しよう。
[問一] 「内容説明選択肢」(5択)。傍線部(1)「そのことをどう心のなかで処理していいのかを考えつづけた」について、その「態度の説明」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「内容説明」なので、「どう心のなかで処理していいのか」の「原意」と結びつかない「態度」を「消去」したい。各選択肢の「文末」と照合していく(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。(ア)「意味を求めようとしている」、(イ)「自責の念を持ちつづけている」、(ウ)「納得できる理屈をつけようとしている」、(エ)「区切りを付けるための術を探ろうとしている」、(オ)「自らの弱さを克服しようとしている」。さあ、どうだろうか? 「処理」をしようとしているのだから、「納得できる理屈をつけよう」と「区切りをつける」以外は即「消去」できなくてはいけない。これで「2択」だ。次に、「そのこと」とは何かを「同一場面」で確認する(「小説」では「同一場面の直前直後に手がかり・ヒントあり」が「解法」の大原則)。「指示語」なので開く(「指示語」が出たら即開くこと)。直前から、「そのこと」=「何も悪いことをしていない娘(=お手伝いさん)がこんな病気(=がん)にかかり、死んでいくというたまらない思い」だと分かる。であれば、「生きていくために、大事な人との別れに(区切りを付ける)」とある(エ)は「消去」で、「自分が直面している理不尽なことに対して(納得できる理屈をつけよう)」と説明されている(ウ)が「答え」だと判別できるはずだ。本問は「2段階消去」だったが、「原意消去」が最優先だと心得よ。
<時間配分目安:2分半>
[問六] 「語句の意味用法判別選択肢」(4択)。「総合的知識問題」。「文法」(「助詞」の意味用法)だ。傍線部(5)の「さえ」と「同じ意味用法のもの」を答える。先ずは、助詞「さえ」の「意味用法」を確認しておきたい。本校志望者であれば即座に、「添加」・「他類推」・「限定」だと特定できなくてはいけない。傍線部の「さえ」は「長年、生活を共にしたこの女が一瞬見知らぬ別の女になったような恐怖さえ感じ、」⇒「~までも」と換言可能=「添加」だ。各選択肢をチェックする。(ア)「ろくに挨拶さえしない」⇒「~すら」と換言可能=「他類推」、(イ)「素直に謝りさえすれば許されたのだ」⇒「~だけ」と換言可能=「限定」、(ウ)「道に迷ったところで雨さえ降り出した」⇒「~までも」と換言可能=「添加」、(エ)「貸した金さえ返してもらえば良い」⇒「~だけ」と換言可能=「限定」。よって、「答え」は(ウ)だ。本校では「口語文法」が必出だと覚悟せよ。
<時間配分目安:1分強>
[問七] 「空所補充の漢字記述」(全2問/各「漢字1字」指定)。「総合的知識問題」。「慣用句」。波線部①「【 】を括(くく)った」は「相手をみくびった」、②「【 】嫌いしている」は「理由もなく感情的に嫌っている」という意味になるように、それぞれの空所に「あてはまる漢字一字」を答える。もちろん、ともにすぐに「答え」が出なくてはいけない基礎的な「慣用句」だ。「答え」を確認する。①「高を括る」なので「高」、②「毛嫌い」なので「毛」になる。本問は平易だったが、本校では「慣用句」は当然のこと、「四字熟語」「故事成語」「ことわざ」等も完全定着させておくことが不可欠だ。
<時間配分目安:30秒強>
[問八] 「代表作判別選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。「文学史」だ。傍線部(6)「志賀直哉」の「代表作」を答える。各選択肢は、(ア)「暗夜行路」・(イ)「金閣寺」・(ウ)「破戒」・(エ)「舞姫」・(オ)「鼻」。無論、(ア)の「暗夜行路」だと即答できるはずだ。ちなみに、他の「作品」は、「金閣寺」=「三島由紀夫」・(ウ)「破戒」=「島崎藤村」・(エ)「舞姫」=「森鷗外」・(オ)「鼻」=「芥川龍之介」だ。万が一にもひとつでも曖昧(あいまい)な作品があった諸君は徹底的に復習することが不可欠だ。尚、「文学史」に関しては、「奈良時代~現代」までの「作品」の「成立時期」・「作者」・「ジャンル」をセットにして定着しておくこと。また、「作品の一節」や「舞台となった地名」が問われることもあるのでチェックしておきたい。
<時間配分目安:30秒弱>
[問十] 「心情説明選択肢」(5択)。傍線部(8)「ほかの事はもう頼みませんから、このことだけは承知してください」について、「妻の気持ちの説明」を答える。もちろん、「原意消去」からだ。ここは「心情説明」なので、「このことだけは承知してください」の「原意」と結びつかない「心情」を「消去」する。各選択肢の「文末」を確認する。(ア)「無力感に苛(さいな)まれている気持ち」、(イ)「もうこれ以上合わせるのはごめんだという気持ち」、(ウ)「改めさせるきっかけにしたいという気持ち」、(エ)「許せないという気持ち」、(オ)「言い分をなんとしても通すつもりだという気持ち」。「(このことだけは)承知してください」と言っているのだから、「言い分をなんとしても通すつもりだ」以外はそのまま「消去」できると判断できるはずだ。念のために、「同一場面」で他の部分の説明を確認する。特には誤っていないと分かる。したがって、「答え」は(オ)でOKだ。見事に「一発消去」ではないか! やはり「原意消去」は必須ツールだ。確実に習得して応用できるようにすること。
<時間配分目安:1分強>
【大問四】
- 時間配分:7分程度
江戸時代成立の「おとしばなし」の一篇。「しゃれや語呂合わせを使って、最後をおもしろく結ぶ話。オチのある話」で、要は「落語」だ。本校の定番ジャンルだ(8年連続で「お笑いネタ」の出題)。本文は、ある男が「忍術」の稽古をして、見つからないだろうと盗みに入ったが、見つかってしまった。その理由は……、という話だ。例年どおり、「古文の基礎的知識」が問われている。本年度は平易だった昨年度と比べても難易度が低い。「全問正解」が必須。2問だけ検討する。
[問二] 「仮名遣いの変換記述」。傍線部(1)「ゐる」を「現代仮名遣い」に改める。誰もが知っていなくてはいけない「歴史的仮名遣い」の基本。「ゐ」は「五十音図ワ行の第2の仮名」だ(現在は使われていない)。よって、「答え」は「いる」だ。尚、「語頭」以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」→「わ・い・う・え・お」になり、「母音」と「母音」が直接つながった場合の「a・u」→「ou」、「i・u」→「yu(∧)」、「e・u」→「yo(∧)」も「歴史的仮名遣い」の定番。本校に限らず頻出なので確実に定着させておくこと。
<時間配分目安:30秒>
[問三] 「理由説明記述」(「字数指定」なし。「30字ほど」の解答欄)。傍線部(2)の「ははあどうりで見付かった」と「見付かったことに納得している」が、「なぜ納得したのか」を説明する。「現代文」同様に前後の「文脈」から、「理由」を読み解いていく。先ずは、どのような「状況」なのかを「同一場面」で確認する。ある男が「忍(しのび)の指南所(=教える所)」で「二廻り(二回)の稽古」をして「見付かることはござらぬ」と言われたので、「隣の柿」を盗みに入ったが、「やれどろぼうよ」と見付かってしまったので、見付けた男に対して「もしお前は、まあどなたでござります」(=もしお前さんは、まあどなたでございますか)と聞いたところ、「おれは此(この)やしきの見廻りの者」だと答えたことに、「どうりで見付かった」と「納得している」ことが読み取れるはずだ。そして、傍線部の直後で「おれは二廻りだった」と「納得している」のだ。本文最後のこの「オチ」は何か? 「二廻りだった」から「見廻りの者」に「見付かった」ことに「納得している」⇒「見廻り」=「三(み)廻り」……、「ダジャレ」だと分かったはずだ。よって、たとえば、「自分は二廻りだけの稽古だったが、相手は三廻りもしていたから。」(30字)といった「答え」になる。「古文」であっても、「現代語訳」をした上で「文脈」を読み解いていくことが基本になる。
<時間配分目安:1分半>
【大問五】
- 時間配分:3分弱
「Ⅰ」は前漢の武帝の頃、淮南王劉安(えなんおう・りゅう あん)が学者を集めて編纂(へんさん)させた思想書。「Ⅱ」は明代末期に、洪自誠(こう・じせい)が著した処世訓だ。「書き下し文」「返り点」、そして、「四字熟語」といった本校お馴染みの「漢文の基本問題」。一気呵成に得点すべき大問。以下、2問だけ確認する。
[Ⅰ-問一] 「書き下し文記述」(「漢字・仮名交じり文」指定)。「Ⅰ」の傍線部「不(ズ)レ 可(ベカラ)二 以(もっテ) 得(う)一レ 鳥(ヲ)」(*「レ」「二」「一レ」は「返り点」。「平仮名」は「読み」、「カタカナ」は「送り仮名」)を、「書き下し文」(漢字・仮名交じり文)に改める。本年度は例年より難易度がやや低い。「不」「可」は「助動詞」なので「平仮名」にすること。「返り点」のない「以」が最初で、次に「鳥」、そして、「レ一」→「二」→「レ」→と戻っていく。したがって、「以て鳥を得べからず」が「答え」となる。「返り点」「書き下し文」は「基本のキ」なので、しっかりと習得しておくことが肝要。尚、「書き下し文」では「付属語(助動詞・助詞)」を「平仮名」とし、当然、「歴史的仮名遣い」で表記すること(「書き下し文」は「文語」だ)。
<時間配分目安:1分>
[Ⅱ-問一] 「返り点記入」。「Ⅱ」の傍線部「与(ヘテ)人(ニ)えて不(ざレ)求(メ)感(ズルコトヲ)徳(ニ)」に、「書き下し文」の「人に与へて徳に感ずることを求めざれ」を参考にして、「返り点」を記入する(「読み仮名」「送り仮名」は不要)。「人(ニ)」→「与(ヘテ)」→「徳(ニ)」→感(ズルコトヲ)」→「求(メ)」→「不(レ)」の順だ。よって、「答え」は「与レ 人 不レ 求レ 感レ 徳」(*「レ」が「返り点」)となる。本問はたまたまとても平易だったが、「返り点」は十分に練習しておくこと。
<時間配分目安:1分>
【大問六】
- 時間配分:2分強
「総合的知識問題」。問一は「ことわざ」(「河童<かっぱ>の川流れ」と「禍福は糾<あざな>える縄のごとし」の類義判別⇒「答え」は前者が(エ)「弘法も筆の誤り」、後者は(ア)「塞翁が馬」)。問三が「文学史」(「軍記物語」の判別⇒「答え」は(オ)「平家物語」。問2の「口語文法」だけを検証する。
[問二] 「単語の品詞判別選択肢」(全3問。20択)。示されている文章(森鷗外「青年」の一節)中の傍線部(1)~(3)の「文法的説明」をそれぞれ答える。各選択肢は、「動詞の活用の種類と活用形」(12択)・「形容詞の活用形」(4択)・「助動詞の活用形」(4択)だ。各傍線部をチェックして「答え」を判別していきたい。(1)「研究を続けて」⇒動詞「続ける」で、直後に接続助詞「て」⇒「答え」は選択肢(コ)の「下一段活用動詞の連用形」。(2)「博士になること」⇒動詞「なる」で、直後に名詞「こと」⇒「答え」は(ウ)「五段活用動詞の連体形」。(3)「希望しない。」⇒「付属語」の助動詞「ない」で「文末」⇒「答え」は(ト)「助動詞の終止形」。どうだろうか? 「口語文法」をしっかりと理解習得して定着させていれば難なく解けるはずだ。一瞬でも悩んでしまった諸君は、未熟だと自覚して精進せよ。
<時間配分目安:全問で1分弱>
攻略のポイント
- ●「ハイパーな時間勝負」となる。どう「攻略」するか? 「解答順」が最重要。「得点できる問題」を「時間切れ」で逃すのは最悪だ。「現代文」「古文」「漢文」「漢字」「総合的知識問題」、どの大問から解くか? 「漢字」「知識」を最初にこなすのは当然だが、他は自分自身の特性に応じて事前に決めておくこと。要は「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。逆にいえば「捨て問」という覚悟も求められる。「国語」の「合格者平均得点率」(本年度までの5年間平均で73.5%。本年度はやや上がって76.5%)は、3科合計の「合格者最低得点率」(同5年間平均で69.6%)を上回っている。したがって、「国語」での「失点」は致命的になると肝銘せよ。
- ●「説明記述」の対策は? 実直に「記述」の「練習」を続ける他はない。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先度を特定し、高いものから積み上げていく。徹底的に練習することが必要だ。
- ●「多様な設問内容」にはどう対処するか? いかに「解法」を的確に用いるかがポイントだ。「設問内容」に応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが肝要。そのためにも、基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておく。
- ●配点比率が高い「総合的知識問題」も無論、侮れない。「高度な語彙力」は勿論、「文法」「文学史」等まで網羅した「あらゆる知識」が必要なので、独自に習得していくことが重要だ。特に「口語文法」は用意周到にしておくこと。
- ●「古典」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容理解」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「漢文」でも「返り点」「書き下し文」などの基礎は必ず定着させておくこと。
●試験時間は50分。問題文は「現代文」だけでも7000字程度(本年度はやや増えて約7800字)。無論、速く正確に読み取ることが求められる。分速800字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。