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東京学芸大学附属高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「東京学芸大学附属高等学校の国語」
攻略のための学習方法

[解法]

「学附の国語」で勝利するための「攻略ポイント」は、前述のように「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。

そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

 

[速読]

「現代文」全体で7000字ほどを読解しなくてはならない。解答時間は50分。
当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。学附に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

 

[知識]

「高度な語彙力」だけではなく、「口語文法」や「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「学附の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。

「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか?

「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることはある。

先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。また、「文法」の基礎である「品詞分類」なども当然確認しておくこと。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」からスタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

 

[古典]

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。が、学附などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。

明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。

また、「漢文」でも同様に「基本的事項」は定着させておくこと。

なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

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2017年度「東京学芸大学附属高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「論説文」、出典は野矢茂樹「心という難問 空間・身体・意味」所収の「相貌の諸相」(文字数約2400字)。小問は全7問(解答数10)。「選択肢」(「空所補充」「組み合わせ」あり/マーク式)、「抜き出し」(1問/記述式)、「漢字の読み書き」(全5問/記述式)。問題文は3分強で読み切り、設問を15分程度で解きたい。

大問は「小説」、出典は沢木耕太郎「あなたがいる場所」所収の「クリスマス・プレゼント」(文字数約5000字)。小問は全8問(解答数10)。「選択肢」のみ(「空所補充」「組み合わせ」「総合的知識問題」あり/マーク式)。問題文は6分半ほどで読み切り、設問を15分程度で解きたい。

大問は「古文」、出典は樋口一葉「みづの上日記」所収の「明治二十九年五月」(文字数約700字)。小問は全7問(解答数8)。「選択肢」(「空所補充」あり/マーク式)、「抜き出し」(1問/記述式)。10分弱で解きたい。

【大問一】論説文

  • 時間配分:

私が見たり聞いたりしているこれは、本当に世界そのものなのだろうか? かつては誰も見通すことができなかった「知覚し感覚するという経験」を解き明かす――古来重ねられてきた「哲学的議論」を周到かつ明解な議論で解き明かしている。

本文では、「感情」のあり方は事態をどう記述するかに依存していると指摘し、「知覚」は「感情」に影響されていると論じている。「哲学論」であり、内容の本質を理解することは困難だが、「具体例」が豊富なので、読み取ることはできるはずだ。紛らわしい「選択肢設問」に苦戦することは必至だ。

以下、いくつか確認してみたい。

 

[問1] 「漢字の読み書き」(全5問。「書きとり」3問、「読み」2問/記述式)。

昨年は平易だったが、本年度は例年の本校レベルに戻った。

(a)テンケイ的」=「典型」と(e)「き部屋」=「(き)」はともかく、やや悩ましいものとしては、      (b)「怠けたい」=「むく(い)」、                                  (c)シュクテキに勝った」=「宿敵」、                                 (d)示唆している」=「しさ」。本校では「ハイレベルな語彙力」が必要だと心得よ。

尚、わざわざ「一点一画を正確に書くこと」と記されている。「失点」せぬよう丁寧に書くこと。

<時間配分目安:1分>

 

[問2] 「語の空所補充組み合わせ選択肢」(5択/マーク式)。                      本文中の空所に「当てはまる語」の「組み合わせ」を答える。

各選択肢は「接続詞」「副詞」、本校に限らず定番の問題だ。特に、「接続詞」では「逆接」以外には十分に注意すること。しっかりと確認しないと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。                                      

単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「内容」を確認する必要がある。

では、空所に「当てはまる語」を確認していく。                                                                                      には「最初に」という「意味」の「副詞」の「まず」、には「説明・補足」を示す「接続詞」の「つまり」、には「順接」を示す「接続詞」の「それゆえ」が入ると分かるはずだ。                                                                       したがって、「答え」は組み合わせ選択肢の「④」になる。

「候補」はひとつとは限らないので、必ず全てを「代入確認」すること。

<時間配分目安:1分以内>

 

[問3] 「換言説明選択肢」(5択/マーク式)。                                                                                       傍線部(A)「『原因』と『理由』」について、ここで述べられている「理由」とは「どのようなものか」を答える。

「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)

「理由」の「原意」と各選択肢の「文末」(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)を照合し、結びつかないものを「消去」する。

確認する。すると、①~⑤全ての「文末」が「『なぜ』の答えである」と共通なので、ここでは「消去」できないことになる。次に、「同一意味段落」を確認する(「論説文」では「同一意味段落」に「根拠」「ヒント」がある)。

傍線部からの2段落で、「原因」と「理由」という概念を区別して説明している。「できごと」と「できごと」の「因果関係」を示すのが「原因」なのに対して、「理由」はひとの「感情」に依存するものだと分かる。

改めて各選択肢をチェックする。                                                                                                    

「主観的な現実認識から切り離された」、                                                                                         「個々人の思いによって結びつけられ離れられなくなった」、                                                             「分析され結びつきの本質が明らかにされた」、                                                                             「関係性を分断し人間の思いだけを取り出した」、                                                                           「二つのできごとの関連性を分離できなくなった」。

さあ、どうか? 「『感情』に依存する」のだから、②以外は「消去」できると分かるはずだ。                         よって、「答え」は「②」。                                                                                                               「選択肢設問」では、先ず「原意消去」を試みて、その後は「解法」に基づき段階的に「消去」していくこと。

<時間配分目安:1分半>

 

[問5] 「空所補充抜き出し」(「字数指定」なし/記述式)。                                                                        本文中の空所  X  に「当てはまる語」を抜き出して答える。

「抜き出し問題」では、「抜き出すべき内容」を捉えた上で「抜き出し範囲」を特定し探していく。                     「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という「重要解法」)で「手がかり」を求める。

直前直後は「感情とその理由の場合には、その関係は  X  である」となっている。

つまり、「抜き出すべき内容」は「感情とその理由の関係」ということだ。「範囲」は当然「同一意味段落」。探していくと、前段落の最後に「感情のあり方と感情の理由とが本質的な関係にある」という部分がある。まさに、「感情とその理由の関係」を示している。「範囲」の中では他に「候補」はない。したがって、「答え」は「本質的」となる。

尚、「抜き出し問題」では「候補」はひとつとは限らないので、「範囲」を網羅的に確認し、全ての「候補」を代入確認してみることが肝要

<時間配分目安:1分>

 

[問6] 「換言説明選択肢」(5択/マーク式)。                                                                                       傍線部(C)「私の知覚もまた、悲しみに彩られている」について、「どういうことか」を答える。

無論、「原意消去」からだが、ここで着目したいのは「知覚もまた」だ。「知覚」と「もまた」、特に後者は明確に「並立関係」を示しているので注意したい。

各選択肢の「文末」を確認する。                              

①「あるできごとと悲しみとを無意識に関係づけてしまう」、                                                                   ②「すぐに悲しみの感情が生じる」、                                                                                                 ③「悲しみの感情だけが残されてしまう」、                                                                                       ④「無関係なできごとにも悲しさがもたらされる」、                                                                           ⑤「その(悲しい)思いに対応する知覚にも影響を及ぼしていく」。

もう分かったはずだ。「並立関係」を説明しているのは、「にも」とある④と⑤だけ。そして、④は「知覚」に言及していないので「消去」。したがって、他の部分の説明も特に誤っていない「⑤」が「答え」ということだ。

「も」などの「付属語」(特に「助詞」)はそれでけで文意を大いに左右するので決して無視してはいけないと心得よ。

<時間配分目安:1分以内>

【大問二】小説

  • 時間配分:

少しずつ少しずつ積み上げてきた生が、ふと直面する「戸惑い」「やりきれなさ」「苦い思い」……多くのノンフィクションで孤独の深さと出会いの輝きを紡いできた著者による初の短編小説集。               本文では、亡くなった妻の代わりに、刑務所にいる「息子」に贈る「クリスマスプレゼント」を買いに行った「石川」の戸惑いや、「息子」に対する新たな思いなどを静かに描いている。

内容は分かりやすいが、筆者特有の「ノンフィクション風」の語り口なので、「心情把握」がやや難しいかも知れない。

設問のいくつか検討してみる。

 

[問1] 「語句の空所補充選択肢」(全2問/各5択/マーク式)。                     空所に「当てはまる語句」を答える。

「総合的知識問題」。「熟語の意味」と「擬態語(オノマトペ)」だ。各空所を確認する。

「一瞬、してしまったが、なんとか答えられた」                           ⇒各選択肢は、①「落胆」、②「失笑」、③「納得」、④「絶句」、⑤「心配」                   ⇒「答え」は「④」だと即決できなくてはいけない。

「ただ時間だけが意味もなく過ぎていく。愛想のいい若者が、それでも玄関でしているのが痛いように伝わってくる」                                             ⇒各選択肢は、①「じりじり」、②「びくびく」、③「ばたばた」、④「ひやひや」、⑤「にこにこ」           ⇒やや分かりづらいが、「ただ時間だけが過ぎていく」「愛想のいい若者」「それでも」             ⇒「イライラしている」=「答え」は「①」だと特定したい。

本校では、この程度の「語彙力」はあってしかるべきだと考えよ。

<時間配分目安:1分>

 

[問3] 「心情説明選択肢」(5択/マーク式)。                             傍線部(B)「どうして息子はあんなことをしたのだろう……」について、このときの「石川」の「心情」を答える。

先ずは「原意消去」。ここは「心情説明」なので、傍線部の「原意」と結びつかない「心情」を「消去」する。各選択肢の「文末」を確認する。

①「答えを見つけようと決心している」、                                ②「理由が見つからないということへ思いが移っている」、                       ③「責める思いへと、その胸中が変容している」、                           ④「焦っている」、                                         ⑤「無力感も覚えている」。                                      

「どうして息子はあんなことをしたのだろう……」⇒「理由」を推量しているのだから、②以外は「消去」してもいいはずだ。他の部分の説明も特に誤っていない。

よって、「答え」は「②」だ。「一発消去」! 「心情説明選択肢」であっても「原意消去」を活用せよ。

<時間配分目安:1分>

 

[問5] 「内容説明選択肢」(5択/マーク式)。                             傍線部(D)「あの一瞬」について、「どのような瞬間か」を答える。

典型的な「指示語問題」だ。「あの」という指示語を開く。

「あの一瞬」=「何十年か前の夏休み」「(息子の)細い棒のような腕が自分(=「石川」)の首に巻きつき」「幼いいのちがあるということを強く実感させてくれ」「幼いいのちを守るために自分は生まれてきたのではないか」と感じた「瞬間」だと分かる。

各選択肢の「文末」と照合する。

①「生命力を実感できた瞬間」、                                   ②「大切な思い出を呼び覚ました瞬間」、                                ③「現実を悟った瞬間」、                                       ④「初めて自覚した瞬間」、                                      ⑤「自己の存在する意味を確信させられた瞬間」。

「幼いいのちを守るために自分は生まれてきたのではないか」と感じた「瞬間」なのだから、⑤以外は「消去」できるはず。「幼い息子の感触によって」という前半の説明も「幼いいのちがあるということを強く実感させてくれ」と結びつく。

したがって、「答え」は「⑤」になる。尚、「指示語」はこの問題のように直接問われてはいなくても、必ずすぐに開くこと。

<時間配分目安:1分半>

 

[問8] 「助詞の用法の組み合わせ選択肢」(5択/マーク式)。                      「総合的知識問題」。「文法」。二重傍線部(a)~(f)の「の」について、「同じ用法の組み合わせ」を答える。

「助詞」の「意味・用法」の判別だ。「の」が他の「品詞」の一部の可能性もあるので慎重に「判別」したい。

(a)「絵を描くのが好き」⇒「準体言化(体言代用)」の「格助詞」、

(b)「場違いなもののように思えて」⇒「様態の内容」を表す「格助詞」、

(c)「軽いのに驚いた」⇒「準体言化(体言代用)」の「格助詞」、

(d)「屈託のない笑顔」⇒「主格」の「格助詞」、

(e)「ほんのしばらく」⇒「連体詞」である「ほんの」の一部、

(f)「濡れているはずなのに」⇒「逆接」の「接続助詞」である「のに」の一部。

よって、「同じ用法」は(a)と(c)なので、「答え」はその「組み合わせ」になっている「①」だ。本校では「口語文法」が頻出。確実に理解し、定着させておくこと。

<時間配分目安:1分>

【大問三】古文

  • 時間配分:

「にごりえ」「たけくらべ」などで知られる明治時代の作家・樋口一葉が、16歳から25歳で亡くなるまで書きつづった日記。自らが経験した心情の告白、生活の苦悩、そして、当時の社会の不条理に対する批判など、多様な要素が散りばめられている。

「文語体」ではあるが、明治時代なので「擬古文」のようなもので、内容の概要は「*注」の活用で何とかつかめるはず。だが、設問内容は「古文単語の意味」「文語文法」「文脈把握」「内容解釈」などと細部にわたり、なかなか手強い。

 

以下、いくつか検証する。

 

[問1(ア)] 「現代語訳の選択肢」(5択/マーク式)。                          波線部(ア)「かしましうもてさわがれぬ」の「意味」を答える。

細部にまで注意しないと判別しきれない。こういう時は「品詞分解」すること。

「かしましう/もてさわが/れ/ぬ」⇒「かしましう」=「シク活用の形容詞」の「かしまし」(=「やかましい」)の「連用形」(ウ音便)、「もてさわが」=「四段活用の動詞」の「もてさわぐ」(=「大騒ぎする」)の「未然形」、「れ」=「助動詞」の「る」(=「受身」「尊敬」「可能」「自発」)の「連用形」、「ぬ」=「助動詞」の「ぬ」(=「完了」「強意」)の「終止形」。

先ず着目したいのが「文末」の「ぬ」だ。「口語」では「打消し」の「助動詞」に「ぬ」があるが、「文語」にはない。ちなみに、「文語」の「打消し」の「助動詞」である「ず」の「連体形」が「ぬ」だが、ここは「文末」で「係り結び」でもないので不適切。

よって、「打消し」の「現代語訳」になっている①と②は「消去」。残りを確認する。③「騒いだ」、④「騒ぎたてた」、⑤「騒がれた」。「れ」の「意味」を押さえているのは⑤だけだ(ここでは「受身」)。ということで、「答え」は「⑤」。

本校では、「文語文法」の習得が欠かせないと心得よ(特に「助動詞」「助詞」の「意味・用法」など)。

<時間配分目安:1分>

 

[問2] 「理由説明選択肢」(5択/マーク式)。                             傍線部(A)「喜びながら悲しがる」について、その「理由」を答える。直前直後の「文脈」を確認する。

ここは無論、「現代文」と同じ考え方でいい。直後に「そは槿花の一日の栄えを歎けばなるべし」とある。「*注」に「槿花」=「アサガオ。朝咲いて、夜はしぼむ」とわざわざ説明されている。したがって、「好評ではあったが一時的に盛り上がるだけで、長く続くものではないと思われたから」となっている「①」が「答え」となる。

ちなみに、「槿花一日の栄」=「この世の栄華のはかないこと」を表す「故事成語」。尚、「*注」は「大いなるヒント」だと捉えよ。

<時間配分目安:1分半>

 

[問5] 「指示換言抜き出し」(「15字前後」指定/記述式)。                        傍線部(C)の「我をただ女子なりとばかり見るよりのすさび」について、これは「具体的にはどのようなことを指すか」を、「十五字前後」で抜き出す。

傍線部の「現代語訳」は、「私をただ女性であるとだけ見ることからの気まぐれ」となる。前後を確認すると、直前に「『今清少よ紫よ』とはやし立つる」とある。「『現代の清少納言だ、紫式部だ』とはやし立てる」ということだと分かるはずだ。「内容」も「字数」も合致する。

「答え」は「『今清少よ紫よ』とはやし立つる」となる。「内容解釈」をした上で「抜き出し範囲」を絞ること。

<時間配分目安:1分半>

 

[問6] 「内容解釈選択肢」(5択/マーク式)。                             傍線部(D)「余の女どもはさらなり」について、その「解釈」を答える。

ポイントは「余」と「さらなり」だ。

「余」は、「余り」から類推できるはず。「その他」という意味だ。この段階で、「他の女性たち」と「解釈」している①と⑤以外は「消去」。次に「さらなり」、「枕草子」の「月のころはさらなり」を覚えていれば問題ないが、「口語」の「さらに」を連想してしまうと間違ってしまう。「今さらでおかしい」「言うまでもない」といった意味だ。

したがって、「さらに」となっている⑤ではなく、「答え」は「言うまでもなく」とある「①」だ。「重要古文単語」は確実に定着させておきたい(せめて「200語」ほど)。

<時間配分目安:1分以内>

攻略ポイント

  • ●判別が紛らわしく「条件」も複雑な「選択肢設問」、どう「攻略」するか?

  • 「解法」に則しての「段階的消去」が最大のポイント。したがって、基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくことが必要になる。それによって「失点」を防ぎ、「得点力」を安定させたい。

  • 「合格最低得点率」は70.8%程度とハイレベル(過去5年間の男女合計平均。本年度は67.7%)。少しの「失点」でも致命的になると心得よ。

    ●「総合的知識問題」も決して侮れない。
    「口語文法」も含めた直接的な出題だけでなく、内容理解でも「高度な語彙力」が求められる。本校を志望したその瞬間から、独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが必須(学校や塾での学習だけでは全く不十分)。

    ●「古典」の「攻略法」は?
    「重要古文単語」の定着は当然だが、「内容理解」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。その上で、数多くの「古文」に慣れておくことが重要。また、「漢文」の出題もあるので、「返り点」「訓点」「書き下し文」「基礎的句法」などの基本的知識は押さえておく。

    ●試験時間は50分。問題文のボリュームは「現代文」で7000字ほど。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速700字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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