中央大学杉並高等学校 入試対策
2017年度「中央大学杉並高等学校の国語」
攻略のための学習方法
要約
中杉の「要約問題」や「基本的記述力」の対策は「問題解説」及び上記のとおりだが、その前提としてやるべきことは、「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。
最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か？ 当然、「練習問題」や「過去問」の問題文の「要約」だ。80～100字程度で書いてみる(中杉の典型的な「要約」の練習になる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。
「要約力」は文章の「文章理解力」にもつながるので一挙両得。その際に必要なのは「字数の感覚」を身につけることだ。
書きたい内容は何文字くらいになるのか？ 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。
20～30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「要約問題」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
解法
様々な「読解問題」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。
「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。
「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか？ その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
大学入試にも匹敵する文字数の問題文を読まなくてはならない。
「現代文」全体で5500字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。
しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Ｎの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。
その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。中杉に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。
練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「中杉の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。いかなる「攻略法」があるのか？
「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。
先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」＝「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。
過去問を解いてみて(少なくとも５年分以上)、「５割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。
「５割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。
日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。
また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(ＨＰから購入可能)等がオススメ。
古典
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」は必須のカリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。
しかしながら、私立の「高校入試」では「本格的な古文」が出題される。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」するしかない。
最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は理解しておかなくてはならない。
そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。
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2017年度「中央大学杉並高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は｢総合的知識問題｣。小問は全２問(解答数10)｡｢漢字の読み書き｣(文字数約620字)､｢語句の空所補充正誤判別｣(不適切選択肢)｡３分程度で終えたい。
大問二は｢古文｣、出典は根岸守信｢耳嚢｣(文字数約360字)。小問は全６問(解答数６)｡｢選択肢｣(｢組み合わせ｣あり)､｢抜き出し｣､｢仮名遣い記述｣｡10数分で解きたい。
大問三は｢論説文｣、参考出典は鷲田清一｢大事なものは見えにくい｣(文字数約1000字)。｢要約記述｣のみ(｢80～100字以内｣指定)｡問題文は１分半ほどで読み切り、設問を10数分でまとめたい。
大問四も｢論説文｣、出典は高校生のための社会学編集委員会｢未知なる日常への冒険｣所収の奥村隆｢選べる私/選べない私｣(文字数約2900字)。小問は全８問(解答数９)｡｢選択肢｣(｢本文合致｣あり)､｢抜き出し｣(｢空所補充｣あり)｡問題文は４分強で読み切り、設問を17～18分で解きたい。
[大問１]
- 時間配分：
｢総合的知識問題｣。
小問(１)は､｢日本国憲法前文｣(昨年度も｢日本国憲法｣の条文が出題されている。要チェック！)
/夏目漱石｢坊っちゃん｣/宮沢賢治｢注文の多い料理店｣/戸田山和久｢『科学的思考』のレッスン｣/森田幸孝｢インターネットが壊した『こころ』と『言葉』｣/平成28年の｢新聞記事｣、各出典からの｢漢字の読み書き｣｡
(２)は｢語句の空所補充選択肢設問｣｡
(１)は例年と比較して、難易度が格段にアップした。
(２)は昨年度の｢意表を突く問題｣と比して、オーソドックスで平易になった。
以下、いくつか確認する。
[(１)] ｢漢字の読み書き｣(全８問/｢書きとり｣６問･｢読み｣２問)｡
相当な難問、｢全問正解｣は至難の技か？ 確認したい。
(ａ)｢国民の厳粛なシンタク｣＝｢信託｣､(ｂ)｢福利は国民がこれをキョウジュ｣＝｢享受｣､(ｃ)｢法令及び詔勅を排除｣＝｢しょうちょく｣⇒ここまでは｢日本国憲法前文｣､｢公民｣で習得･定着しているはずだが……、(ｄ)｢吹聴｣＝｢ふいちょう｣⇒これは何とか読めるはず､(ｅ)｢カンジョウは帰りにここで払う｣＝｢勘定｣⇒｢文脈｣を読み取り｢同音異義語｣に注意！､(ｆ)｢農林水産省では……関係業界とも連携し、カンミンあげて｣＝｢官民｣⇒これまた｢文脈｣で判断､(ｇ)｢おいしい食材やキセイの食品｣＝｢既成｣(｢既製｣と混同しないこと)、(ｈ)｢イカンの意を示した｣＝｢遺憾｣(｢思い通りでなく残念なこと｣という意味とともに覚えておきたい)｡
確実に｢語彙力｣を磨いておきたい。本校の求めている｢語彙力｣はハイパーだ。ただ、｢日本国憲法｣など、｢対策｣の方法もあるのでしっかりと対応したい。
＜時間配分目安：１分半＞
[(２)-(ｊ)] ｢語句の空所補充正誤判別不適切選択肢｣(４択)｡
示されている各文中の( )にあてはまる｢表現｣を【語群】から選ぶとき、｢どれにも当てはまらないもの｣を答える。確認する。
｢才能は、祖父の代から( )受け継がれている｣､｢過ちに気づくよう、( )言って聞かせた｣､｢喜びが( )沸き起こって来た｣｡
【語群】は、(ア)｢みゃくみゃくと｣､(イ)｢じゃんじゅんと｣､(ウ)｢ふつふつと｣､(エ)｢ばくばくと｣｡どうだろうか？ 未知のものはあるか？
【語群】は全て｢文語｣の｢形容動詞｣から派生した表現｡
それぞれ順に、｢脈脈と｣＝｢長く続いて絶えないさま｣､｢諄諄と｣＝｢よくわかるように繰り返し教えさとすさま｣､｢沸沸と｣＝｢湯などがわきたつさま。ある感情が強くわき起こるさま｣､｢漠漠と｣＝｢広々として果てしないさま｣という意味だ。
したがって、最初の空所には(ア)､２番目には(イ)､３番目には(ウ)が入ると分かるはず⇒｢答え｣は(エ)となる。
尚、[(２)-(ｉ)]の【語群】にある、｢こうこうと｣｢しゅくしゅくと｣｢さんさんと｣｢とつとつと｣も無論､押さえておきたい語句だ。
本校では、こうした幅広い｢語彙力｣が求められているということだ。
＜時間配分目安：２分＞
[大問2]
- 時間配分：
江戸時代後期の随筆｡南町奉行を務めた旗本の作者が、同僚や古老から聞き取った珍談、奇談などが記録されている。
本文は｢先祖伝来の封筐(ほうきゃう＝封をした箱)のこと｣と題され、先祖から伝わる｢子孫窮迫の時開くべし｣と書かれた箱を、｢危急｣だったので開けてはみたが……、という話。
｢発言者特定｣､｢語句抜き出し｣､｢仮名遣い記述｣、そして､｢内容解釈｣などの｢古文｣の多用な｢基本問題｣が並ぶ。
以下、いくつか検討してみよう。
[問１] ｢発言者特定の組み合わせ選択肢｣(４択)。
文中(Ａ)～(Ｄ)の｢ ｣は、それぞれ｢誰の発言(または書き置いたもの)なのか｣の｢組み合わせ｣を答える。本校に限らず、｢古文｣では定番の｢主語(発言者)特定｣の問題。
(Ａ)は｢万年某(なにがし)｣(＝万年氏の誰か)が、｢先祖｣から伝わった｢封筐｣の｢上包みを解き見しに｣(＝包みをほどいて見たところ)､｢書かれていたもの｣だとすぐに分かるはず。
各選択肢の(Ａ)は、(ア)｢万年某｣､(イ)｢万年某の元祖｣､(ウ)｢万年某｣､(エ)｢予｣(＝わたし)｡であれば、ここでもう｢答え｣は(イ)だと判別できる。
ちなみに､(Ｂ)は｢万年至つて危急なりしかば(＝万年はとても危急の状態だったので)｣と、語っていることで、｢発言者｣＝｢万年某｣｡
(Ｃ)には｢三代前の祖の自筆にてしたため置きしは(＝三代前の先祖が自筆で書き置いたのは)｣とあるので、｢書き置いた者｣＝｢万年某の曾祖父｣｡
(Ｄ)は｢封筐｣の中を見た｢万年某｣が、｢笑ひて｣｢語りき(＝語った)｣ことで、｢発言者｣＝｢万年某｣だ｡
本問は比較的平易だが、｢主語(発言者)特定｣の問題では｢敬語｣や｢助詞｣の｢と｣などにも着目すること。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問３] ｢具体的語句の換言抜き出し｣(４択)。
傍線部(２)｢先祖の恵みを残し給ふ｣(＝先祖が恵みを残しなさる)について、｢恵み｣とは｢具体的に何だったのか｣を抜き出して答える。
３行後以降に、｢万年某｣が｢封筐｣の中に見つけた｢三代前の祖｣が書いた｢書面｣に、｢黄金一枚この箱の中にありしを(＝黄金一枚がこの箱の中にあったのを)｣とある。つまり、元々は箱の中に｢黄金一枚｣があったわけなので、｢答え｣は｢｢黄金一枚｣になる。
｢文脈｣を読み解いて解き進めるということは｢現代文｣と同じだ。
＜時間配分目安：１分半＞
[問４] ｢単語の読みと仮名遣いの変換記述｣。
傍線部(３)｢候ふやう｣について、｢候｣の｢読み方｣を含め､｢現代仮名遣い｣に改める。
｢候ふ｣は｢最重要古文単語｣のひとつで、当然､｢そうろう｣と読めなくてはいけない。そして、常識のはずの｢歴史的仮名遣い｣の基本。｢語頭｣以外の｢は･ひ･ふ･へ･ほ｣⇒｢わ･い･う･え･お｣と、｢母音｣と｢母音｣が直接つながった場合の変換だ。｢そ･う･ろ･ふ･や･う｣⇒｢そ･う･ろ･う･や･う｣＝｢so･u･ro･u･ya･u｣⇒｢a･u｣→｢ou｣＝｢you｣＝｢so･u･ro･u･you｣⇒｢そうろうよう｣が｢答え｣となる。他に｢母音｣と｢母音｣では、｢i･u｣→｢yu｣､｢e･u｣→｢yo｣となる。
｢仮名遣い｣は本校に限らず頻出なので確実に定着させ､｢重要古文単語｣もしっかりと習得しておくこと｡
＜時間配分目安：30秒＞
[大問3]
- 時間配分：10分
ひとは他者との｢相互依存｣でなりたっている。｢わたし｣の生も死も｢在ること｣の理由も、そのつながりの中にある――｢コミュニケーションの非在｣と｢わたしたちの居場所｣について論じ、答えの見えない｢問い｣と向き合っている。
本文では、｢プライド｣は存在を肯定される環境の中で揺るぎのないものとして育っていく｢誇り｣であり、自分自身の｢生きる土台｣になると論じている。
どのように｢要約｣していくのかを考えながら、しっかりと読み解いていきたい。
[問] ｢条件付き要約記述｣(｢80～100字以内｣指定)。
｢条件｣は、①｢三文で要約すること｣、②｢第二文の書き出しを『しかし』、第三文の書き出しを『つまり』で始めること｣、③｢解答欄の一マス目から書き始め、句読点も一字に数えること｣｡｢条件｣に基づいて構成していくことになる。
先ずは、本文を概観する。５つの形式段落で構成されている。
第１･２段落では｢プライドが決断力を鈍らせる足かせのような存在になってしまうのは、私たちがその正体を履き違えているためだ｣と述べている。
第３･４段落では｢プライドとは何か他人にできないような偉業を達成できたときに生まれるものだと思ってしまいがちだが、本来は､今現在いる自分がこのままで他人に大事にされ、受け容れられていると感じるときに生じるもので、自分が存在することへの自信こそがプライドの正体だ｣と論じている。
そして、第５段落では｢プライドとは存在を肯定される環境の中で揺るぎないものとして育っていく誇りであり、足かせなどではなく､自身の生きる土台となる｣とまとめている。
ということで、｢要約｣は｢第１･２段落｣＋｢第３･４段落｣＋｢第５段落｣という｢三文｣で構成することになる。｢過不足なく｣まとめていきたい。
たとえば、｢プライドが決断力を鈍らせる足かせになっている｡しかし、本来は自分の存在への自信こそがプライドだ｡つまり、プライドは存在を肯定される中で育っていく誇りで、足かせではなく､自身の生きる土台になるものだ｡｣といった｢答え｣になる。
｢条件｣を的確に踏まえることが、｢失点｣｢減点｣を防ぐ最大のポイント。無論、｢条件｣は｢ヒント｣でもある。尚、｢論説文｣の｢要約｣は通常、｢論旨｣中心にまとめていくので、｢序論部｣＋｢結論部｣＋｢本論部からの補足説明｣といった構成が基本になるということは心得ておくこと。
｢要約(論述)問題｣は本校の定番だ。しっかりと確実に練習しておくことが不可欠だ。
[大問4]
- 時間配分：
｢高校生のための社会学｣とサブタイトルにあり、｢社会学的世界探求への糸口｣を探る論考集の中の１編。
本文では、自由に｢自分で選び･決める｣という｢自己｣が特徴である､｢近代社会｣の｢個人化｣や｢自由｣は､すばらしいものであると同時に困難ももたらすと論じている。｢社会学｣の論考ではあるが、｢高校生｣にも分かるように論じられているので、何とか内容を理解したい。
｢抜き出し｣｢空所補充｣｢本文内容合致｣などの多彩な設問が並ぶが、本年度は｢内容説明の具体例｣を問われているものが４問もある。これまでに例のないことだ(来年度へ向けても要注意！)｡
それも含めて､いくつか検証する。
[問１] ｢内容説明の具体例抜き出し｣(｢15字以内｣指定)。
傍線部(１)の｢再帰性｣とは、｢自分｣を｢例｣としたときに｢どのようなことを指すか｣を､｢十五字以内｣で抜き出して答える。
｢抜き出し｣では、｢抜き出すべき内容｣を特定した上で｢抜き出し範囲｣を絞っていくことが鉄則だ｡先ずは｢内容｣を｢同一意味段落｣から捉えたい(｢論説文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠･手がかり｣がある)｡
次段落の最初から､｢再帰性｣とは｢私たちが行為を振り返り、それが置かれた文脈や意味を知り、その吟味の結果を新しい行為に反映すること｣だと分かる。つまり、そのことが指す｢自分の場合の例｣が｢内容｣となる。｢範囲｣も無論、｢同一意味段落｣｡
探す。｢再帰性｣の定義の直後に｢つまり、自分の行為を反省する､自分で自分をモニターすること｣とある。まさに､｢自分の場合の例｣だ。
｢字数指定｣を考慮して、｢答え｣は｢自分で自分をモニターすること｣になる。
｢抜き出し｣では｢内容｣と｢範囲｣がポイントだ。
＜時間配分目安：２分半＞
[問２] ｢内容説明の具体例選択肢｣(５択)。
傍線部(２)の｢再帰性が『見境もなく働く』｣とは｢どういうことか｣の｢例｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡ただし、ここでは｢傍線部そのもの｣ではなく､その｢具体例｣が問われていることに注意したい。
｢同一意味段落｣を確認すると､傍線部の直前に｢こういうモニタリング(＝｢再帰性｣)がされる場合(これでよかったかと反省し、よかった→このまま/よくなかった→変えよう)と、この回路が働かない場合がある｣とある。つまり、傍線部は｢これでよかったかとは反省し、よかった→このまま/よくなかった→変えよう｣という｢回路｣が｢見境もなく働く｣ことだと捉えられる。
そのことの｢例｣だということを基準として、各選択肢を確認し｢消去｣する｡
(ア)｢売り上げの減少した内部要因を徹底的に調べる｣､(イ)｢自覚のないまま転々と職を変えて働こうとする｣、(ウ)｢明日の天気をくまなく予想する｣、(エ)｢景気はいずれ回復するはずだと楽観的に構える｣、(オ)｢老若男女の別なく他人の気持ちを確かめようとする｣｡
｢反省｣するのだから無論、(ア)以外は｢消去｣可能できなくてはいけない｡ よって、｢答え｣は(ア)｡
｢具体例問題｣では、｢一般論｣を的確に｢具体論｣に置換することが肝要だ。
＜時間配分目安：２分以内＞
[問６] ｢内容説明選択肢｣(５択)。
傍線部(６)｢『純粋な関係性』｣と(７)｢『ロマンティック･ラブ』｣は、｢どのような点において異なっているか｣を答える。
最初に｢原意消去｣をしたいが、ここは両者の｢異なる点｣の説明なので不可能だ。先ずは、｢純粋な関係性｣の内容を捉え、それと結びつかない選択肢の｢文末｣で｢消去｣していく(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)。
確認する。(ア)｢革新的である点｣、(イ)｢現在に立脚する点｣、(ウ)｢哲学的である点｣、(エ)｢能動的である点｣、(オ)｢外的基準をもつ点｣｡｢純粋な関係性｣の内容は｢同一意味段落｣から、｢『いまいっしょにいたい』という基準だけの関係｣だと読み取れるので、(イ)以外は｢消去｣できるはずだ。｢ロマンティック･ラブ｣についての説明も特に誤ってはいないので、(イ)が｢答え｣だ。
｢原意消去｣の適用が無理な場合は、的確な｢解法｣に則しての｢選択肢消去｣をしていくことが肝要。
＜時間配分目安：２分半＞
攻略ポイント
●｢要約(論述)問題｣。避けては通れない関門だ｡
いかに｢攻略｣するか？ ｢要約｣の前提として当然、｢記述力｣を培う必要がある。当否の分かれ目となる｢最重要要素｣を｢文末｣として他の｢必要要素｣を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。
｢内容｣から優先度を把握し、高いものから積み上げていく。それぞれの｢要素｣を｢20～30字程度｣でまとめられるようにしたい。｢要約｣では｢80～100字程度｣の｢字数指定｣なので、４～５つ程度の｢要素｣でまとめることに慣れること。
｢合格ライン｣は７割強(過去５年間の｢合格者平均得点率｣は76.1%と高い)。
配点の大きい｢要約(論述)問題｣(本年度は11点)での｢失点｣｢減点｣は合格を左右すると心得よ。
●｢総合的知識問題｣も無論、侮れない。
｢高度な語彙力｣だけではなく、｢あらゆる知識｣が問われる。独自に｢幅広い知識｣を常に習得していくことが重要だ。学校や塾での学習だけでは不十分なので、｢独習｣は欠かせない。
●その他の問題にはどう対処するか？
いかに、｢解法｣を的確に用いるかがポイント。｢設問内容｣に応じた｢解法｣に則して段階的に解いていくことが重要だ。そのためにも、基本的｢解法｣を完全に習得し、的確に応用できるようにすること。それによって、｢得点力｣が安定する。
●｢古文｣の｢攻略法｣は？
重要な｢古文単語｣の定着はもちろんだが、｢内容解釈｣も求められるので｢基礎的文語文法｣は押さえておきたい。
●試験時間は50分。
時間配分にも細心の注意をすること。問題文は｢現代文｣だけで4000字以上。無論、速く正確に読み取ることが求められる。分速700字以上を目標に｢読む練習｣を常にすることが重要だ。