獨協埼玉高等学校 入試対策
2022年度「獨協埼玉高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
本校の試験では古文・漢文の出題は見られないので、現代文の読解に力を注ぐことができる。論説文3500字・小説5800字で計9300字ほどの素材文となっている(2022年度)。文章自体の難易度はそれほど難しくはないので、読みやすいだろう。総解答数が32問と少なめであることもあり、時間配分に失敗しなければ、足りなくなることはないと思われる。選択式・並び替え・書き抜き・記述と問題形式は多彩である。とくに記述問題は60字前後のものや字数指定のないものもあり、類似問題でコツをつかんでおく必要がある。
・記述問題
抜き出し問題ではないものの、傍線近くに答えとなる内容・手がかりがある場合は多いので、まずは前後をよく探すのが鉄則である。字数もひとつの目安で、指定された字数よりやや多いか少ないかくらいの部分が答えに使える場合が多い。内容では、別の言葉で言い換えたり、短くまとめたりした箇所が重要である。
また、書き抜きではないので、設問に合うように語尾や語順を整えることも必要となる。確実なのは訊かれたことにオウム返しに答えてしまうことである。「何をどのようにされたのか」という質問なら、そのままの語順・言葉遣いで答えてしまって良い。
大事なのは訊かれている点「何」と「どのように」を忘れずに答えることである。字数指定がない場合は、解答欄の大きさからだいたい何行くらい書けそうかを見て、1行20字~25字くらいの見当で記述すればよい文量になるだろう。
・読解
本校の長文は文章自体さほど難解なものではないし、テーマや論説対象も中学三年生にとってひどくかけ離れたものではないので、無理に難問で練習する必要はないだろう。同程度の難易度の学校の入試問題なども利用しながら、読解問題の基本に沿って訓練すればよい。
すなわち、説明的文章であれば、段落の関係・要点と細部・要旨のまとめ、文学的文章であれば、場面の転換・登場人物の言動や表情・気持ちを暗示する表現など、読解のポイントになる点について丁寧に練習すること。素材文の文字数に慣れ、時間内に一通り終えるスピードをつけること、などである。
前年度より字数が増えているので、今後もこの傾向が続くものとして、多めの文章量で慣れておいたほうが良いだろう。
漢字の読み書き
漢字は読みと書きの両方で出されている。どちらにもなかなか難しい漢字が含まれており、配点も2割を占めて得点源として大きいので、中級~上級レベルの漢字まで身につけて、失点ゼロを目指したい。
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2022年度「獨協埼玉高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
論説文3500字・小説5800字の計9300字ほどの長文読解と漢字10問・言葉の知識数問という構成になっている。総解答数は32問。今年度も古文・漢文の出題は無かった。
素材文はさほど難解なものではなく問題数も少なめなので、読むスピードが遅くなければ時間は足りるものと思われる。記述問題が数問出されるので、あまりに時間を取られ過ぎないよう、同種の問題を多くこなして慣れておくこと。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分:24分
進化論などを例にとり、客観的な科学的説明を信じようとしない人間の心理について解説している。
問一 bとeがともに形容動詞で同じである。aは副詞、cは助詞、dは連体詞。
問二 A. 鳩の品種改良は「人為的」だが、野生の生物では人が選ぶわけではない。
B. 虹という現象を神秘ととらえずに「客観的」に理解できることはすばらしい、とドーキンスは主張した。
問三 それ(自然選択説)を否定する人が絶えない。多くの証拠が自然選択説の正しさを示してきた現在でも。→【Ⅱ】に入れれば意味が通じる。
問四 子供を産んで働かない女王アリから、子供を生まずに働くという性質がどのように次世代に伝わるのか、が当時の研究では説明できなかった。現在では、一定の確率でワーカーの遺伝子を持つ子供が生まれることが判明している。
問五 虹とは「空中の水滴により太陽の白色光が分光されて七色の帯になる」ことで、少し後にこのことを「分光の結果」と五字でまとめている。
問六 C. ドーキンスはゴリゴリの還元主義者らしい答えをしている。「さらに」別の著書
では神をもこき下ろす発言をしている。
D. 協力がなぜ進化するか(Why)には答えられる。「しかし」協力が起きるときは生物体同士が相互作用をするのでどのように遺伝子量が増えるか(How)については答えられない。
問七 「解けない問題」の例を示しているのが、直後で説明されている「Why」は説明できるが「How」は説明できないという話である→選択肢エが合う。
問八 虹を見て人が感じるような「自然現象を通して自分が世界へと開かれる感覚」は、科学の客観的な説明にもかかわらず存在し続けるだろうし、このような「世界の訪れの感覚」は人間の気持ちを揺さぶるのであり、「これは神の啓示」なのである。
【大問二】小説の読解
- 時間配分:22分
主人公は、父と離婚し自分を置き去りにして新しい家庭を作ってしまった実の母親の絵の展覧会を見に行った。そこで見かけた実母の様子にショックを受けるが、父の自分を思う気持ちに触れ、現在の四人での暮らしを大事にしたいという父の気持ちも理解する。
問一 実際に描かれた絵は、画面で見るのとは「迫力」や「生々しさ」が違うのである。
問二 主人公にとってその絵は「母と私をつなぐたったひとつのもの」で「まるで自分が描かれているような気恥しさ」を感じるようなものだったのだが、それが「売り物」であるという現実を見せつけられて、違和感を感じている。
問三 自分に気づきもしなかった実母の様子や、その家庭の存在などを感じてショックを受け、はやくその場から去りたい気持ちになった。
問四 急に黙ってしまった主人公の様子に何かがあったことを察して、話しかけないようにして少し距離を取っている。話しかけるにしても、先の予定など今日とは関係のないことで、気を遣っているのがわかる。
問五 帰りの電車の中ではサンカヨウのポストカードを「何度も見ていた花なのに、まるで初めて見たような気がした」と感じており、これは展覧会で実母を見た後に心理的な距離感が変わったことを暗示していると考えられる。
問六 父は泣いて部屋にこもった主人公を目撃しているので、主人公が目を覚ました時、「安心した」はずである。
問七 「突き詰めないで、ぼんやりとさせたままにすればよかった」「はっきりさせすぎた」などの父の発言から、二人の間の相違をあからさまにしすぎて互いを規制するような関係になってしまったことが別れた原因だったと推測できる→選択肢エがよい。
問八 「なにも問題はないよ」とは言っているが、現実には義妹のひなたが実母の画集を破いて主人公が泣き寝入りする事態も起こっている。自分が再婚した結果、主人公に大人びた態度を強いているのではないかと、父は気にしているのであろう。
問九 父との会話を通じて、自分を大事にしてくれている父の気持ちを感じることができた。そんな父の自分を含めた四人の家族で暮らしていきたいという言葉を、主人公は素直に認めたいと思っている。
問十 父と二人で暮らしていた時のことを見た夢の中の、「自分の頭を撫でるあたたかくて大きな手」が父の主人公への気持ちを象徴している。
問十一 ア. 主人公が妻の実子であることを夫は気づいていないはずなので、合わない。
ウ. 「突き詰めすぎた」と言っているので、むしろ本心をぶつけ過ぎたと考えられるので、×。
オ. 父や陸の視点は描かれていない。
【大問三】漢字の読み書き
- 時間配分:4分
① かんぷ ② かたず ③ せんしん ④ ひよく ⑤ ぼっぱつ
a 釜飯 b 交渉 c 萎縮 d 喚起 e 繕(う)
攻略のポイント
類似問題を多くこなしてコツをつかむこと・理想としては普段から読書に親しんで長い文章を読みなれておくこと……長文読解の基本的な対策をしっかり実践して欲しい。読解問題に対しては読書に勝る練習はないと思っていただきたい。
記述問題については30~60字くらいの様々な条件の記述問題を解いて、文字数とまとめ方の感覚をつかんでおくこと。
さらに本校の場合、漢字や言葉の意味などの知識問題がやや難しく、配点も非常に高い場合があるので、読解の訓練ばかりでなく知識問題の対策にも時間を割いておかれたい。