広尾学園高等学校 入試対策
2017年度「広尾学園高等学校の数学」
攻略のための学習方法
[2段階学習 基礎から単元別へ]
出題傾向に合わせて、学習計画を2段階で進めていこう。
1段階めの目標は、教科書の水準の設問が、すべて解けるようになることだ。
この段階では、学校の定期テストの得点ではなく、模試の得点を参考にしたい。学校の定期テストは、単元を小分けにして出題されているので、もし忘れてしまった単元があっても、なかなか発見しにくい。放っておかれる単元をなくすために、必ず模試を受けておきたい。
教材としては、学校の定期テストをあらためて解き直してもよいし、中学数学の標準の問題集を一冊解いてもいいだろう。できるだけ早い段階(理想的には、中学3年生の夏休み)までに、数学の基礎を完成させて、次の段階に進みたい。
2段階めの目標は、特殊な単元への対応だ。
特殊な単元とは、教科書では軽くしか触れられていないので、学習が甘くなりがちな単元だ。
例えば、【大問3】の確率は、中学数学ではあまり見られない。設問文を読んで、立ち止まってしまった受験者もいたのではないだろうか。同様に、【大問4】の点の移動と軌跡は、しっかりと演習をしておかないと、自分の手で作図ができるようにならない。
対策として、それぞれの特殊な単元に絞った問題集を解いておくと、得点が安定するだろう。もし自分に合う教材がわからなければ、家庭教師に相談してほしい。
[解法にこだわる]
演習において、ただ正解であることに、満足してはいけない。正解か不正解かではなく、どのような解法を選んだのか、その過程にこだわりを持ちたい。
例えば、【大問1】の(1)から(3)は計算を工夫することで、解答時間を節約できる。また【大問3】は、選んだ解法によって、解答の手順が変わってくる。手順を多くしても、もちろん正答はできるが、残された試験時間を考えれば、有利不利は明らかだろう。
さらに、【大問5】の(1)では、解法の記述式そのものが、評価される。「記述の書き方がわからない」場合は、すぐに家庭教師に相談するようにしよう。放っておいても、上達はしない。これまで、数学を我流で解いてきて、途中式の正しい書き方がわからないという生徒にも、多く出会ってきた。
洗練された解法には、多くの利点がある。試験時間を効率的に活用できるだけではなく、単純なミスを減らすことにもつながる。結果として、全体の得点の安定に貢献する。
教材については、別解が豊富に紹介されている参考書や、計算の技術がたくさん紹介されている問題集を選ぼう。何度も解きなおすことで、洗練された解法を身につけることができる。
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2017年度「広尾学園高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は50分で、得点は100点満点だ。大問数は5問で、基礎を問うものと、応用を問うものに、整理されている。設問数は19問で、内訳は、一問一答形式が18問で、記述形式が1問だ。単純な暗記では対応できない設問があり、しっかりと準備してきた受験者が、有利な試験構成となっている。
【大問1】小問集合
- 時間配分:11分
小問集合であり、計算分野からの出題だ。
(1と2)計算の工夫によって、解答時間を節約できる。
(6)まずは係数が有理数か無理数で、項を整理してみよう。
<時間配分目安:11分>
【大問2】小問集合
- 時間配分:9分
小問集合で、平面図形の広い単元から、基礎の理解が求められている。
(1)特殊な直角三角形を発見する設問だ。30°・60°・90°、45°・45°・90°は、すぐに発見できるように、演習しておきたい。
(2)相似の三角形を発見する設問だ。定番の解法なので、もし間違えてしまったら、相似の問題集を1冊演習しておきたい。
(3)円の角度を計算する設問だ。円周角と中心角が、しっかりと見分けられるようになっておきたい。
<時間配分目安:9分>
【大問3】出題単元:確率
- 時間配分:8分
確率は、中学数学の教科書ではあまり扱われない特殊単元だ。広尾学園の受験者は、確率の単元の問題集を1冊、解いておきたい。本年度は応用力が求められており、受験者の得点に差がついたと思われる。
(1)設問文をしっかりと読みたい。あまり類例の見られない設問文だが、「Aと書かれたカードを取り出す確率が6分の1」で、「Aと書かれたカードが11枚」とある。
<時間配分目安:8分>
【大問4】出題単元:関数と平面図形の融合問題
- 時間配分:10分
高校受験に頻出の、関数と図形の融合問題だ。確率の単元と同様に、教科書での扱いが薄い単元なので、この単元をまとめた問題集を、1冊で良いので、演習しておくとよいだろう。
(1)情報がたくさん与えられているので、混乱しないようにしたい。まずは、2次関数と1次関数のグラフを、描いてみよう。
<時間配分目安:10分>
【大問5】出題単元:立体図形の切断
- 時間配分:11分
立体図形の切断は、苦手とする受験者の多い単元だ。立体の切断では、多くの場合、切断図そのものは、与えられない。まずは切断された立体がどのようなものになるのか、しっかりと手書きできるようになっておこう。
(1)正六角柱の切断は、ほぼすべての受験生が、はじめて挑戦する設問だっただろう。解法に困ったら、必ず基本の原理に立ち返りたい。切断の基本の原理とは、立体図形の平行な面において、切断線は平行になることだ。まずは辺B1-Mを引き、平行な面を探そう。
<時間配分目安:11分>
攻略ポイント
受験者の得点に影響を与えるのものは、2点になる。
1点めは、苦手な単元を作らないことだ。試験には、出題されやすい単元と、出題されにくい単元があり、単元ごとに学習が偏りやすい。例えば、【大問2】の平面図形は、難しくはないのだが、広い単元から出題されていて、演習が行き届いていない場合は、失点しやすい。
2点めは、特殊な単元への対応だ。中学数学ではあまり触れていない単元を、積極的に演習してきた受験者が、有利になる。例えば、【大問3】の確率や、【大問5】の立体図形の切断は、演習によって、点差が開く。