獨協埼玉高等学校 入試対策
2024年度「獨協埼玉高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
本校の試験では古文・漢文の出題は見られないので、現代文の読解に力を注ぐことができる。論説文2800字・小説5200字で計8000字ほどの素材文となっている(2024年度)。文章自体の難易度はそれほど難しくはないので、読みやすいだろう。総解答数が35問ほどと少なめであることもあり、時間配分に失敗しなければ、足りなくなることはないと思われる。選択式・並び替え・書き抜き・記述と問題形式は多彩である。とくに記述問題は60字前後のものや字数指定のないものもあり、類似問題でコツをつかんでおく必要がある
・記述問題
抜き出し問題ではないものの、傍線近くに答えとなる内容・手がかりがある場合は多いので、まずは前後をよく探すのが鉄則である。字数もひとつの目安で、指定された字数よりやや多いか少ないかくらいの部分が答えに使える場合が多い。内容では、別の言葉で言い換えたり、短くまとめたりした箇所が重要である。
また、書き抜きではないので、設問に合うように語尾や語順を整えることも必要となる。確実なのは訊かれたことにオウム返しに答えてしまうことである。「何をどのようにされたのか」という質問なら、そのままの語順・言葉遣いで答えてしまって良い。
大事なのは訊かれている点「何」と「どのように」を忘れずに答えることである。字数指定がない場合は、解答欄の大きさからだいたい何行くらい書けそうかを見て、1行20字~25字くらいの見当で記述すればよい文量になるだろう。
・読解
本校の長文は文章自体さほど難解なものではないし、テーマや論説対象も中学三年生にとってひどくかけ離れたものではないので、無理に難問で練習する必要はないだろう。同程度の難易度の学校の入試問題なども利用しながら、読解問題の基本に沿って訓練すればよい。
すなわち、説明的文章であれば、段落の関係・要点と細部・要旨のまとめ、文学的文章であれば、場面の転換・登場人物の言動や表情・気持ちを暗示する表現など、読解のポイントになる点について丁寧に練習すること。素材文の文字数に慣れ、時間内に一通り終えるスピードをつけること、などである。
前年度より字数が増えているので、今後もこの傾向が続くものとして、多めの文章量で慣れておいたほうが良いだろう。
漢字の読み書き
漢字は読みと書きの両方で出されている。どちらにもなかなか難しい漢字が含まれており、配点も2割を占めて得点源として大きいので、中級~上級レベルの漢字まで身につけて、失点ゼロを目指したい。
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2024年度「獨協埼玉高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
論説文2800字・小説5200字の計8000字ほどの長文読解と漢字10問・言葉の知識数問という構成になっている。総解答数は35問。今年度も古文・漢文の出題は無かった。
素材文はさほど難解なものではなく問題数も少なめなので、読むスピードが遅くなければ時間は足りるものと思われる。記述問題が数問出されるので、あまりに時間を取られ過ぎないよう、同種の問題を多くこなして慣れておくこと。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分:20分
利他的な行動はときに相手の見返りを期待し他者を支配することにつながる。純粋な利他とは、結果が予測できなくてもとりあえずやってみることにあり、相手の声に耳を傾け「距離と敬意を持って他者を気づかうこと」で、「他者の発見」が自分をも変化させるものなのである。
問一 相手の思いがわからない以上、こちらの利他的な「思い」は「思い込み」でしかないのである。
問二 「相手は喜ぶはず」が「相手は喜ぶべきだ」に変わりやすく、見返りを期待するなど相手を思い通りに行動させようとしてしまう危険性をはらんでいるわけである。
問三 情けは人の為ならず
問四 「災害ユートピア」状況が起こるのは「平常時のシステムが機能不全」になったときである。行政の救助や援助が期待できない中、市民が相互に助け合いを始めるのである
→選択肢イ。
問五 平常時は「政府などの上からのコントロール(十五字)」が働いている。
問六 「利他」とは自ら積極的に行動することと普通には考えられているが、もっとずっと受け身のことなのかもしれない……というのが筆者の意見である。
問七 利他の本質は他者をケアすることではないか? 「ただし」(C)この場合のケアは介助や介護ではなく、「むしろ」(D)距離と敬意を持って気づかうことである。よき利他には他者の発見があり、「さらに」(E)考えを進めれば自分も変わることにつながるのである。
問八 「他者の発見」とは「他者の潜在的な可能性に耳を傾ける」ことであり、それは「そんなやり方もあるのか」とこちらの考えの軸にずれを起こすこともある。相手の声に耳を傾けることは「自分の変化」をももたらすのである。
問九 ウ. そう言えない箇所も多々見られる。
問十 イ. 自己犠牲は見返りを求めることにつながりやすく、筆者の主張する利他のあるべき姿ではない。
【大問二】小説の読解
- 時間配分:27分
派遣先で解雇された主人公の、生きづらさに息が詰まりそうになりながらユーチューブの動画に慰めを見出す女性としての心の内が描かれる。
問一 a・e 連体形「~な」があるかどうかで見分けられる。
問二 二人でこなしていた業務をしばらく主人公一人で頑張っていたが、一人補充されると主人公は解雇されてしまったのであるから、「この業務は一人で十分だ」と判断されたのだと考えられる。
問三 一緒に働くのは今日で最後なので開き直ったのだろう、と主人公も推察している。どうせ今日だけの相手なのだから、業務と関係ないおしゃべりをしてもかまわないと思ったのだろう。
問四 ハサミを使っているのは明日美である。まず、くだらないことばかりやっている男性ユーチューバーへの怒りが表現されている(ウ)。さらに、そのくだらない動画を普段よく見ている主人公なので、動画を批判されて自分が切られたような感覚になっているのだろう(エ)。
問五 Ⅰ. 「すべてを見逃さないように、生き抜くために大切なものをたった一つも掴み逃さないように」とある。
Ⅱ. 深夜にラーメンをすすり、人間ドッグにも何年も行っていない。楽しみはくだらない動画だけである主人公。現実を考えないようにして逃避しているのである。
問六 佳恵の退職の日のように他の正社員の送別会で気疲れせずに済んだが、非正規雇用である自分の正社員との差を実感させられる日でもあったのである。
問七 Aの前で書かれている動画を見ることの無意味さと、Aのあとの「だけど、それでよかった」をつなぐ文として当てはまる。
問八 動画だけを楽しみになんとか日々をやり過ごして生きているという意味で、少しあとに「生きていくうえで何のためにもならない情報に溺れているときだけ、息ができる」が抜き出せる。
問九 妹の出産というおめでたい話を聞かされて自分は結婚しないのかなどと話を振られることが予想され、一方自分は派遣先から解雇されたことを伝えねばならず、話をするのが辛いのである。
問十 イ. 文章の後半の表現技法として合っている。
オ. 七分二十三秒の動画を見ることでその一秒先へとなんとか生きていく主人公を表した題名である。
【大問三】漢字の読み書き
- 時間配分:3分
① 便宜 ② 被服 ③ 渇望 ④ 息吹 ⑤ 辛(うじて)
a. いかく b. すうじく c. なら(う) d. さんか e. はば(む)
攻略のポイント
類似問題を多くこなしてコツをつかむこと・理想としては普段から読書に親しんで長い文章を読みなれておくこと……長文読解の基本的な対策をしっかり実践して欲しい。読解問題に対しては読書に勝る練習はないと思っていただきたい。
記述問題については30~60字くらいの様々な条件の記述問題を解いて、文字数とまとめ方の感覚をつかんでおくこと。
さらに本校の場合、漢字や言葉の意味などの知識問題がやや難しく、配点も非常に高い場合があるので、読解の訓練ばかりでなく知識問題の対策にも時間を割いておかれたい。