広尾学園高等学校 入試対策
2017年度「広尾学園高等学校の国語」
攻略のための学習方法
現代文の読解
例年、論説文が２つ出されている。文学的文章の出題はない。字数は総計6000～7000字前後。高校生レベルの文章で受験生にとってはやや難しい。
設問形式は計34問中、言語事項などを除いて、選択式5問・書き抜き5問・記述2問（2017年度）。記述はいずれも70～80字ほどの長文記述になっていて難しい。
記述問題
字数が多いので、かなり練習を積んでおかないと試験本番で混乱し、うまくまとめられない事態が懸念される。
本校の長文読解は論説文だけなので、論理的文章を指定された字数で要約する訓練が必要ということになる。
おおよそは20～30字でひとつの事柄がまとまり、50～60で大きなまとまりを形成すると考えれば、使う部分を整理しやすいだろう。20～30字ほどで重要点を抜き出しておき、設問の指定にそって組み合わせて答えとするのである。
まずは長文読解の基本どおりに問題をこなしていこう。形式段落→意味段落の整理（その際、意味段落の内容をタイトルとしてつけてしまうとわかりやすい）・段落ごとのつながり・各段落の最初と最後に特に注意しながら要点と細部の区別・それらをまとめて要旨・要約へといたる。
記述問題はまとめる内容が整理できていないと何回も書き直して時間切れになる恐れがある。素材文を読みながら印・傍線で重要点を目立つようにしておき、関連する事柄は線で結んでおくなどすれば解答の際に役立つだろう。同程度の文量の問題を多くこなし、60字や120字くらいで要約する練習を繰り返して十分に慣れておきたい。
選択肢問題
素材文が難しめなので選択肢の文も難しくなってしまうが、内容自体は迷わせるような微妙なものは少なく、選びやすくはなっている。本文をしっかり理解できていれば得点源にできるだろう。
古文
600～800字ほどの素材文で例年4～5問の出題となっている。配点は2割ほどあるので無視はできない。
現代語訳はつかないが、難しい単語の注はついている。内容も古文の中では比較的やさしい、現代人にもわかりやすい文が使われている場合も多く、難易度は配慮されている。
とはいえ、学校でさっとなぞっただけの古文の学習では足りない。最重要単語や基本文法を頭にいれ、高校生初級レベルの古文の教材で勉強しておこう。古文に頭を慣らしておくだけでも、得点につながるはずである。
漢字
言語事項などの知識問題はあまり出題されない。漢字の読み４問・書き６問という形でほぼ定着している。読み書きともに難しい漢字も出されているので、中級程度の漢字をマスターし、できれば上級レベルまで手を伸ばしておきたい。
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2017年度「広尾学園高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
２問の論説文読解で6500字・古文600字の計7000字ほどの文量で、総解答数は34問。
２問の長文記述は難易度も高く計10分ほどは取られそうである。どうしても時間が足りなければ１問は諦めるのも作戦であろう。
漢字10問は3分程度でさっさと済ませ、選択肢の問題を全てこなしてから、記述問題に時間いっぱい取り組む。
【大問一】漢字の読み書き
- 時間配分：3分
例年通り、読み４問・書き６問が出題されている。
難しい漢字も多いので、中級～上級レベルの漢字教材でしっかり覚えておきたい。
【大問二】論説文の読解
- 時間配分：16分
氾濫する情報に意識を奪われる危険性を指摘している。
問一 情報は受け手の注意を消費し、奪い合う結果、意識は希少化する。このことを「欠乏」と言っている。後に「希少資源」とまとめて述べている。
問二 眠っている間は意識は存在しない。起きていて、注意が向いているモノに対して注意が向いている時間だけ、その意識は存在するのである。本文の後半まで目を通してからの方がこの問題はわかりやすいかもしれない。
問四 傍線直後の「受動的総合」のことを言っている。本人が自立的に意識する前に情報が目や耳から入ってきて、本人が意図していないのに意識を消費してしまうのである。無意識のうちに操作されてしまって(選択肢イ)いるわけでも、半ば強制的に思考を操つられて(選択肢エ)いるわけでもない。選択肢ウは前半が明らかに不適切。
問五 「～を突き動かし」につながる表現。内容は「注意力が奪い合いになり消費されてしまう状況(？)」といったところか。６字ちょうどだと、「注意力の経済」がある。冒頭に出てくるので探しづらい。
問六 溢れる情報をそのまま受け取ってしまうと、本人が望まないのに注意力が奪われ、意識が消費されてしまう。情報の流入をコントロールして、自立的に意識を用いるべきである。
【大問三】論説的随筆文の読解
- 時間配分：19分
過去に東京オリンピックで浮かれてしまい、中身の無いモノをありがたがってしまった日本人の浅はかさを省みて、次はそうなるまいと決意している。
問一 実は関係ないことなのに、本人の好むようなストーリーに並べ替えてしまう。五輪が経済成長や復興の直接の原因ではないのだが、たまたま時期が同じだったせいで「成長」という「プロット」で記憶を並べ替えてしまったのである。
問三 ③失敗できない場面で「抜かるなよ」などと用いられる。「抜かる」は油断して失敗するの意。
問四 この「自問自答」は、「こんなもの買う価値があったのだろうか」という念であろう。このような気持ちを何というか。
問五 安っぽく、子供だましの薄っぺらい価値しかないのである。そのような語感を持つ言葉を選ぶ。
問六 「五輪の雰囲気に騙された」というような被害者面はしたくないということであろう。自分も含めて、そもそも日本人にはそのような、外側を飾り立てるのが好きな気質があったのだと述べている。
問七 ここはうまくまとめないと記述が散らばってしまうので難しい。70～80字くらいでまとめればよさそうなので、書く事を３点くらいに絞ろう。五輪に関する記憶があいまいなものであること・中身のないモノをありがたがってしまった情けなさ・次は冷静に対処したいと考えていること……など、３行くらいで書けるだろう。
【大問四】古文の読解
- 時間配分：12分
帝から預かった鷹を逃がしてしまった大納言と報告を受けた帝の様子が描かれている。
問一 ①「思す」は尊敬語。鷹を「またとなくお思いになった」のは誰か。
②心得がある・得意である。鷹を預かった人物であろう。
⑨「侍り」は謙譲でもつかうが、ここは「あり・おり」の丁寧語。探しましたが鷹はいませんでした。
問二 ③大納言のことなので、敬語が使われている。
問四 鷹の名前に掛けて短歌の下句の形で帝みずからが気持ちを説明している。「言わないで思っていることのほうが、口に出すよりも思いが強いのだ」
攻略ポイント
長文読解と記述対策が焦点であろう。
論説文の読解なので、論理の流れを把握して要約する力をつけることが目標となる。
記述は100字超の問題も出されるので、同程度の字数の問題を多くこなし、字数の感覚を得ておく。自然科学・人文科学などの論理的文章を読みながら要点に印をつけるなど、普段の読書も練習に組み込むことをお薦めする。
古文はやはり頭を慣らしておくことが大事なので、中学の教科書だけでなく、高校の教材を使って少しでも多くの古典に触れておくと良いだろう。