中央大学杉並高等学校 入試対策
2019年度「中央大学杉並高等学校の国語」
攻略のための学習方法
要約
中杉の「要約問題」や「基本的記述力」の対策は「問題解説」及び上記のとおりだが、その前提としてやるべきことは、「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。
最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か? 当然、「練習問題」や「過去問」の問題文の「要約」だ。80~100字程度で書いてみる(中杉の典型的な「要約」の練習になる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。
「要約力」は文章の「文章理解力」にもつながるので一挙両得。その際に必要なのは「字数の感覚」を身につけることだ。
書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。
20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「要約問題」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
解法
様々な「読解問題」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。
「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。
「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
大学入試にも匹敵する文字数の問題文を読まなくてはならない。
「現代文」全体で5500字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。
しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。
その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。中杉に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。
練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「中杉の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。いかなる「攻略法」があるのか?
「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。
先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。
過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。
「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。
日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
古典
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」は必須のカリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。
しかしながら、私立の「高校入試」では「本格的な古文」が出題される。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」するしかない。
最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は理解しておかなくてはならない。
そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。
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2019年度「中央大学杉並高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「総合的知識問題」。
小問は全2問(解答数10)。「漢字の読み書き」(「書きとり」6問、「読み」2問。5つの「文章」からの出題。文字数約650字)、「『ことわざ』の意味の正誤判別」。4分程度で終えたい。
大問二は「古文」、出典は無住一円「沙石集」(文字数約430字)。
小問は全6問(解答数6)。「選択肢」(「複数完全解答」、「組み合わせ」あり)、「抜き出し」。10分ほどで解きたい。大問三は「論説文」、出典は本校作成(文字数約1100字)。「要約記述」のみ(「80~100字以内」指定)。問題文は1分半程度で読み切り、設問を10数分でまとめたい。
大問四も「論説文」、出典は國分功一郎「来るべき民主主義――小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題」所収の「来るべき民主主義――ジャック・デリダの言葉」(文字数約3500字)。
小問は全7問(解答数9)。「選択肢」(「不適切」。「段落構成判別」あり)、「抜き出し」(「空所補充」あり)。問題文は4分半ほどで読み切り、設問を20分弱で解きたい。
【大問一】総合的知識問題
- 時間配分:4分
小問(1)は、「日本国憲法前文」(4年連続での「日本国憲法」からの出題。もはや必須だ)/松岡慧祐「グーグルマップの社会学」/谷崎潤一郎「細雪」/夏目漱石「草枕」/2018年の「新聞記事」、各出典からの「漢字の読み書き」
(2)は「『ことわざ』の意味の正誤判別選択肢設問」
(1)は昨年度よりやや難化している。(2)は決して難しくはない。ただ、細部に拘(こだわ)っての判別をすること。「漢字」だけ検討しておく。
[(1)] 「漢字の読み書き」(全8問/「書きとり」6問・「読み」2問)。本年度の「全問正解」はなかなか厳しい。最小限の失点に止めたい。確認する。
「日本国憲法前文」から(a)「コウキュウの平和を念願」=恒久
(b)「スウコウな理想」=崇高⇒ともに難易度が高い。
「グーグルマップの社会学」から(c)「『いま・ここ』にショウテンをしぼる」=焦点
(d)「『表現』そのものにキインしている」=起因⇒(c)は「同音異義語」に注意。
「細雪」から(e)「着物の柄」=がら⇒これは問題ないはず。
「草枕」から(f)「住みにくき煩いを引き抜いて」=わずら(い)⇒「文脈」の読み取りに難渋するかも。
「新聞記事」から(g)「(ノーベル医学生理学賞を)オクる」=贈(る)
(h)「メンエキをがんの治療に生かす」=免疫⇒(g)は「同訓異字」
(h)では「部首」に気をつけよ。
本校の求めている「語彙力」はハイパーなので、確実に「語彙力」を磨いておきたい。尚、「日本国憲法条文」は本校志望者にとって「必修アイテム」だと心得よ。
<時間配分目安:1分半>
【大問二】古文
- 時間配分:10分
鎌倉時代中期の仏教説話集。全十巻で約150話を収録。軽妙な語り口で、「徒然草」や後世の「狂言」「落語」などにも大きな影響を与えた。本文は「猿、恩を知ること」。「古文単語の意味」や「文語文法」を直接問うといった単純なものはなく、「主語特定」や「内容理解」が問われている(無論、「単語」「文法」の定着がなければ解けない)。以下、いくつか検討してみよう。
[問3] 「主語特定の組み合わせ選択肢」(5択)
二重傍線部(い)「包みて」、(ろ)「取らせつ」、(は)「持て来る」は、それぞれ「誰の動作か」の「組み合わせ」を答える。定番の「主語特定」だ。各選択肢の「候補」は、「猿」「尼公」「郎党冠者ばら」「地頭」の4者だ。
「包みて」は直前から、「(いちごを柏の葉に)包んで」だと分かり、続けて「暇を伺いて(=人のいないひまをうかがって)、この猿、尼公に渡しけり」とあるので、「主語」は「猿」だと特定できる。
よって「組み合わせ」から、選択肢は(ア)か(イ)になる。
そして、渡された「尼公」は「あまりにあはれに愛おしく思ひて(=あまりにかわいく、いじらしく思って)、布の袋に大豆を入れて、猿に取らせつ(=与えた)」となっている。つまり、「取らせつ」の「主語」は「尼公」。
したがって、「答え」は(ア)になる。「古文」では「主語」が省略されることがとても多い。「わざわざ記さなくても分かる」ので「省略」しているのだ。したがって、前後の「文脈」や「敬語」などから特定していけばいいと心得よ。
<時間配分目安:1分>
[問4] 「内容説明の選択肢」(5択)
傍線部(2)「恐れて」について、「誰が何を恐れたのか」を答える。「現代文」と同様に、「古文」でも「選択肢設問」は「消去法」が原則。
ここでは先ず、「誰が」(主語)を特定して「消去」していく。傍線部の直前は「郎党冠者ばら、主の心を知りて、(恐れて)」となっている。であれば、「主語」は「郎党冠者ばら」だ。各選択肢の「主語」は「尼公」か「家来たち」。
「郎党」=「家臣」、「冠者」=「若者」、「ばら」=「複数」を示す接頭語⇒「家臣や若者たち」なので、「家来たち」になっている(イ)(ウ)(オ)が残る。仮に「郎党冠者ばら」の意味を知らなくても、「尼公」ではないということは判断できるはず。
次に「何を恐れた」かだ。無論、「主の心を知りて」なのだから、「主人」を「恐れた」のだと分かる。(イ)「地頭の怒り」、(ウ)「猿の仕返し」、(オ)「仏様の怒り」であれば、(イ)以外は「消去」だと判別できる。
「答え」は(イ)だ。
前後の「文脈」から「状況」を読み解いていくのは「現代文」と同じだと心得よ。
<時間配分目安:1分弱>
[問5] 「会話部分特定の抜き出し」(「4文字」指定)
文中の「 】」は「会話文の終わり」を示しているが、その会話の「最初の四文字」を抜き出して答える。直後に「と」という「引用」の格助詞があるので、「会話文の終わり」であることは明白。
では、「最初」はどこか?
直前の一文は「このたびは、猿を捕らへてをきて(=猿を捕まえておいて)、子息を呼びて、この次第を語りて(=この成り行きを語って)、子々孫々までもここに猿殺さしめじと起請を書け(=子や孫の時代までずっと、この所では猿を殺させまいと、起請文を書け)、もしさらずは(=もしそうでないのならば)、母子の儀あるべからず(=母と子の間柄であることはできない)】と」だ。
したがって、「答え」(会話文の始まり)は「子々孫々」になる。
「古文」では「会話主」が省略されることがほとんどだ。丁寧に現代語訳をして、「文脈」から特定することが求められる。
尚、当然ながら「会話主の特定」も頻出問題となってくるので、要注意だ。
<時間配分目安:1分>
【大問三】論説文
- 時間配分:10分
「私が見ているもの」は「私が見たいもの」であり、「私が聞いていること」は「私が聞きたいこと」であって、要するに「『私』は『私』にだけ存在する虚構に満ちた世界を生きており、親しい人でも『私』のことを理解してくれないのは当たり前だ」と論じている。どのように「要約」していくのかを考えながら、しっかりと読み解いていきたい。
[問] 「条件付き要約記述」(「80~100字以内」指定)
示されている文章を、「八十字以上百字以内」で「要約」する。
「条件」は
①「三文で要約すること」
②「第二文の書き出しを『しかし』、第三文の書き出しを『つまり』で始めること」
③「解答欄の一マス目から書き始め、句読点も一字に数えること」。
「条件」に基づいて構成していくことになる。
先ずは、本文を概観する。4つの形式段落で構成されている。
第1段落では「私たちは、『私』が見ている客観的事実は『私』とは無関係に存在していると信じている」と述べている。
第2段落は「だが、本当にそうだろうか」と疑問を呈して始まり、「私たちは見たいものを見ているだけだと言える」と結んでいる。
そして、第3段落では「見るものだけではなく聞くことでも、相手の話を補完したり、自分の都合のいいように聞き違えたりして、『聞こえている』と思っているだけだ」と展開している。
その上で、最後の第4段落では「論旨」を「『私が見ているもの』は『私が見たいもの』であり、『私が聞いていること』は『私が聞きたいこと』で、『私』は『私』にだけ存在する虚構に満ちた世界を生きており、親しい人でも『私』のことを理解してくれないのは当たり前だ」とまとめている。
以上を「要約」することになる。
「問題提起」の「第1段落」+「具体例」の「第2・3段落」+「論旨」の「第4段落」という「三文」で構成することになる。勿論、「論旨」である「第4段落」がメインだ。「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「私たちは客観的事実が自分とは無関係に存在していると信じている。しかし、見聞きしているのは自分が見たくて聞きたいものだ。つまり、自分だけの虚構の世界を生きており、親しい人にも理解されないのは当然なのだ。」(100字)といった「答え」になる。
「条件」を的確に踏まえることが、「失点」「減点」を防ぐ最大のポイント。無論、「条件」は「ヒント」でもある。
尚、「論説文」の「要約」は通常、「論旨」中心にまとめていくので、「序論部」+「結論部」+「本論部からの補足説明」といった構成が基本になるということは心得ておくこと。
「要約(論述)問題」は本校の定番だ。しっかりと確実に練習しておくことが不可欠だ。
<時間配分目安:10分強>
【大問四】論説文
- 時間配分:20分
東京都初の住民投票が小平市で行われたが、結果は不成立。住民の声が「行政」に届かない、このような社会がなぜ「民主主義」と呼ばれるのか? そこには、近代政治哲学の単純にして重大な欠陥が潜んでいた――住民運動に飛び込んだ哲学者が、実践と深い思索を通して新しい社会のあり方を構想している。
本文では、「私たちは民主主義をどう捉えるべきなのか」という問題について、「ジャック・デリダ」が提唱した「来るべき民主主義」という言葉には、「完成した民主主義の姿を描くことはできないが、社会をもっと民主的にしていこうとするべきだ」という意味が込められていると論じている。「政治哲学論」だが、難解な語句はなく内容は理解できるはずだ。本年度初出の「段落関係」「文章構成」の小問がある。それらを含めていくつか検証する。
[問1-①] 「対比表現の抜き出し」(「10字程度」指定)
傍線部(1)の「『民主主義』という名詞」と「対比的に用いられている語句」を、「十字程度」で抜き出して答える。
「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則。
「内容」は、「名詞」と「対比的」な「品詞」が含まれているはずだと類推できる。
「範囲」は「同一意味段落」になるが(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)、傍線部直前に「この場合には」という「指示語」があるので先ずは開く(「指示語」が出たら即開くこと)。
「この場合」=「『民主主義を実現しなければならない』などと言われる場合」だと分かる。
さらに、その文頭に「それに対して」とあることに気づくはず。
つまり、「それ」=「対比的に用いられている語句」=「抜き出すべき内容」ということになる。
「それ」を開くと、「『民主的』という形容詞は、自分たちの手元から見て判断を下す際に用いられる言葉」のことだと判断できる。「名詞」と「対比的」な「品詞」としての「形容詞」がある。間違いない。
したがって、「答え」は「『民主的』という形容詞」となる。「抜き出し」では「内容」と「範囲」の絞り込みがポイントだ。
尚、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、必ず「範囲」の全て隈なく、そして漏れなく探すこと。
<時間配分目安:1分半>
[問2] 「内容説明選択肢」(5択)
傍線部(2)「前者は手元から判断が下されている」について、その「判断」についての「説明」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。
先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。
ここでは、「手元から」という一種の「比喩表現」の「原意」と、選択肢の「文末」とが結びつかないものを「消去」していく(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。確認する。
(ア)「検討することから生まれた」
(イ)「切迫した思いから生まれた」
(ウ)「ぼんやりとした感覚から生まれた」
(エ)「実感から生まれた」
(オ)「手が届かないという思いから生まれた」。
「手元」⇒「身近」⇒「実体験」なのだから、(エ)以外は「消去」できると判別できなくてはいけない。他の部分の説明も特に誤ってはいないので、(エ)が「答え」だ。
「一発消去」だ。「原意消去」は繰り返し練習して、十分に活用すべし。
<時間配分目安:1分弱>
[問5-②] 「段落構成の選択肢」(5択)
傍線部(4)「民主主義は常に来るべきものにとどまるのだから、実現されてしまってはならない」が含まれる「【16】段落」と「対になる段落」を答える。
本校で「段落関係」について問われるのは初めてなので、戸惑う諸君が多いはず。ここは冷静になって考えていきたい。
選択肢は、「【17】~【22】段落」までの5つ。
それらの段落を概観すると、「【20】段落」が「しかし」で始まっていることに気づくはずだ。これはあやしい。それ以前をしっかりと確認する。すると、「【16】段落」最後の「どういうことだろうか?」という「問題提起」について、「【17】段落」で「解答」し、「つまり」で始まる「【18】段落」で「まとめ」を述べ、「【19】段落」では「デリダの言葉」を引用して「補足説明」していることが分かる。その上で、「【20】段落」が「しかし」で始まっているのだから無論、「【16】段落」と「対」になるわけだ。
よって、「答え」は「【20】段落」の(エ)。尚、「段落関係」「段落構成」の読み取りでは、各段落冒頭の「接続詞」や「副詞」などに着目することが肝要だ。
<時間配分目安:2分>
[問6] 「本文構成の選択肢」(5択)
「本文を前半と後半で分けるとき、どの段落から後半が始まるか」を答える。[問5-②]に引き続いての「文章構成」に関する初めての出題。厄介だ。だが、朗報。各選択肢では「前半と後半の内容」が説明されているが、「後半が始まる段落」が全て異なっているので、それだけで判別可能なのだ。実に有難い。
さて、本文は「論説文」であって、基本的には「序論」「本論」「結論」の「3つの意味段落」で構成されている。その点を考慮して、「本文内容」が大きく転換する段落に注目したい。
(ア)~(オ)の選択肢はそれぞれ、「【9】段落目」・「【12】段落目」・「【13】段落目」・「【14】段落目」・「【20】段落目」からを「後半」としている。各段落の「要旨」をチェックしていくと、「【13】段落目」で初めて「フランスの哲学者ジャック・デリダ」が登場し、以降は全て彼の考え方を論じていることが分かる。念のために「【9】段落」以前を確認しても「デリダ」には触れられていない。
つまり、「本文」は「前半」で筆者自身の考えを論じ、「後半」で「デリダ」の考えに論及していることになる。よって、「答え」は(ウ)だ。
来年度以降も「文章構成」についての出題があり得る。しっかりと習得しておくことが必須だ。
<時間配分目安:2分半>
攻略のポイント
- ●「要約(論述)問題」
本校では避けては通れない関門だ。いかに「攻略」するか?
「要約」の前提として当然、「記述力」を培う必要がある。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。
「内容」から優先度を把握し、高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるようにしたい。
「要約」では「80~100字程度」の「字数指定」なので、4~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れること。
「国語」の「合格ライン」は7割台半ばで(過去7年間の「合格者平均得点率」は76.3%。本年度は75.6%)、「英語」(同72.4%)、「数学」(同71.7%)と比べて高い。配点の大きい「要約(論述)問題」(本年度は10点)での「失点」や「減点」は合格を左右すると心得よ。 - ●本年度初出の「文章構成」や「段落関係」、本校志望者は新たに対応していく必要がある。上記の問題解説で指摘したこと以外にも大切なポイントがあるので、各自で習得しておきたい。その際、参考書等は「大学入試用」のものがしっかりと解説されているのでお勧めだ。
- ●「総合的知識問題」も無論、侮れない。
「高度な語彙力」だけではなく、「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要だ。
学校や塾での学習だけでは不十分なので、「独習」は欠かせない。 - ●その他の問題にはどう対処するか? いかに、「解法」を的確に用いるかがポイント。
「設問内容」に応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが重要だ。
そのためにも、基本的「解法」を完全に習得し、的確に応用できるようにすること。それによって、「得点力」が安定する。 - ●「古文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容解釈」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。
- ●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は「現代文」だけで4000字以上(本年度は約4600字)。無論、速く正確に読み取ることが求められる。
分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。