市川高等学校 入試対策
2021年度「市川高等学校の国語」
攻略のための学習方法
記述
「市川の記述対策」は「問題解説」及び上記のとおりだが、その前提としてやるべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。
最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。50~60字程度で書いてみる(市川の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。
「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
解法
「記述」「選択肢」、その他の問題も含め、「市川の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解説」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
大学入試にも匹敵、あるいはそれ以上の問題文を読まなくてはならない。「現代文」全体で7000字以上。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。
やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。市川に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「市川の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。いかなる「攻略法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。
確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。
要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
古典
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」は必須のカリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。
が、「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」するしかない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は理解しておかなくてはならない。
そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。
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2021年度「市川高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「随筆」、出典は永田和宏「あの午後の椅子」(文字数約3200字)。小問は全6問(解答数6)。「選択肢」、「説明記述」(1問。「80字以内」指定)。問題文は4分ほどで読み切り、設問を13~14分で解きたい。
大問二は「小説」、出典は岡本かの子「家霊」(文字数約3700字)。小問は全6問(解答数12)。「選択肢」(「正誤判別」、「総合的知識問題」あり)、「説明記述」(1問。「70字以内」指定)。問題文は4分半程度で読み切り、設問を15~16分で解きたい。
大問三は「古文」、出典は作者未詳「横笛草子」(文字数約900字)と作者不詳「平家物語」(文字数約360字)。小問は全5問(解答数6)。「選択肢」のみ(「不適切」、「複数解答」、「現代語訳」あり)。10分程度で解きたい。
大問四は「漢字の書きとり」(全5問)。2分以内で丁寧に終えたい。
【大問一】
- 時間配分:13~14分
短歌の第一人者による、常に歌人であることの意味を問い続けているエッセイ集の一篇。本文では、世は「デジタルの時代」だが、言葉で表現するということは意外にも「デジタル化」の最たるものだと指摘し、自分の感情を伝えるのは面倒なことだが、その煩(わずら)わしさこそが本来の会話に必要な要素だと述べている。内容は理解しやすい。判別が紛らわしい「選択肢設問」と「状況説明記述」で構成された大問だ。無論、難易度は高いが、これが本校の「標準レベル」だと捉えたい。以下、いくつか確認してみよう。
[問3] 「理由説明選択肢」(5択)。傍線部(3)「言葉と言葉のあいだには、どうしても埋められない空隙(くうげき)、間隙が存在するほかはないのだ」について、「それはなぜか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」を最優先に考えること)。ここは「理由説明」なので、「言葉と言葉のあいだには埋められない空隙が存在する」ことの「直接的理由」として結びつかないものを「消去」したい。各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。(ア)「人間はまだ言葉を生み出していないから」、(イ)「人間は言葉を有限だと思い込んでいるから」、(ウ)「人間は言葉の扱いに習熟していないから」、(エ)「人間が扱える組み合わせには限りがあるから」、(オ)「人間が表現できるものには限りがあるから」。さあ、どうだろうか? 「表現できるものには限りがある」⇒「だから」⇒「言葉と言葉のあいだにはすき間がある」、これ以外は「消去」できると判別できるはずだ。「同一意味段落」で他の部分を確認しても特に誤っていない(「論説文」「説明文」「随筆」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある。尚、本文の「同一意味段落」は前後が1段落分空白になっているので、とても分かりやすい)。したがって、「答え」は(オ)だ。見事、「一発消去」だ。畏るべし「原意消去」、しっかりと使えるようにして大いに活用すべし。
<時間配分目安:1分強>
[問4] 「換言説明選択肢」(5択)。傍線部(4)「言う方も、聞く方も、『寂しい』という形容詞を互いに交換しているだけである」について、「それはどういうことか」を答える。無論、先ずは「原意消去」。ここは「換言説明」なので、「(言う方も、聞く方も)、形容詞を交換しているだけ」の「原意」と結びつかない「換言内容」の選択肢を、「文末」で「消去」したい。確認する。(ア)「何も話し合っていないということ」、(イ)「何も話し合っていないということ」、(ウ)「中身については話し合っていないということ」、(エ)「何も話し合っていないということ」、(オ)「内容について話し合っているということ」。少なくとも「形容詞」という「言葉」は交換している」のだから、「何も話し合っていない」というのは一気に「消去」できて当然。また、「交換しているだけ」であれば、「内容について話し合っている」というのも「消去」でいいと判断可能なはず。よって、「中身については話し合っていない」だけが残り、「同一意味段落」で他の部分を確認しても特に誤っていないので、「答え」は(ウ)になる。なんと、再びの「一発消去」だ。「原意消去」をマスターしショートカットできるようにすることは必須だと心得よ。
<時間配分目安:1分強>
[問5] 「状況説明記述」(「80字以内」指定)。傍線部(5)「かなりうそ寒い状況」について、「それはどのような状況か」を、「80字以内」で説明する。最初に「原意絶対優位の原則」から、「うそ寒い」の「原意」に着目する。「心が冷え冷えとするさま」だということを、本校志望者であれば知っていてほしい。「同一意味段落」を読み解くと、最後に「会話による心の伝達は成り立ち得ない」とある。これだ! つまり、「心の伝達は成り立ち得ない状況。」が、説明すべき「最重要要素」というわけだ。あとは、「補足すべき要素」を読み取っていけばいい。「傍線部一文一部の法則」で確認する(「傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という読解の基本となる解法)。直前に「それは」という「指示語」があるので開く(「指示語」が出たら即開くこと)。すぐ前から、「それ」=「言葉の表面だけではなく自らの内面を見つめるという行為をスキップして、出来合いの形容詞だけで間に合わせてしまうという表現のあり方」だと分かる。したがって、たとえば、「自らの内面を見つめるという行為をしないで、出来合いの形容詞の表面だけで間に合わせてしまうという表現のあり方では、会話による心の伝達は成り立ち得ないという状況。」(79字)といった「答え」になる。適切な「解法」を用いて、段階的に解き進めることが肝要だ。
<時間配分目安:3分>
【大問二】
- 時間配分:15~16分
東京の山の手に代々続いている名物のどじょう店「いのち」を舞台に、毎晩どじょう汁をせがみにくる老彫金師との出来事を通し、「芸」と「家」の重圧を支えて生きる人間の断面を描出した作品。本文では、母親が病気のため「いのち」の経営を任された一人娘の「くめ子」のもとに、老彫金師である「徳永」がやって来たときのやりとりが回想を交えて描かれている。昭和初期が舞台となっており、馴染みの薄い言葉があるが、「※注」も参考にして内容を理解したい。「総合的知識問題」を含めた「選択肢設問」が中心の大問だが、本校としてはあまり例のない「正誤判別」の出題がある。以下、いくつかの設問を検証する。
[問1] 「語句の意味の選択肢」(全3問/各5択)。「総合的知識問題」。二重傍線部(a)「いたいけなもの」・(b)「たまさか」・(c)「興を覚える」の「本文中での意味」を答える。「原意」での特定を優先させ、それが困難な場合は前後の「文脈」から判断していく。「答え」を確認する。「いたいけ」⇒「古文単語」として定着しているかも? 「(幼いものが)かわいらしく見える様子」だ⇒(a)の「答え」は選択肢(ア)「かわいらしいもの」。「たまさか」⇒流石(さすが)にこれは初見か? 難解だ。「まれ。たま。めったにない」といった状態⇒(b)の「答え」は(オ)「まれに」。「興を覚える」⇒この慣用表現そのものは知らなくても、「興」の意味から類推できるはず⇒(c)の「答え」は(ウ)「楽しさを感じる」。本校では「高度な語彙力」を磨く必要があると心得よ。
<時間配分目安:全問で1分半>
[問3] 「内容説明の正誤判別選択肢」(全5問/各2択)。傍線部(2)「徳永もその時分は若かった」に関して、「その頃の徳永の説明」として「正しいもの」には「○」、「正しくないもの」には「×」を答える。各選択肢説明の「要点」「キーワード」で正誤判別していく。尚、「主語」は全て「徳永は」となっている。(ア)「命を削る思いで励んだ結果」「彫金の腕を上げた」⇒「いのちが刻み出たほどの作」をつくり、「明治の名匠以来の伎倆(=技量)を鍛えた」とある=「○」。(イ)「おかみさんを助けられるのは自分しかいないと思った」「助けることにためらいはなかった」⇒「逃げ出しかけたこともたびたびあった」のだ=「×」。(ウ)「鏨(たがね)を作ることにうち込む自分の姿をおかみさんに見せる」⇒「鏨を贈った」だけで、見せてはいない=「×」。(エ)「(おかみさんに)生きる気力や若返る力を与えたいと思った」⇒「いのちの息吹きを、回春の力を、わしの芸によって、おかみさんに差し入れたい」と思っていた=「○」。(オ)「おかみさんから家業を捨てることなどできないと言われた」⇒そのことは「おかみさんの顔は言っていた」のであって、実際に口に出してはいない=「×」。「正誤判別選択肢」は、丁寧に「事実関係」を照合すれば必ず正解できる。だが、とても手間暇がかかるので(特に「小説」では)、戦術的には「捨て問」でも構わない。
<時間配分目安:全問で3分半>
[問5] 「換言説明選択肢」(5択)。傍線部(4)「いのちの呼応」について、「それはどういうことか」を答える。無論、先ずは「原意消去」をしたい。ここは「換言説明」なので、「呼応」の「原意」と結びつかない「換言説明」を「消去」したい。各選択肢の「文末」をチェックする。尚、「文末の最後」は全て「のだということ」になっている。(ア)「いのちはつながっている」、(イ)「いのちは役に立っている」、(ウ)「いのちは受け継がれている」、(エ)「いのちは人と人とのつながりを生んでいる」、(オ)「いのちはすべての原動力になっている」。「呼応」=「一方が呼びかけ、相手がそれに答えること」だと誰でも知っている。「呼」⇔「応」という「両者の対応関係」なのだから、「人と人とのつながり」以外は即「消去」だと判別できなくてはいけない。「同一場面」をチェックする(「小説」では「同一場面」の「直前直後」に「手がかり・ヒント」がある)。他の部分の説明も特に誤ってはいないと分かる。よって、「答え」は(エ)だ。如何に「原意」に忠実であるかが問われていた。心せよ。
<時間配分目安:1分半>
【大問三】
- 時間配分:10分程度
【文章Ⅰ】は「横笛草紙」で【文章Ⅱ】は「平家物語」。後者は教科書でもお馴染みの鎌倉時代成立の軍記物語、平家の栄華と没落、武士階級の台頭などを描いている。前者は、室町時代成立の御伽草子(おとぎぞうし)で、平重盛に仕える「滝口」と建礼門院の侍女「横笛」との悲恋遁世(とんせい)談として知られる「平家物語」の「滝口入道の話」と同材の物語。本年度は、「古文単語の意味」といった単純な設問はなく、全て「現代語訳」や「内容解釈」に関連するもの。昨年以上に難解だ。心して解き進めること。以下、2問だけ検討してみよう。
[問1] 「内容説明不適切選択肢」(5択)。【文章Ⅰ】の傍線部(1)「横笛と聞くよりも」について、「横笛の声を聞いた後の滝口についての説明」で「不適当なもの」を答える。そのときの「滝口」については、直後から傍線部(2)の前までの11行ほどで説明されていると分かるはずだ。その範囲を「現代語訳」して正誤判別するわけだが、全てを丁寧に訳していては時間がかかり過ぎるので、何か特徴的な部分に着目したい。ここでは1箇所だけある「セリフ」を捉える。「下の僧」が「横笛」に対して、「この寺へは、女人(にょにん)の参らぬ所なり……」(=この寺は、女性が参らない所である……)と言っている(この程度の「現代語訳」はできて当然)。各選択肢説明をチェックすると、(オ)の「文末」に「(滝口は)下の僧から『出て行ってはならない』と言われ」とある。明らかに誤っていると分かる。したがって、「答え」は(オ)だ。「現代文」と同じで、「古文」の「内容説明・解釈」も「現代語訳」してから「文脈」をたどっていくのが原則だが、その際、ざっくりと「現代語訳」した後で何か「特徴的な部分」に着目して考えていくと手際よく解くことができると心得よ。
<時間配分目安:2分>
[問3] 「語句の意味の選択肢」(5択)。【文章Ⅰ】の傍線部(3)「うたての滝口や」の「意味」を答える。無論、「うたて」がポイントとなる。ここでは、形容詞「うたてし」の語幹だ。「うたてし」=「いやだ。情けない」だということは、本校志望者であれば知っていてほしい。各選択肢の「文末」は全て「滝口様ですねぇ」。その前の部分が(ア)「気の毒な」、(イ)「薄情な」、(ウ)「立派な」、(エ)「やさしい」、(オ)「不潔な」。であれば、「答え」は(イ)だと判断できるはずだ。やはり本校合格のためには、基本的な「古文単語」は確実に定着させておきたい。
<時間配分目安:1分弱>
※尚、[問5]の「内容説明選択肢」(5択)は、2箇所の「波線部」についての「内容判別」であり、【文章Ⅰ】と【文章Ⅱ】の両方と照合する必要がある。とても手間暇がかかるので、効率を考えれば、「捨て問」で構わない。
【大問四】
- 時間配分:2分以内
一昨年度は「漢字の書きとり」のみで昨年度は「書きとり」と「同音異字判別」、そして、本年度は「書きとり」だけという出題形式。一方、難易度は「難」→「易」→「難」となっている。こうした「隔年現象」が見られることに注意したい。で、本年度は一昨年度以上に難解だが、極力失点は防ぎたい。
[問] 「漢字の書きとり」(全5問)。示されている各文の傍線部の「カタカナ」を「漢字」に直す。確認する。(1)「定期エンソウ会に出席」=「演奏」⇒これは難なく書けるはず。(2)「フンソウの深刻な地域」=「紛争」⇒部首を「米」と混同しないこと。(3)「弁護士はホウソウ界の人間」=「法曹」⇒ほとんどの諸君には全く未知の言葉だろう。「法律事務に従事する人。特に、裁判官・検察官・弁護士など」のことなので覚えておこう。(4)「はぐれてしまった仲間をソウサクする」=「捜索」⇒本校志望者であれば知っていてほしい。(5)「アオミドロやワカメといったソウルイの研究者」=「藻類」⇒ほぼ「理科」の領域、「文脈」を読み取りたいが、これまた難しい。「隔年現象」で来年度は平易かも知れないが、無論、油断は禁物。本校では、本年度のように高度な「語彙力」が求められていると心得よ。
<時間配分目安:全問で1分半>
攻略のポイント
●「説明文が長くて紛らわしい選択肢設問」にはどう対処するか? 無論、できるだけ単純な方法で、「選択肢」を少しでも「消去」しておきたい。その為にこそ「原意消去」だ。絞り込めば、誤答の可能性が減少するのは自明の理。その上で、さまざまな「解法」を用いて、さらに判別すればいい。したがって、基本的「解法」を完全に習得し的確に応用できるようにしておくことが重要だ。それによって「得点力」を安定させたい。
- ●「説明記述」は「問題文」と「条件」がとても複雑だ(本年度は単純だったが、安心してはいけない)。「攻略」できるか? それぞれを正確に理解することは当然として、後は実直に「練習」するだけだ。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げるという手法を完璧にマスターすること。「内容」から重要度を特定し、優先順位の高いものから積み上げる。各「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「50~80字程度」の「字数指定」が多いので、2~3つ程度の「要素」でまとめることに慣れること。「合格ライン」は60%台半ば(過去8年間の「男女合計受験者平均得点率」は60.6%。本年度は60.7%)。配点が大きい「説明記述」での失点や減点は致命的になると肝銘せよ(本年度は各8点)。
- ●「総合的知識問題」も決して侮れない。「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。学校や塾での学習だけでは、全く不十分だ。
- ●「古文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容解釈」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。
- ●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は7000字ほどになる(本年度は増加して約8200字)。したがって、速く正確に読み取ることが不可欠。分速750字以上を目標に「読む練習」をしたい。