獨協埼玉高等学校 入試対策
2023年度「獨協埼玉高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
本校の試験では古文・漢文の出題は見られないので、現代文の読解に力を注ぐことができる。論説文4700字・小説4500字で計9200字ほどの素材文となっている(2023年度)。文章自体の難易度はそれほど難しくはないので、読みやすいだろう。総解答数が32問と少なめであることもあり、時間配分に失敗しなければ、足りなくなることはないと思われる。選択式・並び替え・書き抜き・記述と問題形式は多彩である。とくに記述問題は60字前後のものや字数指定のないものもあり、類似問題でコツをつかんでおく必要がある。
・記述問題
抜き出し問題ではないものの、傍線近くに答えとなる内容・手がかりがある場合は多いので、まずは前後をよく探すのが鉄則である。字数もひとつの目安で、指定された字数よりやや多いか少ないかくらいの部分が答えに使える場合が多い。内容では、別の言葉で言い換えたり、短くまとめたりした箇所が重要である。
また、書き抜きではないので、設問に合うように語尾や語順を整えることも必要となる。確実なのは訊かれたことにオウム返しに答えてしまうことである。「何をどのようにされたのか」という質問なら、そのままの語順・言葉遣いで答えてしまって良い。
大事なのは訊かれている点「何」と「どのように」を忘れずに答えることである。字数指定がない場合は、解答欄の大きさからだいたい何行くらい書けそうかを見て、1行20字~25字くらいの見当で記述すればよい文量になるだろう。
・読解
本校の長文は文章自体さほど難解なものではないし、テーマや論説対象も中学三年生にとってひどくかけ離れたものではないので、無理に難問で練習する必要はないだろう。同程度の難易度の学校の入試問題なども利用しながら、読解問題の基本に沿って訓練すればよい。
すなわち、説明的文章であれば、段落の関係・要点と細部・要旨のまとめ、文学的文章であれば、場面の転換・登場人物の言動や表情・気持ちを暗示する表現など、読解のポイントになる点について丁寧に練習すること、素材文の文字数に慣れ、時間内に一通り終えるスピードをつけること、などである。
前年度より字数が増えているので、今後もこの傾向が続くものとして、多めの文章量で慣れておいたほうが良いだろう。
漢字の読み書き
漢字は読みと書きの両方で出されている。どちらにもなかなか難しい漢字が含まれており、配点も2割を占めて得点源として大きいので、中級~上級レベルの漢字まで身につけて、失点ゼロを目指したい。
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2023年度「獨協埼玉高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
論説文4700字・小説4500字の計9200字ほどの長文読解と漢字10問・言葉の知識数問という構成になっている。総解答数は34問。今年度も古文・漢文の出題は無かった。
素材文はさほど難解なものではなく問題数も少なめなので、読むスピードが遅くなければ時間は足りるものと思われる。記述問題が数問出されるので、あまりに時間を取られ過ぎないよう、同種の問題を多くこなして慣れておくこと。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分:26分
基礎教育を普及させ教育格差を是正することの重要性を、教育の効果を例示しながら説明している。
問一 次の段落で、世界の多数の人々が「教育の軌道外」に置き去りにされれば、世界は不公平で危険な場所になると述べており、教育を受けられないことの社会的不経済を指摘している。
問二 基礎教育を受けられないことが、生きるのに必要なものが確実に欠乏している状況を運命づけてしまう。「基礎教育を受ける機会」が「運命を回避する機会」なのである。
問三 少し前の「生きるのに必要なものが欠乏している」状態のことで、具体的には「読み書きや計算、意思伝達ができない」状態である。
問四 直後の「手の届く範囲で教育を安全に受けられる機会があれば、親は子供を学校に行かせたい」の逆を答えればよいことになる。発展途上国などにおいては、学校が安全で
なかったり子どもが労働力として計算されていたりといった事情で、「親が子供を学校に行かせたがらない」場合も多いのである。
問五 ア・ウ・エは文中に言及がある。基本的な教育を受けさせることへの「障害」を訊かれているので、選択肢イはそもそも矛盾している。
問六 直前の「親の経済状況」・「授業料」などの言及につながる話なので、この「市場の力」は社会の経済状況に基づく「家計」を指していると考えられる→選択肢イがよい。
問七 続く数段落の説明のまとめとして、日本・その他のアジアの国々は「読み書きが不自由なため、仕様書の指示通りに生産し品質管理を徹底できなければ、グローバル経済へ
の本格的な参加は非常に難しかったでしょう」と述べられている。読み書きができて仕様書通りの生産と品質管理ができることが、グローバル経済に参加する必須条件なのである。
問八 段落内で、教育の格差が女性に及ぼす影響が述べられている。この格差は「社会的な性差」にも関連するのである。
問九Ⅰ. 健康問題全般――「とりわけ・とくに」感染症の場合に重要となる。
Ⅱ. 専門の保健教育の重要性は、「たとえば」感染症の蔓延や予防法についてみれば…。
Ⅲ. 専門の保健教育の重要性は……容易に理解できる。「しかし」、一般的な教育でも……重要なものとなりえる。
Ⅳ. 「むしろ」、健康問題では一般の学校教育の方が有効である。
問十 ア. 日本が東アジア地域に基礎教育を行ったとは書かれていない。
ウ. 「自らの法的権利を理解しそれに訴える能力がかなり限られる」「社会における犠牲者が政治に参加して訴える機会が奪われる」とあるが、「自分の置かれている状況が不当であることに気づくことができず」とまでは書かれていない。
エ. 「基礎教育の後の専門的な教育が効果的である」などとは述べられていない。
【大問二】小説の読解
- 時間配分:20分
父の怪我により突然船頭を任されることになった主人公は、戸惑いながらも覚悟を決め、漁の初日海へと漕ぎ出した。
問一 エだけ形容詞「おとなしい」の連用形。他は副詞。
問二 「おとなしく釜煮をしていれば」父が怪我をすることもなかったと後悔し、勝手にでかけたことを叱られると思っている。
問三 思ったほど強く叱られなかったことに「安堵」したが、自分の代わりに船頭を務めろと言われて「うろたえた」。
問四 経験不足の自分が船頭を代わるにあたり、親父も乗るだけは乗って指示を出してほしいなどと頼んできた主人公に対し、「船頭は船の最高責任者なのだから、他から指示を受けるなどありえない」と父は突っぱねたのである。
問五 栄三は船に乗ったことすらないのに、面舵櫓の最後尾とはいえさすがに無理ではないかと、心配になった。
問六 日和――なにかをするのに、ちょうどよい天気。多くは晴れのこと。
問七 初めての漁で緊張している自分を奮い起こすように自分に言い聞かせている。
問八 人数を増やすよりも、「長年雇いに来てくれて~船足が速い」と七人漕ぎにこだわっている。
問九 父の怪我の心配や初めての船頭役への不安など心配性な面はあるが、引き受けるからにはしっかりやろうという気概も持っている。
問十 イ. 波線bのダッシュは間が空いたことを、波線cのダッシュは父に言葉を遮られたことを表しており、「心の葛藤」を表しているのではない。
【大問三】漢字の読み書き
- 時間配分:4分
① といき ② ばんじ ③ はんも ④ ざんじ ⑤ つの(る)
a 鍛(える) b 落胆 c 衝突 d 甲乙 e 粋
攻略のポイント
類似問題を多くこなしてコツをつかむこと・理想としては普段から読書に親しんで長い文章を読みなれておくこと……長文読解の基本的な対策をしっかり実践して欲しい。読解問題に対しては読書に勝る練習はないと思っていただきたい。
記述問題については30~60字くらいの様々な条件の記述問題を解いて、文字数とまとめ方の感覚をつかんでおくこと。
さらに本校の場合、漢字や言葉の意味などの知識問題がやや難しく、配点も非常に高い場合があるので、読解の訓練ばかりでなく知識問題の対策にも時間を割いておかれたい。