中央大学杉並高等学校 入試対策
2024年度「中央大学杉並高等学校の国語」
攻略のための学習方法
要約
中杉の「要約問題」や「基本的記述力」の対策は「問題解説」及び上記のとおりだが、その前提としてやるべきことは、「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。
最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か? 当然、「練習問題」や「過去問」の問題文の「要約」だ。80~100字程度で書いてみる(中杉の典型的な「要約」の練習になる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。
「要約力」は文章の「文章理解力」にもつながるので一挙両得。その際に必要なのは「字数の感覚」を身につけることだ。
書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。
20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「要約問題」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
解法
様々な「読解問題」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。
「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。
「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
大学入試にも匹敵する文字数の問題文を読まなくてはならない。
「現代文」全体で5500字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。
しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。
その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。中杉に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。
練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「中杉の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。いかなる「攻略法」があるのか?
「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。
先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。
過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。
「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。
日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
古典
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」は必須のカリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。
しかしながら、私立の「高校入試」では「本格的な古文」が出題される。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」するしかない。
最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は理解しておかなくてはならない。
そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。
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2024年度「中央大学杉並高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は、漢字問題である<5分>。
設問数は全部で8題。漢字の書き取り6題、読み取り2題である。どれも標準的な問題である。
大問二は、資料内容の理解と分析問題である<6分>。
提示された資料(2つ)から該当する選択肢を選ぶ問題である。
大問三は、古文の読解総合問題である<11分>。
現代語訳を正確に訳出できるようにしたい。基本古語と文法事項を確実に習得しておくこと。
大問四は、論説文の要旨問題である<15分>。
提示された論説文を80~100字の要旨としてまとめる問題である。
大問五は、論説文総合読解問題である<13分>。
内容把握問題であり、本文を正確かつ迅速に読み取り、選択肢の中のキーワードに留意しながら適切な選択肢を選ぶこと。
【大問一】漢字問題
- 時間配分:5分
漢字の書き取り6題、読み取り2題。
書き取りは、「請願」「我慢」「慕」「憤」「維持」「勧告」。読取りは、「罷免=ひめん」「芳しい=かんば(しい)」。全問正解を目指したい。
【大問二】資料読み取り問題
- 時間配分:6分
問1は、ある運送会社を利用して東京から大阪まで荷物を配送した場合の《料金一覧表》を踏まえて正しい選択肢を選ぶ問題である。《料金一覧表》の※の注意事項を熟読すること。荷物の「サイズ」と「重量」に関する規定を踏まえて正しい選択肢を選ぶ。<3分>
問2は、提示された《資料》は、令和5年5月8日より、新型コロナウイルス感染症の法律上の位置付けが5類に移行することに伴い、江東区教育委員会が通達した「基本的な考え方(抜粋)」である。《資料》は全部で8項目ある。これらの項目を十分吟味して適切な選択肢を選ぶ。出席停止解除項目に注目すること。<3分>
【大問三】古文の読解総合問題
- 時間配分:11分
出典は『北遊記』。
問1は、内容理解問題<2分>。本文に「かの草は蛇含草といふよし」とある。
問2は、内容理解問題<2分>。
Ⅰ蛇は「外へ出て石垣の内へ入らんと」したのである。
Ⅱ「木の卵消えざれば」なのである。
問3は、内容理解問題<2分>。本文に「…庭の内を這ひまはり、何やら求める体なり。ほどなく一本の草に尋ねあたり、これは咥へて、かの卵の所を撫でねぶり、終にその草を呑みたりしが、たちまち木の卵消えて」とある。
問4は、内容理解問題<2分>。「妙なり」とは「ある分野に優れている」という意味である。七郎右衛門は「医術」に優れていたのである。
問5は、内容理解問題<3分>。「七郎右衛門若き時、玉子問屋なり」とある。
【大問四】論説文の要旨を80~100字以内でまとめる問題
- 時間配分:15分
与えられた論説文の要旨は、「政府が企業に対し健康診断を義務化し、国民の健康管理を行うのは、国民全員を公的医療保険で保障するためである。政府は、国民から徴収する保険料の他に多くの公費を投入している。しかし、高齢化等の理由により保険料収入の減少は日本の財政を圧迫しているのである」ということである。
【大問五】哲学に関する論説文総合読解問題
- 時間配分:13分
出典は『哲学マップ』(貫成人著)。
問1は、文章内容把握問題<2分>。
Ⅰ 倫理学の中心課題は「人は何をするべきか、何をしてはいけないか」ということである。
Ⅱ 「直観主義では解決できない」理由は「複数の規範」があるからである。
Ⅲ 複数の規範があるので「ジレンマ」が生じるのである。
問2は、文章内容把握問題<2分>。
功利主義とは「『できるだけ多くのひとができるだけ幸福になる』(『最大多数の最大幸福』)ような行為はおこなうべきであり、それに反する行為は行うべきではない」というものである。
問3は、文章内容把握問題<1分>。
「一般的行為原則」とは「それぞれの行為を正当化」する原則のことである。「いちいち説明しなくとも了解」される「倫理的規範」である。
問4は、文章内容把握問題<1分>。
功利主義とは「できるだけ多くのひとができるだけ幸福になる」原理であるので、それは公平でなければならない。
問5は、文章内容把握問題<2分>。
功利主義とカントの考えの違いを理解するために、本文中に示された「野中の一軒家が火事になって二人の人間が助けを求めている」場合の対応の事例を参考にする。つまり、「功利主義」は「行為主体の判断を重視しない」のに対し、「カントの考え」は「行為主体の判断を重視する」のである。
問6は、文章内容把握問題<1分>。
「共同体」ではそれぞれが「目的」を持った人々が生活しているのである。この時点で適切な選択肢はエと判断できる。
問7は、文章内容把握問題<2分>。
本文には「カントによれば、それが精神の成熟にはかならない」とあり、「それ」とは「自分の判断に基づいて行動を選択し、その結果に対する責任を負うこと」なのである。
問8は、要旨問題<2分>。
本文と合致しない選択肢を選ぶ問題であるので、間違えないようにすること。カントは「啓蒙」について、「自分の判断に基づいて行動を選択し、その結果に対する責任を負うこと」であり「やがてすべてを自分で判断しなければならなくなるときが来る」のであり、そのときはじめて人は「成熟した」ことになるのであり、これが達成されることが「啓蒙」であると言っているのである。
攻略のポイント
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論説文を読んで80~100字の要約を行う設問は、事前に要約問題集を使用して十分な練習を積む必要がある。この類の問題に対する対策のポイントは「結論は何か」ということである。初めに「結論」を把握することにより、内容の論理展開や筆者の主張も比較的明確にかつ正確に把握することが可能になる。また、キーワードを抽出することも重要である。概ね、同じ言葉(漢字表記が多い)が何度も繰り返し使用されている場合は、その言葉に注目するべきであり、その言葉を中心に文章の組み立てを考えることである。
上記設問の他に、古文及び論説文の総合読解問題が出題されている。極めて難解な文章というわけではないので、丁寧に論理展開を読み込んでゆくと正しい選択肢が高い確度で選ぶことができる。古文は基本的な古語と古典文法の知識は事前に押さえておくことが重要である。また、資料の読み込み問題は「資料」という「情報源」からどのような情報を取り出すかの処理判断を問われている問題である。的確で迅速な情報処理の手際良さが求められる。