江戸川女子高等学校 入試対策
2024年度「江戸川女子高等学校の国語」
攻略のための学習方法
合格のための「読解力」とは何かを考えてみたい。
読解力とは、文字通り考えると「読み解く力」である。
『現代文の文章は、日本語で書かれているので、日本人であれば何が書かれているかは当然理解できるのだから、現代文攻略のために特段の事前準備は必要がない』
と考えている受験生も中にはいるのではないだろうか。確かに、数学や理科のように明確な客観的原理や原則に基づいて文章を定型的に分解できるものではないことは自明ではある。個人の考え方や価値観の違いも、複数の人間が同じ文章を読んだ場合に違った印象や感想を抱く背景にはその「価値観の違い」がある。
それでは、入試で扱われる文章(小説にしても論説文にしても)は、そのような意味で「読み手」の感覚でいかようにでも解釈が可能になるような文章なのだろうか。答えは「否」である。なぜならば、読み手によって解釈が複数可能であるとするならば「入試問題」として求められる「客観性」を欠いた文章ということになり、それは入試問題としての特性を有していないことにもなる。
したがって、入試問題として出題される文章は、そのジャンルがどのようなものであったとしても、客観的かつ論理的に読解が可能であり、基本的にはだれが読んでも「同じ結論に至る」というのが原則である。
しかし、そのような「結論」に至るためには「文章の読み方」がある。それが「読解力」であり「読み解く力」である。
具体的には、①キーワードを探す、②作者の結論を見つける、③特に心情把握を問われる小説では「会話」と「情景描写」に注目する、ということである。
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①キーワードを探す
「キーワード」とは文中でとても重要な単語・用語である。重要であるから作者は何度も繰り返して使用する。ときには同じ内容について表現を変えて使う場合もある。いずれにしても、熟語になっているような単語などで繰り返し使われているようなものは必ずチェックすることが重要である。
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②作者の結論を見つける
特に論説文では「作者の結論」が何かを発見し、理解することがとても重要である。作者が結論を論じる場合、必ず「つまり」「したがって」というつなぎ言葉がついている。この言葉を手掛かりに、その後ろに書かれている内容をしっかりと理解することである。そうすることによって、作者が言いたいこと、主張したいことが何であるのかが見えてくるのである。
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③「会話」と「情景描写」に注目する
特に小説においては「心情把握」が重要である。小説において、「太郎はその時とても悲しく思った」などの心情を表わす直接的な描写は行わない。人物の悲しさは登場人物との会話や情景を描写する中で間接的に描かれるものである。したがって、小説における心情把握が苦手であるという受験生は是非「会話」と「情景描写」に着目して文書を読んでもらいたい。
以上、簡単に入試国語の文章読解におけるポイントを確認したので、今後の勉強に少しでも役立つことができればと思う。
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2024年度「江戸川女子高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】論説文の読解総合問題<14分>。
漢字の書取り・読取り、四字熟語、内容把握問題、内容把握抜き出し問題、記述問題(30字)などの出題である。
【大問2】小説の読解総合問題<20分>。
内容把握、心情把握などの出題である。
【大問3】古文の読解問題<16分>。
文学史、内容理解、現代語訳などの出題である。
【大問1】芸術に関する論説文の読解総合問題
- 時間配分:14分
出典は『美学への招待』(佐々木健一著)
問1は、漢字の書取り・読取り問題である<1分>。
「一斉(=いっせい)」「媒体」「単純」「既製(=きせい)」である。完答を目指そう。
問2は、四字熟語問題<2分>。
一時期に優れた人材・成果が数多く現れることを表す「百花繚乱」である。
問3は、接続語問題<2分>。
A 空欄を境にして真逆のことを述べている。
B 空欄後に結論を述べているので「すなわち」「したがって」「つまり」などが入るであろう。
問4は、内容把握問題<1分>。
切符を切る、ということの意味を考える。切符を切って対象に渡すという行為は、当該対象がアートやアーティストとして認める、という意味である。
問5は、内容把握選択問題<1分>。
modern art を「近代藝術」や「現代藝術」と訳すと、その本質を正しくとらえられていないのである。
問6は、指示語把握選択問題<1分>。
「三越が画家の猪熊弦一郎にデザインされた包装紙」を使用することは、「絵画とは何かという概念に関わる問題…美学の問題」ではないのである。
問7は、内容把握選択問題<1分>。
これまでの「伝統的な藝術作品」とは同列には扱うことのできない、つまり表現形式が異なる藝術作品なのである。
問8は、内容把握選択問題である<2分>。
a 伝統的藝術表現とは「異質なもの」をアートという言葉でひとくくりにしているのである。
b 異なる藝術表現をartという「統一的な概念」を作り直そうとしたのであるが、「藝術を一つのものとして定義することが不可能」なのである。
問9は、内容把握選択問題<1分>。
藝術とは何かとは、人々の共有している美的な感覚で見直すことで分かってくるものである。
問10は、内容把握記述問題である<2分>。
「藝術という資格は作品の質によって決まるのではなく、制度によって支えられる」ということなのである。
【大問2】 小説の読解総合問題
- 時間配分:20分
出典は『ブロードキャスト』(湊かなえ著)。
問1は、文の組み立て問題<2分>。
a 「自動販売機で」は「買い」を修飾している。
b 「ある」は「ベンチに」を修飾している。
c 「カバンから」は「取り出した」を修飾している。
d 「僕なら」は「書かないだろう」を修飾している。
問2は、内容把握選択問題<2分>。
「序」の部分が長いので読者は興味を失ってしまうのである。
問3は、内容把握問題<2分>。
「小さくため息をついた」ということは、「自分には漠然ともわからない」からである。
問4は、内容把握問題<4分>。
a 「サバンナの風」のような「良太の走る姿」である。
b 「自分の走り」を「身につけていった」のである。
c 正也の脚本を読んで「三〇〇〇メートル走をイメージ」したのである。
d 九分の「流れやリズム」を体に覚えさせようというものである。
問5は、内容把握問題<2分>。
正也の決意や覚悟を表しているのは、「正也はスポーツドリンクをゴクゴクと飲み、キッと表情を引き締めて僕の方を見た」という文である。
問6は、内容把握記述問題である<2分>。
直前に「懐かしい感覚がして…」とある。何が「懐かしい」かを考える。
問7は、内容把握選択問題である<2分>。
「正也」の人物像は、「純粋さがある一方で、したたかさも持っている」人物なのである。
問8は、指示語問題である<4分>。
直前に「役立つアドバイスをしてくれるんじゃないかな、…三年生の先輩たちのことを思い出す」とある。
【大問3】古文の読解問題
- 時間配分:16分
出典は『弁内侍日記』。
問1は、文学史問題<2分>。
a 『新古今和歌集』は鎌倉時代に成立した作品である。
b 清少納言が宮廷に宮仕えしていたころの宮中生活の様子を描いた作品は『枕草子』である。
問2は、古文知識問題<1分>。
十二支については、しっかり覚えておくこと。
問3は、現代語訳問題<2分>。
②「皆で聞きたいですね」である。
⑦「どうでしたか」である。
問4は、内容把握選択問題<2分>。
傍線部分は「見物の一般女性が立ち重なって全く聴く場所がない」状態を表しているので、「混雑している様子」である。
問5は、内容把握選択問題<1分>。
「中途半端で残念だった」のは「遠くからしか聞くことができなかったから」である。
問6は、内容把握抜き出し問題<1分>。
「清暑堂の御神楽」が終わったのである。
問7は、内容把握選択問題である<1分>。
大宮大納言が勾当内侍に尋ねたことに対して、勾当内侍が答えたのである。
問8は、内容把握問題である<2分>。
勾当内侍は「いづくまでも曇りなくこそ」といったのである。
問9は、内容把握問題である<2分>。
「牧馬」と「大極殿の琵琶」を比べているのである。
問10は、内容把握選択問題である<2分>。
作者の思いが素直に描かれているの。つまり「等身大の思いが描かれている」のである。
攻略のポイント
論説文、小説、古文と全ての分野から出題されている。
論説文は内容把握が少々難しいかもしれない。文脈を丁寧に読み進め内容の把握をしっかり行うことが重要である。特に、筆者の主張は何かを常に意識しながら本文をしっかり読み込むことである。
また、小説は本問に限らず、一般的に人物の心情把握がメインである。「心情把握」のためには①会話文の内容、②情景描写(特に比喩表現)が重要である。
古文は、難解な文章ではないので内容把握は確実に行えるであろう。古語の現代語訳もしっかり押さえておくこと。